ミャゴラトーリ・オペラコンサート(7月10日)に、今回2人のメンバーが加わった。ソプラノの沼生沙織さんと、テノールの与儀巧君だ。
沼生さんは、東京音大声楽科オペラコース卒、同大学院オペラ研究領域修士課程終了後、イタリア留学などを経て、第1回ベルカント・ソプラノ・コンコルソ第1位、第17回日本声楽コンクール入選などの実力派。昨年の新宿区民オペラ『オテロ』にデズデモーナ役で出演、同時に出演していた娘が、その素晴らしいソプラノに感嘆してミャゴラトーリへの参加を依頼、ようやく口説き落として今回の出演となったらしい。
昨年の『オテロ』でも、クライマックスの「柳の歌」を見事に演じていたし、今回は『カルメン』のミカエラのアリア「何をおそれることがありましょう」を歌うというので期待している。
テノールの与儀巧君は、国立音楽大学声楽科、同大学院声楽科を終了後、第6回東京音楽コンクール声楽部門第1位及び聴衆賞はじめ各種コンクールに入選、二期会会員として各種オペラに出演する人気者。これまた娘が『メサイア』で一緒に歌う機会を得て、その素敵なテノールに惚れ込み勧誘を続けて今回の出演となった。
歌の世界に「テノール馬鹿」という言葉がある。美しい高音が自由に出る人がこう呼ばれる。馬鹿という文字がつくので軽蔑の言葉かというとそうではなくて、むしろ尊敬、羨望の意を込めた言葉である。自分には到底不可能な、また他に例を見ない高く美しい声に対する“やるかたなき羨望”の情がこもった言葉である。
娘が話してくれた「与儀君のテノール馬鹿ぶり」を一つ。重唱の練習中、テノールは歌わない箇所で何だか高い声が響く・・・よく聴くと与儀君が他人のパートを歌っている。あわてて注意するそうだが、「自分のパートを歌い忘れて注意されることはよくあるが、他人のパートを歌って注意される人は始めて・・・、テノール馬鹿の典型だ!」と言っていた。
今回は『リゴレット』の「女心の歌」を歌うのでテノール馬鹿ぶりが楽しみだ。
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