今年の桜は異常気象に惑わされ、咲くことを逡巡してきたようであるが、それだけに一気に咲いて一気に散った感がある。しかし何はともあれ、この季節は新年度の始まりであり、新入社員を迎える時節である。
わが社も人並みに2名の社員を迎えた。新入社員といっても、一人は、第二の人生をわが社に求めた奇特な人N氏であり、もう一人は子会社から出向してきたU君である。いずれも旧友が来た感がある。
昨夜、この二人の歓迎会をやった。実によい会であった。全員が二人に歓迎の言葉を述べ、二人はそれに答えた。
N氏は、俳句を趣味とすることから、会が始まるときに、季題「さくら」で俳句を作るよう全員に求め、答辞の中でそれを披露した。何人が句を詠んだか知らないが、私も生真面目に一句を投じた。しれは
友来たり 夢咲きにおう桜かな 和弘
という句であった。しかし選者のN氏は、「・・・美しく小ぎれいにまとまってはいるが、特に心を打つものはない」とあっさり選外とした。
私は、一番痛いところを突かれた気がした。このような新入社員は最早新人でないことはもちろんであるが、何とも頼もしく思えて心の安らぐ思いをしたのであった。