ミャンマーチーク屋さんのわが道を行く

日々の出来事と旅と愚痴と文句を勝手に語る日記。

闇の子供たち

2009-12-19 15:55:24 | 
先日「闇の子供たち」梁石日(ヤン・ソギル)著を読んだ。

現実に照らし合わせたフィクションだが、描かれているのは
全くもって酷い世界である。舞台はタイである。まだ初潮も
迎えていない幼女が貧しい村から売られていき、幼女愛好者
らを相手に売春させられるのだ。いや、売春ではなくこれは
もう幼児虐待の世界の話である。

客からエイズを移された幼児は、ゴミ捨て場に生ゴミと一緒に
捨てられるのだ。運良くゴミ捨て場から逃げ出し、自分の育った
村にたどり着いても、その変わり果てた姿に周囲から隔離され、
ただ死を待つだけとなる。警察もマフィアに買収されており、
幼児売買のルート解明、救出は不可能に近い。

読んでいてあまりにも悲惨なので、徐々にめげてくるほどである。
もちろん小説だが、執筆前に念入りな取材が行われたようで、
それゆえ、非常にリアリティーがあるのだ。東南アジアでは現実に
今もって人身売買が行われているのは確かである。

では、憎むべきは一体だれなのか?このような幼児を購入する
外国人なのか、はたまた、絶対的貧困の村から子供を購入する
マフィアなのか、それとも差し出す親か?

アジアの現実は他人事ではないのだ。豊かな国は多くの貧しい国に
よって成り立っているという側面を考えると、日本の豊かさの一端を
担っているのは、こうした貧しい国の中の圧倒的に貧しい人々だとも
言えるのだ。

では一体、どうすれば…。

そんなことを、考えさせる一冊であった。
















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