[登場犬物] 飼い犬ジーロ12歳9ヶ月。
一腹子(同じときに生まれたきょうだい)のうち、メスのカバサと
ずっと同居していた。
カバサはたいへんな活動力と運動量と欲望と身体能力の持ち主であった。
とにかく強かった。
世界の中心であった。
ジーロがトイレに行きたくても、カバサが部屋の中央に寝そべっていれば、
「ウウウ」と
うなられ、尻の側すら通らせてもらえない。
何が気に入らないのか分からないが。 . . . 本文を読む
[あらすじ] 母85歳PDがリハビリ施設に入所している間に片付け。
家の北側の地下室は、亡父が作った部分のモルタルが脆くて水漏れし、
中に保管してあった沢山の本がカビた。
カビた本を束に縛って運び出したり、生き残りの本をアルコールで拭いたり、
脆い壁に吸湿性の有る珪藻土を塗ったりと、あれこれやってきた。
が、友人Fの「珪藻土はカビの温床になるよ。カビとの戦いは不毛。
それよりやりたいことやりな . . . 本文を読む
[あらすじ] 母85歳PD、2ヶ月程の予定でリハビリ施設に入所して5週間。
週に一度の面会に行った。
椅子から自力で立ち上がることが難しくなっている。
立ち上がり方を一緒におさらいして、30分近くかかって、やっと立ち上がることができた。
一見して、衣服越しでも分かるくらい、脚が痩せている。
朝、ベッドの上でいつものように体操すると、センサーが反応して職員さんが飛んで来て、
まだ早いからと体操を . . . 本文を読む
[あらすじ] 家の北側の地下室は、前半を亡父が自作した。
その部分のモルタルが弱く、水漏れがひどかったのを2年前にずいぶんな費用をかけて修繕した。
そのモルタルの壁に、下地剤をまず塗った。
塗っていても、穴だらけだし凹凸が多いのが分かる。
穴は、気泡の跡だ。
板で枠を組んで、そこにモルタルを流し込み、トントンと叩いて気泡を抜くのだが、
その作業が足りなかったのか。
そりゃスカスカで、水漏れもし . . . 本文を読む
[あらすじ] 枯死してしまった珊瑚樹を、数本伐り倒した。
家の入口の脇なんかに柳が有ったらちょいと乙だな。
料亭みたいじゃない?
何やら妙な憧れが有った。
枝垂れる様子は美しい。
春に芽吹きとともに黄色い花房を付けるのも目にやわらかい。
でも伐る。
※
近所に有るものは、あまり植えなくていい、ということにした。
いつ頃だったか、そう思った。
近所で見られるなら、それで十分。自分が庭で手入 . . . 本文を読む
今の家に引っ越して来てから45年住んでいる。
南隣の酒屋さんとの境目には、珊瑚樹を植えた。
珊瑚樹は常緑で、よく防火のために植えられる。
成長は速くはないので、手入れしやすい。
昔、女の子が生まれると桐を植えたと言う。
十何年経つとそれで箪笥が一棹作れるほどに育つ。
その箪笥を嫁入り道具とするのだ。
そういうふうにほいほいと成長する木は、やわらかい。
やわらかくすなわち軽い。
軽くすなわち燃え . . . 本文を読む
[あらすじ] 母85歳がリハビリ施設に入っている2ヶ月のうちに押し寄せる片付けと掃除。
とっしょりは、珍しい食べ物などを頂いても、結局食べない。
お茶や健康食品も然り。
頂き物なだけに捨てられず、家の冷暗所やそうでもないところや見えない所や見て見ぬふりをしている所に
たまる。
食べ物を下さるほうも考えて、「日持ちのするもの」を下さったりする。
これは残念ながら間違っている。
「年寄りが食べられ . . . 本文を読む
[あらすじ] 毎月、飼い犬ジーロくん12歳8ヶ月の頭の上に、お飾りを乗せているよ。
以前もブログでぶーすか言った記憶が有るので、短めに収めるけど。
イースターを日本でおまつりみたいにして卵料理食べてるの、意味分からんよ!
卵料理じゃなくて茹で卵だし。飾って隠して探して見付ける遊びだし。
ある新興宗教の教祖様が、自分は人間並みじゃないということを示すために、
死んで生き返るというわざを見せた記 . . . 本文を読む
[あらすじ] 自宅の古い桐の棚から、『春色梅児誉美』のボックスセットが出て来た。
二十代の頃から、江戸の黄表紙だのに興味を持って、
版本を読もうとしていた。
家に有るのは、母の蔵書の「日本古典文学大系」とか「日本古典文学全集」とかいった
お堅い本であり、その中のほんの一巻くらいに下らない話が詰まっている。
どーんと見開きに絵が有って、その周りを埋め尽くしていることばがきを読むのが楽しい。
だが、 . . . 本文を読む
「わたしは花粉症ではない、って言っています。」
なんて往生際の悪い。
「花粉症の人が"今日は最悪"って言ってる日にくしゃみが出るくらいなんで。」
なるほど。
私も、ずっとそう言っていた。
くしゃみ鼻水が止まらない、という日が有るには有るが、
春のうちのせいぜい3回くらいなのだ。
だから、花粉症のうちにも入らない、と認めていなかった。
※
太り切っていた4年前、花粉症の症状がたいそうつらかった。 . . . 本文を読む
実に、マキタのハンディクリーナーを愛用している。
ハンディであるから、小柄だ。
軽く持てる、ということを大事にしているので、容量は小さい。
細かい塵と犬の毛でも、集まればすぐに一杯になる。
毎日の普通の掃除なら、2、3日分は貯められるかもしれない。
それくらいでいいのだ。
クズを貯め込んで良いことなど、特に無い。
3時間くらいで充電できる。
その分、もってせいぜい20分くらいだ。
それくらいで . . . 本文を読む
[あらすじ] 母85歳の介護用ベッドの置き場所を変える。
その準備のひとつとして、天井照明を紐スイッチ式の物に交換しよう。
ところが、天井の部品が合わない。
しかし、配線を固定するボルトがつっかえて、オス部品を回すことができずに嵌められないなんて、
ずいぶん間抜けな構造のように思えるが、
きっとこれも、今は違った構造になっているのだろう。
買って来た部品は、コードの先端を接点に挟み込むだけにな . . . 本文を読む
母85歳パーキンソン病要介護2のための、介護ベッドが寝室に在る。
ただ、寝室に入る所に段差が有る。
また、寝室はトイレに遠い。
そこで、ベッドを居間に置いたほうが、生活しやすいと考えた。
ちょうど、福祉用具担当者からも、同じ提案が有った。
では、居間にベッドを置く準備をしよう。
入所している今のうちに。
※
居間の電灯を吊っているケーブルが、ボロボロになっていた。
交換しようとして外したの . . . 本文を読む
昨日は法螺を書きました。
毎月一日には法螺を書いています。
ああ、昨日は年に一度の法螺の日だったか。そうか。
※
自宅の片付けをしていて、実際に出てきたのは、『春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)』であった。
春とか色とかいきなり並ぶからなんとなく浮き立つが、
エロというほどのことは無いが、美男美女の三角関係という内容だそうで、
下世話ではありそうだ。
江戸で人気の通俗小説、ってとこだろう。 . . . 本文を読む
[あらすじ] 母85歳パーキンソン病がリハビリ施設に入所している間に、自宅を片付け。
桐の棚に古い和綴じの本がたくさん入っているのが見つかった。
こんな風に書くと、蔵でも建ってんのかという感じがするな。
雨漏りのした地下室にあまり関わって来なかったので、私の知らない物がいろいろ有るわけだ。
本は明治の頃の物のようだ。
湿気を含んでいて、ゴム手袋越しにひんやりと感じる。
吹き出ているカビを大雑 . . . 本文を読む