夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

運命の相手

2005年12月20日 16時17分47秒 | 私も作ってみました
岬に珍しく雪が降った。
ブランディのグラスを持ちがなら
私はテレビのスイッチを入れる
ニュースも関係がない
ドラマも空々しい

じゃ音楽にするか
CDの棚に向かうが
ラフマニノフは一人で聞くにはわびし過ぎる
ショパンは甘すぎる
バッハはご大層過ぎる
サティ? BGMはいらない

椅子に戻り、じっと外を見る
黒々とした木々の間を通して見える
月明かりに白く浮かび上がった下の田畑
私の心には白い雪よりも
その上を吹きすさぶ風が吹いていた

手はかじかみ
足は凍り
心は凍てついた針金のようにぼろぼろになっている

もう一人の私がささやく
みろ、お前は一人では生きていけない
お前を何時も見守る人が必要なんだ
お前を何時も抱きしめてくれる人
暖かい、愛に溢れた目でお前を見つめてくれる人
お前が何かを望むときに、喜んで献身してくれる人
お前の心が傷ついたときに、お前のために泣いてくれる人
お前が傷つけられるようなときに、お前を守ってくれる人

お前が心の緊張を解いて
生まれたままの心ですがり、甘え、心の安らぎを得られる人

そして お前を心から信頼し
お前に全てを投げ出し
お前に甘えかかる人

お前にはそれが必要なのだ
それがいないお前の家は
どんなに明かりを灯しても
どんなに暖房を入れても
ただの冷たい箱でしかない

それがいないお前は 何もできない
ただの木偶の坊。

だから、、、、


そう、だからあの出会いは運命だったのだ
ふと目線が会ったときに、私の心は震えた
相手もじっと私を見つめ返してきた
ちょうど、私の心の奥底を見るように
心に響いてくる相手の問い
貴方は私の運命?
私は貴方の運命?

優しさに溢れ、理性を感じさせる目
しなやかな身体
手を伸ばしその上に頭を乗せてじっと私を見つめている

お前は私の運命
私はお前の運命
私は心でそう答えた

お前の目は優しく瞬いてそれを肯定した

私は思わず手を差し伸べようとした


強い力が私の肩を掴み 引き戻した
お客さん、危険ですよ
黒豹は猛獣ですからね -----