東京証券取引所の大発会、つまり年の初めの最初の取引日で、株価は616円も下げた。途中経過ではピーク時に765円も下げている。とにかく戦後の大発会では最大の下げだそうだ。
株の世界というのは、そもそも「虚の世界」だ。株価というのは実態の価値から常に離れたところで決まり、その動きの差額が益となったり損となったりする社会であろう。だから絶えず操作もされる。その動きの中に携わっている者たちの喜怒哀楽がゆれ動いているのだろう。
気になるのは、その虚の幅がだんだんと大きくなってきているのではないか? ということだ。もちろんそれが大きくならなければ参加者たちは面白くないのかもしれない。実態価値から離れて、どんどん高くなって大喜びしていたら、それはバブル(虚の典型)であったというのが20年前の出来事であった。
それからしばらくおとなしくしていたが、ここに来て上下幅がまた大きくなり出したのではないか? 恐ろしいのは、それに麻痺していくことであろう。「戦後最大の下げ幅」といっても、それほど大ニュースになっていない。前日のニュースを伝える今日の朝刊でも、毎日新聞では8面の株価欄での採り上げだ。(一面にニューヨーク市場の暴落が報じられているが)
この程度のことは、戦後最大でも大したことはないのかもしれない。もっともっと「虚の拡大」がなければ、最早刺激はないのであろう。
こうして世界の矛盾は深更しているのであろうが、金持ちがゲームの上で損をするのはいいが、一般庶民が巻き込まれるのは気にかかる。
まあこれも、株も持てない者のひがみかもしれないが・・・。