㈱太鼓センターのレセプションで、乾杯の酒に日本酒(しかも本来の日本酒「純米酒」!)が使われた喜びを書いた。日本で行われる会合で、その初めの乾杯で日本酒が使われるのは、至極当然と思われるが、それは極めて珍しいことで、その機会を得たことは特筆すべき喜びである、というところに異常さがあると思われる。
日本で行われる殆どの会合の乾杯酒はビールかウィスキーの水割りである。どこの国も乾杯酒によその国の酒を使うのだろうか? 随分前のことであるが、日中国交回復を進めるために訪中した当時の田中角栄首相が、北京の大会場で周恩来首相と腕を絡ませて「カンペイ!」とやった酒は茅台酒と聞いた。当然のことながら使われた酒は、中国の誇り高き名酒であった。
フランス人など、フランスでやる会合にワイン(ないしはブランデー)以外の酒を使うことなど想像もできない。昔は日本でも、各村々で行われる集まりでは(お祭りであろうが、結婚式であろうが何々の会であろうが)、一升瓶を真ん中に据えて日本酒で乾杯していた。
いつの日から日本人は国酒を使う習慣を捨てたのだろうか? そして、再び日本酒で乾杯する誇りを取り戻すのはいつの日のことであろうか?