先日の新幹線帰省の戦利品から。

帰宅当日、駅に向かう直前の時間を縫って地元の古本屋さんを3軒ばかり梯子してきました。
現住地と異なり、古くからの店や新しくオープンした店が交錯しているのが盛岡の古本屋の特徴で、ただ覗いて帰ってくるだけでもそれなりに満たされる気分になれるのが良いところです。
但し時間が逼迫しているのと、いい加減財布が薄くなっているので買えるものもそう多くはないのですが。
今回購入したのも「帰りの電車の中で読み切れそうな一冊」という事で選んだものです。しかも地域柄こういうのを買う意義はそれなりにありそうでしたし(汗)

物は文春文庫の「銀河鉄道の夜 探検ブック」(畑山 博 著)
岩手とくれば宮沢賢治、賢治と言えば「銀河鉄道の夜」ですが、本書は1990年代の出版界で流行した「○○の謎」(○○に「磯野家」とか「ウルトラマン」とか「古畑任三郎」とか「大槻ケンヂ」とか入れると当時のノリがご理解いただけるのではないかと)の亜種と言える一冊です。
とはいえ、題材が題材なので適度に格調高い構成になっているのが本書の特徴で、個人レベルの研究本としてはまとまっている内容でした。
「銀河鉄道は何両編成だったか」「機関車の動力は何か」あたりから始まって、「銀河鉄道連絡船」「車窓の景色がなぜ見えるのか」辺りからディープ度が加速し始め「水中列車としての銀河鉄道」「宇宙間逆風の秘密」「超時間の秘密」辺りまで来るとSFか哲学の考証本の様相を呈してきます。
が、それでも銀河鉄道以外の賢治の作品をいくつか読んだ事のある人なら何とかついて行ける内容ではあると思います。
元々「銀河鉄道の夜」という作品は生前の賢治が同じ原稿用紙に何度も推敲を重ねて書き上げた一編でして、本来の意味での完成を見ないまま賢治が死去したせいで作品の完成形が長い事不明だったという曰くつきの作品でした(いちおうの完成形が同定されたのもここ30年くらいの事です)
そのため童話として出版された時点で複数の異なる展開のバリエーションが存在した上に作中の用語も天文、鉱物、宗教など多岐なジャンルにまたがって居る為、読む人によって異なる解釈が可能となっている「読む万華鏡」みたいな作品と思います。
その意味では一面「シャーロックホームズ」や「ガンダム」に近い性質の作品と言えますが、それゆえに銀河鉄道の研究本も賢治がというよりもそれぞれの作者の解釈の妙を楽しませる感じがあって興味が尽きないのも特徴ではあります。

この本の作者は昭和47年の芥川賞受賞者である一方で「自宅の敷地に銀河鉄道始発駅まで建ててしまった」ほどの賢治ファンだそうですから、難解な用語を駆使していながら、ある程度読みやすく構成されており、帰りの電車の車内で読み通すことができましたし、読後感も割合良かったと思います。
(ここまで書いておきながら、肝心の内容が伝わらない文章になってしまいましたが)

帰宅当日、駅に向かう直前の時間を縫って地元の古本屋さんを3軒ばかり梯子してきました。
現住地と異なり、古くからの店や新しくオープンした店が交錯しているのが盛岡の古本屋の特徴で、ただ覗いて帰ってくるだけでもそれなりに満たされる気分になれるのが良いところです。
但し時間が逼迫しているのと、いい加減財布が薄くなっているので買えるものもそう多くはないのですが。
今回購入したのも「帰りの電車の中で読み切れそうな一冊」という事で選んだものです。しかも地域柄こういうのを買う意義はそれなりにありそうでしたし(汗)

物は文春文庫の「銀河鉄道の夜 探検ブック」(畑山 博 著)
岩手とくれば宮沢賢治、賢治と言えば「銀河鉄道の夜」ですが、本書は1990年代の出版界で流行した「○○の謎」(○○に「磯野家」とか「ウルトラマン」とか「古畑任三郎」とか「大槻ケンヂ」とか入れると当時のノリがご理解いただけるのではないかと)の亜種と言える一冊です。
とはいえ、題材が題材なので適度に格調高い構成になっているのが本書の特徴で、個人レベルの研究本としてはまとまっている内容でした。
「銀河鉄道は何両編成だったか」「機関車の動力は何か」あたりから始まって、「銀河鉄道連絡船」「車窓の景色がなぜ見えるのか」辺りからディープ度が加速し始め「水中列車としての銀河鉄道」「宇宙間逆風の秘密」「超時間の秘密」辺りまで来るとSFか哲学の考証本の様相を呈してきます。
が、それでも銀河鉄道以外の賢治の作品をいくつか読んだ事のある人なら何とかついて行ける内容ではあると思います。
元々「銀河鉄道の夜」という作品は生前の賢治が同じ原稿用紙に何度も推敲を重ねて書き上げた一編でして、本来の意味での完成を見ないまま賢治が死去したせいで作品の完成形が長い事不明だったという曰くつきの作品でした(いちおうの完成形が同定されたのもここ30年くらいの事です)
そのため童話として出版された時点で複数の異なる展開のバリエーションが存在した上に作中の用語も天文、鉱物、宗教など多岐なジャンルにまたがって居る為、読む人によって異なる解釈が可能となっている「読む万華鏡」みたいな作品と思います。
その意味では一面「シャーロックホームズ」や「ガンダム」に近い性質の作品と言えますが、それゆえに銀河鉄道の研究本も賢治がというよりもそれぞれの作者の解釈の妙を楽しませる感じがあって興味が尽きないのも特徴ではあります。

この本の作者は昭和47年の芥川賞受賞者である一方で「自宅の敷地に銀河鉄道始発駅まで建ててしまった」ほどの賢治ファンだそうですから、難解な用語を駆使していながら、ある程度読みやすく構成されており、帰りの電車の車内で読み通すことができましたし、読後感も割合良かったと思います。
(ここまで書いておきながら、肝心の内容が伝わらない文章になってしまいましたが)