旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

北国の魅力

2009-02-06 10:48:24 | 

 一昨年までは毎月秋田の八郎潟に出張していたが、最近はそれもなく、秋田の風情も忘れがちである。ところがそのような時になって「秋田歳時記」なるものを書くことになった。12ヶ月の秋田を書くには、その月ごとの特徴をつかまなければならない。「一月・・・雪」、「2月・・・酒」、ときたが3月のテーマが浮かばない。
 なんとなく、雪や氷がとけて暖かい陽光を浴びて動き出す様を想起し、「水ぬるむ」というテーマにした。それにしても秋田の実態を把握しておく必要があるので、いつもお世話になっている物知りのM.H夫人に、「八郎湖の氷はいつ頃とけて、白魚やわかさぎの漁はいつ頃から始まるのか」を尋ねた。
 ところがなんと・・・、
「今年は八郎湖に氷は張っていない。昔は1メートルの氷が張り、それはそれは寒かったが、昨年はようやく30センチの氷ですぐとけてしまったので、わかさぎ釣りの人が割れ目に落ちたりして大変だった。今年はついに氷は張らなかった。地球温暖化のせいだ。なお、3月のわかさぎは産卵期で、31日から414日まで禁猟だ」
という返事であった。
 これには驚いた。わかさぎ漁については私の勘違いであったが、問題は氷だ。ついに雪国も、氷も張らない状況になったのだ。「氷がとけて水ぬるむ・・・」どころではなく、水はぬるみっぱなしなのかもしれない。北国の雪どけから春への動きは、都会人には味わえない劇的な変化があると思ってきたが、ついにそのような事象はなくなったのかもしれない。八郎湖が全面凍り、その氷が音を立ててとけ去って春を迎えるところに「北国の季節の劇的変動」を見てきたのであるが・・・。

  雪と氷の無い雪国に魅力はないだろう。南国にじりじり照りつける太陽がないようなものだ。極寒の中にこそあるものを求めて北国をさまようのであり、灼熱にひかれて南海に行くのだ

  歳時記の表題は変えなければならないか? 
  いや、歳時記などというものは、今や意味を失ったのかもしれない。
(まあ、氷に関係なく春は水がぬるむので、今回はこれで書くが・・・)
                             


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