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私のような凡人の頭では全く予想もしていなかったが、オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した。言われてみればオバマ氏に勝る受賞者はいない。
4月のプラハ演説(核廃絶の呼びかけ)は全世界を感動させ、私も興奮してこのブログに「核廃絶を現実の課題に引き戻した」と書いたことを思い出す。
ノーベル賞がアルフレッド・ノーベルの遺書に基づき創設されたことは知っていたが、平和賞についての具体的遺言文言は今回初めて知った。毎日新聞の一面『余禄』によれば、遺書には
「国家間の友好、軍隊の廃止または削減、および平和会議の開催や推進のために最大もしくは最善の仕事をした人物に与える」
と書かれていたという。まさに今年のオバマ大統領の動きそのものだ。ノーベルは、自分の発明したダイナマイトが戦争――人殺しに使われたことを反省しノーベル賞の設置を遺言したというが、平和賞という難しい賞にも、21世紀の現実を見据えていたような的確な指示をしていたのだ。
もちろんオバマ氏は未だ問題提起をしたばかりであり、「受賞は早すぎる」と言う声を含めて今後を危惧する意見も多い。オバマ氏はそれらについて十分に理解しており、受賞について「これは私の業績を認めたものではなく、その目標が認められたのだ。21世紀の課題に立ち向かうよう行動する呼びかけとして賞を受賞する」と語っている。(毎日新聞1面)
これがまた凄い。課題はこれから、ということを十分に承知した上で、その課題に立ち向かうために受賞する、と責務を自己に課したのである。
私は核廃絶などという課題が簡単に実現するとは思っていない。今世紀をかけた課題だと思っている。ただ、大国アメリカがその方向に踏み出すことが何よりも重要なことで、歴代大統領に出来なかったことなのだ。
それに踏み出し、自らの責務と位置づけただけで、ノーベル平和賞に十分に値するのではないか。
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