【産経抄】
中国語の「歴史」というのは、ヒストリーの日本語訳から借用したという話は含蓄がある。漢語にある「史」が、本来の意味は役人がつける帳簿だときては、ハハーンと納得できる(岡田英弘『世界史の誕生』)。中国の正史はすべてが官製なのだ。
▼中国政府の上に共産党があり、ここは対外宣伝工作の司令塔になる。いまや社会主義市場経済という金満大国だから、カネの使い方も尋常ではない。欧米の大学に中国講座をつくり、奨学金も潤沢につぎ込む。ワシントンで開催の中国フェスティバルには、主賓のパウエル元国務長官に30万ドルの講演料を出したそうだ。
▼ついには、資料誤用に満ちた『レイプ・オブ・南京』の著者アイリス・チャン氏の胸像を名門スタンフォード大学にまで納入してしまった。チャン本がいかに誇張と歪(ゆが)みに満ちているかを批判したのは、この大学の歴史学部長デービッド・ケネディ教授だったはずだ。
▼胸像の送り主は、共産党の対外宣伝部門と連携する中国人権発展基金会である。情けないのは、この胸像が学内のフーバー研究所の閲覧室に展示されたこと。研究所の名を冠した保守派の雄、フーバー元大統領も草葉の陰で泣いていよう。
▼基金会の幹部は、これまでの対日歴史批判が「欧米など第三国への宣伝を重視しなかった」との反省があるという。どうしたわけか大手ネット企業の副会長までが、チャン本を教科書に映画「南京」を制作した。観客は白人に狙いを絞っているという。
▼日本人は相手が誰でも生前の悪行を水に流し、八百万(やおよろず)の神に加えてきた。東シナ海の向こうは違う。反日がいまの政治に都合よい限りは歪めてでも使う。真の「歴史」を鑑(かがみ)として、誤りはその都度たださねばならない。
(2007/02/22 05:16)
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古来シナでは王朝が変わるたびに「官製歴史」が記録され、それを「正史」と呼んだ。
それは滅び去った前王朝の不当性をなじる罵詈雑言であると同時に、如何に現王朝が正当な政権を戦い取ったかと言う自画自賛の記録である。
それ以外に研究編纂された歴史は「野史」と呼ばれ「正しくない歴史」と卑しまれた。
現代のシナ王朝の「正史」は中国共産党編纂の国定教科書に要約されている。
勿論日本の研究者によって編纂された日本の教科書はその内容の如何を問わず全て「正しくない歴史」なのである。
では現王朝が戦い、政権を奪取し滅ぼした前王朝はどこなのか。
彼らの「正史」から言うと建国の父と言うべき孫文が作った中華民国が前王朝の筈である。
それを日本にすりかえて罵詈雑言しているのが彼らの歴史認識なのである。
日本は彼らに負けたのではなく米国に負けたのだ。
そこを認識させないと、彼らの「歴史恫喝」は永遠に続く。
恫喝を黙認するとそれは記録され彼等の「正史」となる。