スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典TCK女王盃&第二部定理八への疑問

2020-01-22 19:18:05 | 地方競馬
 第23回TCK女王盃。左海騎手が病気のためトーセンガーネットは的場文男騎手に変更。
 サルサディオーネとクレイジーアクセルは逃げてこその馬なので,まず逃げ争いに注目していました。外のクレイジーアクセルの方が加速で優り,サルサディオーネを制してハナへ。サルサディオーネは外に切り返して2番手。2馬身差の3番手にマドラスチェック。3馬身差でミッシングリンク。あとはファッショニスタとメモリーコウが併走し,アンデスクイーン,エイシンセラード,ナムラメルシー,アルティマウェポン,トーセンガーネット,サンルイビルの順。最初の800mは49秒4のハイペース。
 3コーナーを回るとクレイジーアクセル,サルサディオーネ,マドラスチェックの3頭が雁行。そのまま横並びで直線に。3頭の後ろは内からアンデスクイーン,外からメモリーコウ。直線に入るとマドラスチェックが内の2頭を振り切って先頭に。その外まで持ち出したアンデスクイーンが残り200mでマドラスチェックに並び掛けると,ここからフィニッシュまで2頭の競り合いとなり写真判定。優勝は先んじていたマドラスチェック。アンデスクイーンがハナ差で2着。この2頭の外から伸びたメモリーコウは3馬身差の3着。
 優勝したマドラスチェックは重賞初勝利。昨年の関東オークスで2着になった後,古馬との2戦は共に1秒以上の大敗でしたから,ここも苦戦するのではないかと思っていました。ただ力ある馬を競り合いの末に降し,3着,4着も相応の力がある馬が入っていることから,ここにきて力をつけてきていたようです。なので今後も牝馬重賞路線では活躍することができるものと思われます。
 騎乗した船橋の森泰斗騎手東京スプリント以来の重賞4勝目。第22回からの連覇でTCK女王盃2勝目。管理している斎藤誠調教師は第21回以来2年ぶりのTCK女王盃2勝目。

 これは秋保の見解opinioとは無関係ですが,ことのついでなので次のことも考えておきます。ついでとはいっても,現状の考察とまったく関係しないわけでもありません。
                                   
 第二部定理八は,存在しない個物res singularisの観念ideaが,個物の形相的本性essentia formalisが属性attributumの中に含まれているように,神Deusの無限な観念すなわち無限知性intellectus infinitusのうちに包容されているといっています。僕はこのいい方には,以前からある疑問を感じていたのです。
 存在しない個物の形相的本性が含まれているのは属性の中です。一方でそれを観念対象ideatumとした観念は,無限知性のうちに含まれています。すなわち,前者は属性のうちに含まれているのに対して,後者は直接無限様態とはいえ様態modiのうちに含まれているとされています。
 もしもこの定理Propositioが,存在しない個物の形相的本性ではあったとしても,それは観念の対象となり得るということ,いい換えれば知性はそれを認識するcognoscereことが可能であるということを主張しているのであれば,それで問題ないと思います。ですがスピノザはこのことを,ひとつ前の第二部定理七の帰結,すなわち観念の秩序と連結Ordo, et connexioが,観念対象の秩序と連結に同一であるということの帰結として主張しているのです。このことはこの定理のスピノザの証明Demonstratioが,その第二部定理七から明白であるということだけをいっているということから明白です。すると,観念の秩序と観念対象の秩序は一致しなければならないのですから,存在しない個物の観念は神の思惟の属性Cogitationis attributumに包容されて存在しているというか,そうでないなら,存在しない個物の形相的本性は,その属性の直接無限様態のうちに含まれているといわなければならないかのどちらかであるように思えるのです。実際のところ,属性に含まれているものと,直接無限様態に含まれているものの秩序が一致する,いい換えれば,属性に含まれているあるものと,直接無限様態に包容されているそのあるものの観念が同一個体であるというのは,奇妙ではないでしょうか。
 このことはこれまで考察したことはありませんでしたが,僕自身はこの奇妙さに対してはある解答を与えていました。他面からいえば,以前から感じていた疑問を解消はしていたのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする