ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

人災

2009-12-05 17:14:46 | 時事(海外)
久しぶりに北朝鮮からの大きなニュースである。

11月の末日に突然、デノミ(通貨単位の切り下げ)を行ったそうで、
旧通貨の100ウォンに対し、新通貨1ウォンと取り替えるというもの
である。

この国ではかつてより銀行は全く信用されていなかった。というのも、
銀行はすべて政府の直属の機関であり、将軍様のひと言で、いつ没収
や引き出し不可になるかわからないこともあり、誰もがせっせとタンス
預金をしていたのである。庶民はその中から、身内の結婚費用やお葬式、
そして季節ごとの身支度などを公定価格の数倍もする闇市場で調達し、
なんとか糊口を凌いできたのである。

今回のデノミはそうした庶民の虎の子を吐き出させ、私有財産の管理の
徹底が主な理由である。また、通貨交換をできる上限を設けるなど、
それ以上持つ物に対しては没収の可能性もあるという、全く横暴なもの
だ。

このような政策をどんなにやろうとも、多額の貯蓄を持つ特権階級の
幹部はコネや権力を使いうまく逃げるので、効果のほどは疑問である。
そしてそのしわ寄せは、いつも何のコネもない末端の人民に来るのだ。
今でさえ、多くの人民はとうもろこしご飯で凌いでいるのに、これ以
上搾り上げて一体何がしたいのか?

結果的に今回のデノミ政策は、金正日が人民に対してまたひとつ大きな
恨みを買ったに過ぎない程度のものであろう。

ほんとうにどこまで行っても、北朝鮮の人民は不幸である。

しかし、この国で起きる全ての悲劇は人災なのだ。現体制さえ変われば、
その多くの不幸が回避できるものなのである。

彼の寿命を待つ以外に何か方法はないのだろうか…。


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