光山鉄道管理局・アーカイブス

鉄道模型・レイアウトについて工作・増備・思うことなどをば。
こちらはメインブログのアーカイブとなります。

TOMIXのワㇺ3500・カーリターダ付き(笑)

2021-12-30 05:29:54 | 車両・客車・貨車

 先日入手の中古モデルから。
 TOMIXのワム3500。これ自体は普通に売られている二軸貨車で特にどうと言う事はありません。

 ですがこのモデル、京都の鉄道博物館での記念モデルらしく、二軸貨車なのに20M旧車両も収まる通常のケースに収められています。

 最初、ワムの隣にある黒い物体が何だかよくわからなかったのですが、目をこれしてよく見ると何とこれが「カーリターダ」だったのには驚きました。

 念のために書かせていただきますと「カーリターダ」と言うのは昔の貨物駅でハンプ(丘)の頂点から突放された無人の貨車を側線に入る前に減速させるもので構造的には車のディスクブレーキのブレーキパッドに似た様なものと言えば良いでしょうか。
 (線路上のパッドで通過する貨車の車輪を締め付け、減速させる)
 いずれにしろ昔の貨物ターミナルで時折見られたものですが、一般のファンでもよほど年季の入った方が貨物ターミナルを見学するか、昔の記録映像でしかお目に掛かることの少ないという代物です。

 そんなものを貨車のおまけに付けてくるとは鉄道博物館恐るべし(笑)

 カーリターダのパーツは確か最近TOMIXから出た貨物列車のセットに付属していたものと同じ仕様と思われますが、これのためにいちいちセットを買わなければならない業腹さを思えば、これはかなりお得なアイテムと思います。
 (セット付属の物は既存のレールにパーツを組み合わせる形式です)

 ワム3500自体も当鉄道で不足気味の木造有蓋車なので有難い1両です。
 9600や8620なんかには良く似合いそうです。

KATOの「三菱FTO」

2021-12-29 05:26:34 | アクセサリー

 先日サブブログで「トミカにならなかったそいなみ車(そういえばいつの間にか見なくなってしまったクルマ)」のひとつとして三菱FTOを取り上げたことがありました。

 その際に「FTOのミニカーはKATOがHOスケールのものを出したっきりで、たまに出物でもあるととんでもない値付けになっている」とも書きました。
 もちろん、それを書いた時点で「FTOのミニカーにお目にかかることなどないだろう」とわたし自身思っていたのですが、まさかそれから二月も立たないうちにそれにお目にかかるとは。

 ここでおさらいしておきますと、三菱FTOというのは1994年に登場し、その年のカーオブザイヤーを獲得したGTカーです。
 セリカやシルビアを仮想敵として2リッターのV6エンジンや学習機能付きマニュアルモードATなどの先進装備を搭載。
 加えて他車にはない個性的かつアグレッシブなフォルムで一時期かなりの人気があった車です。

 ですが登場のタイミングがミニバンやSUVの人気に火が付き始めた時期と重なったため、後半は人気が失速しひっそりと生産を終えてしまった悲劇の車とも言えます。そのせいか当時はミニカー化の機会に中々恵まれず、KATOがミニカー市場への参入を期してリリースしたものが数少ない製品化となっていたものです。
(同時期、KATOは他にトヨタスープラや日産フェアレディなどを製品化しています。但し43分の1かHOスケールですが)

 先日立ち寄った中野の某店での出物で、その「KATOの FTO」を見つけたとき、「まさか!」の思いで一瞬固まりました(笑)
 お値段は3000円ちょっとで、最近の奥の落札相場より心持ち安い程度。
 ですが、この機会を逃すと後悔する様な気持ちになって、つい手を出してしまいました(汗)
 間違いなく今回の上京で1番の散財です。

 87分の1のHOスケールなので、一見貧弱に見えるくらい小さいのですが、そこはNゲージや16番で鳴らしたKATOの造形。
 曲面を駆使した、ぬめっとしたフォルムの造形はサイズを超えた存在感を見せます。このスケールで5穴のホイールもきちんと造形していますし、インテリアも色刺しのない黒一色ながらきちんと造形されています。
 (加えてドアミラーも別パーツ化ですよ、奥さん!)

 プラ製ミニカーにありがちな「重々しさの欠如」と言う欠点に対しては「シャシをダイカスト製にして落ち着かせる」というハイブリッド構成。
 総じて、サイズの割にはかなり手間を掛けたミニカーという印象で、同じメーカーのフェアレディよりも好感が持てます。

 唯一難を言わせてもらうなら、白のボディカラーがボディの抑揚を感じにくくさせている点で、写真に撮ると白飛びがひどく「白い塊」にしか見えなくなってしまう事でしょうか。

 それにしても
 このあまりにもアヴァンギャルドなデザインのFTOが似合う様なHOの日本風レイアウトというものは、わたしにはちょっと想像ができません(笑)

「テツモシンドローム」と「TOMIXの商店」のはなし

2021-12-28 05:23:26 | ストラクチャー

 今回は先日更新されたWEBの鉄道模型マンガ「TEZMO SYNDOROME(テツモシンドローム)」の第10話に触発されたネタです。

 内容は、鉄道模型女子の主人公、風奈がダイレクトメールの葉書に触発されてミニパイクの製作を夢想する話でしたが、その題材に選ばれたのが「TOMIXの商店」だったのにピンと来てしまいました。

 今でも大概の模型屋さんに置かれ普通に売られている上に、中古ショップでの出物も比較的多いアイテムなだけにあまり意識されることがありませんが、TOMIXの商店はリリースから優に40年近く経ちながら、今でも支持されている「偉大なる凡庸」的存在のストラクチャー。

 わたし自身、この趣味を始めて最初に買った一般建造物がこの商店でした。

 木造モルタル2階建の看板建築が3軒並んでいる構成は、店舗としてごくプレーンな形状で面白みに欠けるのも確かです。
 この直後に出たGMのキット形式の店舗がTOMIXのによく似ていたせいもあって1980年代初め頃のNゲージのレイアウトの作例は「駅前の風景がどれも同じに見える」という一種無個性な状態になってしまいました。
 (同時期のKATOのストラクチャーで輸入キットの店舗ビルが出た時「レイアウト上の建物は一つでも種類の多いのが望ましく、特殊な場合を除いて同じ建物があちらこちらに目につくのは、どうしても興ざめするものです」などと、この点を皮肉った様な表現が当時のカタログにあったくらいですw)
 ですから各店舗にどう手を加えるか、どこで個性を見せるかが当時のレイアウトビルダーの腕の見せ所でもあったといえます。

 TOMIXの商店そのものはプレーンな形状な上に、各パーツがしっかりはまっていて完成品としての構造もしっかりしたものだけに、素材としても加工のしがいのあるものでした。
 漫画ではファザードの加工やガレージの継ぎ足しなどを計画していましたが、そこまででなくとも、ただ色を塗り替え、サッシに色刺しするだけでも相当にリアルになります。
 もちろん製品そのままの状態で、お座敷運転で線路際に並べてもそれなりに見られます。
 が、ここで加工の手間を惜しむか否かがコレクターとモデラーを分けるポイントの一つになっている気もします(まるでリトマス試験紙みたい)

 さて、この商店がリリースされて40年。
 その間にTOMIXやGMのストラクチャーもそれなりに充実しましたし、ジオコレやジオタウンの登場、みにちゅあーとのペーパーキットの出現などもあって、この種の商店ストラクチャーは飛躍的に種類を増やしました。

 面白い事に、こうしたストラクチャーが充実した結果、一番最初に出たTOMIXの商店がようやく「何種類もある商店の中のひとつ」という本来の立ち位置に立つことができた、と感じます。

 同じ形状の店が何十軒と並んだ中ではまるで映えないTOMIXの商店ですが、形の異なる何十種類もある商店街の中に紛れ込ませると、かつて没個性に見えた建物が実に生き生きして見えるのです。

 これを「偉大なる凡庸」と呼ばずして何と呼びましょう。

IGRいわて銀河鉄道7000系・KATOとマイクロを比較する

2021-12-26 05:33:09 | 車輌・電車
 前回に引き続き、IGRいわて銀河鉄道7000系0番代ネタ。

 実はNゲージ完成品でのIGRの7000系の製品化はこれが最初ではありません。
 もう20年近く前になりますか、仙台色の701系や青い森鉄道の701系とともにマイクロエースからIGR仕様もリリースされた事があります。

 わたしも10年近く前に中古を入線させていますが、20年くらいの製品化時期の差もあって「KATOの7000系が出たら相当に見劣りするのでは」とか危惧していたのも確かです。

 今回の入線に合わせてマイクロの仕様も引っ張り出して比較してみることにしました。
まず造形、質感の面から書きますとマイクロの仕様はKATOのそれよりもステンレスの質感がやや希薄。加えて青帯の彩度が強いのでKATOよりも派手な印象があります。尤も、これが実車準拠かどうかについては見る者によって印象や解釈が異なる面があるので一概に優劣を語れません。
 実際これが、どちらかだけだったらそう不満は感じない気もします。

 前面部の造形は、全般にマイクロの方が大味な印象。特にテールランプがかなり目立つ造形なのと、ドアの表現に些かラフなところも感じます。

 屋根のカラーはKATOのグレーに対してマイクロは車体色と同じ銀色でこれが最も違いを感じる点ではあります。

 と、造形に関しては20年の時代の差を感じざるを得ないKATOとマイクロの7000系ですが、話はここで終わらない。

 実はそれ以外の点でKATOとマイクロには違いがあるのです。

 まずパンタグラフは、KATOのシングルアームに対してマイクロは通常形。
 屋根上はKATOの0番代がクーラー以外つるつるなのですがマイクロは機器更新前の仕様でクーラーに並んでどっかりと抵抗器が乗った仕様。
 車体自体もマイクロの方はトイレ(車椅子スペース兼用)のついた仕様で今回のKATOとは車体こそ似ていますが異なる仕様なのです。よく見るとスカートも異なるものがついていますし。

 走行性はマイクロの方がガサツな走りなものの、4軸駆動なので勾配には強い(と言うよりも普通の電車並の登坂能力ということなのですがw)と思われます(この点についてはKATO共々勾配線を試走させてみたいですが)

 つまり今回KATOの7000系が出た後でも、マイクロの製品にもそれなりに存在意義はあると言うことになります。マイクロは4連セットなので4連編成はもとより、動力編成とトレーラー編成の使い分けもできますし。

「STEAMで深まる鉄道模型」

2021-12-25 05:31:49 | 書籍
 落合南長崎の聖地での戦利品から。

 先日、当ブログで「高圧鉄塔キット」の話を書いた時に「STEAM」の概念の話に軽く触れました。
 その時はその話はそれで終わったつもりでいたのですが、ホビセンの売り場に「STEAMで深まる鉄道模型・Nゲージ、ジオラマのデザイン力」というブックレットを見つけました。

 総32ページの映画のパンフレット並みの薄さですが、そこで書かれていた事は鉄道模型の魅力を「考えながら作る」という観点で実にわかりやすく纏めているのに驚かされました。
 一冊110円とお値段的にもリーズナブルでしたし、早速購入した次第です。

 本書では主にジオラマ作りの観点からコンセプトの設定、自然観察に基づいたシーナリィ表現、建物類の製作・改造の仕方、ジオラマの視覚的表現、工具の選択など多岐にわたる視点で「考えながら作る」「作りながらセンスを磨く」「何を表現したいのかを明確にする」事が要領よく描かれています。

 しかもそれらが文章一辺倒ではなく、写真や図版を豊富に使い視覚的にもわかりやすい上に、さらに深く探究したい人向けのガイドとしての書籍やHPも同時に紹介していると言う親切さ!

 個人的な印象では、かつての「○年の科学\学習のノリでジオラマ、レイアウトの作り方を出してみた」という感じを受けます(笑)

 ここで書かれている概念はシーナリィ付きのレイアウト作りやモジュール製作などで、私たちが無意識にやっている事を言語化したものと思います。
 ですが、出版物としてそれらの概念をこれほどわかりやすく言語化した書籍は、これまで無かったのではないでしょうか。
 これまでの入門書がもっぱら具体的な技法の解説に重点を置いていた一方で、根本にあるコンセプトの設定については抽象的かつ不消化に終わっていたのとは対照的です。
 そして、これこそがビギナーに鉄道模型の魅力を伝える上でとても大事なことではないでしょうか?

 今回、聖地で同時に購入したPecoのブックレットもこれと同じ様に、レイアウトのコンセプトの設定について直裁的な書き方で簡潔ながら深い表現をしていました。
 これまでマニア視点の延長で本を書いていた一般入門書に比べて、メーカーサイドの出版物がここまで抽象的な概念を具体化した本を出す様になったと言う事には驚かされました。

 本書はSTEAMがどうとかは関係なく、単にレイアウトづくりを目指すユーザーにとって入門書としても良書の部類に入ると思います。
 これがたった110円で買えると言うのですから全く凄い。

 今回の聖地探訪では模型そっちのけでこの手のブックレットばっかり買い集めてしまいましたが、それだけに満足度は非常に高かったと思います。

今月の入線車「KATOのIGRいわて銀河鉄道7000系 0番代」

2021-12-23 05:29:47 | 車輌・電車
 まずは、下の写真から。

 先日の帰省の折、通りかかった故郷の模型屋さんの店頭に貼られていたポスター
 「鉄道模型になります!」のフレーズとともに地元の「IGRいわて銀河鉄道 7000系 0番代」の製品化がデカデカと告知されておりました。

 KATOのIGR7000系は実はわたしも期待をかけていた一品です。
 何しろ故郷の田舎の沼宮内で見かける電車ですし、今ではあの辺で「電車」というとこれしか見なくなってしまっていますから。

 と言うわけで、先日予約していた7000系が届き、引き取ってまいりました(笑)

 前のEF30の時にも書きましたが、最近のステンレス車体のモデルは例外なくステンレスらしい質感の塗装がされています。7000系も例外ではありません。
 ステンレス車体にIGRのブルーの帯はよく映えます。だからと言って派手ではなく落ち着いた雰囲気を持っているのもこのモデルの美点でしょう。

 走行性は平坦路の2連であれば問題は感じません。ただ、聞いた話ですがこの種の片側台車駆動のモデルは「デスクトップレイアウトの勾配で息を切らしやすい」と言う話も聞きます。
 急カーブと勾配の組み合わせだと、登坂には少々注意を要するかもしれません。

 (おそらく4連2M走行に対応させるための処理なのでしょうが、実車は基本2連での運用ばかりなので気になるポイントではあります)

 行先幕は「八戸行」青い森鉄道乗り入れを想定しているのでしょうか。わたしなら素直に「盛岡行」にするところです。

 余談ですが、この7000系はIGRの通販サイトばかりか「盛岡駅でも売っている」そうです。故郷の駅で新品の鉄道模型が買えるとは凄い時代になったものだと(尤も、NewDaysの鉄コレは盛岡駅でも買えたはずですがw)

2年ぶりに「落合南長崎の聖地」を詣でる(爆笑)

2021-12-22 05:25:15 | 旅行・探訪・イベントなど

 先日の平日休、コロナの感染者が最小のレベルのこのタイミングでないとできないと思い、S660での上京を決行しました。

 前回の上京が昨年2月初めでしたから、22ヶ月ぶりと言うことになり、同時に今年最初で最後の上京ということになります。
 いや、それどころか「聖地」の最後の探訪は一昨年の今頃でしたから丸々2年開いています。

 わたしにとっては、この時期に「落合南長崎の聖地」ことホビーセンターカトーを詣でるのは、コロナ禍までは毎年恒例の行事(爆笑)でした。

 過去、このタイミングだと「年末のジャンクアイテムの特売」が開かれている事が多く、毎度毎度「いつもだったら買わないのではないか」と思えるようなものも入手していました。
 (下の写真はその一例)




 それを別にしても、ここを訪れるとマニアの作ったレイアウトの作例を生で見られるとか、試作品を眺めてKATOのトレンドが奈辺にあるのかを探ってみるとか、精選された書物や資料を俯瞰するとかなど、見ているだけでウキウキさせてくれる物にも当たるので空手で帰った事がありません。
 (例えそれが、お持ち帰りのチラシの類であったとしても・・・です)

 いわば、この時期の聖地探訪は「暮れのハイな気分を発散させるお祭り」みたいなもので精神衛生上も結構救われていたところがあったと思います。
 それが昨年から今年にかけてはコロナ禍のおかげで、まる2年それができないでいた訳ですから、如何にこの時期が尋常でなかったか今更ながら実感されます。

 毎回来るたび、別に変った事もないのに必ずカメラに収める「ホビセン前の京急268」
 本当に毎回凝りもせずこれをやっているので、もうほとんど「参拝」のノリです。

 生憎今回は処分品コーナーがなかったのですが、それを補って余りある収穫を得る事が出来ました。
 まる二年我慢した甲斐もあったというものです(その割に肝心の「模型を買っていない」のですが)

 今回の戦利品とそこに触発された事については次の機会に。

「大人の鉄道模型入門」

2021-12-21 05:23:41 | 書籍
 今月入手の鉄道模型本から

 松本典久著「大人の鉄道模型入門」(天夢人)
 初版が今年の9月ですからこの種の入門書としては最新の一冊という事になります。

 書籍形式の鉄道模型の入門書は店頭で見かけたら、一応手に取る様にしているのですが、最近のはムック形式の大判本が多く「寝っ転がって気楽に読める」形式のものにはなかなかお目に掛かれません。

それを別にしても、ムック形式の入門書は写真が豊富で華やかな印象なものの、パートによって書き手が異なる場合が往々にして見られるせいか、妙に散漫な印象を受ける事があります。
 対して、書籍形式の入門書は個人著作である事が多く、ジャンルの得意・不得意や趣味性が本にも反映しやすい弱みはあるものの、書き手の顔が見えるという点で本としての統一性を感じやすい特徴があります。
 これらは一長一短ですが、書籍形式の本格的な入門書にはここしばらくご無沙汰していたので、本書はかねて期待していた一冊でした。

 本書は最近では珍しいA5のお手頃サイズで読む側からすれば有難い。


 内容は基本的にNゲージのレイアウト、HOの車両工作(真鍮モデル)を中心に基本的な工作テクニックを紹介したものですが、作例が豊富でしかもすべてがカラー写真で描かれているのでわかりやすいと同時に読むだけでもワクワクさせる構成。
 この「ワクワク感」が得られるというのは入門書にとってとても大事な事と思います。

 入門書として目新しいのはレイアウトのほかにいわゆるパイクの作例を複数掲載している事。
 それと、昨今の小径カーブが充実しているレール展開を見据えて奥行き30センチ程度の小レイアウトを作例にしている点が目を惹きます。

 従来、レイアウト造りで一番大きなハードルだったのがスペースの問題でしたから「A3サイズで運転が完結したレイアウトが作れる」事を紹介しているのは「これならやってみようかな」という気にさせる点で大きなアピールではないかと。

 車両工作もアルモデルの小型車両と言う入門者向け真鍮キットを選び、これもビギナー向けの素材を用いて工作の基礎を体得してもらう事に重点を置いている印象です。最近はアルナインの「とて簡」をはじめ、KATOからもナローゲージモデルで真鍮工作キットを出し始めていますから、その意味でも時宜を得た内容ではないかと思います。

 読んでみた印象では、全般の内容も文章と写真のバランスが取れており、ツールや重要事項は太字で描かれている配慮もされています。
 (中学の参考書みたいな構成と言えばわかりやすいかな)

 個々のテクニックについては、基本事項のほかに作者が実践の上で編み出したノウハウも適度に取り入れられていて、私の様なキャリアだけ長くて技量がビギナーに毛の生えたレベルといったファンでも参考になる部分は多いと思います。

 本書ははじめて鉄道模型というものに興味を持った読者(それもある程度の年配者)には比較的とっつきやすい内容で、ビギナーにはお勧めできると思います。

カーコレ80のクラウンピックアップ

2021-12-19 05:49:25 | アクセサリー

 久しぶりに80分の1ミニカーネタから。
 カーコレ80ではトヨタクラウンがいくつか出ているのですが、その中でも最も曲者のアイテムです。

 先日、TLVでハードトップ仕様が話題をさらっている(ミニカー界隈での話ですが)3代目MS50クラウンの「ピックアップ仕様」

 実はクラウンは初代から3代目まではラインナップの中にピックアップが設定されていました。サイズ的にのちのハイラックスに相当する大きさですから、日本車の種類が少なかった当時は、それなりに重宝された存在だったと思います。

 中でもMS50のそれは、クラウンで初めてパーソナル仕様のハードトップが設定された型と同じですから、垢抜け度も他のトラックやピックアップよりも高く、今見てもスタイリッシュなデザインだと思います。

 ミニカーの造形も16番スケールとしてはなかなか良く、セダン流のロングノーズに短いキャビンを組み合わせたプロポーションはサニトラよりもカッコよくすら見えるほどです。
 (日本車でこれに似ているのはスバルレオーネベースのピックアップとして北米に輸出されていた「ブラット」辺りでしょうか)

 ただ、ミニカーのカラーリングは「クラウンなのに堅気の感じが全くしないw群青色」モール類の「光りものの色刺し」も「酒屋や農家で使うことを考えていなさそう」ではあります。

 実際、わたしの子供の頃の記憶を手繰ってみても「MS50ピックアップの実物」をみた記憶があまりありません。お遊び用のパーソナルユースでピックアップが注目されはじめたのはこれよりも5年から10年後の話です。

「別冊太陽・蒸気機関車の旅」

2021-12-18 05:45:29 | 書籍
 帰省の折に古本屋に立ち寄る行為は、ここ20年くらい帰省時の習慣と化しているのですが(汗)最近はわたしの故郷の様な田舎でも、古本屋で鉄道模型を扱うことも増えましたから拾いものを得ることも増えました。

 ですが、古本屋で買う物といえばやっぱり本な訳です。
 同じ古本でも、故郷で買うのと東京とか現住地の古本屋で買って自宅で読むのとは、やっぱり気分が違う。
 用事を済ませて寝床に入った時の寝酒がわり、時期によっては「帰りの新幹線の車中で読み通す」為の古本である事が多く、そこで読んだ古本類が「帰省の思い出の一部」として心に残るものです。

 ですから故郷では、普段現住地で拾わない題材の一冊に手を出す事も多くなります。
 今回拾ったのは「別冊太陽・蒸気機関車の旅」(平凡社)
 1972年の5号ですから、かつての蒸気機関車(SL)ブーム真っ盛りの時期の出版です。

 「別冊太陽」といえば我が国最初のビジュアルマガジンとして知られています。毎号テーマを変えて、1ページ大か見開きのグラビアとともに紀行文や随筆を並べた構成で「昼下がりにこれを眺めているだけで一瞬セレブみたいな優雅な気分にさせてくれる」不思議なステイタス性があります。

 実はわたしの実家にも地域柄「宮沢賢治」「石川啄木」の2冊があるので帰省のたびに目を通す事もあったのですが、鉄道ネタがあることにはなかなか思い至りませんでした(大汗)

 故郷の古本屋(というかカラ●ツト●インですが)にこれがあったのも何かの縁でしょう。お値段も古さを反映して一冊110円でしたし。

 実家の布団の中でこれを読んでいると、他の「別冊太陽」を読んでいる時と同様に、何だか優雅な気分になります。

 高井有一、加藤秀俊、古井由吉の随筆、山口瞳と高橋義孝の「鉄道対談」滝田ゆうの漫画を中心に根室から指宿までの「SL乗り継ぎ日本縦断旅行」が描かれていますが、専門誌のようなマニアックさはない代わりに、専ら読む側の情緒に訴えかける構成で肩肘張らずに読める所が専門書と違うところ。

 厳冬期の北海道から始まり東北の五能線、羽越本線、飯山線を通って長野へ、京都から岡山、伯備線を米子へ向かい山陰線で下関へ、門司から都城を経由して指宿へ抜けるルートは意図的にか、当時蒸機がそういうところばかり走っていたからからなのか「絵に描いたようなローカル風景」が連続しますが、そういう風景に蒸機がまたよく似合います(というか、写真映えする)

 他の題材でも言えますが、こういう雰囲気作りがこの雑誌の真骨頂なのでしょう。

 いくつか通して読んでいると「いい意味で」心地よい眠気に誘われるご利益もあります。

 とはいえ、古来文学者に鉄道マニアやファンが多かった歴史もあって見当外れも目立たず、その意味でも安心できる一冊と言えます。

 あと、余談ながら1972年という時期から「40年前のグラビア広告」が意外な拾い物。
「ブルーバードU」と呼ばれていた頃の610、まだ健在だった頃のPAN AM、バリバリの新製品だった頃の「ヤクルトジョア」今では一般紙での 広告そのものが見られないであろう「ナショナルストロボ」などなど。
 雑誌というのは書籍とは比べものにならないくらいに時代を強く反映する書物である事を実感します。

鉄コレの「鹿島臨海鉄道キハ8000形」

2021-12-16 05:41:42 | 車両・気動車
 先日の帰省で見つけた入線車から。

 鉄コレの「鹿島臨海鉄道キハ8000形」です。


 わたし的には鹿島臨海鉄道と言うとまず連想するのが「ガルパン列車」でお馴染みの6000形なのですが、現在のこの鉄道の主力は6000の後継機たる今回の8000系という事になるらしいです。

 確かにモデルを見ると田舎もののわたしなんかがから見て「到底気動車に見えない垢ぬけっぷりと都会っぽさ」を強く感じます(笑)
 20M級3扉のボディでしかも「真ん中の扉が両開き」
 少なくとも私がイメージする「気動車」からは相当に異なる雰囲気なのは間違いありません。

 前面も、どこかの電化私鉄で使っていそうな垢ぬけたデザインで、キハ100とかJRの東海のキハ25とは異なるノリのデザインの気動車と思います。

 それに加えて、とっさに似たカラーリングを思いつかないアイボリーとブルーのツートンカラーにピンクの帯を配し、見ているだけで楽しそうな車両に仕上がっていると思います。

 ただ、前から見ると上半分の青の彩度が強いので、せっかくブラックアウトさせた前面窓が目立たなくなってしまっているのが惜しいと言えば惜しいところ。

 わたしの手持ちの6000もトレーラーなので、今回の8000も動力化するかどうかは未定ですが、二つを並べるだけで手軽に「鹿島臨海鉄道っぽい雰囲気」は楽しめそうです。

KATOの「高圧鉄塔」

2021-12-15 05:40:08 | ストラクチャー

 最近、ショップの店頭で「STEAMで深まるNゲージキット」という製品をよく目にするようになりました。
STEAMというのがどういうものか今ひとつわからないのですが、Wikipediaだと「生徒児童の数学的、科学的な基礎を育成しながら、彼らが批判的に考え(批判的思考)、技術や工学を応用して、想像的・創造的なアプローチで、現実社会に存在する問題に取り組むように指導する」一種の教育概念らしいです。
 やっぱりよくわかりません(大汗)

 鉄道模型の世界にもこうした概念に準拠する形でキットメイクをさせる製品が出てきたのは面白い試みではあると思います。
 KATOではナローゲージのペーパー車体機関車キットとはんだ付け工作によるナローゲージ貨車キット(はんだ鏝をはじめ、はんだやフラックスも同梱している入門キット)なんかを出している様ですが、ヘルヤンで製造してKATOが売る形態の「高圧鉄塔キット」もその中に入っています。

 このキットは以前からKATOの通常品でも出ているプラキットなのですが「STEAMを絡めた12ページのフルカラーブックレット付」なのが特徴らしいです。組み立て方法だけでなく高圧鉄塔の特徴なども解説した「図鑑」の要素も併せ持っている様です。ですから完成の暁にはいっぱしの「高圧鉄塔博士」にもなれるかもしれません。

 まあ、私の場合このアイテムは、店頭で軽く手に取って見る程度だったのですが、その帰りに「通常品の鉄塔キット」が中古で並んでいるのを見つけて手を出してしまいました。
 まあ、こちらのは未組み立て品とはいえ、外箱がボコボコだったせいか、500円でしたし^ ^

 STEAMはともかくとして、KATOの鉄塔はサイズ的にはジオコレのそれほど大仰なサイズでなく、形状も比較的好ましいので機会があれば入手しようと思っていたモデルではありました。お値段も手ごろだったのでまあ、渡りに船ではあります。

 なお、今回のSTEAMシリーズではひとつだけ気になっている製品がありますが、入手した物かどうか検討中です。

モジュール改修2021から 石垣の壁を追加する

2021-12-14 05:31:32 | ミニSLレイアウト
 ミニSLレイアウト・棚幡線モジュール改修のはなしから。

 以前から書いていますが、元々このモジュールは鉄博風モジュール、鉄道の街モジュールと上屋はたびたび変わっていますが基本的に同じベースボードを使いまわしシーナリィだけを差し替える形式でやってきました。

 最初に作ったのが鉄博風モジュールで、その時に線路の固定などの基本的な工程は済ませているのですが、その当時は上屋にミニSLレイアウトを乗せる事を想定していなかったので「鉄博の最寄り駅」としてのホームも固定してしまっていました。後に「鉄道の街」を作った時もホームだけは鉄博の駅と同じものを使い本屋だけ差し換えて対応していた訳です。

 ところが後になってミニSLレイアウトをモジュールに組み込んだ時に、この「固定してしまったホーム」が厄介の種になりました。
 どこから見てもローカル風景のレイアウトのベースの下に「謎のホーム」が現出し、実に締まらない状態になったのです。

 それでも過去のイベントではこの状態を強行する形で、ホームを固定したまま使っていました。まあ、大概のギャラリーは上屋のミニSLレイアウトに注目してくれていたので、どうにかごまかしは聞いたのですが、次回グランシップにこれを出すとなると流石にごまかしきれません(大汗)

 今回の改修では固定して合ったホームを(ようやく)取り外し、その跡の処理としてGMの石垣を当てて処理しました。
 ミニSLレイアウトとモジュールの本線とは5センチ程度の高低差がありますから、それを埋めるには石垣か突堤風の処理が最も適当です。

 石垣のユニットはモジュールの差し渡し一杯、900ミリ前後を使いましたが石垣2セット分、5枚半くらいの長さになりました。
 これをスタイロの支持材に接着し取り外しが自在にできるように加工します。

 シーナリィとしてはかなり異様な風景になりますが、元々がもっとひどかった(大汗)なので、これでも前よりは落ち着いて見えます。
 あとは継ぎ目の違和感がなくなる様な植生などの加工が必要でしょう。

 試しに列車を配置してみましたが、どうにか見られるようです。

「週刊JR全駅・全車両基地 盛岡駅」

2021-12-12 05:08:10 | 書籍
 この夏、塩尻行きで入手した一冊ですが「塩尻まで行って買ってきたのが盛岡駅の本」というのが何とも、ですね(汗)
 「週刊JR全駅・全車両基地 盛岡駅」(朝日新聞出版)

 購入動機は勿論、取り上げられているのがわたしの故郷の駅だからです(汗)
 本冊は2013年現在の盛岡駅の現況を中心に、東仙台〜盛岡間の東北本線・仙山線・石巻線の74駅を俯瞰した構成です。

 わたしの幼少時の盛岡駅は、盛岡機関区、国鉄盛岡工場を併設して街の規模に比べると異例の広さを誇っていた物です。
が、機関区や工場の廃止に伴いそれらの土地の大半が再開発区域となり、今ではビルが林立する「ローカル副都心状態」となってしまいました。
 が、それでも現在の駅そのものの規模は在来線ホーム5本と新幹線ホーム2本を擁し、東北本線を軸として秋田と宮古へのジャンクション機能を持つ地域のターミナルとしての威容を誇っています。

 その一方で、ミニ新幹線の開業や東北本線から第3セクター化したIGRのターミナルも併設したため昔からは想像できない位に内部が複雑化してしまいましたが。

 本冊は写真や図版を駆使してそららの概要を纏めていますが「同じ形の電車なのに狭軌と標準軌の路線が並び立つ線路配置」「新幹線ホームに色灯式信号機」「跨線橋利用の倉庫」とか微妙にユニークな駅の特徴が要領よく理解できる構成が素敵です。

 そういえば私が子供の頃は昔の跨線橋を使った記憶がありましたが、まさか倉庫になっているとは思いませんでした。
 また、盛岡駅にはごく最近までホームに上がるための地下道と地下改札口もあったのですが、現在は改修されて西口と東口を結ぶ自由通路になっています。こんな風に構造の変転が激しかったのもこの駅の特徴で、通史としての盛岡駅の本が何処からか出てくれないものかと思ったりもします。

 その一方で車両センターの方は、かつての機関区や客車区、工場の様な「あらゆるタイプの車両が並び立っていたバラエティの広さ」が今はすっかり薄れてしまい、事実上キハ100系と701系電車の巣窟状態になっているのに一抹の寂しさも感じましたが。

 それは置いておいて、
 本書は冊子自体も大判で軽いですから、寝る前に寝っ転がって読むには好適w

 という訳で購入以来、故郷の駅に想いを馳せる一冊としてなかなか楽しませて頂いております。

ふたつのEF30を比べてみる

2021-12-11 05:05:57 | 車両・電気機関車
 先日入線のKATOのEF30に酔っぱらい、酒の入った勢いだけで描いたようなネタですので今回はどうかご容赦を(汗)

 前回も書きましたが、NゲージのEF30はまず1987年にTOMIXからリリースされました。このモデルは造形から言って当時としては最高に近い水準のモデルでしたが、あいにくリリースの時期が私の趣味の中断中の時期と重なってしまったため当時は注目していませんでした。
 趣味の再開後には通常品のEF30は店頭から払底していたのですが、たまたま記念製品でレールクリーニングカーとセットになった「1・2号機タイプ」と言うのがリリースされたのを幸い、ようやく入線させた思い出があります。

 (因みに実車の1・2号機はコルゲートがない仕様で、量産型とは長さも異なるので「タイプ」と言う扱いになります)

 その後、中古モデルで通常タイプも入線しましたが、故郷でも地元でも見ない、私にとっては「特殊な機関車」という存在だったにも拘らずEF30はお気に入りの形式となりました。
 それからずっと後にKATOの仕様のEF30が登場した時には「すでにTOMIXの奴が複数入線しているし、今更いいか」とか思っていたのですが、最近になって何故か妙にKATOの仕様が気になりだしたという経緯があります。

 やはり車体の色つやの表現を中心に「バージョンアップ感」を感じたことが大きかったのかもしれません。

 で、念願かなってKATOのEF30も入線した訳ですが、この機会にTOMIXの旧製品と並べてみたという次第です(TOMIX自身も最近リニューアル品を出していますから、今回の比較はあくまでも「30年分のジェネレーションギャップの比較」という風にとらえてください)

 屋外の自然光の元ではKATOの色つやのリアルさが光ります(文字通りw)
 コルゲートの表現も旧モデルが細密感があるものの「筋の入った帯」の様に見えるのに対して、KATOのはリブの入ったより細かな表現となり、これもリアルさに貢献しています。
 前面手すりが一体造形から別パーツ化しているのもバージョンアップ感を感じさせる部分ですね。

 屋根上表現は旧モデルが配線と碍子が一体となったパーツですべてが銀色の成形色のままなのに対してKATOのは配線と碍子が別パーツ化され、しかも碍子が緑色となり、細密感を増しています。

 と、まあざっと並べるとこういう感じなのですが、だからと言ってTOMIXの旧モデルとの差が圧倒的かと言うと、これが案外そうでもありません。元々のTOMIXの製品がリリース当時としては最高水準だった事もあって、それほど大きな差が感じられないのです。

 特に屋上配線ですが、たまたま前ユーザーが配線やパンタのシューに色刺しをしたモデルがあり、その二つを並べると造形自体はTOMIXもかなり健闘している事が感じられるのです。このくらいのアレンジならばビギナーユーザーでもそう難しくはないでしょうし、その手間を惜しまなければTOMIXの旧モデルでもこのくらいのバージョンアップは可能と思います。

 尤も、KATOのは「別に手を加えなくても最初からこの水準のモデル」なのですが(笑)
 ここをどう解釈するかで評価が分かれるところでしょう。

 それに、こういう比較は本来なら現行のTOMIXと比べなければならない所ですから。
(強いて言えば「中古の出物でTOMIXの旧製品を見つけた時の参考」くらいしか役に立たない比較です)