このところ腰痛に悩まされ横になりっぱなしであったが、昨夜、「腰ならし」のために浜離宮朝日ホールまで出かけた。笛田博昭のテノールを聞くためだ。
1時間30分の演奏時間は「腰ならし」にはちょうどよく、特に腰を悪化させるようなことはなかった。それどころか、その素晴らしい歌唱力は、腰の痛みなど吹っ飛ばしてくれた。
従来のテノール歌手のイメージを全く変えるものだった。テノールと言えば、やさしい高温で、柔らかいイメージが浮かぶ。ところがこの歌手の声は、鋼の強靭さを思わせ、体も大きく豊かな声量の響きは日本人離れしていた。
娘に言わせると「日本オペラ界の宝」ということだが、まだ30歳半ばのようで、確かに将来日本を背負う歌手に育つ予感に満ちていた。
3曲歌ってくれたアンコールの最後、トロヴァトーレの「見よ、おそろしい炎を」で、ハイ・ツェーを披露する迫力、これにはみんなスタンディングオーベーションで「ブラボー」を叫んだ。
彼のこれからに期待する。