第二次大戦の終戦から65年が過ぎようとしている。思えば10歳の夏であった。齢は間違いなく重ねられ私は75歳になっている。
昨日の原爆記念日、広島では恒例の式典がもたれた。今年は例年に比して「核廃絶に向けた」新たな動きがあったように思える。
まず参加国が74カ国と従来に比し倍増したこと、その中に初参加のアメリカ、イギリス、フランスという核大国が含まれていたこと、特にアメリカのルース日本大使の初参加はそれなりの意味を持ったであろうこと、加えて藩基文国連事務総長が、事務総長として初めて参加したことも意味があるのであろう。既に、ロシア、中国、インドなども参加しているので、今回で核大国は全て参加したことになる。
核廃絶に向けた具体的な提言も幾つかあった。秋葉広島市長の「核の傘を離脱しよう」という提言は、依然として核抑止力に頼る菅首相にそのまま受け入れられていないが、今後の「国のあり方」を問い続けるであろうし、藩事務総長の「2020年までに核兵器を廃絶しよう」という提言は、昨年5月のオバマ大統領のプラハ演説に呼応するものとすれば、極めて大きい意味を持つだろう。
私は昨年5月2日付で、「現実に呼び戻した核廃絶の道・・・オバマ大統領のプラハ演説」と題してこのブログを書いたが、一年を経て、少しずつではあるが、核廃絶が「現実の道」を歩き始めているのではないかと思っている。
一方、今朝の日本テレビ番組「ウェーク」に作家の浅田次郎氏が出演して、これらの動きの背景には「原爆投下を歴史の世界に封じ込めようとするるものがあるのではないか」、「事実の風化がこわい」と懸念を表していた。65年という年月は、過去を歴史の世界に封じ込める境界線かもしれない。
今日は立秋・・・、暦の上では既に秋である。しかし異常な猛暑は続いており、しばらくおさまる気配はないようだ。
核廃絶の道を秋の冷気で冷やすことがあってはなるまい。まだ熱気の残る今こそ、世界はその道を求め固めていくべきであろう。