なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

発熱が怖いと

2021年01月26日 | Weblog

 昨日糖尿病で通院している76歳男性が外来を受診した。発熱があると訴えて、最初発熱外来の扱いになっていた。

 発熱外来担当の外科医は、新型コロナウイルス抗原検査とインフルエンザ迅速試験を行って両者陰性だったので、後は内科外来で診てもらうようにと指示していた。

 外科医は1週間前から37~38℃の発熱があり悪寒もある、と記載していた。発熱外来の問診表には自宅で体温39℃、と記載されている。

 

 この患者さんは精神科に通院している。診療情報提供書のやり取りをしたことはないが、処方は抗うつ薬(SSRI)と安定剤だった。うつ病と言うよりは、身体表現性障害、今時でいうと「身体症状症」に相当するようだ。

 何年も腹痛を訴えて、予約日以外や土日夜間の救急外来を受診していた。数年続いて、その後は腹痛はあまり訴えず、頭痛を訴える時期があった。1年くらいでまた腹痛に戻った。

 どこが痛いという局在性ははっきりしない。常に食欲は良好だった。検査は嫌がらないので、一度検査して、しばらくするとまた同じ検査を繰り返すことになる。結果的に毎年人間ドックを受けたことになるので、それでもいいのかもしれない。

 妻が付いてくる時と、付いてこない時がある。妻は、何かあるのではと心配する気持ちと、毎日一日中調子が悪いと訴えるので、あきれる気持ちが混在しているらしい。

 

 昨年から発熱が続くと訴えることもあったが、体温は36℃台だった。それは発熱と言わないのではと言うと、とにかく気になると言う。炎症反応はまったく陰性だった。

 昨日内科外来で話を聞くと、やはり体温は36℃台だった。一番高い時で36.9℃になるそうだ。36℃台での変化なので、7~8℃(36.7~8℃)に上がって、一番高い時は9℃(36.9℃)と表現してしまい、発熱外来では誤解したようだ。発熱外来経由なので一通り検査したが、胸部X線は異常がなく、白血球・CRPは正常域だった。

 体温計を持ち歩いていて、一日中体温測定をしているのだった。そのまま経過をみて問題ないが、気になる時に内服してもいいからとアセトアミノフェン400mg屯用(カロナール200mg錠を2錠)を持たせた。(処方するのは好ましくないが、おまじない的に持たせた。)

 幸いなのは、こだわる症状はたいていひとつで、それ以外の症状は訴えない(訊けばあるというが)。発熱を訴えるのは、昨年から始まったので、コロナ恐怖症といえるのかもしれない。

 

コメント
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