光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

JAMの戦利品から ペーパーストラクチャー編

2024-09-29 05:31:58 | ストラクチャー
 帰省のはなしと順番が前後しますが先月のJAMの戦利品から。

 即売ブースを回ってみて前回に比べて増えているのは「ペーパーストラクチャーのメーカー」ではないかと思います。
 ここ数年の間(それもコロナ禍の前後から)じわじわとメーカーが数を増やし、わたしも主にネット広告なんかでその存在を知ったものも結構あります。

 今回のJAMではその中のいくつかを見て回ることが出来ましたが、今回有難いと思うのはネットではよくわからない実物の作例を実際に(事によっては手に取って)確かめられる事でした。
 特にサイズに関しては通販の広告では今一つイメージしずらいところがあり、出来上がってから「思ったより大きい(小さい)な」と感じる事も一度や二度ではなかったからです(まあ、それで困った事もありませんが)

 まず赴いたのは、先日店舗を作ったばかりの「梅桜堂」
 ここではNスケールの住宅A/Bを選びました。ちんまりした形状ですが、都市部によくある「建蔽率一杯に立てられた住宅の集まり」の表現には好適(同じコンセプトの住宅はジオコレやみにちゅあ―とでも出ているのですが、設定年代がやや古めなのと、同じ家が何軒も続く不自然さを解消するためにも家の種類が増えるのはとにかく有り難いです)と思います。

 このメーカーはNだけでなく16番スケールの一般建造物にも力を入れており今後の期待が大きいところですね。建物類は木造建造物が主体で昭和20~30年代を想定した製品が中心です。

 その近くでは昨年マンションや現代風の商業ビルの製作でお世話になった「東京ジオラマファクトリー」がほぼ全ての製品の見本を出していてこれまた見ていて楽しかったです。
 こちらは時代的に昭和40年代後半~平成中期くらいまでの比較的近代的な物がメインですが、レーザーカッティングのかっちりした造りは近代建造物にはよく似合う製法と思います。

 ここでは昨年の製作で「どちらにしようか迷った」マンションの別バージョンを購入。こちらは山の中腹よりも平地の住宅地か商店街の裏なんかが似合う4階建ての昭和40年代テイストの奴です。こちらの展示では最近リリースの「ドライブイン」の見本も展示されていましたが、物が予想よりかなり大きかったので次の愉しみとして購入は見送りました。
 (ですが形状のリアリティは絶大で作り甲斐のありそうなアイテムなので土地の都合がつき次第買うと思います汗)

 このほかに前回お目に掛ったパーミルや甲府モデルなども参加していましたが、前回に比べると「レイアウト上に『普通の街並み』を作るハードルはここ数年で一気に低くなっている事を実感します(この点については思う事もあるのですが、それについては次の機会に)

帰省で「望外の鉄分補給」をしたはなし(汗)

2024-09-28 05:27:08 | 旅行・探訪・イベントなど
 実は先週末から故郷の盛岡への帰省に入っているのですが、こちらでも予想外のアクシデントが生じて予定していたいくつかが実行できない仕儀に陥っています。
 いつもなら親類周りや墓参りで出かけるところが、予定外の家事や整理に忙殺され、事実上盛岡から動けない帰省となっています。

 とはいえ、そんな折でも見るものがなかったわけではなく(あるいは今回の様な偶然でもなければ見つけるのに時間が掛かったかもしれない様なもの)いくつかの収穫がありましたので、今回はその辺から。

 数年前からのコロナ禍などへの対応策として、帰省の時には駅前のビジネスホテルを使う様になっているのですが、そのおかげで寝る前のひと時を駅前や周辺の散策に使える様になっています。

 こればっかりは実家にいてはまずできない事なので一種偶然の生んだ役得みたいなものといえます。最近の実家の周囲は夜ともなると真面目に狐狸の類が徘徊しかねない環境なのに対し、駅の周囲はここ2,30年の間に再開発が進みとても盛岡には見えないくらいに垢抜けて(ついでに人出も増えました)夜でも宵の口くらいまでは結構にぎやかになっています。

 ようやく夜が涼しくなってきた事もあって手ぶらで駅前周辺に繰り出しました。駅の連絡橋からは構内が見渡せるのですが、個人的な見どころは

 間に草が生えているせいか一種の遠近法みたいに見えますが、左が狭軌、右が標準軌の並びです。タイミングが合えば両方に色違いでほぼ同じカッコの701系が並ぶという珍景が見られるのですが、田舎の夜ではなかなかそんな偶然は見られないようですね。
 
 数は減りましたが、かつて構内を真昼の様に浮かび上がらせた照明塔の何本かも健在な様子です。
 やっぱりわたし的にはこれがないと夜汽車の風情を感じない気がしていますから、これが見られるだけで一種ワクワクします。

 そんな中を散策していたら、駅前のランドマークのビルの窓に何やら見逃せないものが。


 窓越しにラージスケールモデルのDD51とED75のモデルが展示されているのです。

 実はこれらは昭和47年の鉄道100年を記念して国鉄盛岡工場で作られたモデルで、当時子供だったわたしもこれの牽引するミニ列車に乗った事があります。その後一時期盛岡駅のコンコースに展示されていたものの、いつの間にか無くなっていて「あれは今どうしているだろう?」とか思っていたものです。
 早速覗いてみると




 DD51やED75は勿論でしたが、同時期に製作されながら駅での展示のなかったライブのC57も一緒に展示されていたのには驚きました。
 先日のJAMでラージスケールのライブ蒸機を見てきたばかりですが、こちらのはそれらの数倍のサイズで車重も下手な軽自動車並みという迫力モノです。

 間近で見ると本物を目の前にしているのと大して変わらない気分です。
 これらの面白いところは、物が趣味として作られたものではなく、一応その道のプロが製作に携わった物だけに見た目のリアリティ以上に実際の運用をある程度想定した構造になっている点でした。
 蒸機の操作系のバルブ類はスケールよりも実際の操作の確実さを優先しているような印象でしたし、DD51のランボード表面が模型よりも荒目なのはおそらく実車用の部材から切り出したからではないかと思います。
 (因みに動力ですがC57が蒸機駆動のライブなのに対してDD51はキャブ内に「ホンダの発電機」が鎮座していました。DLならぬGLだった訳ですが、小排気量のディーゼルエンジンは実用化が難しい事を考えればガソリンエンジンの仕様は理にかなっていますね)
75と51のナンバーも実車と異なる銘板形式ですが、スタッフの拘りから敢えてそうした可能性が濃厚と思います。



 ただ、どういう製作上の都合かわかりませんが、ED75のオデコが不自然に間延びしているのだけは気になりましたが(汗)
因みにDD51は2号機で後の量産型とは若干塗り分けが異なりますがモデルの方は量産機に合わせてある様です。

 最初は懐かしさから見ていたのに、間近で見る時には模型趣味の観点で眺めてしまう辺りはつくづくわたしも毒されています(大汗)

 これらの模型のすぐ脇、上階コンコースにはこのビルの以前に建っていた国鉄盛岡工場のレンガ壁が保存、展示されていました。
 これもまた結構な迫力で、エスカレータでフロアに来ると圧倒されました。

 今回の帰省、電車にこそ乗りませんでしたが、こうした形で望外の鉄分補給ができたのは有難かったです。
 (実はこれだけでは済まない事態がもうひとつあったのですが、それについては次の機会に)
 
 夕暮れに沈む盛岡駅から見える岩手山は駅のメカニックな俯瞰と見事な対比を見せてくれる恰好のランドマーク。

 どんなに高くても高層ビルにはこの叙情は描けません。
 わたし自身、これを見ていたら不覚にも涙が出そうになりました。

TOMIXの73系基本セット

2024-09-27 05:22:38 | 車輌・電車

 先日の静岡行きで発掘したイレギュラー入線の中古モデルから。
 物はTOMIXの「72・73系の基本セット」です。

 茶色の73系のTOMIXの仕様は10年ほど前に帰省の折、岩手のショップで入手していたのですがこれが「動力のない増結セット」
 いくら何でもこれでは様にならないと思い、後に1両だけM車を追加したのですが、これがまた鶴見線仕様のクモハだったので、色はともかく形態の統一性の点で損をしていました。

 今回の基本セットでようやく正調の動力車が揃いましたが、これは同時に「最大8連の編成が組めるようになった」という事でもあります。
 改めて増結セットを繋いだ8連をレイアウト上で走らせましたが、4連では得られない「伸びやかな編成美」が何といっても嬉しい。

 先日の改修でレイアウトに緩曲線を組み込んだ甲斐があったという物です。
 73系に限らず「茶色い電車の編成」は実車では馴染みがなかったのですが、幼少時に旧客の茶色(と言うかぶどう色)の編成を見慣れていたせいか独特の懐かしさを感じさせてくれる編成です。

 あと、茶色の73系はこれとは別にGMのキット組品の6連編成もあるので「73系同士の上下線のすれ違いが可能になった事も嬉しいw」
 ・・・でも2,3周させている間に「全身汗びっしょり」になってしまうのには参りました。これで涼しかったらもっと走らせるところなのですが・・・

PLUMの「みんなのテンホウ」を作る・その2

2024-09-25 05:20:16 | ストラクチャー
 PLUM「みんなのテンホウ」製作記・その2です。
 建物の形状が見えてきたところで、玄関部の製作や窓枠などの壁面の意匠の取り付けに入ります。

 窓枠はパーツを直接窓のところに上から貼り付けるものでみにちゅあーとやPLUMのアニメ系モデルと同じ要領ですが、壁面の黄色に対して濃い茶色のパーツを貼り付ける事もあって、位置合わせがちょっとずれただけでもかなり目立ってしまいますから、位置合わせを慎重に行う必要はあります。

 クラフトボンドとピンセットは必需品でしょう。
 建物本体から飛び出す形となる玄関部もこの段階での製作になります。この手の店によくある二重玄関の構造をきちんと再現しているのが面白いので、この部分に予め客の人形でも立てておくと面白いかもしれません。

 最後がこの店の個性ともいえる看板部分を取り付け(貼り付け)ますが、テンホウに拘らなければオリジナルの看板を製作しても良いと思います。この建物はある意味、チェーン店系のラーメン屋の店舗の最大公約数に近い形状ですから看板が無くても飲食店である事は伝わると思います。

 出来上がった店舗は実在の建物の模型化だけに、存在感とリアリティは抜群。

 ですが、これは単体で飾るよりも他の建物や店舗と組み合わせた方が生き生きして見える性質のストラクチャーだと思います。それもGMキットやジオコレよりもジオタウン、ジオタウンよりもみにちゅあーとや東京ジオラマファクトリー辺りのペーパーキットとの相性が良い感じですね。

 ただ、既存のレイアウトに組み込むには敷地がやや広いですが(汗)

「小林信夫の模型世界」

2024-09-24 05:11:15 | 書籍
 今回のネタはJAM2024最大の戦利品のひとつ(と、わたしが勝手に思っている)

 機芸出版社刊「小林信夫の模型世界」

 こちらもJAMで先行発売という事で矢も楯もたまらず会場内を駆けずり回りました。会場不案内の事とてパンフも碌に見ずに「機芸出版社」のブースを探して駆けずり回る馬鹿なわたし
 (「IMONなら置いてある」事にもっと早く気付けばよかったのに)

 本書は昨年物故された小林信夫氏がTMSで連載されていたイラスト入り製作記事の総集編です。
 毎月20日過ぎに手に取っていたTMSでわたしが昨年のその日まで毎回楽しみにしていたのが小林氏の記事でした。

 徒な細密主義やリアル志向に溺れず、それでいて「模型の楽しさ」が横溢していた氏の記事はともすれば模型の世界でもカチカチになりそうになっていたわたしの頭を揉み解してくれる一服の清涼剤でした。
 氏のイラストに初めて触れたのは昔のGMのカタログのイラストからでしたが、氏がイラストだけでなく本文でも才を発揮されていた事を知ったのは本書のあとがきでです。
(レイアウトに飛行場を組み込む記事で「ゼロ戦の模型は黄色く塗ってテキサンに見せる(素人はだませる)」という一文も氏の執筆だったとは!!)

 本書の冒頭、氏の嗜好の原点となったのが「小レイアウトと小型車両」の小レイアウト「三津根鉄道」にあった事も書かれていますが、あの当時いわゆるスケール志向とは別に「省スペースで小型車両を走らせる楽しみ」をアピールした点でこのレイアウトが小林氏のみならず当時のファンに与えた影響は大きかったと思います。

 車両ではなく「鉄道そのものをものする」という愉しみをオリジナリティあるフリーやショーティで実現させるという方向性は16番の普及とNゲージの登場前後から一旦廃れたものの、後のナローの普及やBトレイン、初期の鉄コレで再び脚光を浴び始めたのは周知の通りです。21世紀の始めというタイミングで小林氏がこの方向で記事を上げ始めたのは偶然ではなかったと思います。

 イラストばかりか作例のレイアウトでも「良質の幕の内弁当」を思わせる、コンパクトな中にも密度と質と楽しさが詰まっている本書の写真やイラストは、それだけでも圧倒されつつ満腹感に浸れるものです。

 わたし自身、幼少時その三津根鉄道にリスペクトされたと思われる某氏の小レイアウトの製作記事(特に名を秘す)に酔っぱらったひとりなのですが、おそらくそれゆえに小林氏の記事には少なからぬ共感を感じていたのでしょう。その記事中でレイアウトと並んで紹介されていた小型車両の改造記事なんかも小林氏の模型ポリシーに近い物を感じましたから。

 その流れの中で車両に関しても氏がナインスケールの「KSKタイプCタンク」を手掛けたり、最晩年に「猫屋線」「ノス鉄」の箱絵でも健筆を振るわれていた訳ですが、それらに通底するのは「実車のメカニズムの知識・センスに裏付けられつつ、作者の趣味性とセンスを貫く」というフリーモデルの設計ポリシーだったと思います。

 それらが詰まった連載記事を一冊にまとめたのが今回出た本書ですが、改めて読み返してみると文章も図版も実に濃密で、イラストはもとより写真一枚・文章の1行に至るまでゆるがせになっていません。連載時の時には(わたし的には)「一服の清涼剤」だったのが、いざ一冊の本になったのを通しで読むと「強壮剤の一気飲み」に近い感覚の読後感を残すのです。

 再録中心の本なのに、これほど「趣味人としての元気をもらえる一冊」というのもそうはありません。

 あとがきに書かれていますし本文でも本人が軽く触れられていますが、小林氏自身一時期健康を害された時期があったりと決して順調とは言えない生涯だった様ですが、そんな時期を経てすらあれだけ溌溂とした筆致の記事や作例を次々にものしていた事を知るに及び、趣味人としての氏のバイタリティと生命力には驚嘆せざるを得ません。
 (それが端的に示されているのが本書にも載っている「初代レッドアロー」製作記事の件です)

 同時に、それらの記事を読むたびに無言の鞭撻を通して元気とやる気をもらい続けてきた事への感謝の念を改めて感じます。

 購入したその日のうちに「わたしの宝物確定」となる一冊に巡り合えたこと、それを久しぶりのJAMで手にできたこと、それが最大の収穫でした。

 最後に
 改めて氏のご冥福をお祈りいたします。

PLUMの「みんなのテンホウ」を作る・その1

2024-09-22 05:25:08 | ストラクチャー

 先日紹介したPLUMの「みんなのテンホウ」もJAMから帰宅した直後から製作に入りました。

 PLUMのストラクチャーは以前「ご注文はうさぎですか?」の建物を何軒か作っていたので造りのかっちり感に不安を感じる事はありませんでした。
 ですが、今回ばかりはその思い切った構造に一瞬驚き、戸惑う事も2,3あったりします。

 最初に切り出したのは建物本体の壁面パーツ・・・

 他社のペーパーストラクチャーを作った事のある方ならお判りと思いますが「床から壁面を折り曲げて立ち上げ、角を貼り合わせる」というのはこの種のキットとしてはかなり思い切った構造といえます。
 床面の平面性に不安を感じる事もあるでしょうし、最近のペーパーストラクチャーは「折り曲げ工程を可能な限り減らす(事で建物の歪みを防ぐ)」のが定石ですから。

 とにかく説明書に合わせて折り曲げ、接着を行い建物の形を成立させました。やってみると「案ずるより産むが易し」と言う奴で折り目の筋彫りが比較的しっかりしているのでかっちり感はそこそこ出ています。ただ、壁面の折れ目で破線状の跡が残るのは痛いポイントです。


 (同じPLUMの「学園都市モノレール」の屋根回りもこれと同じ弱点を持っていますが、「テンホウ」の場合は垂直の壁面の折り曲げなので歪みが少ない分よく出来てはいるとは思います)

 また予め床とベースに穴を開けておかないと、あとからの照明の組み込みが困難になるので注意を要します。

 おそらくこれはマニア以外のモデラーにも手軽に作ってもらう(それでもプラモよりは手が掛かりますが)ための構造と配慮なのでしょう。
 実際、そこまでの工程は他社のキットより3割くらいは早い印象でした。

 プロトタイプがそうだからなのでしょうが、建物の敷地形状は表から向かって左奥側が斜めにカットされた変形五角形。この斜めの部分に裏口が作られていてリアルさと見た目の個性を表現しているようです。
 (この項続く)

メルクリンミニクラブのクロコダイル

2024-09-21 05:21:40 | 車両・Zゲージ

 「JAMには魔が潜む」
 前回も触れましたが、全国からマニアが集まりそれに合わせてメジャーメーカーからガレキ屋さんから中古ショップまでもが集結する感のあるこのイベント。
 ぽ●のブースなんかは、近づく事すら躊躇われるほどの人出と熱気で、わたしもブースを回りながら少なからず酔っぱらったのも確かです。

 で、今回紹介するアイテムはまさにその「魔が潜むJAM」の本領発揮!しかもマルイのブルトレ以来となるZゲージの編成物です。

 会場内のサードパーティや中古モデルのブースを冷かしている時に目に留まった「メルクリンミニクラブの群れ」
 Zゲージの展示は六半のブースくらいしかお目にかからなかった(あとは一部ペーパーストラクチャーキット系)だけに少し気になる売り場でした。

 欧州系の機関車類はNでは多少自宅のレイアウトに落とし込める形状のものをいくつか入線させていますが、Zゲージの中古では大型機が多い事もあって、唯一の例外を除いてこれまで敬遠してきたジャンルです(小型機なら2,3両入線していますが)

 まあ今回もそんな感じだろうなと思いつついくつか物色していたらその「唯一の例外」がポンと出てきたのですからたまりません(驚)

 スイス国鉄のクロコダイル、それも貨車6両の付いた編成のセットがそれだったのです。
 Zゲージのクロコダイルは過去に1,2度アキバのショップで出物にお目に掛っていますが、いずれもわたしには手の出ないお値段でその都度あきらめざるを得ないできたロコでした。

 それが今回は「当時の定価の7割引(それでも元の値が高いので結構なお値段)」で貨車6両付きと来ていますからこれは食指が動きます。
 でも7割引きとはいえそれでも結構なお値段ですからお財布と30分くらい相談し「今を逃したら今後この値段での入手は難しい」と判断して財布を開いてしまいました(大汗『この糞ブタ野郎が!!!』と自分を責めつつ)

 クロコダイルは凸型の形状と前後の動輪がそれぞれロッド駆動するメカニズム、更に車体自体が3分割でカーブに追従する独特の構造からZゲージのエンドレスでも運転映えする機関車としてかねて注目していた物です。
 会場での試走(わたしの注文に応じてさっとエンドレスを出してくれたご店主も凄いです。NやHOだとカーブのチェックなんかまず大抵の店ではやってくれませんから)でもロッドを駆動させつつカーブに追従するクロコダイルの走りは堪能できました。

 帰宅後、さっそくモジュール上を走らせるとひょうたん型のエンドレスに追従するクロコダイルの雄姿は全く見事なものでした。
 こればっかりは買えて良かったと心底思います。と同時に今年のJAMの思い出としてもこれ以上の物はなかったと思います。

 とにもかくにも、今回最大の散財がZゲージだったという事はコロナ禍の下で(わたし的に)このジャンルの元気がなかった反動なのかもしれませんw

JAMは今年も萌えていたか?

2024-09-19 05:16:10 | 旅行・探訪・イベントなど
今年のJAM(国際鉄道模型コンベンション)2024に絡むネタから。

 前に紹介したグランシップトレインフェスタでもそうなのですが、ここ数年の鉄道模型関連のイベントの傾向を上げる時、必ず出てくるのが「萌え」(そろそろこのワードも死語だな)ではないかと思います。

 イベントの性質上これがメインに躍り出て来る事はない(まあ萌えばっかりでも困りますしw)のですが、わたし的にはこのホビーを彩るキーワードとしての存在感をここ数年感じ取っているのも確かです。

 そもそも、今回のシンボルキャラクターもそんなノリが感じられますねw

 まあ、むさ苦しいおっさんが寄り集まるイベントですから多少なりとも潤いは必要でしょうし、最近は実車の世界でもそっち系のラッピング車が花盛りですから、こういう傾向も無理からぬ話ではあります。



 各クラブのディスプレイを始め、キャラクターものの車両とかアニメの舞台をモジュール化した物、コラボ企画から果ては横断幕にまで美少女のオンパレード!

 5年前の時と比べて今回のJAMもこういうネタが増えている様な気がします。

 わたしも「この種のお祭り騒ぎには潤いが不可欠」と思っている口なので(そうでなければこの手のイベントは「マニアと称する修行僧の集会」みたいになってしまいそうですし)その傾向に異を唱えるつもりは毛頭ないですが。

 そういえば今回のJAMの隣では同人誌即売会のコミティアが開催されていました(笑)が、あちらはコスプレ、コラボが禁止された「一次創作中心のイベント」のせいか、向こうの会場に向かう人たちをJAMの行列から眺めていて、その雰囲気に一種修行系のノリを感じたのも偶然ではないのかもしれません(それが悪いと言う訳ではない事はこの場を借りて強調しておきます)

 で、そんな事を考えつつ、改めて「やっぱりJAMも萌えていた」と確認して帰途に就くわたしがいたりして(笑)

PLUMの「みんなのテンホウ」諏訪城南店

2024-09-18 05:13:23 | ストラクチャー
 この夏に入ってこのかた、梅桜堂、ミニチュア工房と(わたしにとっては)新挑戦のメーカーのペーパーストラクチャーを楽しませてもらっていますが、今回紹介するのはPLUMの最新作のモデルです。

 先日某ヨ●バシカメラで入荷したところを押さえることが出来た物ですが、この偶然がなかったら誰かに先に買われていたかもしれないので幸いでした。
 (このメーカーのペーパーキットは割合あっという間に捌けるので油断がならないのです)

 物は「ご注文はうさぎですか?」「とある科学の超電磁砲」などのアニメ系の建物やアクセサリをペーパーキット化している(最近はむしろ16番のプラキットメーカーの方が有名かも)PLUMが先日リリースした「みんなのテンホウ・諏訪城南店」のペーパーキットです。

 テンホウというのは長野県発祥のラーメンのチェーン店で事実上地元のソウルフードと化しているそうです。事実、わたしも長野へ出かけると、割合あちこちで見かける店でもあるのですが、肝心のラーメンを食べていないのが(汗)

 そこの実在の店舗をペーパーキット化したのが本製品ですが、最近はGMのコメダ珈琲店やTOMIXのセイコーマート、ハローマック(予定)など実在系のストラクチャーの充実が著しいのでなかなか有難い物があります(テンホウそのものと考えなくても「ラーメン屋専用の建物」と言う括りで捉えても有効な筈)

 パーツ割を見る限りでは「ラビットハウス」ほど細かくなく、若干ですが作りやすそうな印象ですが、実在系のモデル化だけに敷地は結構取りそうです(これも実在系ストラクチャーの急所なのですが)
 とはいえ、これまた作る前からワクワクしているわたしが居る訳でw

 製作工程はまた次の機会にでも。

 余談です。
 その昔、中央道の諏訪湖のサービスエリアでマイクロエースの鉄道模型が売られていて驚いたことがありますが、今は中央道某パーキングエリアにPLUMのコーナーが登場(まあ、長野のメーカーですし)
 さすがに115系のプラキットとかはありませんがテンホウもそのうち並ぶような気もします(笑)

JAM2024探訪完結編(笑)その他目についたものから

2024-09-17 05:06:56 | 旅行・探訪・イベントなど

 JAM2024探訪記、そろそろ見学ネタについては打ち止めにしようかと思います(戦利品ネタはまだ少し残っていますが)

 今回は時間の都合もあってたった2時間かそこいらしかいられなかったのですが、にもかかわらず濃密な情報量の展示に圧倒されたのがJAMのJAMたる所以といえます。
 それは細密感の高い車両やジオラマばかりでなく「おお!その手があったか」的なサプライズに出会える要素も含みます。

 会場が屋内だけにライブスチームの実走なんてのはなかったのですが、実物大の機関車が会場内で子供を乗せて走っていたのには驚きました。
 走行音が静かな割に汽笛だけは会場内に響き渡るほどに大きかったのが印象的でしたが、後で調べてみたらやっぱり圧搾空気で走っていた様です。

 5年前の展示でもお目に掛った「室内灯装備の列車のデモ走行ブース」
 編成物のHOスケールモデルで室内灯装備のフル編成を見せていましたが、個人的な感触で言わせて頂くならこういうのは夜景のシーナリィと組み合わせて最大限威力を発揮するものではないかと思います。
 他のイベントでは会場全体を暗くする「夜景タイム」というのを設定していますし、グランシップでも夜景を売りのひとつにしているメルクリンや結伝社さんのブースでは会場の中でも薄暗い場所を選んで展示していたりするので工夫の余地はあると思えます。第一周りが暗すぎると肝心の列車の外観がわかりません(汗)

 モジュールの中で面白いと感じたのが「シルクスクリーンで波の遠近感を表現した」もの。レイアウトの中でも「アート系」のひとつと思いますが、視点を下げて眺めればなかなか面白い効果を上げられる手法ではないかと思います。
 (その代わり上から見てもその凄さが実感しにくい弱点も感じましたが)


 うちのクラブでも宇宙戦艦ヤマトやネコバス、ヤッターワンなんかがイベントで走るのですが、JAMのは流石に一味違う。
 「牛乳パックを動力化させて走らせる」なんて誰も思いつかなかったのではないでしょうか(驚)
 わたしも最初は何が走っているのか一瞬分かりませんでした。

 お座敷運転の魅力が横溢した「こたつ山脈」(と私が勝手に命名w)
 HOゲージメインの時代にこれを実行した人は結構居たのではないでしょうか。面白いと同時に懐かしさを感じさせる展示ではありました。
 (昔のカツミのレイアウト用品の中に「トンネルのフレームだけ用意して上から布団や座布団をかぶせて山にする」アイテムがありましたがこういうのは今でも通用する気がします)

 シルバニアファミリーをモチーフに使ったラージスケールのレイアウト。車両単位、編成単位の展示は他でも見かけますがシーナリィを含めたトータルで展示したものは初めて見た気がします。ファンタジーの世界をファンタジーらしく表現するのは誰でもやりそうで意外と実行されないジャンルかもしれません


 イベントのランドマークとして超高層ビルを持ってくる展示。わたしもモジュールに高層ビルを持ち込んだ事はありますがサイズが中途半端なのであまり目立ちませんでした。本来ならこれくらい豪快なサイズでないと意味がないと思うので次のグランシップの時には何かしらやってみたい気もします。


 展示物のパイクを周回する王蟲はバスコレの動力を内蔵しているそうです。がわたしの目を惹いたのはもう一つの方。
 昔、わたしが子供の頃に放映されていたドラマ「走れ!ケー100」(1973年 TBS)の機関車ではありませんか!

 ケー100というのは道路を走れるようになった意志を持つ蒸気機関車という設定。これが鹿児島から北海道へ、さらにそこから沖縄まで1年かけて日本中を練り歩いたロードムービードラマでした(主演 大野しげひさ、大川栄子他)
 スタイルはディフォルメされているものの、種車が水陸両用車なので水上走行も可能な上に作中のある一編では車輪を換装して実際に線路上を走った話もありました。

 まさかこんなところでこれに再会できるとは思いませんでした(聞いたところではごく最近、ケー100の玩具が出ていたのだそうで、それを動力化した物だそうです。知っていたら買ったのに汗)

 とまあ、こんな具合に徹頭徹尾見どころに事欠かないイベントでした。
 来年も是非覗いてみたい(で、せめて今年よりはゆったりと)です。

 帰途のゆりかもめから見る東京湾の絶景。内海のせいか風があまり吹かず、涼しくないのが玉に瑕でしたが目の前に広がる海のロケーションにはぐっと来るものがありました。
 (普段山の中の田舎に居ると、海を見るたび圧倒される悪い癖w)

「オオカミが鉄道模型をはじめるマンガ」

2024-09-15 05:52:46 | 書籍
 今回もJAM2024の(わたし的に)狙い目アイテムのはなしから。

 前回紹介の「TEZMO SYNDOROME」と同時発売のコミック「オオカミが鉄道模型をはじめるマンガ」(作 らつた)をば。

 本作は同じ作者の「オオカミが電車を運転するだけのマンガ」の姉妹編として一昨年辺りからRM MODELSで連載されていたマンガの単行本化です。
 登場人物も前作から引き続き出ているキャラも多く(というより「前作の10年後」のはなしらしいです)

 指導運転士に昇格した主人公の大神たち(勿論オオカミ)が「会社のイベント展示でレイアウトを出展する事になり、大神はじめ毛鉄研修センターから急遽集められたスタッフたちが、ああでもないこうでもないとレイアウトを作り上げてゆく」という話を通して「鉄道模型とレイアウトの製作入門」をマンガ化した一種のハウツーコミックの体裁。

 てんやわんやの末にレイアウトが形になって行きますが、さてどうなりますか


 というのが大まかなあらすじ(も何もほぼ全編がこの通りの内容なのですが)

 鉄道模型に限らずかつてはこの種の入門マンガは見るからに「入門書をマンガにしただけ」レベルでマンガとしての魅力の点でやや見劣りする物が多かったものですが、かの「サルでも書けるマンガ教室」のヒット以降はマンガ単体でも楽しめる入門マンガが次々現れました。

 更に今世紀に入ってからは普通のマンガにハウツーの要素を加えて読者を引っ張る方向(最大の成功作が「ゆるキャン△」ですが、鉄道模型ネタでも「初恋れーるとりっぷ」「不器用な巧ちゃん」を以前紹介しています)増えていますが、殊本作はレイアウトマンガの入門書として決定版に近い一作ではないかと思います。

 その大きな要因となっているのがキャラクターが可愛らしいオオカミのキャラで成り立っているところ。
 鉄道模型という入門マンガには地味な題材だと人間を主人公にするとどんなイケメンや美少女が出てきても最後まで読者を引っ張ってゆくのが難しい気がしますが、オオカミをキャラクターに据え、しかもそのひとりひとりがキャラクターとして立っているので入門書を離れて単にマンガとして読んでも引っ張られるのです。

 「マンガとして立っている」という事は「テツドウモケイに興味のない人でもそこそこ楽しめる」という事でもあり、普通の一般人(まあ、そこそこマンガを読んでいる人、という但し書きが付きますがw)にもお勧めできる鉄道模型漫画と思います。

 それでいて前作の10年後という設定なので「オオカミが電車を運転~」のキャラクターの何人かも客演しているので前作を読んだ人ならさらに楽しめるというおまけつき(笑)

 わたし自身、自分用だけではなく模型趣味の弟(専らアニメモデル専業ですが)用にもう一冊買って送ろうかと真面目に考えているくらいで(そろそろ通販で買えるかな?)

JAM2024を見て回る ラージスケール編

2024-09-14 05:50:10 | 旅行・探訪・イベントなど
 前回書ききれなかったジャンルから。

 グランシップの時もそうなのですが、この種のイベントでレイアウトと並んでわたしが注目するのはラージサイズのモデルです。

 田舎では大型鉄道模型をやっている人自体あまり見ませんし、NやHOよりもはるかにジャンルの細分化が進んでいる分野なので纏まった展示を見る機会はそうありません。
 それだけにイベントに行くとそれらのモデルを見に行くのが楽しみの一つになっています。


 ライブスチームのモデルもこれくらいでかいと、見た印象が実車とほとんど変わらないですね。しかも保存車と違いユーザーがその気になればいつでも走らせられるのですから(まあ、実際はそうでもないのでしょうが)


 博物館並みの細密さで室内を表現したカットモデル。
 室内灯の点灯ギミックがこれまた効果的です。

 シェイギアードのピストンアクションを間近で眺められるのもラージモデルの醍醐味。ギアードロコが展示されるといつでも最初に足が向いてしまいます。

 ただ、そこに居るだけで感じられる重量感はNはもとよりHOでも敵うところではありません。走らせるスペースがあるなら一度はやってみたいジャンルではあります(庭園鐡道とかも・・・でもメンテが半端なく大変そうですが)

 やっぱりまだ語り足りませんでした。
 続きは次回にでも

JAMの戦利品から・KATOのDF200と水野良太郎氏の思い出(笑)

2024-09-12 05:45:14 | 車両・ディーゼル機関車
「JAMには魔が潜む」
 2,3度このイベントを訪れて毎度帰途に就くたび、わたしが痛感する事がそれです。
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 会場限定品のグッズやモデルを買うつもりもなく、見学さえできればそれだけで満足できるイベントの筈なのに、帰り道には決まって「パンパンに膨れる買い物袋」
 そしてそれに反比例して寒くなっている財布の中。

 秋葉や中野の数年分の質の品揃えの中古モデルが並び、普段手に取る事の出来ない様なサードパーティ品が次から次へと袖を引っ張ってくるのですから、その誘惑に打ち勝つには相当の精神力が要ります。しかも集まってくる客筋がこれまた秋葉数個分の人数と熱気とディープさの持ち主ばっかりですから、殊に中古モデルなんかだと下手に見逃すと次に回る頃にはもう買われているなんて事もざらなのがJAMと言う場所だからたまったものではありません。

 まあ、わたしの買う様な物はライバルがあまりいないジャンルの物ばっかりなのが取り柄と言えば言えますが(汗)

 そんな訳で今回からしばらくはその散財の中身を紹介する事になりますがご勘弁を。

 前振りはそれくらいにして

 今回購入した中古モデルは前回おはなしした「鉄道模型の先人たちの回顧」が微妙に絡んだ物です。

 とあるブースで売られていた「箱なしハダカ売りのジャンク品」の中で目についたもの。
 それがKATOのDF200でした。
 実車はもとより模型でも現住地や故郷の中古屋でも出物を見かけないモデルだったので、最初は物珍しさから手にとって見たものです。

 (そういえば、今年のグランシップトレインフェスタで隣接する貨物駅に実車が展示されていましたが)
 同じJREのEH200とか500に比べて流麗かつ力強さを感じるフォルム、DF50や90よりも伸びやかなプロポーションにオレンジ基調のカラーリングがこれまたよく似合います。
 で、「これはなかなか」と思いながら手に取っていた時に思い出したこと。

 故・水野良太郎氏が今世紀の初め頃に出していた「鉄道模型を愉しむ 実践応用編」(東京書籍)という本の中でこのDF200に触れていた事でした。
 水野氏自身は外国型中心のHOゲージメインの方でしたから本書で取り上げられているご自身のコレクションで紹介されているモデルも90%がHOなのですが、その中にあって数少ないNゲージモデルの中で氏自身が走行性、造形の良さで手放せないと書かれていたのがこのDF200だったのです。

 発売時期から言ってNゲージの動力車が走りの質で満足行くレベルとなった頃の製品であり、造形面でもほぼ現在のレベルに近づいた物と言えます。実際わたし自身の印象もそれに近い物でした。
 ただし模型としてのコンディションは前述の通り箱なし丸裸の状態な上に、ナンバーは付いていても手すり類の取り付けなし(勿論同梱のパーツもありません)で褒められたものではありませんが破損リスクの大きいパーツやパンタグラフが元からないですから持ち帰るのはそう難しくありません。
 お値段は税込み3500円とどうにか手の出るお値段(笑)

 早速店員さんに包んでもらいました。

 鉄道模型と言うのは基本趣味の高額商品ですから、自分の趣味性に合致すれば高価な物でも手が出てしまうものなのでしょうが、その視点からすれば「誰か(有名人)が気に入っていたモデルだから買った」というのは本来邪道もいいところです。
 ですが、そういう買い物を敢えてさせるのがJAMと言う場所の持つ魔力の様なものかもしれません(と、言い訳してみる)

 帰宅後走行性をチェックしましたが旧製品のEF200よりも若干スムーズさに欠ける物の、水準内の走りは見せてくれました。
 このロコの様にフォルムそのものに魅力が感じられると、手すりが無いのも意外と気になりませんし(まあ、これからASSY探しはやりそうな気はしていますが)

JAM2024に思うこと感じること

2024-09-11 05:42:41 | 思いつくままに・考察
 今回はやや感想めいたはなしから。

 やたら捉えどころのない文章になってしまっていますが、今のわたしにはこれが精いっぱいなのでご勘弁ください。

 今回、わたしがJAMに行きたいと思った理由のひとつは松本吉之氏や須津谷急行の車両展示、そして会場先行発売の小林信夫氏の本の購入がありました。
 この三つはどれもがわたしのホビーライフに少なからず影響を与えた存在でしたし、中でも松本、小林両氏はここ1年ほどの間に相次いで物故されただけに、その足跡を模型と言う形のある展示で偲びたいという思いもありました。

 わたしがこの趣味の中断中に手にした「鉄道模型考古学」はわたしにとっては中断期間中もこの趣味への興味と関心をつなぎとめたばかりでなく、趣味の再開後の方向性を決定づけた点でも大きな影響を与えたものでしたし、須津谷急行が掲載されていたGMのカタログは50年経た今でも私の宝物にして一種の経典となっています。
 亡くなる直前までTMSで活動されていた小林氏の功績は言うまでもありません。

 これらの展示や復刻はいずれも鉄道模型やHO/Nゲージなどの黎明期から勃興期にかけての進化の軌跡を俯瞰している性格を併せ持つもので、その意味からも単なる追悼以上の意味のある物だったのではないかと思います。

 何事もそうなのですが、鉄道模型の趣味それ自体も開拓者や先人が幾つものジャンルや新機軸を切り開いて行く中で、深さと広がりを形成してゆく過程を経ています。
 そして趣味のとっかかりの段階でそれらにリスペクトされた層が、成長するにつれて徐々に次代の主役になって行き、更にその後継者たちがまた新たなジャンルや深化を重ねてゆく繰り返しを経ていくものです。

 これはあらゆる「文化」に共通したプロセスであり、先人の残した有形無形の中から何かが次の世代(年齢ではなく新たなビギナーという意味で)に夢を与え、引き継がれてゆく事で次への文化の華が開いて行くものかもしれません。

 松本氏や小林氏の業績のひとつに、自分の年代よりやや上の、それらの先人たちの辿って来た進化のプロセスを旧製品の紹介とか、趣味のコンセプトの変化という形で文章化、書籍化する事で、次世代に興味と意欲を繋げてゆく橋渡しの役割となった事が上げられると思います。

 数年前からJAMでもこれらの先人を偲ぶ形の展示がいくつかありましたが、鉄道模型全般のイベントの中でこうした時代の節目を感じさせる展示・企画が続いている事は、次代のビギナーの中の何人かにでも夢と意欲を与えている点で大きな意味を持っていると思います。

 鉄道模型の趣味もこれまで紹介したレイアウトや車両模型のジャンルがあらゆる方向に広がりを見せる中、一方で趣味の原点回帰の一環としてこうした回顧展に足を運び、リスペクトされる人も増えています。
 それらを見るにつけ、趣味として80年は経過している鉄道模型のジャンルもようやくここにきて「歴史」とか「文化」を語れる趣味としての厚みと深みを加え始めている事を改めて感じました。


 今回の展示を眺めていてふと、そんな事を思ったりしました。

「TEZMO SYNDOROME」単行本化!!

2024-09-10 05:39:14 | 書籍
 今回のJAMで「これだけは買って帰るぞ!!」と固く決意していた(笑)本がいくつかあり、幸いにしてその目的も達成できたので、購入順に紹介したいと思います。

 まずは当ブログでもここ2,3年前から紹介(感想文というか思い出ばなしみたいな駄文の形で当ブログでネタにしてきた)の佐藤一繝作「TEZMO SYNDOROME」が待望の単行本化!
 しかもそれが特典付きでJAM先行販売ときたらこれは行かなければならないでしょう(笑)

 今回はこのためにあの大行列に並んで待ったと言っても過言ではありません(って、他の本もそうなのですがw)
 開場20分後の会場に入ってまず探したのがRM MODELSのブースでしたから、あの時のわたしが如何に焦っていたかが知れようという物です(爆笑)

 それだけに真っ先に本書を包んでもらった時には「これでここに来た目的の半分は達成した」とすら思えるほどの充実感すら感じました。
 コミック2冊買うのにこれほど焦ったのも本作の前人気がどれくらいか見当がつかず、買い逃しを恐れたからだったのですが、全くいい歳したおっさんが何やってんだか(汗)

 ですが手に取った本作は期待に違わぬものだったので、帰りの電車の中で一気に読破する勢いでした(恥)

 今回はWEB掲載の14話までを収録していますが、各話の加筆・修正に加えて末尾についていた各モデルの解説ページがカラーでリライトされているのでWEBを読んだ方でも満足行く中身になっていると思います。
 で、改めて一冊の本となった本作を読んでみて思うのは(WEBの時にはそこまで意識しなかったのですが)各話に詰め込まれた旧型Nゲージモデルに関する蘊蓄の情報量の多さと濃さ!
 
 紙媒体でスマホよりも紙面が広くなったために本来の情報量が明るみに出た様な印象でした。
 キャラクターの描き分けやストーリーの運び方などは従来の鉄道模型漫画とは一線を画しているばかりか下手な専門書よりも濃い情報を破綻なく落とし込んでいる辺りは次回紹介の一冊を含めて「新世代の鉄道模型漫画」の姿を感じさせるものです。

 これはぜひ続刊を期待したいところですね。

 余談
 今回の単行本のオマケにはイラストカードの他「ステッカーが付属」しています。

 これをどう使うかは文字通り「わかるひとにはわかる」ものですが、このステッカーだけ別売りしてくれない物か(2冊買えば良かったのでは?)