旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

映画「ローマの休日」はなにを描いたのか?

2022-05-18 15:12:47 | 文化(音楽、絵画、映画)



  [ローマの休日」というハリウッドの名作がある。1953年の作であるから約70年前の映画である。しかし、たびたびテレビで放映され、つい先日もこれを観た。日本で公開されたのが1954年、私が大学一年生の時だった。その後、テレビを含め何度観たか数えきれない。
 そして何度見ても飽きることなく、常に新鮮さを感じる。名画と言われるゆえんであろう。ところでこの映画は、何を伝えようとしているのだろうか? ヨーロッパの一王国である某国の王女アン王女の、一昼夜に及ぶ逃避行、アメリカの新聞記者ジョー・ブラッドレーとローマの町を駆け巡る、そして激しい恋に堕ちていく、娯楽映画、恋愛映画と言えばそれまでだが、この映画の中で私が一番好きなシーンは別にある。
 一昼夜に及ぶ逃避行から宿舎に帰ったアン王女に、侍従や大使が「この間どこに行かれていたのですか? 王女としての自覚に欠けるようでは困ります」と詰めよる。それに対し王女は応える。
 「私は、王女としての自覚を持っていたからこそここに帰った。もし自覚がなければ、私は帰ってこなかった。しかも永久に、ずーっと……」
 そしてこのシーンは、ブラッドレーの居室で、激しい恋心に惹かれながらも、
 「わたし、もう、行かなければ…」
と、彼の腕を逃れて決然と去るシーンと呼応する。
 アン王女は、王室という鳥かごからたった一昼夜離れて、様々な庶民生活を経験した中で一段と成長したのだ。自己を確立し、王女としての自覚を高めたのだ。
 しかしこれがテーマとなれば、「ローマにお休日」という題名は軽すぎることになるが…?


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2 コメント

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Unknown (Hiro)
2022-05-22 08:04:55
「ローマの休日」映画は、1950年代封切りでしたか。私も、中高校時代に、見たことを思い出します。ヘップバーンのあの美しさばかりが印象的でした。グレゴリー·ペックの魅力的なのにもしびれました(笑)
 晩年のヘップバーンの国連ユニセフなどでの、難民、子ども支援活動に、感銘しました。
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神の恵み…? (tabinoplasma)
2022-05-30 11:42:41
オードリー・ヘップバーンなんて不思議な存在ですね。50年を経てなお、新鮮さと美しさを世に伝え、併せて国際親善などに功績を残す。神は、時々、偉大な贈り物を、そっと、人類に与えてくれているのかもしれませんね
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