何度か書いたが、トルコ旅行を共にするK氏は80歳で、「長期間旅行はこれが最後かも・・・」と言っている。そしてその度に「最後に行く先として最高の地はトルコだ。それは、そこが東西文明の結節点として豊富な歴史に彩られているからだ」と熱っぽく話す。
トルコはまさに東西文明の通り道であった。どちらの勢力が相手を攻めるにも常にトルコを通って行き交ったと言えよう。西からはギリシャ、ローマ(含む十字軍)、東からはイスラム、モンゴル・・・そしてついにその地(アナトリア)の民たるオスマントルコが強大な帝国を築き、それに先立つ重厚な文化を受け継ぎ自分のものに塗り替えたと言えるのであろう。
東西文明の交流といえば、まずシルクロードを想起するが、この道は地中海と中国とを結ぶ道であった。シルクロードの東の起点は洛陽であるが(長安と言う説もある)、西の起点がトルコのアンタクヤ(当時はシリアのアンティオキア)であったことは今度初めて知った。
トルコ最南端の町でシリア国境に位置するアンタクヤ市は、もともとシリアに属しアンティオキアと呼ばれていたというが、オスマントルコに併合されて、以降曲折はあったが現在はトルコの一都市。
シルクロードの終点はイスタンブールと書かれているものもあり(実態的にはそうだったのかもしれない)、いずれにせよ、トルコはまさに東西の結び目であったのだ。
初めて知ったと言えばもう一つ、メソポタミア文明を育てた二つの川――チグリス、ユーフラテスは、いずれもトルコの山中を水源としている。つまり、トルコから流れ落ちている川なのだ。何となく川下ばかり見ていたが、世界文明発祥の源流は、これまたトルコではないのか?
出発直前になって、いろいろと興味は尽きない。