夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

お暑うございます。 夏の詩 三題 高啓 蘇舜欽

2006年08月06日 17時01分30秒 |  漢詩を長崎弁で
急に暑くなりましたね。
今まで洗濯してもなんとなく、乾かないような感じで、2日も3日も物干しにかけっぱなしでしたけど、ここのところ、朝洗濯したものが昼過ぎには乾いている。
模範主夫としては嬉しい限り。

でもさ、暑すぎる。
頭の神経や血液の管が解けて流れてしまったような感じ。
もうろうとして、体を動かすのも大変。


知人が夏の漢詩をわざわざ探して送ってくれました。

>>
画欄斜度水螢光   画欄は斜めにわたり 水螢の光
荷葉荷花各有香   荷葉荷花 各々に香有り
団扇不揺風露下   団扇揺らさず 風露の下
秋応先借一宵涼   秋は応に先づ 一宵の涼を借す

明の高啓と言う方の作です
夏の時期の漢詩をと思ってうろうろして、見つけました。
>>
池上納涼 高啓

欄干の先を蛍が横切る
蓮の葉や花の香りが広がってくると
風露下、うちわを動かすこともないのは、
秋が一夜の涼しさを、いち早く貸してくれたからやろね~

意外に夏の詩は中国の詩には少ないのかな、あまり見ませんね。
それに対して、私もやっと探し出してお返しをしたのだけど、

岬は緑に埋もれた本当に別世界です。
夏も涼しく、
庭の百日紅が花をつけないのは残念ですが、
鶯は一日声を枯らして鳴いています。

別院深深夏簟清
石榴開遍透簾明
樹陰満地日當午
夢覺流鶯時一聲

  離れの座敷
  ござはひんやりとすがすがしく
  石榴の花は咲きそい、簾こしに明るい
  木陰の中、日は真上
  昼寝から覚めれば、鶯の声
        蘇舜欽


離れの座敷に座る
ござはひんやりと凉かと
石榴の花が咲いて簾こしに明るか
木陰のなか、お日さんは上にある
昼寝から覚めたら、鶯の声がしちょった


そういえば、王令という人はうだる暑さを詩にしている

暑旱苦熱
     王令
清風無力屠得熱
落日着翅飛上山
人固己惧江海竭
天豈不惜河漢干
崑崙之高有積雪
蓬莱之遠常遺寒
不能手提天下往
何忍身去游其間

風もなく、死ぬほどの暑さ
太陽は羽をつけて山の上からがんがんと照らしている
皆んな海の水が涸れてしまうんじゃないかと恐れている
天も天の川が干上がるのではと心配しているんじゃないだろうか
高い崑崙の山なら雪があるだろう
遠く蓬莱まで行けば寒さが残っているだろう
でもこの世の人たち全部を連れて行くわけには行かない
だから、自分だけがそこで避暑に行くわけにはいかない


風のなくて、死ぬほど暑かっちゃ
太陽は山の上からがんがんてらしちょる
みんな海の水が枯れてしまうとじゃなかろうかって恐れちょる
天も天の川が干上がるんじゃなかろかって心配しちょるかな~
崑崙山の頂なら雪があるじゃろか
蓬莱まで行けば寒さが残っちょるじゃろね
でも世の中の人を全部連れてそこには行けんじゃろ
じゃから、自分だけそこに避暑にはいけんもんね

うん、だから私も、一人だけ涼しい思いをしたくないので、舌を出しながら、はっ、はっって息をして、この暑さの中に留まっている。