梶原前知事の個人秘書業務の公費負担に関する住民監査請求について、監査委員は、あっさりと却下・棄却しました。
信じられないことの一例。
知事を引退した梶原氏が設立した団体の諸活動も公費の秘書の「随行業務」になっていました。監査委員はこの団体を「梶原氏の政治団体」と、ちゃんと認定したと述べているにもかかわらず、随行や関連支出は問題なし。
監査結果は、この文末に掲載。
こんなズサンで公私混同の県費の無駄遣いは許されないので、今後の再発防止のためにも住民訴訟します。12月21日に岐阜地裁に提訴する方向で訴状作りや経費の集計作業に入りました。こんなズサンな県費の使い方、裁判所が認めるハズがありません。
住民監査請求の内容や秘書業務の実態へのリンクは
◆前知事の個人秘書の県費負担問題。岐阜県の裏金と同じ私物化の発想。監査請求で陳述
ところで、今日は、こちら山県市議会の本会議での議案の質疑の日。
終了した後は、新聞の取材。
(12.22 追記 提訴/訴状や関連資料にリンク)
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● 住民監査請求を棄却 前岐阜知事随行者の旅費返還 12月1日 中日
梶原拓前岐阜県知事が会長を務めていた県の外郭団体「県イベント・スポーツ振興事業団」で、県派遣の職員が事業団と直接関係のない梶原氏の東京出張などに随行したとして、出張旅費や職員給与の返還を求めた住民監査請求について、県監査委員は30日、請求を棄却(一部却下)した。「事業団に全く関連がないとは認められず、支出は逸脱していない」としている。
請求した「くらし・しぜん・いのち 県民ネットワーク」は「県費の無駄遣いを認めるのは監査委員の資格がない」(寺町知正代表)とし、住民訴訟を提起する方針。
請求などによると、職員は昨年3月、梶原氏の会長就任と同時に事業団に出向。梶原氏が退任した今年8月までに、プロ野球有識者会議出席などの出張に約220回随行し、旅費は約283万円に上った。一方、県監査委員は、職員給与の9割の返還請求も認めず、昨年10月1日以前の請求分は「請求期間が過ぎている」と却下した。
● 住民監査請求を棄却 梶原氏出張随行の旅費返還 12月1日 岐阜
梶原拓前知事が会長を務めていた県の外郭団体「県イベント・スポーツ振興事業団」が、職員に業務とは関係ない梶原氏の出張に随行させたとして、梶原氏に職員の旅費などを返還させるよう求めた住民監査請求で、県監査委員は30日、「問題があるとは認められない」と請求を棄却した。
一方で監査委員は、梶原氏の出張内容について「詳細を明らかにする文書が確認できないため、県民から誤解を招く」との意見を付け加え、事業団が書類を整えるよう県教委に指導を求めた。
事業団は、県教委から派遣された職員が従事すべき業務に関し、産業、文化、スポーツなどのイベント・コンベンションの誘致、開催など5項目を取り決めている。監査委員は「職員の事業団における勤務は、取り決め書に基づいて行われている」と、問題はないと判断した。
監査請求した住民グループ「くらし・しぜん・いのち県民ネットワーク」の事務局を務める寺町知正山県市議は「監査結果は、県民の視点とあまりにかけ離れている」とし、12月中に住民訴訟を起こす構え。
● 監査結果
平成18年11月30日県政記者クラブ配付資料
第1 請求の受付
1 請求人
「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」寺町知正ほか請求人28名
2 請求書の提出
請求人から提出された請求は、地方自治法第242条に定める住民監査請求として平成18年10月2日付けで受理した。
3 請求の内容
請求書に記載されている事項及び事実証明書並びに陳述の内容から、監査請求の主張の事実及び措置の要求を次のように解した。
(1) 主張の事実
梶原拓前知事(以下、「前知事」という。)が会長を務めていた県の外郭団体「財団法人岐阜県イベント・スポーツ振興事業団」(以下「事業団」という。)の県派遣職員(以下「当該職員」という。)が、そのほとんどを事業団の業務とは関連のない前知事の個人秘書業務に従事していたので、前知事の随行に係る出張経費のすべてと、当該職員の給与の9割を前知事に返還させるように求め、知事は損害賠償請求すべきである。
① 補助金はその相手方の活動の公益性に着目して交付するものであるから、個人秘書の人件費や経費を補助することに公益性はない。
② 随行職員の旅費は、前知事個人が負担すべきものであり、不当利得である。前知事は損害賠償義務がある。
③ 個人秘書に係る支出は根拠を欠く違法なものであり、不法行為によって生じた事業団の損害について、ほぼ全額補助している県としては、知事あるいは教育長が事業団に対し返還請求すべき義務等を負う。
④ 知事及び教育長が返還・補填を実現させない場合は、知事及び教育長の財産の管理を怠る事実として違法である。
(2) 措置の要求
① 前知事に対して、出張に随行した当該職員(同種の行為を行った他の職員についても)に支給した随行の旅費・日当の諸経費の全て及び支給した給与・諸手当の9割を不当利得返還請求することもしくは損害賠償請求することの措置をすること。
② 上記の請求をしない場合、知事ら関係職員が賠償請求することの措置をすること。
4 請求人等の証拠の提出及び陳述
請求人に対して地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成18年10月30日に証拠の提出及び陳述の機会を与えた。
関係機関である、岐阜県教育委員会スポーツ健康課に対して平成18年10月30日に陳述の機会を与えた。なお、陳述は請求人の陳述に引き続き、関係職員等の陳述を実施した。
第2 監査の実施
1 監査の対象事項
当該職員の旅費、時間外勤務手当、通勤手当、勤勉手当等については、事業団が負担しているが、その原資は岐阜県からの補助金である。従って、県(スポーツ健康課)における岐阜県保健体育等振興補助金(イベント・スポーツ振興事業団運営事業)の支出、及び当該職員の給料・期末手当・扶養手当等の県費の支出が違法又は不当な支出に当たるか否かを監査の対象事項とした。
2 監査対象機関
教育委員会スポーツ健康課を対象として、関係書類の調査及び関係職員からの事情聴取等による監査を行った。
3 関係人調査
地方自治法第199条第8項に基づき、事業団に対して関係書類の調査及び関係職員からの事情聴取等による調査を行った。
第3 本件請求についての監査の結果
1 監査請求の期間制限の適用
地方自治法第242条第1項に規定する住民監査請求は、違法又は不当な財務会計上の行為により、地方公共団体に財産的損失を生じ、又は生じるおそれのある場合に、当該行為の是正又は未然の防止を目的としてなされるものである。
また、同条第2項では「前項の規定による請求は、当該行為があった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」としている。
本件請求では、請求人は、平成17年3月から平成18年8月までの当該職員に対する旅費及び人件費の支出を対象としているが、この内、平成17年10月1日以前の公金の支出については、対象となる財務会計上の行為としての公金の支出があった日からは既に1年が経過している。
請求人は、「個人秘書業務への諸支出は秘密裏になされていたから、支出から1年を徒過したことには正当な理由がある」と主張している。
正当な理由については、昭和63年4月22日最高裁判所判決によれば、「特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか、また、当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に請求したかどうかによって判断すべきものである。」旨判示しているところである。
この判決の趣旨を踏まえて本件請求についてみると、当該職員の旅費及び人件費の支出については、情報公開請求を行うなど相当の注意力をもって調査したときに、その事実について知り得ることができたと解される。
よって、請求人が本件請求の対象としている平成17年3月から平成18年8月までの期間の内、平成17年3月から平成17年10月1日までの期間における財務会計上の行為については、当該行為があった日から1年以内に住民監査請求を行うことが可能であったものであり、地方自治法第242条第2項ただし書にいう請求期間を徒過したことについての「正当な理由」があるとは認められないため、要件を欠き不適法である。
以上により、本件の請求の内、平成17年10月1日以前の支出に対する請求については、地方自治法第242条に定める住民監査請求の対象には該当しないため、請求を却下する。
2 事実関係等の確認
(1) 事業団に対する県補助金
当該職員の旅費については、時間外勤務手当、通勤手当、勤勉手当及び共済費事業主負担と併せて、事業団が支出しており、これらは、県から交付された「岐阜県保健体育等振興補助金(イベント・スポーツ振興事業団運営事業)」が充当されている。
(この間は一部を略して引用=gooブログが1万字しか入らないため)
上記のとおり、補助金の申請、交付決定、支出、実績報告、検査及び額の確定等いずれの行為も、交付規則等に基づき適正に執行されていることが認められた。
(2) 事業団へ派遣した当該職員の給料・扶養手当・期末手当等
当該職員は、平成17年3月2日付けで知事部局より教育委員会へ出向を命ぜられ、同日付けで、「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」及び「岐阜県公益法人等への職員の派遣等に関する条例」に基づき、教育委員会と事業団との間で「職員派遣に関する取決め書」(以下「取決め書」という。)を締結し、事業団へ派遣されたものである。
この「取決め書」の第3条において、派遣職員が従事すべき業務として、次のとおり規定されている。
一 産業・文化・スポーツ等のイベント・コンベンションの誘致及び開催
二 生涯スポーツの振興及び競技力の向上に関する事業の実施
三 一及び二の事業の推進に関する情報の収集及び提供
四 岐阜メモリアルセンター等の県から委託された施設の管理運営
五 県から委託された各種スポーツに関する事業の実施
また、派遣職員の報酬については、「取決め書」第4条において、給料、扶養手当、調整手当(給料及び扶養手当に係るものに限る)、住居手当、期末手当及び寒冷地手当は県が全額支給することと規定している。その他の報酬、旅費の支給及びその他の費用弁償については、事業団が支給することとなっている。
平成17年10月から平成18年8月分までの各月の給料、扶養手当、調整手当、住居手当については、教育委員会と事業団との間で締結された「取決め書」及び県の会計処理規程等に基づき、適正に支出されていた。
なお、支出金額等については、当該職員の額が特定されているため個人情報の保護の必要から公表はできない。
(3) 関係人調査結果
参考として、事業団が支出した会長秘書業務のすべてについて、事業団の関係書類の調査及び当該職員からの聴取を行った。
当該職員の旅費、時間外勤務手当、勤勉手当、出張に係る公用車のガソリン代、高速道路通行料、秘書業務用携帯電話通話料、名刺作成代の支出については、事業団の会計処理規程等に基づき適正に執行されていることを確認した。
なお、当該職員が前会長に随行出張したのは、平成17年10月2日以降に合計132回であった。
3 対象機関及び関係人の説明
(1) 教育委員会スポーツ健康課の説明
(ア) 事業団の前会長の職務及び当該職員の職務について
寄附行為で規定されている事業団の目的・事業における対象分野は、産業・文化・スポーツ等と幅が広いことから、当然、前会長の職務は極めて広範な分野にわたり、その形態も、懇談・面談、講演、情報交換、視察、儀礼等様々である。
また、県当局としても、全国的に知名度が高かった前会長が、各種講演会や有識者との面談等の活動を通じて、産業・文化・スポーツの分野をはじめとする県のPRをおこなうこと、幅広い人的ネットワークを活用した情報収集により会長としての活動を事業団の事業に還元していくこと、産業・文化・スポーツ等幅広い分野において県のイベント・スポーツ行政の補完的な意味でのアドバイス・提言を行うこと等の諸活動を期待していた。
このような事業団の目的・事業及び会長職務の性格から判断して、前会長の各種行事・会合等への出席はいずれも適切なものであり、当該職員も請求人が主張する「実質的な個人秘書」ではなく、事業団の職員として担当業務を遂行したものである。従って当該職員の旅費・人件費について請求人が主張する「個人秘書相当分」は存在しない。
また、当該職員は平成17年度は総務企画係長、平成18年度は企画係長として、事務分掌表にかかげる業務全般に従事していた。
(イ) 「日本再生研究会」の開催事業に会長が出席したことについて
「日本再生研究会」は平成17年3月に前会長を代表として設立された政治団体であり、同年5月に「日本再生を進める会」に名称変更されている。この「日本再生を進める会」が開催した「プロ野球を考える会」と「公共放送を考える会」に前会長が出席し、当該職員が随行しているが、上記の2つの会合は県内の有識者で構成され、スポーツや公共放送に関するテーマに沿って積極的な意見交換がなされたものであり、これらの会合を契機に地域住民のスポーツや公共放送に対する意見の集約や民意の醸成が図られたと考えており、事業団としての目的である「心身ともに健康な県民の育成と明るく豊かな夢あふれる県土づくりに寄与する」ものと考えている。
(2) 財団法人岐阜県イベント・スポーツ振興事業団の説明
事業団の前会長の職務及び当該職員の職務について、及び「日本再生研究会」の開催事業に前会長が出席したことについては、教育委員会スポーツ健康課と同様の見解である。なお、事業団としての補足説明は次のとおりであった。
前会長は各種多様な会合・面談・講演等に出席しているが、いずれの場合も事業団寄附行為第3条に規定する「産業・文化・スポーツ等のイベント・コンベンションを積極的に展開し、世界イベント村ぎふの発展を目指すとともに、県民に広くスポーツの普及振興を図り、心身ともに健康な県民の育成と明るく豊かな夢あふれる県土づくりに寄与することを目的とする」に合致している。
どのような会合・面談・講演等の行事に参加したかが問題ではなく、そこでどのようなことを行ったのかが問題なのであって、前会長はいずれの行事においても事業団の目的に沿った、岐阜県の産業・文化・スポーツの振興のためのアピール又は情報収集を行ったと考えており、事業団の会長職務として問題はなく、したがって当該職員の随行についてもまったく問題はないと考えている。
4 監査委員の判断
平成17年10月2日以降の支出にかかる請求については、これを棄却する。以下、その理由について述べる。
(1) 事業団に対する県補助金
当該職員の旅費、時間外勤務手当、通勤手当、勤勉手当及び共済費事業主負担については、県からの補助金として支出されており、当該補助金の公益性が論点となる。
請求人は、補助金はその相手方の活動の公益性に着目して交付するものであるから、個人秘書の人件費や経費を補助することに公益性がないと主張している。
地方自治法第232条の2によると、普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができると定められている。
地方公共団体が補助金を交付する場合の必要性の有無の判断は、当該地方公共団体の長等にその裁量が委ねられ、地方公共団体の長等が補助金の交付の際に行った判断に裁量権の逸脱又は濫用があるか否かに関しては、当該補助金の交付の目的、交付団体の事業の目的、構成員、活動状況等諸般の事情を考慮し、総合的に評価し決するべきものであるとされている。
この観点から見ると、本件補助金全体の支出は、本県の産業・文化・スポーツの振興を図り、県のイベント・コンベンション行政の補完的な役割を担っている事業団の運営に対して助成することが公益上必要であるとの判断から支出されたものである。また、役員秘書の秘書業務自体は、事業団の運営に必要な業務であることは明白であり、県当局においては、秘書業務はいずれも事業団の目的に資するものであると認定している。
事業団に対する関係人調査結果においては、前会長のいずれの出張用務についても、事業団の事業内容に全く関連がないと認められるものは見受けられないことから、補助金の交付目的を逸脱するものであるとは言えない。
また、地方自治法第242条によると、住民監査請求制度は、あくまで地方公共団体の長や職員等に違法・不当な公金の支出等があった場合においてのみ請求ができる制度であるが、県が執行した本件補助金の交付決定及び支出の行為自体については、補助金等交付規則・要綱・要領に基づいて適正になされており、違法性・不当性は見受けられない。さらに、額の確定行為においても、実績報告書等による書面審査を行い、必要に応じて個別事項の現地審査を実施しており、補助金等交付規則が求めているチェックの方法及び基準を満たしていると考えられ、当該額の確定行為に違法性及び不当性があるとは言えない。
以上のとおり、本件補助金の公益性の点においても、また県の補助金の支出行為自体の点においても、違法性及び不当性は認められないため、請求人の主張は認められない。
(2) 事業団へ派遣した当該職員の給料・扶養手当・期末手当等
県が支出している当該職員の給料、扶養手当、調整手当(給料及び扶養手当に係るものに限る)、住居手当及び期末手当については、一般的に、勤務の事実に対する対価及びそれに付随するものとして位置付けられるものであり、個別の業務への報酬として支払われるものではない。事業団から支給している時間外勤務手当、通勤手当、勤勉手当及び給与の一定割合を事業主が負担する共済費事業主負担についても同様であり、実費弁償的な旅費その他費用弁償とは異なるものである。
「岐阜県職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する条例」(昭和32年岐阜県条例第29号)においては、職員が勤務しない時の減額規定はあるが返還の規定はない。当該職員が「取決め書」に基づいて勤務し、その服務に特段の違法性がない限り、給料及び関連する諸手当等は当該職員に当然に支払われるべきものである。
当該職員の事業団における勤務は、「取決め書」に基づいて行われており、問題があるとは認められない。また役員の秘書業務は他の業務とともに当該職員の事業団における事務分掌として明確になっており、事業団において必要とされる業務の一環である限り、県が執行した当該職員の給料及び諸手当の支出について違法性又は不当性は認められないため、請求人の主張は認められない。
第4 付言
なお、本請求の監査対象は、県が事業団に対して交付した補助金及び事業団へ派遣した職員に支給した給与等についてであり、前述までにおいて、これに対する判断を示したところであるが、当該職員の旅費等の支給状況について調査を進める過程で、改善すべき事項が見受けられたので、県当局に対し、次のとおり意見を述べた。
(1) 前会長の出張内容の詳細を明らかにする文書が確認できないため、県民から誤解を招く一因となっていると考えられるので、事業団に対して関係書類の整備に努めるよう指導を行う等、事業内容の透明性を高められたい。
(2) 今後、事業団の事業の実施について、事業の公益性を明確にし、その費用対効果も含め、県民に対して十分な説明責任を果たせるよう、適時適切な指導監督を行う等、疑念の生じることがないよう強く要望する。
岐阜県監査委員(3名)
監査委員木股米夫 監査委員市川尚子 監査委員河合洌
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