夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

現代アートは判らない

2005年12月10日 00時53分57秒 | 芸術・文化
このようなテーマは今まで久米仙人のブログをメインに書いてきたけど、そちらのブログを削除したので、だんだんこちらに移行して来ることになります。できるだけ愚痴やエッチ系の入らないような書き方を心がけなければって思っていますけど。。。

よく創作系のアーティストから「創作をすることは、産みの苦しみを味わうこと」というような変なプライドを見せ付けられることがある。私は心が優しい人なので、そんな態度を見て、「ふん、」ってあざ笑うことはしないけど。

でもね、苦しいのは誰でも同じ。
普通に芸術って言われるときに、日本では職人芸から、創作活動まで幅広い範囲をさすことが多い。
もっと狭い範囲で考える人も、創作以外にも演奏家や、舞台芸術家など解釈を中心にする人も含めるケースが殆ど。

ところが現代アートの創作をやっている連中に比べて、演奏家などの訓練って言うのは半端ではない。
まず子供のときから訓練を始めないと殆どが使い物にならない。
少し大きくなってから始めたバイオリニストのビブラートは聞く人にはすぐにわかってしまう。バレエも体ができる前に始めないと残っていけない。

またある演奏家が海外のコンクールに参加するのを手伝ったことがあるけど、グランプリを得て、記者会見のときに、練習を一日何時間やっているって聞かれて、彼女は最低でも6時間やらないと今のレベルを保てないって答えていた。

もちろん、才能も必須の条件。

それと比べると現代の若い創作家たちの努力っていうのは、甘い連中が多すぎる。

そして彼らの自分を表現できる創作活動こそが偉大な芸術で、職人芸などは一歩低いものだという思い上がりも、鼻につく。

いい演奏家が他人の曲を弾く。それはその演奏家の心で掴んだ音楽を、演奏家の心で表現していること。キャンバスに自分の心でみた風景を描くこととそれほど違うものではないと私は思う。

若い演奏家が、技術的に高いものを持ち、評判になったとしても、彼らが熟年の演奏家に劣るものは、その生活心情、生き様、気持ちが聞いている人に伝わらない、伝わっても薄っぺらいものでしかない。
以前にもホロビッツのさよなら公演のことを書いたけど、ミスタッチはいくつもあった。でもそのミスタッチなんか問題にならないほどにその演奏が素晴らしかった。彼の生き様、気持ち、迫力が伝わってきた演奏だった。
演奏家は確かに創作はしない。弾く物も皆が知っている曲であったりする。でもだからこそ単に技術的な問題では済まされない、自分の生き様が、考えが伝わるのだということを知っている人が多い。
写真家も技術的には制約が多すぎる。でもだからこそそこへ自分をこめる事に必死になる。
制約が多い分野だから、必死なのかもしれない。

創作活動をしている人は、その制約が少ない。だから逆にその辺が安易なのかもしれない。
表面的な事柄に感激し、なぜそれに自分が感激しているのか、何を伝えたいのか、まったくわかりもしないで、ただ薄っぺらい上っ面の感激だけ、技術だけで何かを作っても、それは心のこもった作品とは言い難い。ただ綺麗だね、珍しいねって人を驚かせることはできても、人の心を打つことはできない。でもそんなことも判らない作家というのがあまりにも多すぎる。作家辞めたらって言いたくもなる。

現代アートって年寄りには判らない。





猛女

2005年12月10日 00時25分55秒 |  姥捨て山は大騒ぎ
昨日「卒業」を書いてから、人に会いに銀座に出た。
結局昼から深夜までのアポになったけど、ほんとにしんどかった。

この人とその仲間たちのことは削除した久米仙人のブログに書いたことがあるけど、本当に人間とは思い難いグループ。
そのグループでは彼女が一番若く、それでも私よりも大分お姉さま。
グループの中核は彼女よりさらに10歳以上。
そしてトップはなんと100歳オーバー。

今回の上京の目的は、彼女の作品を見せることだったけど、前回会ったときは、F1の写真展を彼女が企画して展覧会をやっていた。58でレーシングライセンスをとり、今でもハンググライダーのインストラクターをやれる女性。でも藤間も杵屋も京都の花町でもお師匠さんで通る腕。植物に関しては、私が逆立ちしてもかなわない。
日本の伝統文化に関してはもう、比べることもできないだろうと思う。

上京して5日以上、昼間はお店で作品の額装、夜は朝の4時ころまで作品の選定などをしているという。そのエネルギーには周りの人々がやけどをさせれそう。
お店の担当者が嘆いていた。
「この人は周りの人のエネルギーを吸い込んで、自分のエネルギーにしている。だからこの人が来ると、死に死にになる。」

その彼女からスキーに誘われている。野沢には彼女の家があり、彼女の仲間の山野草の専門家の夫婦がいて、仲間たちがいる。グループの要の人の体調がよくなく、来年の恒例のヨーロッパスキーツアーは取りやめになったそうだけど、白寿の記念にモンブランを滑った人のグループって言えばお分かりになるかな。本当に人間とは思えない人たちの集まり。


彼女に昨日の「卒業」の骨子の話をしたけど、ただ一言「会社辞めたばかりだから、そういう風に感じるのよ。しばらくすればまた変わるわよ。」

この歳でグループの一番の若造。とにかく80近くになってもやれスキーやなんだってアフリカや南米など世界中を飛び回っている集団。

このグループではないけど、この猛女と同じ歳の、女優さんのことも書いたことがありますよね。毎年座頭として自分の舞台を作り、日本中を駆け巡っている人。
ほんと、世の中には恐ろしい人たちがいる。
いや気持ちのどこかでは、あの人たちは人じゃないんだろうって思ってるけど。

ただの人間の私には、とても就いていく自信はない。行けば命はないかも。