WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

資本主義社会の矛盾

2021年06月01日 | このごろ思うこと
 
京都市長と府医師会長が先月、「9割非公表だったワクチン接種医療機関を全面公開する」と高らかに宣言したが、医療機関からの非難轟轟で昨日一転、「やっぱりやんぺ」とあいなった。「本来の業務に支障をきたす」というのが言い分らしいが、言い換えれば「ワクチン接種みたいな割に合わん仕事をしてお得意さんを逃がしたくない」というのが本音だろう。

テニスの大坂なおみ選手が、全仏の1回戦勝利にもかかわらず、記者会見拒否からさらに棄権することになったそうだ。最初の全米優勝以来、重圧からうつ病を患っていたという。
商品になるものなら何でも金儲けの対象となるのが資本主義社会だ。プロアスリートというのは、その高いパフォーマンスを商品として売ることで成立する。競技自体の観戦や、ひいき選手の勝利と喜びのインタビューはもちろんのこと、敗戦しての会見でも、競技に直接関係ない質問でさえも、多くの観客、聴衆、読者はそのつらい対応をも消費して楽しむ、そしてそれらが金になる世界なのだ。
 
ナダル、ジョコビッチはじめ大半のアスリートは、記者会見も、己と競技の商品価値を高める戦術の一つであることを、たとえ不本意であっても「理解」している。
翻って今、東京五輪はコロナで大揺れに揺れている。「五輪を目標に頑張っている選手が可哀そう」などというセンチメンタリズムが通用する世界ではない。最終的には総合的なP/Lバランスの判断が決め手になるだろう。
せっかく「BLM」で商品価値を大きく上げた大坂選手だったが、スポーツと資本主義社会のギャップへの理解が少々甘かったのは残念。
 
これらは医療、スポーツに限らず、資本主義社会における芸術、医療、環境、社会福祉など本来、利潤第一では必ず歪んでしまう分野に共通する弊害なのだ。スポーツと医療・福祉という、本来利潤を度外視してでも国民の(人類の)生きる喜びの要素としてあるべき2つが「利潤」でぶつかり合った結果の大混乱となってしまった。