旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

天候不順による夏ミカンの不作

2012-06-10 13:45:58 | 時局雑感

 

 ふるさと臼杵の記事が続く。
 臼杵に帰って必ず訪れる場所がある。それは弟が栽培している佐志生という集落のミカン山である。佐志生は臼杵湾の北側の半島に位置する半農半漁の集落で、南面の山々でミカンや果物を育て、前に広がる臼杵湾から豊後灘にかけて漁業を行う。1600年に日本に最初に漂着したオランダ船「デ・リーフデ号」の漂着地としても知られている。
 弟はその山の一角でミカンを栽培している。もぎたての新鮮な味を味わうことと、そこから見下ろす臼杵湾の美しさにふるさとを感じる歓びを得るため、毎回そこを訪ねるのである。ところが今年の夏ミカンは不作であった。2月の異常な寒さを主因に、中身が充実しないままに時節を迎え、一時は大量に実が落ちて、あたり一面黄色いじゅうたんのようになったという。それでも生き残った実がまだたくさん下がっていたが、どれも中身が充実していない。食べると結構酸味もあって味のおいしさは感じるが、中身が充実していないので食べた満足感がない。
 実は東京を発つときワイフに、「今年は未だ送ってこないが、今度必ず買って来てくれ」と頼まれていたのだ。それを告げると弟は、「これではとても商品にならない。どこにも送っていない。まあしかし皮がママレードにはなるので姉貴には送るか…」と言いながら採ってくれた。外見も大きさも従来のものとなんら変わらない。もちろん、それを育てる弟夫妻の労力も従来と変わらなかった。いやむしろ異常な散り方やそれを片付ける神経と労力は従来以上であったろう。しかし異常気象は、その成果をすべて未熟児にしてしまったのである。

 送られたミカンンの皮でたくさんのママレードを作った。これは大変においしくできて、そのお礼をメールすると、弟から「来年こそは頑張っていいミカンを作ります」と返事が来た。弟は長く教員をやり退職後この仕事に取り組んでいるが、今や、一度や二度の自然災害などには負けない「百姓の境地」に立っているのだと思った。

 
 未熟児ミカンであろうが一個ずつ丁寧に採って、
 奥さんがそれを受け、
      
    小型トロッコで運び上げて
     
     箱に詰めて持ち帰る作業が続く


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2 コメント

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こんばんは (モカ)
2012-06-10 23:28:04
自然を相手に勝負するお仕事は本当に大変です。
来年は最高のミカンが収穫出来るといいですね!
大分には色々な美味しい柑橘系がありますね。
きっと弟さんの作ったミカンも味、香り最高の物なんでしょうね。

水曜日に久住へ行く予定にしています・・
やっぱり雨っぽいです~(涙)
その時は予定変更しようかと思案中です。

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モカさんへ (tabinoplasma)
2012-06-11 12:48:27
いつもコメントありがとうございます。
いよいよ久住ですか。しかも雨の久住ですか…。

雨の旅もいいものですからね。何とも言えません。
「くじゅう」の第一感としては、雨ならば北側の「九重・飯田高原」、晴ならば南側の「久住・久住高原」という感じですねえ。九重は落ち着きのある高原ですし、久住は何と言っても阿蘇に続く果てしない展望ですからねえ。
結論は、いろんな時節にいろんな天候を味わうことでしょう。春に秋の紅葉を想い、雨の中で快晴の景観に思いを巡らすことを好む、という人もいます。
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