沖縄タイムス 社説(2007年2月19日朝刊)
[F22嘉手納配備] なぜ米国を戒めないか
米軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプター十機が十七、十八の両日にわたって嘉手納基地に暫定配備された。二十日までには一個飛行隊(十二機)がそろい、三沢基地(青森県)の米空軍や沖縄近海の米海軍との訓練を予定しているという。(略)
F22Aは、レーダーに映りにくいほか超音速での機動性に優れ、地上への攻撃能力がある。F15の後継機として開発され、嘉手納基地の現在の主力機であるF15が一九七九年九月に配備されてから約二十七年もたつことから「F15の代替機として常駐するのでは」との不安も広がっている。
暫定配備の中止を求めてきた地元の沖縄、嘉手納、北谷の三市町の首長らは「米軍再編の負担軽減に逆行している」と強く反発。嘉手納基地司令官からF22Aの公開への招待を受けたが辞退している。
F22Aの暫定配備は、北朝鮮や台湾海峡を含む東アジア情勢をにらんだ前方展開の一環とみられている。最新鋭機が配備されるのは、嘉手納基地が戦略、戦術、偵察、輸送、補給、支援などあらゆる航空作戦の機能を完備しているからにほかならない。 (略)
◇
F15戦闘機の後継機としてロッキード・マーティン社が開発した米空軍の高性能戦闘機。(以下略)≫とある。
地元糾弾、怒りあらわ 同型機飛行を再開 F15オーバーラン
【中部】米空軍は21日午後、同日午前に滑走路をオーバーランして停止した同基地所属のF15戦闘機の同型機の飛行を再開させた。(略) 野国昌春北谷町長は、「以前からF15は欠陥機だからと3連協で撤去を求めている」と指摘。「オーバーランの原因も究明されないままの訓練再開は住民感情を逆なでするものだ。許せない」と糾弾した。東門美津子沖縄市長は「市はこれまで、事故の原因究明と再発防止対策を米軍に強く申し入れていたが、またもやこのような事故が発生したことは極めて遺憾だ。市民の不安は一段と強くなっている。早急な事故原因の究明と再発防止への対応を重ねて要求する」とコメントを発表した。
嘉手納飛行場を一望できる嘉手納町屋良の道の駅「かでな」では、同型機が飛行再開した瞬間、トラブル機の処理の様子を見ていた住民らからは怒りの声が上がった。
発生直後から現場を視察していた嘉手納町議の仲本博重さんは「住民をばかにしているのかと目を疑った」と吐き捨てるように述べ、「原因を伝えられていない住民からすると、恐怖がさらに大きくなる」と怒った。
基地周辺住民の不安も増幅。嘉手納町屋良に住む長嶺由盛さん(75)は「万が一、飛行機が落ちた場合を考えるとゾッとする」と話した。(略)
F15戦闘機のオーバーランを受け、県基地対策課は那覇防衛施設局に対し、米軍に再発防止と安全管理の徹底を求めるよう口頭で申し入れた。(琉球新報) http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-19090-storytopic-3.html
(11/22 9:35)
ここでもお馴染みの東門沖縄市長が、
「市はこれまで、事故の原因究明と再発防止対策を米軍に強く申し入れていた・・・」
とコメントしているが、問題の「事故」は雨でスリップしてオーバーランしただけで致命的事故ではない。
だが、北谷町長が危惧するように
「F-15」は以前から欠陥機種として撤去を求めていた」
のなら今回の新機種、F-22の配備に問題ないはずだ。
問題の騒音は「F-22はF-15よりは騒音が少ないと言われており、嘉手納空軍基地での離陸の際はアフターバーナーを使用しないと発表されている事から、F-15に比べると騒音レベルが軽減されるのではないかと見られている。」(ウウイキペディア)
米軍基地の追跡調査している東京都福生市の遠藤洋一市議は自分のサイトでF-15に関して次のように記している。
≪米空軍の戦闘機F15は、嘉手納基地の騒音発生源の過半を占める。横田基地にも時々飛来するが、嘉手納での飛び方はもっと荒っぽい。そして何よりも飛行回数が多い。
アフターバーナーを焚く時の轟音。編隊離陸・着陸では騒音は倍になる。機体の老朽化による緊急着陸も多い。墜落事故の危険性が大きい機体だ。(遠藤洋一・福生市議) ≫http://www.rimpeace.or.jp/jrp/yokota/0504endouokinawa3
.html
してみると事故及び騒音のいずれの点でもF-22の配備に関して反対する理由はないと思うのだが。
もっとも沖縄タイムス社説に言うように
「F22Aの暫定配備は、北朝鮮や台湾海峡を含む東アジア情勢をにらんだ前方展開の一環とみられている。」
に反対するのなら、その前に日米安保反対の態度を明確にすべきだろう。
いずれにせよ、実際に嘉手納基地近辺でF-22の爆音を聞いた「市民」の声はどうだったのか。
沖縄タイムスが必死で反対運動を煽って見ても「プロ市民」のなかにはつい本音を吐いてしまう「市民」もいる。
そして、その本音をつい記事にしてしまった記者にも笑ってしまう。
≪F22が飛来する様子を真下から見た男性は、「意外と静か。でもここで働く人は皆耳が遠くなっているから、そのせいかもしれない」と苦笑する。≫(タイムス記事より)
失礼!この方は「プロ市民」ではなく、黙認耕作地で働く一般の市民だったようだ。(笑)
沖縄タイムス 2007年2月17日(土) 夕刊 5面
「ついに来てしまった」/強行に住民ら怒り
【嘉手納】“最新鋭”を誇る米空軍のステルス戦闘機F22Aラプター二機が十七日正午すぎ、地元の反対を押し切って嘉手納基地に着陸した。地域住民は「負担軽減に逆行している」と一斉に反発。長年、同基地の騒音に悩まされてきた新嘉手納爆音訴訟団は「道の駅かでな」に街宣カーを繰り出し、「住民の我慢は限界にきている」と怒りの声を上げた。
「とうとう来てしまった」。F22の飛来を目撃した、道の駅かでなの売店で働く南純子さん(68)=嘉手納町南区=は「米軍再編は住民の負担軽減を訴えているが、嘉手納は強化が進む一方。なぜ嘉手納にばかり負担を押し付けるのか」と怒りをあらわにした。
同基地に隣接する嘉手納町東区の島袋敏雄自治会長(62)は「最新鋭の戦闘機やその要員が配備されることで、事件・事故の危険性は高まる。日米両政府は地元住民の不安の声をしっかりと受け止めてほしい」と話した。
街宣カーの壇上で抗議の声を上げた新嘉手納爆音訴訟団の仲村清勇団長(69)は「やりたい放題の米軍に、住民の怒りは限界にきている。これ以上の負担は絶対に許せない」と訴えた。
「『基地縮小』、『負担軽減』という言葉の意味が分かっているのか」。嘉手納基地からの騒音に日々、悩まされる北谷町砂辺区の松田正二自治会長は怒りをぶちまけた。「われわれはいつも裏切られてばかり。日米両政府で決めたことは、嘉手納基地の負担軽減だったはず。しかし、現実は誰の目から見ても強化でしかない。不信感でいっぱいだ」と吐き捨てるように言った。
嘉手納基地の北側に位置する沖縄市白川の黙認耕作地では、朝から畑にくわを入れる姿が見られた。F22が飛来する様子を真下から見た男性は、「意外と静か。でもここで働く人は皆耳が遠くなっているから、そのせいかもしれない」と苦笑する。
最新鋭機の配備に「嘉手納基地は強化されるばかりで大変だ。このままではいつまでも返ってこない。反対しなければいけない」と語気を強めた。
一方、離れた所で耕作していた女性は「飛行機が飛ぶのにはもう慣れてしまった。何があるか分からないから、備えはしていた方がいいのではないか」と語った。
★アフターバーナー(ウイキペディア抜粋)
ジェットエンジンの排気にもう一度燃料を吹きつけて燃焼させ、高推力を得る装置。
アフターバーナー無しの状態に比べ、50%程度の推力向上が期待できるが、得られる推力に比べ燃料消費が非常に大きい。例えばF-15はミサイルなどの武装を一切積まずに巡航速度で飛べば数時間は飛行可能だが、アフターバーナーを全開にし続けると15 - 20分で燃料を使い切ってしまう。
アフターバーナーは大量の燃料を消費するため、主に高推力が必要なときのみ使用される。旅客機や爆撃機の場合は離陸時と超音速飛行への遷移時に、戦闘機の場合はそれに加え、戦闘機動時にも用いられる。
また最近ではジェットエンジンや機体そのものの技術の革新に伴い、ロッキード・マーティン社のF-22戦闘機のように、アフターバーナーなしでの超音速飛行を可能にした飛行機も存在する。