光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

S660に乗って鉄道模型を思うこと

2016-11-30 05:54:26 | 思いつくままに・考察
「趣味とは手段が目的となる行為である」
 これはあるオーディオ本で故長岡鉄夫氏が書いた言葉です。

 今回はまさにそれを地で行く考察をば。
IMG_0587-photo.jpg
 S660に乗り始めて三ヶ月。
 先日ついに走行距離3000キロの大台に乗せました。

 休日しか乗らないクルマですから当然それなりに一度に長い距離を走りまわる訳ですが、そこである事に気付きました。

 これまで結構な遠出を何度もやっているにも拘らず、S660のドライブで「目的地でやった事があまりに少ない、又は目的地に長時間滞在していない」のです。
例えばある峠道の往還では「目的地の道の駅でカレーパンを一個食べただけ」
東京に行ったときなど「日劇でシン ゴジラを観ただけ」
清水まで行った時などは実質の滞在時間が20分。
もう観光もへったくれもない訳です。

これはいったいどうしたことか。

これがエスクァイアだったら多分それなりに買い物のひとつもやるとか、それなりの見物でもやるのが普通です。
S660の場合、目的地まで行っても「そこで何かしようという気にあまりならないのです」

クルマで遠出をするからには、目的地で何かする事を考えるのは当然の話なのにS660の場合はそうならない。
むしろ目的地に居ても「帰り道はどこをどう走ろうか」てな事ばかり頭に浮かぶのです。
つまり、スポーツカーというクルマの本質が「目的地で何かする事」ではなく「走るために走る」或いは本来労働な筈の「目的地までの過程を楽しむ」事にある事に気付かされるわけです。

正にこれは「目的と手段の逆転」と言えます。

ですからこれまでS660であちこち出掛けていて、このクルマの最大の弱点な筈の「荷物が載らない」事をハンデとして認識しないのです。
これは結構な発見でした。

運転そのものを楽しむために特化したクルマにはそういう側面があるという事なのでしょう。
元々ヒトと荷物を遠くまで運ぶというのが道具としてのクルマの本質ですし、事実そうした事に特化したミニバンやトールワゴンが売れるのは当然です。
ですがそれと何から何まで逆の作られ方をしているS660は道具クルマにない清々しさがあるのも確かです。

さて、ここまではクルマを例えに持ってきた訳ですが、では鉄道模型はどうなのか。
例えば車両の工作を例にとって見ましょう。

キットメイクにしろフルスクラッチにしろ車両を作る目的は基本的に「完成した車両をわがものにする事」にあります。
この時点でこれは趣味の一部と言えますが「目的」である事にも間違いはありません。

 ではそこに至る「工作」という過程は楽しみではないのかというとそんな事はない訳です。
 上手い下手は置いておいても自分の車両を作るというプロセスはそれ自体が結構な楽しみと言えます。

 してみると目的も趣味なら過程も趣味という点で鉄道模型(或いは工作を伴う趣味の全般は)道楽の究極と言えない事もありません。
 これはレイアウトの工作についても同じ事です。

 そう思うと「ただ買うだけ」「ただ集めるだけ」というのは趣味の魅力の半分もない事になります(結構強引な結論ですが)

 水野良太郎氏の著書の中であるドイツ人の知り合いがこんな事を言っていたとあります。
 「単なるコレクターと鉄道模型のファンとは区別すべきだ。全く異質のものだというのが私の考えだ」

 最初、これを読んだ時には少し違和感を感じたものですがS660に乗り始めてみると少しその意味がわかってきた様な気がします。

アゴワレED75の復活

2016-11-29 05:45:07 | 車両・電気機関車

 先日の帰省の折にお土産のひとつとして入線させたもののモーターがいかれ切っていた為に自走不能になっていたKATOのED75初期モデル。

 あのブログを上げた直後にコメントを頂いている方から動作するモーターを提供していただく事ができ、早速組み込みました。

 前にも書いた事がありますが70年代から80年代にかけて入門書はもとよりTMSの様な専門誌ですら「Nゲージの動力は非常に精密なのでユーザーレベルでの分解はしない方が良い」と言った意味の事が散々書かれていて当時学生だった私なんぞは結構脅かされていたものです。
 実際、動力の分解整備や改造をやる様になったのはここ10年位の事ですが、それを可能にさせたのは私の技術力が上がったから・・・なんて事は蚤の鼻くそ程にもなく「Nのジャンク動力が100円単位の値段で手に入る様になった」と言うのが大きいです。

 下手でも(金銭的に)失敗を恐れないで済む程度の手軽な稽古台がコンスタントに入手できるというのはある意味ではモデラー志向のユーザーにとっては大きなメリットと言えると思います。
 特に田舎のユーザーにとっては16番やZゲージではなかなかこうはいきませんから(とか言いながら割合安価だったAKIAの485系とかカツミのEB10、宮沢のC54とかはばらしましたが)

 私の経験上と言う但し書きが付きますが、Nの動力は量産前提のせいか、各部品がユニット単位で組みつけられるようになっているので、モータやギアの一部の交換はいい工具さえあれば案外楽にできます。
 ただ、ゼロから動力を組み立てる場合、微妙な調整が必要な事が多いので私の腕ではばらす前より走りが快調になるというのは少ないですが(汗)

 今回のED75は割合上出来だった部類です。
 モータを換えただけとはいえ、全くの不動品がするすると走り出すのを見るのはまさに趣味の醍醐味ではあります。

鉄道ミステリとNゲージ・19「やけた線路の上の死体」と381系

2016-11-28 05:51:29 | 小説
 久しぶりの「鉄道ミステリとNゲージを語る」ネタ。
 今回の題材は数年前に上げたブログの増補改訂版です。

「これは紀勢本線を走ってる特急『くろしお』ですね。この電車、他の電車と比べて特殊な型の電車やないですか?」
(中略)
「外から見て、まず車高が低いな、と気づきました。中へ入ると確かに天井が低く、四人が向い合せに座るとやけに窮屈なんです。さして足の長くない四人やのにね」
「それに座席の背もたれに取っ手が付いているんですよ。バスやあるまいし、あんなもの特急列車で初めて見ました」
「そしてよく揺れたでしょ?」
「ええ、揺れましたね。車内販売のおばさんもコーヒーをつぐのに苦労してたし、乗り物酔いしたらしい人も見かけました。-で、今この写真を見ていてもう一つ気がついた事があるんです。この列車、屋根にパンタグラフしかついてない」
(光文社版「無人踏切」有栖川有栖「やけた線路の上の死体」219Pより引用)

 鮎川哲也の鉄道アンソロジーは第4弾の「無人踏切」の前後から従来の旧作や話題作家の作品に加えて書き下ろし新作や新人作家のデビューの舞台としての性格も持つようになり、それがシリーズ全体の大きな特色ともなっています。

 ここでデビューした作家で最も有名になったのがTVでは「安楽椅子探偵シリーズ」や先日シリーズ化された「臨床犯罪学者 火村英生の推理」を書いている有栖川有栖と思います。
 今回取り上げるのは「無人踏切」収録の「やけた線路の上の死体」これが実質的な描き下ろし処女作となっています。
 同時にこれも氏の代表作である部員4人(後に5人)の英都大学推理小説研究会の面々が活躍する「月光ゲーム」「双頭の悪魔」「女王国の城」などの傑作をものしたシリーズの第一作でもあります。

 夏休みの合宿旅行で和歌山の南部に出かけた推理小説研究会の面々がそこで遭遇した轢死事件の解明に挑む内容ですが、初読の際は作中でホームズ役となる部長の江神二郎の一種茫洋としたキャラクターが印象的でしたし、主人公を含めた各部員の面々の掛け合いも中々に小気味よくアンソロジーの中でもなかなか楽しめた一篇でした。
 

 この作品では「くろしお」にも使われていた381系電車そのものが大きな役割を占めています。ダイヤグラムアリバイと異なり車両そのものをトリックに使った鉄道ミステリというのはそう多くはありません。
 実はトリック自体は(作中で江神部長本人が語っていますが)鉄道ミステリの定番ともいえるものでその意味では目新しくないのですが車両の特殊性に注目して最大限の効果を上げている点で先行作へのアドバンスになっている一篇と言えます。

 言い換えるならこのトリックは今ならともかくあの当時は「381系でなければ成立しない」作品でもありました(こう書くとネタバレですか?)
 そんな所も私が本作を好きなポイントなのですが。

 さて、Nゲージでの381系はまずTOMIXが80年代の初め頃に製品化し、一時は入門セットにも使われた定番商品でした。一見して485系に似ているようでいて実は違うというスペシャリティ性はモデルとしてもユニークな存在だったと思います。
 ただ、あの当時はNゲージの量産モデルで肝心の振り子機構が再現できないという弱点もあったのですがこれはNに限らず他のサイズのモデルでも同じ事でした。
 TOMIXの製品化以前に当時のTMSの記事でモデラーレベルで試作的に振り子機構のモデルが紹介された程度だったと思います。


 ずっと後になってKATOのレジェンドコレクションで初めて振り子機構付の381系がリリースされましたが、この時点ですでにE351系などですでに振り子機構付のモデルが製品化されていたので新機構としての感銘は幾分薄かった記憶があります(安定した技法を使った、手慣れた製品化で安心できると言う事も出来るのですが・・・)
 とはいえリリース時期の差から当時のTOMIXに比べてモデル自体の洗練度も非常に高い物がありました。
 うちに入線しているのもこのKATOの仕様です。

 さて、最初にこの作品を読み終えた時は「是非このメンバーの出て来る続編が読みたい」と思ったものですが幸いにその願いは長編「月光ゲーム」で早速叶えられ、その後も長編、短編で陸続として継続されているのは嬉しい事です。
 が、この面子による鉄道ミステリ絡みの新作も読んでみたいと思ったりもします。

5年ぶりの鉄道博物館

2016-11-27 05:49:30 | 旅行・探訪・イベントなど
 先日の帰省の途中で立ち寄った大宮の鉄道博物館。

 開業直後に2、3度出掛けた事はありますがここ数年位は全く御無沙汰をしておりました。
 その間に展示物の入れ替えなどもあったはずですし、TOMIXの40周年展示なども重なっていたので良い機会とばかりに立ち寄ったものです。

 このブログでたびたび取り上げました「鉄博風モジュール」の改修の参考も欲しいななどと思いつつ(笑)

 平日の午後とはいえ、それなりの人出なのは流石都会の博物館。
 日曜日でも閑散としている私の所の県立博物館辺りとはえらい違いです。

 その中には遠足と思しき学生の群れや電車を見に来た幼稚園児の行列なんかもあり、それらが一般客の間を縫って行進する様などはモジュールの演出としても参考になります。

 一番の目玉と言えるC57 135のターンテーブルの周りは運転はなくとも常にかなりの人が屯していますが、館内のランドマークとして待ち合わせ場所とかにも使われている様子。

 これもモジュール製作時にはあまり意識しなかった部分でした。
 鉄博に限らず、ランドマークでは待ち合わせは付き物ですし都会・田舎を問わず良いアクセントになりそうに思えました。
 (ザ・人間でも「待ち合わせ」と言うフィギュアはなかった様な。単なる「待っている乗客」と異なるポージングが要求されるだけに結構穴場の気がします)

 照明効果と言いますかこの種の博物館では意識的に電球色の灯りを使っていた事も効果的に感じました。
 必要以上に明るすぎず、黒やぶどう色の車両がぽっかりと浮かび上がる演出はなかなかのものです。
 これも白色灯でごまかしてしまった私が反省すべきところです。
 次の改修では灯りを減らしつつ電球色主体で考えなければなりません。

 そんな感想ばかりを抱えて鉄博を出て大宮駅から新幹線に乗り換えました。
 新幹線に乗り込んでしばらくしてからふと気付いた事。

 肝心の展示物は?
 人ばかり見て満足して帰ってくる私って一体。


「模型でたどる鉄道史」

2016-11-26 05:47:30 | 書籍
 今回は鉄博で入手した一冊から

 第5回コレクション展のパンフレットらしい「模型でたどる鉄道史」
 こんな企画展があった事自体知らなかった辺りに私のいい加減さが垣間見えます(汗)

 旧交通博物館時代から連綿と収集されてきた展示用鉄道車両モデルの系譜をわかりやすく俯瞰した一冊です。
 そういえば万世橋時代の交通博物館には全体を総攬するパンフレットはありましたが、このように展示模型だけを俯瞰した一冊というのを見た記憶がありません。
(もしあったら何はなくとも買っていた筈なのですがw)

 本書の博物館らしいところはそれぞれのモデルに付いて「どこで作られたか、誰から寄贈されたか」という模型としての履歴もしっかり付いている事。
 ここに掲載されている車両の中には今は実物が無くなったものもありますし、模型それ自体が実物さながらの齢を重ねたものも多いですからこうした解説も必要なのでしょう。

 これらの模型の一部は現在も展示物として機能していますし、たしか数年前に来た時は展示スペースに収まりきらなかったモデルが一つ所に集められていたのを思い出しました。
 展示用のモデルなだけに「実物通りの構造」「実物通りの精密さ」という部分が本書の中核を占めていますし、実際に博物館生きた人たちが感心するのも概ねそうした部分と思います。

 ただ、かつても(あるいは今も?)鉄道模型のファンにはこうしたモデルに一種違和感というか嫌悪感に近い物を感じる向きもありました。
 かつてとある本で「解剖しかけた死体にしか見えない時がある」とか書かれていた事もある位です。
 実際私なんかも子供の頃にこれらの展示模型を見た時「凄いけれど…なんだかなあ」みたいな印象を持った覚えがありました(恥)


 かつてはそこまで言われた博物館の展示模型ですが、今こうして見ると一つ一つに手作りゆえの一種独特の味も感じられるようにもなってきました。

 作られた当時は「実物の正確な縮小」を目指していたがゆえに印象として「無機質な精密モデル」という印象につながりやすかったのではないかと。
 しかしそれでも今こうして見返してみると、当時の職人ができうる精一杯の技術と手間をかけた事が感じられるのです。
 少なくともただ細密なだけではない、当時の空気すらもほんのりと封函したかの様な何かが感じられました。

 サイズがでかいだけに実物の質感を表現しやすい事もここではプラスに働いている気がします。

 本書を見ているうちに展示模型の持つ味というものを再認識してきました。
 次に出掛ける時はもう少し違う目でこれらのモデルが見られる気がします。

Zゲージのキハ52

2016-11-25 05:45:35 | 車両・Zゲージ
 このところ、運転会で鉄博のモジュールを持ちこむ事が多いのですが、博物館内のエンドレスを周回させるためにZゲージの車輛、編成を使う事が多くなっています。
 特によく使うのが天賞堂のD51、ミニクラブの24形蒸機、プラッツの0系新幹線、AKIAの485系なんかをとっかえひっかえしています。

 ですが運転会では1日当たり10時間以上稼動している訳なので、同じ編成をいつまでも運転する訳には行きません。

 見ている方も運転する方も飽きてくるばかりでなく、モータなどの耐久性の面でも不安がある事から、適当な機会にいくつか編成を増やしておきたいと思っていました。
 そうはいっても、今どきの新車のZゲージ車両はNと同等かそれ以上の値付けだったりする事が多いので勢い中古モデルが増える事になります。

 先日の帰省の折に中古ショップでZゲージのモデルをいくつか入手できたのは勿怪の幸いでした。


 そのなかのひとつが六半のキハ52。
 懐かしのローカル線編成です。
 キハ52はできれば一般色が欲しかったですがあいにく田舎の中古ショップではZゲージの出物自体が珍しいので贅沢は言えません。
(それ以前に地元ショップでは新車も置いていない)


 キハ52は単行でもそこそこ様になりますし雰囲気もそう悪くはありません。

 写真に撮って見るとサイズがわかりにくく一見してKATO辺りの昔のNゲージの様にも見えますが、これはZゲージ。

 私の人差し指よりも細くて短い車体なのに、それでそこそこの細密感のある造形なのは流石です。
 ただ、走行性に関してはスピードが乗るとそこそこスムーズなのですがローカル線らしいスローの効いた走りがいまひとつ。
 (もっともこれはZゲージ全般に言える事ですが)

 鉄博内のエンドレスはフレキシブルレールを駆使して微妙なS字カーブを使っているので、そこを滑らかにクリアしてくれればいう事なしなのですが。
 ヘッドライトは点灯、しかも2灯式なのが走らせてみると分かりますがそれだけに灯りが少し弱い感じもします。

帰省の戦利品と長閑な日曜日

2016-11-24 05:43:13 | 車両・客車・貨車
 帰省後最初に日曜日は帰省中に購入したキットの積みプラ対策(笑)で費やしました。
 その中のひとつがGMのマニ36&37キット。

 故郷の中古ショップに台車が2両分ついて1500円という割合リーズナブルな値段で出ていたものです。
 マニ36&37は手持ちの荷物車にはなかった形式なのとこれまで青い車両しか作っていなかったので、ここらでぶどう色の荷物車も2両くらい欲しいなというニーズにぴったりだったので早速購入。

 今回も完全な素組みなので塗装と乾燥時間をのけると1両あたりの製作時間は1時間もかかりません。
 マニ36と37は微妙に屋根形状が異なるので「同じ車両を2両作らされる不毛感」も幾分薄いですし。

 それにしても冬が近づき、空気の乾燥した晴れの昼間はキットメイクには好い季節です。

 自宅の縁側に布団を干しながら台所(爆)でちまちまとキットを作り込む一日。
 おまけに庭先にはどこからか入り込んだ野良猫が日向ぼっこよろしく昼寝中。

 この齢にして早くも「ご隠居気分」全開モードだったりして(汗)

 (とか言いつつ午前中はS660を飛ばして近所の峠を走り回っていたというのはここだけのはなしですw)

流線形のC53のはなし

2016-11-23 05:40:37 | 車両・蒸気機関車
 この間入手したレア物から
 今回は中村精密のC53。

 今年の初め頃に通常型を入線させたと書きましたがこちらは流線型仕様です。
 驚いた事に値段は先日の通常型とほぼ同じ。
 つまり先日紹介したC56よりもさらに安かったのです。

 流線型C53は以前紹介したC55以上にレア度が高い上に量産品で競合する機種がマイクロ位しかない事もあって奥では2万から3万以上で落札されるケースが多いモデルだった筈です。
 
 線路に載せて試走するとこちらもかなりスムーズな走りでした。
 恐らく前ユーザーはC56と同じ人なのでしょう。

 何故って「こちらのヘッドライトも点灯しています」

 このユーザー、当時としても高級モデルだったC56やC53を惜しげもなく手に掛けしかも見事に仕上げている所からして、単なるお金持ちのコレクターではなさそうです。
 事によると・・・ですが「ワールド工芸辺りのキットメイクで同形車を作ったから余った中村の奴を売りに出した」なんて事まで想像してしまいます。

 中古モデル、それも前ユーザーの手垢の付いたモデルを手にしていると時折そんなプロファイリングまがいの想像をやってしまうのは最近の私の悪い癖です。

 因みにこのC53、流線型のスカートがかなり深くかぶさっているせいかリレーラーなしのレールオンはなかなか難しいです。
 造形については21世紀の今でも十分に通用するクリーンさ。
 肉厚になりがちなプラ造形にない軽快感があります。
 
 別パーツの手すり類も非常に良いアクセントになっています。

 ただ、これで問題になるのが以前購入していたキングスホビーのC53のキットの使い道です。
 これはこれで作ってみたいのですが。

「TOMIXの40年」

2016-11-22 21:34:50 | 書籍


 今年はTOMIXの40周年という事で記念本も出ています。先日の帰省の折に鉄博の売店で購入したのもそれでした。
「TOMIXの40年」(NEKO PUBLISING)


 そういえば25周年だったかの時にも「TOMIXのすべて」というブックレットが出た事がありましたが、今回のは版も大きく見るからに記念誌ぽいムック形式です。
 まあ、その分お値段もお高くなりましたが開いてみると実に読みでがあります。

 初期のモデルから現在までの主に車輛モデルの変遷とそれぞれの開発スタッフへのインタビューが内容の中心ですが、レールシステムという形から入ったTOMIXだけに線路関連のページにも忘れずに書いている所は車両偏重気味だった「~のすべて」よりも充実した部分でしょう。
 また「~のすべて」の頃は最初の製品の試作品くらいしかなかった16番モデルについてもそれなりにページが割かれています。

 巻末の復刻リーフレットは望外のおまけでした。
 TOMIXのカタログが出たのは78年頃だったと思いますがそれ以前に一部にしか配られなかった76年版のパンフレットが存在しています。
 物が物だけに存在は知っていても見る事が叶わなかった一冊なだけにそれが見られるのは嬉しさもひとしおです。

 ページ数こそ少ない物のTOMIX登場前夜の勢いと言う物をこれ程ストレートに感じさせる一書はありません。

 それらも含めて非常に引き込まれる内容で往路の新幹線の車内はひたすらこの一冊を読み倒しました。
 会場ではついでに入門者用パンフレットも入手しましたが、本書の巻末についている76年の復刻版と比べてみると40年の間にシステム、車両共に随分と充実した事が分かります。

















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思い出の書籍 ふと思うこと 趣味の思い出 そのほか

TOMIX40周年と鉄道博物館

2016-11-21 05:32:23 | 車両・客車・貨車
 今回の帰省が実質「2泊2日」になった理由の一つに往路で「鉄道博物館にも寄ってきた」からというのがあります。

 ここに前回行ったのが亡父の一周忌の時でしたから、かれこれ5年ぶりかそれ以上という所でしょうか。
「新幹線では何度も素通りしていますけれども」

 今回改めて出かけたのは「TOMIXの40周年の記念展示がある」と聞いたからですが、おかげさまで短い時間ながらも堪能してきました(イベント自体は12月4日までやっているそうです)

 会場では当時のカタログや初期からの車輛モデルの変遷を実物(もちろんNゲージの模型の、ですが)を用いて展示、年代順に4,5個の棚に分かれ、パワーパックやレールシステムの変遷も並べていました。
 これがどれもこれも懐かしいこと!

 そして会場の中央にはどっかりと自前のモジュールレイアウトが鎮座し4~6列車の同時運転が実演されていました。
 レイアウト上では一周する間に四季をひとまわりするような演出がされていましたが印象的だったのはどのモジュールもかなりの高さの背景が付けられていた事でしょうか。

 この背景部分はおそらくは移動時の外枠の一部も構成していると思われますが、モジュールと言えども背景の威力は大きい事を実感しました。
 又、背景があるおかげで列車の入れ替え用の引き込み線をモジュールの裏に隠すこともできる構造なのも展示用のレイアウトとしてはいいアイデアと言えます。
 (クラブの運転会では列車の入れ替えやメンテナンスも展示のうちの様なポリシーになっていますが、本来展示が目的ならばこちらが正道と言えます)


 鉄博の広さから言えばやや慎ましやかな感じもしましたが、それなりに記念イベントぽさは感じました。
 トミーがプラレールやトミカでイベント慣れしているせいもあってか、こういう展示でも一種そつの無さを感じさせるのはなかなかです。
 見に来ていた子供たちの反応がうちのクラブのショッピングセンターの運転会と同じような感じだった一方で見るからにNゲージのキャリアの長そうな年配の方々も多かったのが印象的です。


 なにしろ、向かいの売店ではそのTOMIXの記念製品も売っていましたし。

 モノは40周年記念コンテナ搭載のコキ。

 ふだんの私だったらこの種のメーカーのイベント品みたいなのはまず手を出さないのですが、今回ばかりは雰囲気にあてられたと言いますか、つい買ってしまいました。

 ですが大宮のTOMIXワールドでも色違いの仕様があったそうなのでついでによって来ればよかったですね(汗)

 帰宅後、手持ちのTOMIX機で最も古いED75初期モデルにこれを牽かせると40年前の最古モデルと2016年の最新モデルの競演という「わかる人にしかわからないイベント列車」の出来上がりです(笑)
 TOMIXについてはもう一つネタがあるのですが、それについては次の機会に。




帰省の戦利品から・アゴワレED75の悲喜劇

2016-11-20 05:29:08 | 車両・電気機関車
 先日の帰省の戦利品から

 当レイアウトで最も在籍数が多い機関車がED75である事は折に触れてお話していますが今回もまた一つ入線しました。

 ものはKATOの一般型。
 KATOのED75としては最も古いものと思われます。
 下半分を見るとお分かりのようにスカートと車体が分離した、カーブの度にスカートまでもが首を振るいわゆる「アゴワレモデル」です。
 ED75は幻のSONYをはじめトミー、エーダイ、マイクロエースからも製品化されていますが一般流通したモデルとしてはおそらくKATOの初期モデルが唯一のアゴワレではないかと思います。

 そのKATO製品も後のマイナーチェンジでスカートは車体固定となっています。

 さて、このED75は恐らくは30年以上前のモデルでお値段も異様に安価でしたが帰宅後に試走させようとしたら「走りません」

 こういうケースには時折当たりますが大概はギアのかみ合わせか通電のトラブルの事が多いので今回もそれだろうとか思いつつ動力を分解。

 モータを取り出して通電したところ反応なし、それどころか徐々にモータが過熱し始めました。
 通電はしている物のモータ自体が駄目になっていたようです。
 KATOのモデルでモータそのものが駄目だったケースは初めて当たりましたが、それだけにがっかり感もひとしおです。

 結局モータを抜いたまま重連用のトレーラとして活用する事になりました。
 幸か不幸かこの状態でもライトは点灯しますし、重いながらも転がすことはできます。
 この種の無動力モデルは手持ちの製品としてはマイクロと16番の天賞堂がありますが今回のKATOので「自走できないED75」が3両揃った事になります(笑)

 そういえば昨年暮れの「カシオペアカラーのED75」が入線したのもやはり帰省の時でした。

「銀河鉄道」のストラップ

2016-11-19 05:26:14 | アクセサリー
 今回は先日の帰省の戦利品から

 ここ2年ほどの傾向ですが、帰省の折の戦利品はどこかしらおかしいというか、癖のあるアイテムによく当たる感じがします。それはモデルに限らず他の「レイアウトに使えそうなモノ」についてもいえる事なのですが、使い道があると思えたものについては入手するようにはしています。

 まあ、前振りはそれくらいにして

 帰省先の道の駅で売られていた「銀河鉄道」のストラップ。
 故郷の土産物を物色中に弟が「これ、何かに使えるんじゃないか?」とか言って持ってきたものです。

 サイズはZゲージのモデルの更に半分くらい、Nゲージ車両の脇に置けば「ひとの乗れるミニSL」で通用しそうな大きさではあります。

 材質はラバー製、ロコと客車は鎖で繋がっているのでそれなりに編成っぽく見えます。

 もちろん、模型として使う訳にはいきませんが上述の「ミニSL」としてレイアウト上のイベント会場に使う事もできそうですし、ショーティ化すればデパートの屋上遊園地も良いかと思います。


 もちろん私の頭に浮かんだのは「鉄博風モジュールの展示品」だったのですが(笑)
 これを具体的にどう使うかは追々検討するつもりでいます。
 
 それにしてもこの製品「銀河鉄道」を名乗っていますが「SL銀河」でなく「ばんえつ物語」がモデルになっているのが凄いといえばすごい。売る側も作る側もプロトタイプに無頓着な辺りは如何にも観光地の土産物臭くて独特のノリを感じます。
 (まあ、買う方は私を含めてもっと気にして居なさそうですがw)


鉄コレの琴電レトロ電車」

2016-11-18 05:29:28 | 車両・私鉄/民鉄
 久しぶりにに覗いた中古ショップでの発掘品から。
 こう書くと随分とあちこちに中古ショップがある様な印象を持たれると思いますが、事実私の生活圏では新品の模型屋が2軒、量販店など一軒もないという環境なのに中古ショップだけは7,8軒あったりします。
 但し品揃えはお世辞にも良いとは言えない上に時期によるばらつきが大きいのですが。

 それはさておき、
 今回入手したのは鉄コレの「高松事平電鉄レトロ電車セット」

 新品で出た時に予算不足で買えなかった奴だったりします。
 琴電の15~16M級車は鉄コレでは第二弾から現在までコンスタントに製品化されていますが、どれもが好ましい雰囲気で私の趣味には合います。

 茶色塗装の形とツートンの形の2連。
 琴電で茶色と言うと私なんかの感覚では結構異例の様な気もしますが、古くからある私鉄の電車は大概茶色塗装の電車があった時期がある事が多いのでむしろこちらが当たり前なのかもしれません。
 
 造形は最近の鉄コレらしい細密感のあるものです。
 ただ、今回は動力ユニットが無いので当面は側線の飾り物。

 今回は敢えて改修中のターミナル駅モジュールの高架ホームに置いてみました。

 近代的なビルに茶色のレトロ電車という組み合わせはミスマッチな気もしますが、最近はイベント車両等で実車の世界でもこういうのがそろそろ当たり前の様になってきている気もします。

KATOのEF70モデルの変遷を見る

2016-11-17 05:22:09 | 車両・電気機関車
 先日来断続的にアップしているKATOのEF70ネタ
 今回がラストです。

 1967年にリリースされた初代EF70はボディ形状などはほぼそのままで80年代頃まで通常品としてラインナップされていました。
 その過程では結構外見上の差異が多かったりするので違うタイプが見つかるたびに「これは面白そうだ」とばかり買いこんでしまい、数だけ増えてなかなか処分できないという悪循環を(汗)

 上の写真のモデルは屋根が銀色になり、動力も現在のユニットに近い構造になった改良版のモデル。
 秋葉のポポンデッタで800円だかで買ったものですが、屋根上機器が全てなかったので市販パーツを後付けしたものです。
 走行性は40年以上たった今でもそこそこまともに走りますが、ボディ造形の上では初期モデルとほとんど差はありません。
 
 なお、初代モデルはライトが点灯しましたがこの頃から最終型の直前までは非点灯のまま推移しています。


 最終形となる80年モデルはほぼビッグマイナーチェンジと言って良い内容でレイアウト上の運用に供するなら(当時としては)ほぼ不満の無いレベルとなりました。
 現在中古屋の店頭で見かけるKATOのEF70の殆どはこのモデルと言って良いと思います。

 ボディカラーは実物通りの色調に変更されサッシのワクやモニタ窓にも色刺しされて見た目の細密感は随分と上がっています。
 前面窓サッシの色刺しがやや太めですが10年以上前の設計の既存品に追加された物と考えると当時としてはかなり手の込んだ意匠に見えたものです。

 また、この最終型になって再びヘッドライトが点灯式になったのもうれしいポイントでした。

 一方でアゴ割れスカートの方は相変わらず。改悪点としてはスカートが従来の専用品から「EF65の流用」に変更された事でしょうか。
 尤もEF65は逆に初期モデルではEF70の足回りをそっくり流用していたのでおあいこと言えば言えます(笑)

 (科学教材社の「Nゲージ」でも「EF65のスカートの該当部をカットして実物に合わせる」加工記事がありましたし、当時の広告でも「EF65は専用台車を採用」と書かれていた位で)

 80年モデルを今回のKATOのそれと並べるとボディ造形自体はほとんど変わっていないのに塗装の色調変更と色刺しでずいぶんと印象が変わって見えます。
 ぎりぎりリアル派でも使えそうなレベルになったとでも言いましょうか。

 ですが初期モデルの持つ朴訥さ、黎明期のNゲージモデルの勢いを感じさせる点で旧モデルも捨てがたい魅力があります。
 ここまでで都合5タイプのEF70のNゲージモデルを紹介した事になりますが、これらを並べると50年間のモデル進化の過程を一望できるという望外の楽しみもあります。
 そう思うと初代モデルが走れないのが残念で。

鉄道ミステリとNゲージを語る18・「泥棒」とCタンク

2016-11-16 05:19:21 | 小説
 前回からかなり間が空きましたが鉄道ミステリとNゲージネタの第18弾です(まるで鉄コレみたいだな)
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 前にも書きましたが、鮎川哲也が嚆矢となった鉄道ミステリのアンソロジーは後にいくつかの派生、後継のシリーズを生み出しています。
 その中のひとつに有栖川有栖の手になる「鉄道ミステリーライブラリー」というのがあるのですが今回はその中の一篇を紹介したいと思います。

 物は雨宮雨彦の作「泥棒」
 
 時は昭和20年代「もはや戦後ではない」とか言われ始めた頃。
 戦時中に旧海軍が隠匿した金塊が当時製造されていたとある蒸気機関車に隠されている事を知った4人組の泥棒団。
 今はとある私鉄に払い下げられて使われている機関車を盗み出し、金塊を見つけ出そうとするが…

 というのが大まかなストーリーです。

 詳しい内容は実際の作を読んでもらった方が速いと思いますが、短編の中に「現用されている機関車を人知れず盗み出す」「機関車に隠された金塊を見つけ出す」という二重の課題が盛り込まれ短い割にかなりゴージャスなミステリになっています。
 中でも機関車を盗み出す手口が如何にも「レイアウトでミニシーンを再現したくなる」ヴィジュアルイメージがありまして好きな作のひとつです。
 (ヒントは「併用軌道」w)

 作中に出ている鉄道や機関車の設定や描写はある程度鉄道ファンを納得させる程度の知識の裏付けを持っていますが、それでもトリックとしては実現可能性が異様に低そうな破天荒さを持っています。
 (これに近いというと江戸川乱歩の少年探偵団物の「天空の魔人」辺りの列車消失トリックが思い浮かびます)

 さて本作に登場する蒸気機関車というのが「C35」
 名前からわかる様に本作のために設定された架空の機関車です。

 一応国鉄の制式機だそうですが、重量が35トンある所からネーミングされたという、国鉄というよりもどこかの私鉄がやりそうな名づけ方です。
 が、戦時中の工場不足の折、N市のKという造船所で2両だけ製造されたという設定はそれなりに説得力はありそうです。
 当時はB20なんて飽和蒸気式のロコも実際に作られましたから、それのCタンク版というのもあっていい気もします。

 ですが架空の機関車だけにNゲージのモデルなんてのも出ている訳がない。

 雰囲気的に近いのはTOMIXのKSKタイプCタンクか「週刊SL鉄道模型」の特典で出た事のある「B10」をCタンクにした様な感じでしょうか。
 あるいはワールド工芸辺りが出している小型蒸機というのもアリと思いますが戦時設計のCタンクという点で微妙にイメージが異なる気もします。

 真夜中の町中を幽霊の如くしずしずと走り抜ける小型蒸気機関車というのはうちのレイアウトでは棚幡線とかでも再現できそうな気もします。
 が、そのためにはレイアウトの電飾くらいは済ませておかないと(汗)

 今回はミステリをだしにレイアウトのミニシーンの検討をするような感じになってしまいました。脱線脱線(大汗)