高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

R2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問1・相隣関係・・・。

2021-04-14 08:01:31 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
ここから、令和2年の宅建10月試験の権利関係の民法を丁寧に見ていきましょう。

問1は、相隣関係です。結構よく出題されていますね。
・・・・・
問1 Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。

2 Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。

3 Aが、甲土地を囲んでいる土地の一部である乙土地を公道に出るための通路にする目的で賃借した後、甲土地をBに売却した場合には、乙土地の賃借権は甲土地の所有権に従たるものとして甲土地の所有権とともにBに移転する。

4 Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。
・・・・・

正解肢はズバリ肢1で、過去問でよく聞かれるところですから、問題はなかったと思います。
むしろ、得点できなかった人は、準備不足です。

その肢1ですが、自ら招いたものですから、不利益は受けなさい、ということですね。
共有物の分割によって、わざわざ公道に通じない土地が生じさせたときですから、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみしか通行することができず、さらに、償金(償いのお金)を支払うことも不要ですね。
妥当な利益衡量です。

肢2ですが、この場合、土地を囲んでいる他の土地を通行することができるのですが、どうやって通行していいのか、条文では書いていません。
歩いては当然ですが、自動車による通行を認めていいか、ですね。

ここも感覚的には、いいでしょう。
なぜかというと、この条文ができた時代を考えてみるといいのです。明治の30年代ですよ、条文ができたのは・・・。また、広大な土地であった場合には、どうなんでしょう。
その際には、馬車はあっても、自動車はまだないでしょう。
そうすると今に置き換えて、考えることも必要だということもありです。このようなアプローチの仕方をまた一つマスターできましたね。
どこかでこのような考え方を使ってみましょう。

判例は、「自動車による通行を前提とする通行権が認められることにより他の土地の所有者が被る不利益等の諸事情を総合考慮して判断すべき」だといっています。当然です。

肢3ですが、この問題を間違えた人は、これを○としている人が結構います。
何を勘違いしたのでしょうか、間違えた人は突き詰めておきましょう。

ここでの質問は、賃借権は土地の所有権の移転に伴って、当然に移転するのか、というものですね。従たるという言葉にうまくだまされないようにしてほしいですね。
賃借権自体を譲渡する契約などがあれば別ですが、やはりこの場合当然移転するのは、ちょっとおかしいでしょう。
ここは、賃借権は債権ですから、賃貸人の承諾を得てなら、AがBに賃借権を譲渡することは可能である、という知識を思い出すべきです。

肢4ですが、他の国家試験ではよくでるのですが、宅建では初出題ですね。
この通行権は、どういう性質の権利かということです。相隣関係で解決する権利とはどういう権利か、が問われています。
この「他の土地を通行できる通行権」は、その土地を見ると当然に認める必要性等がありそれを考慮して、法律上当然に発生するものなのです。どんな場合でも、誰に聞いても、助けなければいけないものなのです。
ですから、囲む土地が時効によって取得されたとしても助けなければいけない状況ですから、状況に変わりがない以上、やはり当該通行権は消滅することはないのです。

当事者が自分の意思で成立させた権利ならともかく、この通行権は、その土地を見に行けば当然通行させたいという権利ですから、取得時効などでも簡単にはなくなりません。
そういう権利もアルのだということです。

また、一つ力がつきましたね。

では、また。 



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高橋克典
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高橋克典
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