病棟で外科医が消化器科医に相談していた。地域の基幹病院に回してはという声が聞こえた。
患者さんはアルコール非代償性肝硬変の48歳男性だった。アルコール依存症専門病院に入院したこともあるが、アルコールがやめられなかった。内科医院に通院していて、腹水増量で地域の基幹病院消化器内科に紹介された。
そちらの病院ともめたらしく、行きづらくなり、2年前の秋に当院の内科新患を直接(紹介状なしで)して通院を希望した。担当は大学病院から来ている先生で(バイト)、かかりつけ医から紹介状をもって受診するようにと伝えていた。
昨年の6月に通院している内科医院からの紹介状を持って受診した。それ以来当院の内科外来(大学病院の肝グループから交代で来ている)に通院していた。
腹水は利尿薬で軽快消失していた。食道静脈瘤があるが、F1・CB・RC(ー)で処置をするほどではなかった。アルコールは週3回焼酎を飲んでいた(本人の申告)。
今回は日曜日の夜間に、以前からある筋肉の痙攣様の痛みが悪化したのと不安感で受診していた。当直だった外科医(夜間は全科当直)が診て、長くは入院しないだろうということで自分が主治医で入院にしていた。
友人ともめて、暴力を振るわれて骨折する被害を受けていた。地域の基幹病院に10日ほど入院して手術(腹腔内血種)も受けていた。それ以来、不安が続いて物音がするとおびえるようになった。
外来で施行された腹部CTを見ると、肝臓表面の凹凸が明らかで、まさしく肝硬変だった。今どきはアルコール性肝硬変の患者さんは少なくなっているので、逆に貴重な症例?になる。
当院は専門的な治療はできないが、患者さんとしては当院の「ゆるい感じ」が気に入って、受診してくるのだろう。