[ローマの休日」というハリウッドの名作がある。1953年の作であるから約70年前の映画である。しかし、たびたびテレビで放映され、つい先日もこれを観た。日本で公開されたのが1954年、私が大学一年生の時だった。その後、テレビを含め何度観たか数えきれない。
そして何度見ても飽きることなく、常に新鮮さを感じる。名画と言われるゆえんであろう。ところでこの映画は、何を伝えようとしているのだろうか? ヨーロッパの一王国である某国の王女アン王女の、一昼夜に及ぶ逃避行、アメリカの新聞記者ジョー・ブラッドレーとローマの町を駆け巡る、そして激しい恋に堕ちていく、娯楽映画、恋愛映画と言えばそれまでだが、この映画の中で私が一番好きなシーンは別にある。
一昼夜に及ぶ逃避行から宿舎に帰ったアン王女に、侍従や大使が「この間どこに行かれていたのですか? 王女としての自覚に欠けるようでは困ります」と詰めよる。それに対し王女は応える。
「私は、王女としての自覚を持っていたからこそここに帰った。もし自覚がなければ、私は帰ってこなかった。しかも永久に、ずーっと……」
そしてこのシーンは、ブラッドレーの居室で、激しい恋心に惹かれながらも、
「わたし、もう、行かなければ…」
と、彼の腕を逃れて決然と去るシーンと呼応する。
アン王女は、王室という鳥かごからたった一昼夜離れて、様々な庶民生活を経験した中で一段と成長したのだ。自己を確立し、王女としての自覚を高めたのだ。
しかしこれがテーマとなれば、「ローマにお休日」という題名は軽すぎることになるが…?
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晩年のヘップバーンの国連ユニセフなどでの、難民、子ども支援活動に、感銘しました。