スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

KEIRINグランプリ2019&秋保の着眼点

2020-01-02 18:53:39 | 競輪
 12月30日に立川競輪場で争われたKEIRINグランプリ2019。並びは新田‐佐藤の福島,脇本‐村上の近畿,清水‐松浦の中国で平原と郡司と中川は単騎。
 佐藤がスタートを取って新田の前受け。3番手に清水,5番手に平原,6番手に中川,7番手に脇本,最後尾に郡司で周回。残り2周のホームに入ってもだれも動いていかなかったため,新田は誘導との車間を離していきました。バックに入ってようやく脇本が発進。打鐘からかまして先行。引くわけにもいかなくなった新田は村上の内で粘り,ホーム通過後のコーナーで番手を奪取。新田の後ろは佐藤で,脇本ラインを追っていた郡司が佐藤の後ろに。清水は動いていったものの前には届かず。新田は最終コーナーから脇本を抜きにかかりましたが,直線の入口で佐藤がそのふたりの間を突いて進出。新田はややブレーキがかかる形になり,脇本を差した佐藤が優勝。脇本が4分の1車輪差で2着。外からふたり目を追い込んできた平原が4分の3車輪差で3着。
                                         
 優勝した福島の佐藤慎太郎選手は2015年5月の宇都宮記念以来となるグレードレース優勝。ビッグは2005年4月のふるさとダービー武雄以来となる4勝目。グランプリは初優勝。僕が注目していたのは,脇本が先行しようとしたときに,清水がどのように出るのかというところ。脇本がどう考えていたかは分かりませんが,前受けになった新田は番手戦を挑むようなタイプではないので,なかなか動こうとせず,もし清水の前受けであれば違ったレースをしたのかもしれません。とはいえ打鐘で叩かれては新田も引くわけにはいかず,流れでの番手戦になったと推測しますが,あっさりと番手を奪うことに成功しました。なので展開的には新田が有利でしたが,新田マークの佐藤が,自分が勝つためにシビアな競走をしたため,佐藤の優勝に。本来はマーク選手があの位置で先行選手を弾くことはあまりないのですが,佐藤はもう43歳で優勝自体からも遠ざかっていたことから分かるように,これが最後のチャンスという思いが強かったのではないでしょうか。これは人間が自転車に乗って走るという競技の魅力のひとつともいえます。

 まず第四部序言に注目してください。ここでは「神あるいは自然Deus sive Natura」といういい方がみられます。しかし今回の考察で着目するのはここではありません。この一文の中に,「理由ないし原因」といういい方が2度もされています。こちらの方に秋保は着眼しています。
 ここでは神と自然は「あるいは」という接続詞で結ばれ,理由と原因は「ないし」という接続詞で結ばれています。しかし,この接続詞の原語となっているラテン語siveは同一です。僕はかつて,ここでは「神あるいは自然」といわれているけれど,それは神ないしは自然とか神すなわち自然と訳されても構わないのではないかという見解を表明しました。少なくとも岩波文庫版の訳者である畠中尚志は,この接続詞を「ないし」と訳している場合があることがこれによって判明しました。ですから僕の見解はそれほど的外れでなかったことになるでしょう。しかし今はこのことは関係ありません。
 スピノザの哲学では,原因causaというのは一律に起成原因causa efficiensを意味します。ですから当該箇所の後半部分の意味は,神すなわち自然がなぜ働きをなすagereのかという起成原因と,神すなわち自然がなぜ存在するのかという起成原因は同一であるということになる筈です。そして第一部公理三によれば,原因すなわち起成原因が与えられさえすれば,必然的にnecessario結果effectusが生じることになっています。そして第一部公理四によれば,結果の認識cognitioは原因すなわち起成原因の認識に依存します。もっといえば起成原因の認識にのみ依存することになります。ですから事物の十全な認識は,その事物の起成原因の認識にのみ依存することになるでしょう。
 ですからこのことを意味したいのであれば,スピノザは神すなわち自然がなぜ働くのかということの起成原因と,神すなわち自然がなぜ存在するのかということの起成原因は同一であるといえばよかったのです。もちろん原因が一律に起成原因を意味する以上,起成原因とした部分は単に原因であっても構いません。実際にこの部分の全体の文脈は,目的原因,具体的にいえば神が存在する目的とか神が働く目的といったものは存在しないということを主張することに主眼が置かれているからです。
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