高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

すき間時間でR2年10月試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問7・保証・・・。

2021-04-26 05:09:38 | R02 本試験過去問“よーくわかる”解説
この年は、問2も保証で、この問題も保証でした。
問2は、改正点、ここは従来型の内容です。

正解肢は、基本的な内容ですが、その他に細かい内容の難しいものが出題されていて、それに引きづられてしまうのが、受験生の弱さですね。

・・・・・・
問7 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。
1 特定物売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示がない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合には、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証する責任がある。

2 主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担も加重され、主たる債務者が時効の利益を放棄すれば、その効力は連帯保証人に及ぶ。

3 委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。

4 委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。
・・・・・・

まず肢1ですが、「特定物の売買」であり、「売主側の保証人」が出題の意図です。
特定物とは、自分のことばで印象づけると、特定の物、つまり世界中で一つしかないほどのもの、という意識で当事者は売買をしているというものです。

そして、その買主ではなく売主の方の保証人ですから、何を保証しているんだろう、ということです。買主側なら、代金の支払いですから、それを支払わないと保証人が代わりにお金を払えるわけです。
でも、売主が自分の特定物を引き渡さないと、もう誰もそれを引き渡せません。保証人はなにを保証するの?

ですから、判例は、「債務不履行により売主が買主に対し負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合に、原状回復義務である既払代金の返還義務についても」保証責任がある、としたのですね。

肢2が×で、正解です。
原則は付従性があるのですが、常にあるかといわれれば例外もあるということです。
すなわち、「主たる債務の目的が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」のですね。保証人がかわいそうですもんね。
ここで決着。

また、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、それはその人の意思を尊重すればいいことで、人に迷惑を掛けてはいけないでしょう。
保証人は保証人でどうするか決めればいいので、その効力は連帯保証人に及ばず、保証人は主たる債務の時効を援用して、自己の保証債務の消滅を主張することができるのです。

肢3は、なかなか試験中にわかった、というほど簡単ではありません。△でいいでしょう。
まず弁済期前に債務の弁済をしていますが、これでも求償ができるか、できることをokとしました。
もちろん、実際に求償は、弁済期以後でないとできませんが・・・。

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合ですし、主たる債務者がその当時利益を受けた限度においてですから、その求償権を有することになっています。

この場合、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができることになっています。
各当事者のバランスを取っていますね。

肢4ですが、ここも細かいようですね。試験中では、△でしょう。
まず、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、改正による変更しました。
主たる債務者にあらかじめ通知しないで、債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができるのです。

この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができます。

以上から、委託を受けた保証人は、自発的に債務の消滅行為をするにあたり、あらかじめ主たる債務者に通知しなければ、同人に対する求償が制限されることがあります。

正解肢が、基本的なときには、他の肢を非常に難しくするパターンがありますので、それに心を奪われずに、冷静に判断できるように、この問題を通じて訓練してください。
単に知識だけをマスターすればいいのではなく、実際に試験ではどのような心の準備をしておくかを用意していくのです。

では、また。 


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高橋克典
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