夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

山百合

2009年07月14日 17時20分49秒 |  岬な日々


いすみ市の山がちな海岸は上総一ノ宮で終わる。
その北側には、海とそれを縁取る防風林、そしてその後背に九十九里の平野が広がっている。
その九十九里平野の真ん中に山武市があるが、ここは伊藤左千夫の生まれた場所。

その伊藤左千夫の「姪子」にこんな記述がある。

お町はにこにこしながら、伯父さん腹がすいたでしょうが、少し待って下さい、一寸思いついた御馳走をするからって、何か手早に竈に火を入れる、おれの近くへ石臼を持出し話しながら、白粉を挽き始める、

白粉は三升許りも挽けた、利助もいつの間にか帰ってる、お町は白粉を利助に渡して自分は手軽に酒の用意をした、見ると大きな巾着茄子を二つ三つ丸ごと焼いて、うまく皮を剥いたのへ、花鰹を振って醤油をかけたのさ、それが又なかなかうまいのだ、

すとんすとん音がすると思っている内に、おじさん百合餅ですが一つ上ってみて下さいと云うて持って来た。

山百合は花のある時が一番味がえいのだそうだ、利助は、次手(ついで)があるからって、百合餅の重箱と鎌とを持っておれを広福寺の裏まで送ってくれた。

おれは今六十五になるが、鯛平目の料理で御馳走になった事もあるけれど、松尾の百合餅程にうまいと思った事はない。




いすみでも、山武でも、この外房の町々では、今までさまざまな折に、土地の人々の暖かさに触れることが多かった。
土地の人は、漁師で、がさつで、人が聞いたらけんかをしているかと思われるほどに乱暴な言葉遣いで、人見知りするし、、、って自らを卑下するけど、こちらさえ心を開く用意があれば、けっしてそんなことはない。

田舎だから、雑草だからって先入観を棄てて、子供の目で周りを見れば。
いすみでも、今、山百合が咲いて、あの素晴らしい香りが漂っている。


梅雨明け

2009年07月14日 14時13分01秒 | 日記


気象庁から関東地方の梅雨明けが先ほど宣言されました。
夏、本番。暑いのも当たり前ですね。

今年の梅雨は例年より二日遅く梅雨になり、六日早く梅雨が明けました。
でも、雨量は例年より一割り増しだったそうです。
関東ではそんなに大雨が降ったって記憶がないのですけどね~


でも、暑い。
こんなときに散歩をしても熱中症でバタリでしょうね。
昨日から、専業主夫として洗濯にせいをだしておりますけど、いや暑い。

都会はコンクリートとアスファルトだらけですから、それがじりじりと熱されて、夜もなかなか冷えてくれない。
こんなときには岬の木々の間を流れてくる風が恋しくなります。