飯塚耕一郎さんと金賢姫元死刑囚の面会に、想像を超えた人間的なふれあいを見てホッとした。当然のことではあるが・・・。
それにしても金賢姫という女性はどんな人なのだろう? 全く平凡な一女性であったのかもしれないが、不幸にも国の工作員として教育され、国際的テロ行為の実行犯になったのかもしれない。とらえられて死刑を宣告され、素直に反省して元の一女性に返ったのだろうか?
会見を見る限り、北朝鮮という極めて特異な国の国民とは思えない、全く普通の、女らしい感情を持った女性に見えた。
彼女は耕一郎さんを、「大きくなったね」、「お母さんに似ている」と、そのお母さん(拉致被害者田口八重子さん)に習った日本語で話しかけ抱擁した。しかも「抱いていいですか」と礼儀正しく断わりながら・・・。彼女は、テロ実行犯、元死刑囚と思えない心豊かな女性としてそこにあった。とはいえ彼女が北朝鮮人であることもまぎれも無い事実である。
私はその会見の状況を見ながら、「必ず北朝鮮と人間的な話合いが出来る日が来るだろう」と思った。テロ実行犯も、ほんの一皮剥いて本来の人間に返れば、全く普通の人間に立ち返るのであろう。北朝鮮と言う国も、いつか「ほんの一皮剥ければ」普通の国になるだろう。
しかも日本人とは様々な点で共通点を持つ。金さんは、飯塚繁雄さん(田口さんの兄)に挨拶されて、「私が先に挨拶しなければ悪かった」と言いながら握手を求めた。そこには謙譲を美とする儒教の匂いが漂っていた。日本人と同じ哲学を持っているのだ。
拉致問題の全面的解決は、二国の関係が完全に打ち立てられたときであろう。その可能性を深く信じさせてくれた会見であった。
協力が得られない限り難しいなという感じを持ってい
ます。中西輝政『覇権の終焉』PHP 2008.12を雑読していると、北朝鮮の今回の人口衛星打ち上げのためのミサイル発射ということに関しても、本当に中止させることができるとすれば中国だろうと思う
のですが、それを利用した中国の二面政策が背後にあ
るというような言い方をしています。中西氏の中国への偏見なのかとも思いながら考えているところ。