なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

新型コロナウイルス感染症~中等症Ⅰ

2021年01月25日 | Weblog

 先週入院した新型コロナウイルス感染症の87歳は、年齢を考慮すると知力・体力ともに若者顔負けの元気な方だった。

 ふだんは糖尿病で地元の内科医院に通院していた。1月10日に咳・咽頭痛で発症した。症状が続いて、1月18日に医院を受診した。その日にPCR検査(唾液)を受けて、翌19日に陽性と判明した。37℃ちょっとの微熱はあった。

 1月20日に保健所の指示で当院に入院した(高齢+糖尿病で入院適応)。発症11日目になるので、肺炎はあるだろうと予想された。

 血液検査では白血球5600・CRP7.7と炎症反応が上昇していた。新型コロナはCRPが5を越えると肺炎は確実にあるようだ。リンパ球8.7%とリンパ球減少があり、LDH268と軽度に上昇していた。

 胸部CTで両側下肺野背側にすりガラス陰影を認めた。上下に広がっているので、冠状断で背側をみると、けっこう目立つ。酸素飽和度は97~98%(室内気)だった。

 日数的にはデキサメサゾンを使用できるが、入院時は発熱がなく酸素飽和度低下もないので、そのまま経過をみることにした。

 ベットの上で両足を上げて、前後左右に動かして筋力を鍛えていた。受け答えもきちんとしていて、立派なものだ。ふだんは、小学生の通学路で安全確認・誘導をしているそうだ。

 今日血液検査再検で、白血球4200・CRP1.5と炎症反応は軽快した。リンパ球11.8%、LDH210と入院時より改善している。肺炎像はまだ残っていると思うが、このまま軽快すると判断される。日数的には退院にしていいようだ。

 新型コロナウイルス感染症の中等症(Ⅰ)に相当する(肺炎はあるが、酸素吸入は要さない)。当院はこのくらいの入院がちょうといい。

 糖尿病の処方はSU薬・メトホルミン・αーGIで、HbA1c6.1%と良すぎる値だった。SU薬は今回DPP4阻害薬に変更した。他の2剤は継続としたが、DPP4阻害薬単独でも充分だろう。また血圧が以前から高めで入院後も160~170だったので、Ca拮抗薬(ベニジピン)を追加した。

 新型コロナは自力で治しているので、当院としては糖尿病薬・降圧薬を調整しただけになる。見事な87歳。

 

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