なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

圧迫骨折

2023年12月11日 | 整形外科疾患

 12月7日夕方に救急外来に来た患者さんを入院させた。午後5時前に皮膚科医が救急室に現れた。

 その日の救急当番は大学病院から来ている非常勤の外科医だった(入院が必要な時は当番の内科医に連絡が来る)。午後5時には帰るので、その直前に救急搬入依頼が来ると、受け入れてからその日の当直医にあとはよろしくと連絡がくる。

 皮膚科医としてはそれでは困るので、救急隊からの搬入依頼は自分が受けて判断したい、ということだった。内科当番はいるが、入院にしてもらえば翌日から引き受けるので、朝までは基本的に(当直医が整形外科でも皮膚科でも)当直医対応になる。

 最近病棟逼迫で受け入れが厳しい地域の基幹病院の話などをしていると、救急隊から搬入依頼の連絡が入った。高齢女性が転倒して体動困難になっているという(皮膚科医がメモをとっていた)。

 骨折(椎体の圧迫骨折、大腿骨近位部骨折など)ならば、入院にして翌日整形外科医に申し送るだけでなんとかなる。しかしそれだけではなかった。呼吸困難があり、酸素飽和度が低下して酸素3L/分投与を開始したという。

 転倒・体動困難と呼吸困難の関係がわからない(肺炎・低酸素→ふらつき→転倒など、いくつかの組み合わせはある)。皮膚科なのでそれはちょっとと、内科系医師が当直をしている病院への搬入をお勧めしていた。(その日の内科当番は別の先生)

 

 翌8日の朝病院に来ると、救急室に救急患者対応中の看板が出ていた。前日午後8時に自宅で転倒して尻餅を付いた後に、腰痛・背部痛で体動困難となった83歳女性が搬入されていた。

 症状と検査しているうちに整形外科医が来る、ということで受けたらしい。医局にいると、当直だった皮膚科医から出勤してきた整形外科医に連絡が入り、救急室に行って診ます、という返事が聞こえた。

 単純X線検査をしていたが、画像的にはわからない。整形外科医は胸腰椎移行部あたりにありそう、とCTのオーダーを入れていた。CTでもはっきりしない。さらにMRIで確認するとTh12に新鮮な圧迫骨折を認めた。整形外科にはMRIが必要なのだった。

 

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CareNeTV SGLT2阻害薬

2023年12月10日 | 糖尿病

 とにかく糖尿病があってもなくても、SGLT2阻害薬ということになっている。ダパグリフロジン(フォシーガ)の適応は、①2型糖尿病、②1型糖尿病、③慢性心不全、④慢性腎臓病。

 男性だと、使い始めの多尿・頻尿が我慢できず、数回でやめてしまってもう飲まないと言う患者さんが少数いる。尿カテーテル留置(前立腺肥大症などの高齢男性)の患者さんでも使用し難い。女性だと、膀胱炎・膣炎を頻発する高齢者では使用し難い。

 

CareNeTV                                                         プライマリ・ケアの疑問
Dr.前野のスペシャリストにQ
糖尿病アップデート編 岩岡秀明先生

第3回 SGLT2阻害薬

SGLT2阻害薬の主要な大規模臨床試験
2015年 EMPA-REG OUTCOME試験:心血管イベント抑制
2017年 CANVAS試験:腎保護
2019年 CREDENCE試験:腎保護、心血管イベント抑制
2019年 DAPA-HF試験:HFrEFの予後改善
2020年 EMPEROR-Reduced試験:HFrEFの予後改善
2020年 DAPA-CKD試験:CKDの予後改善
2021年 EMPEROR-Preserved試験:HFpEFの予後改善

EMPEROR-Reduced試験(2020)/DAPA-HF試験(2019)
左室駆出率の低下した慢性心不全(HFrEF)の予後改善効果
・2020年
 EMPEROR-Reduced試験:エンパグリフロジン(ジャディアンス)
・2019年
 DAPA-HF試験:ダパグリフロジン(フォシーガ)
▸両剤ともに糖尿病の有無にかかわらず、HFrEFでの心血管死および心不全による入院を有意に抑制した
⇒エンパグリフロジン、ダパグリフロジンはHFrEFの標準治療薬になった

EMPEROR-Preserved試験(2021)
左室駆出率が保たれた慢性心不全(HFpEF)に対する予後改善効果
2021年
 EMPEROR-Preserved試験:エンパグリフロジン
▸糖尿病の有無にかかわらず、心血管死と心不全による入院を併せた複合心イベントのリスクを有意に低下させた
⇒エンパグリフロジンはHFrEF、HFpEFどちらにも使用できるため心不全の標準治療薬になった

DELIVER試験(2022)
左室駆出率が保たれた慢性心不全(HFpEF)に対する予後改善効果
・2022年
 DELIVER試験:ダパグリフロジン(フォシーガ)
・2019年
 DAPA-HF試験:ダパグリフロジン(フォシーガ)
⇒ダパグリフロジンもHFrEF、HFpEFどちらでも使用できるようになった

Point:エンパグリフロジン、ダパグリフロジンともにHFrEF、HFpEFどちらにも使用できる

DAPA-CKD試験(2021)
CKD予後改善効果
▸ダパグリフロジン(フォシーガ)
糖尿病の有無にかかわらず「eGFR25~75mL/分1.73㎡」「尿中アルブミン/クレアチニン比200~5000mg/gCr」のCKD患者における腎機能低下や心血管に起因する脂肪リスクを優位に低下させた

eGFR30未満は腎臓内科に紹介する

糖尿病合併CKD患者
 アルブミン尿(蛋白尿)、腎機能に関係なく腎保護作用が期待されるため、クリニカル・エビデンスを有するSGLT2阻害薬の積極的な使用を考慮する
糖尿病非合併患者
 蛋白尿陽性のCKD(IgA腎症や巣状分節性糸球体硬化症など)には原疾患の治療に加えてクリニカル・エビデンスを有するSGLT2阻害薬の積極的な使用を考慮する
※いずれも、eGFR15mL/分/1.73㎡未満では新規に開始しない
 継続投与して15mL/分/1.73㎡未満となった場合には副作用に注意しながら継続する
(日本腎臓学会CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation.2022

▸糖尿病合併、非合併にかかわらず
SGLT2阻害薬投与後に、eGFRの低下eGFR initial dip)を認める場合があり、                        早期(2週間~2か月程度)にeGFRを評価することが望ましい
その後もeGFRが維持されていることを確認する
・過度にeGFRが低下する場合は腎臓専門医に紹介を考慮する

2型糖尿病
1.ASCVDの既往がある/ハイリスク
2.慢性心不全がある
3.CKDがある
いずれかに当てはまる場合は
メトホルミン使用の有無にかかわらず
最初からエビデンスのあるSGLT2阻害薬を使用する
▸上記以外の場合は、禁忌でない限りメトホルミンから開始する

Point:SGLT2阻害薬が他科から処方されていないか確認し、薬剤調整を行う(循環器内科、腎臓内科で処方)

SGLT2阻害薬使用上の注意
脱水
 開始後数週間は尿量が増加するため500mL以上の追加飲水を推奨する
尿路、性器感染症
 とくに、膣カンジダ症、尿路感染症、壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)に注意
正常血糖ケトアシドーシス
 SGLT2阻害薬服用中は、血糖値150mg/dL前後でもDKAになりうる
 血糖が正常でも、悪心嘔吐・腹痛・全身倦怠感を訴える患者では尿ケトン体か血中ケトン体を測定する

 尿ケトン体2+以上の患者、極端な糖質制限を行っている患者はハイリスクになる
(SGLT2阻害薬使用によるケトン産生で尿ケトン体1+になることがある)

 SGLT2阻害薬服用中は厳しい糖質制限は行わないよう指導する

サルコペニア
 歩いて通院できる高齢者には処方してもよいが、体重減少には留意する
 高齢者にSGLT2阻害薬を処方するときは、カロリー制限を緩めて蛋白質摂取を増やす

 

Dr.前野のここがポイント

SGLT2阻害薬の重要ポイント

・血糖降下作用だけでなく、
心血管イベントの抑制と腎保護に関するエビデンスが蓄積された
・糖尿病合併の有無にかかわらず心不全やCKDの標準治療薬になっている

2型糖尿病のうち
 ASCVDの既往ハイリスク
 慢性心不全
 CKD
いずれかに当てはまる場合は
メトホルミン使用の有無にかかわらず最初からSGLT2阻害薬を使用する

SGLT2阻害薬を使用する場合は
脱水
尿路・性器感染症
正常血糖ケトアシドーシス
サルコペニア
の4点に気を付ける

 

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大腿骨が3回折れた

2023年12月09日 | 血液疾患

 12月6日(水)の当直の時に、施設に入所中の98歳女性が救急搬入された。車椅子から滑り落ちて、その後左膝のあたりを痛がっているという。

 搬入されると、左大腿骨が骨幹部で骨折したと思われたが、それは以前の骨折だった。

 2016年に右大腿骨転子部骨折で、2018年に左大腿骨転子部骨折で当院整形外科で手術を受けている。2020年に左大腿骨骨幹部骨折をきたして、その時は保存的治療となっていた。

 今の整形整形外科の先生方ではなく、以前在籍した先生たちだった。当時はメインの整形外科医がいて、大学病院から若い先生が交代で来ていた。その後、個人的な理由で辞めて、他の病院に移り、それとともに手術ができないので若い先生が来るのもなくなった。(昨年から新たに整形外科医2名が赴任している)

 搬入時に触れたのは2020年の骨折部だった。今回はその遠位部が痛いらしい。X線とCT骨条件でみると、左大腿骨の遠位端が折れていて、膝側に食い込んでいる。左大腿骨の3回目の骨折だった。

 整形外科はオンコールになっていない。その日は整形外科で担当は当方として入院とした。翌7日に整形外科医に申し送って正式に整形外科医担当となった。やはり、保存的に診ます、ということだった。 

 

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化膿性脊椎炎

2023年12月08日 | 整形外科疾患

 12月1日に記載した48歳女性のその後。

 11月26日からの腰痛で、27日当院整形外科外来受診した。28日には高熱で発熱外来を受診した。発熱・腰痛で化膿性脊椎炎を疑ったが、腰椎MRIで所見は指摘できなかった。

 地域の基幹病院循環器内科に心不全と糖尿病(血糖は良好)で通院して、同院皮膚科にアトピー性皮膚炎で通院している。身体中に膿痂疹痕と蜂窩織炎様の発赤が散在(というより多発)している。皮膚から表在菌が侵入しやすい人だった。

 整形外科医には相談したが、化膿性脊椎炎とはいえなかったので、その日内科に入院した。1週間後くらいにMRIを再検することになった。

 血液培養2セット提出して、翌29日に2セットからグラム陽性球菌が検出された。抗菌薬は皮膚感染症としてセファゾリン(1gを8時間おき)で開始していたが、菌種確定までとしてバンコマイシンに変更した。体重が100kg越えで1gを12時間置きではトラフ値が足りず、1.5gを12時間おきに増量した。

 解熱はしてきて、炎症反応も入院時よりは軽減した。腰痛は多少いいようだが、体動は困難でベットで自力で横向きになるくらいだった。

 12月5日に血液培養2セットから黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出された。抗菌薬をセファゾリン2gを8時間おきに変更した。

 12月6日に腰椎MRIを再検すると脂肪抑制T2強調画像でL5・S1に高信号域を認めた。その背側の椎間関節周囲にも高信号を認めた。7日に整形外科に転科することになった。

 12月4日に心エコーを行っていて(現在は毎週月曜に他院の技師が来た時だけできる)、心内腔に疣贅は認めなかった(経胸壁だから否定はできないが、心雑音はない)。

 

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お金がないので今日は帰る

2023年12月07日 | 糖尿病

 12月4日内科再来を診ていると、新患が多いので診て下さいと、61歳男性が回ってきた。糖尿病の治療を中断しているということだった。

 5年前に急性心筋梗塞で地域の基幹病院に入院した。その時に糖尿病を指摘されて、糖尿病科に2~3か月通院したそうだ。その後内科クリニックに紹介されたが、すぐに中断してしまった。理由がお金がないということだった。

 ずっと中断していて、どうして受診する気になったかというと、2~3か月前から左半身の不全麻痺があった。糖尿病としての口渇・多飲・多尿もありそうだが、それは気にしていない。

 検査しようとすると、お金がないのでといわれた。頭部MRIは値段が高いので、すでに数か月経過していることもあり、頭部CTでと言ったが、それも受けたくないという。

 胸部X線、心電図と血液・尿検査は行った。心電図は心室性期外収縮が単発であったが、あまりST-T変化は目立たない。PCIの成果だろうか。

 随時血糖331mg/dl・HbA1c 11.0%だった。尿糖(4+)・尿蛋白(1+)だが、尿ケトン体は(-)。SGLT2阻害薬はケトアシドーシスが危惧され、DPP阻害薬とメトホルミン初期量くらいで治療開始するところだ。

 入院して一時的にインスリンを使用するのが好ましいが、入院はできないという。では外来治療を始めましょうというと、福祉サービスを受けられるか役所に行くので、それからにしたいという。

 院内処方ならば、その日に支払いしなくてもと伝えたが、また来るといって帰ってしまった。血圧も高いし、心筋梗塞の既往があるので、抗血小板薬・降圧薬も開始するつもりだったが。

 

 この患者さんは内臓逆位がある。(2006年のCTが残っていて、腹部臓器も逆位だった)PCIは、かなりやりにくかったのではないか。

 

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魚骨が腸に刺さった

2023年12月06日 | 消化器疾患

 12月4日(月)は新患受診が多かった。大学病院からの応援医師が担当だったが、再来も診つつの外来で対応ができなかった。その日内科再来を診ていた当方と、別の内科医2名も呼ばれて分けて担当していた。

 最後に呼ばれた先生は、内科クリニックから紹介された腹痛の56歳女性を担当した。11月17日ごろから心窩部痛(軽度)があり、クリニックを受診した。腹部所見には乏しく、PPIを処方したそうだ。

 その後、11月29日にも受診したが、やはり腹部所見には乏しいと判断していた。そこから症状が悪化して、再々受診をした。筋性防御はないが反跳痛があると判断されて、当院紹介となった。

 こちらでも腹部所見は同様と診断された。腹部CT(単純)で小腸の一部に周囲の脂肪織の炎症像があった。腸管内に石灰化のような細いものがある。腸管壁を突き抜けているようだ。魚骨と思われた。

 症状が出る前にあら汁を食べいたそうで、やはり魚骨らしい。魚骨の穿孔による小腸周囲の限局性腹膜炎ということになる。

 地域の基幹病院は受け入れできず、県庁所在地にある市立病院へ搬送となった。硬膜下血腫に続いて、お世話になることになった。

 

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慢性硬膜下血腫

2023年12月05日 | 脳神経疾患

 12月1日(金)の午後に発熱外来を診ていると(救急室でやっている)、救急室のストレッチャーに横になっている患者さんがいた。

 看護師さんに訊くと、消化器科で診ている患者さんだという。ふだんはアルコール性肝硬変・糖尿病で通院している。その日は3日前からの左半身麻痺での受診だった。(救急車ではなく、家族が連れてきた)

 これは頭だ、ということで、さっそく頭部CTを撮ると、右側の慢性硬膜下血腫があった。濃度から見ると、ちょっと経過しているのか、水腫が加わったのか。

 頭といっても、当初は脳梗塞疑いだったので、まず頭部CTで頭蓋内出血の有無を診て、頭部MRIを続いて行うようにしていた。急遽MRIは中止となり、搬送先を探していた。

 一番近い地域の基幹病院脳外科は受け入れ困難ということだった。どこに当たったらいいでしょうか訊いて、お勧めされた県内随一の市立病院の脳外科に連絡すると、受け入れてもらえた。

 

 医局に戻ると消化器科医がいて、別の先生から依頼された胃瘻造設の相談をされた。脳梗塞後遺症の高齢者で経口摂取困難だった。

 上記の硬膜下血腫の患者さんの話を聞いてから、次の火曜日にいっしょに内視鏡的胃瘻造設術(PEG)をすることにした。

 

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急性心筋梗塞

2023年12月04日 | 循環器疾患

 11月29日(水)の当直の時に、午後5時半に搬入された呼吸困難の患者さん(肺炎による慢性閉塞性肺疾患増悪)を診ていると、別の内科の先生(もともとは消化器外科医)が救急室に顔を出した。

 後で訊くと、急性心筋梗塞の患者さんを地域の基幹病院循環器内科へ救急搬送してきて、その戻りだった。

 

 72歳女性がその日の午後3時に胸痛と背部痛を訴えて、外来を受診していた。前日の夜間から始まって、眠れなかったそうだが、朝まで我慢していた。

 午前8時過ぎに市内の内科クリニックを受診して、採血検査後に上部消化管内視鏡検査が予約された(1月に)。受診時にどういう訴え方をしたのかわからない。嘔気があるとも訴えたらしい。

 別居の妹さんに当院受診を勧められて、午後に当院に来たという経緯だった。ふだんは眼科医院に通院しているだけで、内科系の通院はない。

 心電図でV1-4に明らかなST上昇を認めた。血液検査では白血球7200・CRP0.3だった。トロポニンIが20728.5と著明に増加している。CK 2128・CK-MB 274・AST 173・LDH 721と筋原性酵素が全部上昇している。(受診した内科クリニックは末梢血・CRPは迅速で出て、生化学は外注のはず)

 胸部X線ではなく、胸部CTを検査していた(大動脈解離の鑑別か)。心嚢液が軽度に目立つ。単純CTだが大動脈解離はなかった。明らかな心不全の所見はない。

 検査後に救急室に移動して、点滴・酸素吸入を開始した。来院時は血圧が100ちょっとだったが、その後99/71mmHg、91/68mmHgと低下している。酸素飽和度は97%(室内気)だったが、顔色不良・末梢冷感を認めた。

 救急隊にそのまま搬送依頼というわけにいかず、先生も同乗しての搬送となった。先方の病院には無事着いて、当院に戻って救急室にちょっと顔を出した、というところだった。

 

 この先生は11月いっぱいで当院を辞めて、関東圏の病院に移ることになる。その日は勤務最終日だった。

 翌30日は挨拶周りをして、お昼には病院を出られた。200床弱の病院の院長先生になられる。世代交代が進んでいない病院でなかなか、と言っていた。持ち前の明るい人懐こい性格で、きっと何とかやっていかれるのだろう。

 

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アルコールの人

2023年12月03日 | 精神科疾患

 11月29日(水)当直の時に、アルコール多飲の55歳男性が自宅で動けなくなっていると救急隊から搬入依頼が来た。

 酸素10L/分の肺炎を入院させていた。その日整形外科で脊椎の手術をした患者さんでちょっと問題があり、病棟に戻るのが時間外になっていた。病棟が嫌がるだろうとは思ったが、引き受けた。

 

 若い時からアルコール多飲があり、焼酎をかなり飲むそうだ(はっきり量は言わなかった)。1か月前に仕事を辞めていて、一人暮らしをしている。

 後で訊いたところでは、妻とは随分前に離婚していた。息子2人のうち、市内に住んでいる長男が手つづきに来てくれていた。両親と住んでいたが、亡くなってからは一人暮らしだった。

 飲酒量は同じだが、数日前から食事はとれなくなっていた。腹痛はなく、嘔気は若干あるのかもしれないが、食欲がわかなかったそうだ。

 

 血液検査では炎症反応は陰性だった。血清カリウムが2.8と低下していたので、脱力に関係したかもしれない。肝機能は普通のアルコール性肝障害だった。

 CTで見ると、肝臓は脂肪肝になっている。表面の凹凸ははっきりしないが、アルコールの量と期間からみれば肝硬変でもおかしくない。

 ビタミンB1欠乏というのでもないようだが、点滴・電解質補正・ビタミン投与で経過をみることにした。就寝前にはジアゼパム内服を数日続ける。

 

 5年くらい前に吐血で地域の基幹病院に入院していた。嘔吐しているうちに吐血ということだと、マロリーワイスだったか。その後(昨年?)アルコール性と思われる低血糖で意識障害を呈してまた入院した。

 精神科医が嫌酒薬(おそらく)を処方して少し続けてやめてしまったそうだ。精神科外来はないはずなので(院内のリエゾン精神科)、よく診てくれたと思う。

 離婚は正確の不一致、仕事を辞めたのは気に入らなかったからということだが、事実はアルコールがらみ?。息子さんに訊かれたので、県内のアルコール依存の専門病院を教えると、スマホで確認していた。

 

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急性肺炎、COPD増悪

2023年12月02日 | 呼吸器疾患

 11月29日(水)は当直だった。午後4時45分ごろ、救急当番をしていた外科医(大学病院から応援=バイト)から、救急搬入があるのでよろしくといわれた。

 隣町在住の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の83歳男性が、低酸素を呈して搬入されるという。3月に当院に大腿骨頸部骨折後のリハビリで入院していた。

 現在は市内のクリニックに通院している。11月20日に受診した時に、肺炎として抗菌薬内服(レボフロキサシン)が処方されているが、効果が出ていない。

 訪問看護師さんが、血圧低下・酸素飽和度低下(70%)に気づいて、救急要請になったそうだ。搬入時は末梢循環が悪く、酸素10L/分リザーバー付きで90%前半になったり、測定できなかったりだった。血液ガスでは、PaO2が72.7、PaCO2が17.9。

 血管も虚脱して見えにくかった。時間外になっていたが、日勤の看護師さん2名が残って手伝っていた。前腕の難しいところから点滴を入れようとして入らなかった。別の部位を勧めると、うまく入った。

 胸部X線・CTで両側肺、特に右肺の背側に浸潤影を認めた。肺炎の範囲としてひどくはないが、もともと肺気腫で気腫性変化が目立つ。そこに肺炎が加わったので一気に悪化となった。肺炎による慢性閉塞性肺疾患の増悪だった。(喘鳴はない)

 

 血圧は120くらいで保っていた。酸素はそのままで継続とした。患者さんは一見して老衰状態で、今月始めから食事摂取も低下していて、うまく軽快したとしても食べられないかもしれない。

 朝まではとりあえず、もっていた。病室に見に行くと、酸素マスクを外していて(手で払ったようだ)、四肢がチアノーゼを呈していたので、急いで付け直した。

 家族には人工呼吸器管理まではしないことで了解してもらっている。

 

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