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てらまち・ねっと



 昨日、12月21日、岐阜地裁に住民訴訟を起こしました。
 前の岐阜県知事の個人秘書業務を県職員にさせていた問題です。
 私のコメントの要点のいくつかは次のようです。

 「この公私混同、公金意識の欠如の岐阜県庁、県職員らの体質が、本件個人秘書業務の県費負担という事件の根本にある。」
 「本件すべての損害に関して、梶原拓には、第一義的に不当利得返還あるいは損害賠償義務がある。」

 今朝の新聞記事はまた改めて。   記事にリンク
 知事のコメントの要旨は「訴状が届いていない。内容を見てから対応を検討する」。

 今の知事の古田さん、昨年の2月に知事に就任。
 就任早々の昨年3月末、自分の知らぬ情報公開訴訟で、名古屋高裁で全面敗訴。その後、「負ける裁判はするな」との旨を職員に伝え、同事件は上告せずに確定。

 今回の住民訴訟、どうするのか、注目したい。
 職員の任命権者の知事の責任は免れないから。

 ところで、今日11時からは、岐阜地裁で、岐阜県裏金事件で逮捕された組合の役員の初公判。マスコミは注目しています。10時40分から傍聴券の配布らしい。

 とはいえ、私は、午前10時から、自分の議会の最終日の本会議。
 公判の様子は、夕方の新聞やテレビで様子を見ることにします。

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前知事個人秘書業務費返還請求事件 の 訴状など

◆前知事個人秘書業務費返還請求事件 訴状 PDF版 13ページ 263KB

◆同 訴状 別表 (返還請求金の積算根拠など) PDF版 1ページ 32KB

関連情報へのリンク

記者会見のことなどは

ここでは、訴状の要点を紹介します(詳しくは上記全文をどうぞ)。

       訴      状  

原告 寺町知正 外11名(目録の通り)
被告 岐阜県知事古田肇 
             請 求 の 趣 旨
1. 被告は、梶原拓、古田肇、原正之、鬼頭善徳、斉藤彰、朝倉芳夫、田代一弘に対して、連帯して、岐阜県に、金1106万4277円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払うように請求せよ。

2. 被告が、梶原拓、古田肇、原正之、鬼頭善徳、斉藤彰、朝倉芳夫、田代一弘に対して、連帯して、金1106万4277円を支払うように請求することを怠ることは違法であることを確認する。

3. 訴訟費用は、被告らの負担とする。
  との判決、ならびに第1項につき仮執行宣言を求める。

           請 求 の 原 因
第1 当事者
1. 原告は、肩書地に居住する住民である。
2. 被告は、岐阜県知事古田肇(以下、「被告」という)である。
3. 原告らが被告に対して、不当利得返還請求もしくは損害賠償請求するよう求める相手方は、以下である
 (1) 1989年から2005年2月まで岐阜県知事であった梶原拓個人。
 (2) (略)

第2 本件秘書業務がなされた経緯とその内容
1. 個人秘書業務の実態
 同事業団に出向させられた岐阜県職員(以下、「職員A」という)は、2004、5、6年度、事業団の業務と関係ない梶原前知事個人の出張の大半に随行し、講演やイベント出席の日程調整や連絡窓口を担当するなど、梶原前知事の実質的な個人秘書だった。
 (略)
 いずれも事業団の「あて職」の会長の職務とは無縁な行為や内容である。

2. 私的組織「日本再生研究会」
 (1) 梶原前知事は05年5月、「日本再生研究会」を発足させ、自ら代表に就任している。同研究会は梶原氏個人の政治団体である(監査委員の認定)。同研究会は05年6月にプロ野球や公共放送を考える会を設立している。いかに私的活動であるか、その一端を示す。

 (2)  プロ野球関係
 2005年4月23日には、「プロ野球有識者会議の初会合 座長に梶原氏」と報道されている。
 2005年6月27日には、日本再生研究会が「プロ野球を考える会」を設立。
 (略)

 (3) 放送関係
 2005年6月27日には、日本再生研究会が「公共放送を考える会」を設立。
 (略)

3. 梶原に随行した職員Aの随行業務の一部は以下のような実態である。
  (略    このページの「随行業務の実態」と同じデータ)

4. 明らかに個人秘書
 岐阜県庁の裏金事件(後述)に関して、事件の発覚した2006年7月5日以降、梶原拓前知事には新聞、テレビ、雑誌などの取材や面会要請が殺到した。9月6日の会長の辞職まで、前知事の裏金責任を問う取材や会見などに関しても、当該の秘書が公務として対処していた。

5. まとめ
 以上のとおり、本件秘書業務は、徹頭徹尾、民間人としての梶原個人の私的活動における秘書業務であった。
 
第3 本件支出
1. 財源や支出の背景
 (1) 同事業団は、岐阜県のほぼ100%出資であり、毎年度の事業費は、岐阜県からの補助金と委託料でまかなわれている。毎年度、残余が生じた場合は、その全額は岐阜県に返還されるべきものである。

 (2)  事業団へ派遣した当該職員の給料・扶養手当・期末手当等
当該職員は、2005年(平成17年)3月2日付けで知事部局より教育委員会へ出向を命じられ、同日付けで、「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」及び「岐阜県公益法人等への職員の派遣等に関する条例」に基づき、教育委員会と事業団との間で「職員派遣に関する取決め書」(以下「取決め書」という。)を締結し、事業団へ派遣されたものである。
 この「取決め書」の第3条において、派遣職員が従事すべき業務として、次のとおり規定されている。

「 一 産業・文化・スポーツ等のイベント・コンベンションの誘致及び開催
  二 生涯スポーツの振興及び競技力の向上に関する事業の実施
  三 一及び二の事業の推進に関する情報の収集及び提供
  四 岐阜メモリアルセンター等の県から委託された施設の管理運営
  五 県から委託された各種スポーツに関する事業の実施 」
 また、派遣職員の報酬については、「取決め書」第4条において、給料、扶養手当、調整手当(給料及び扶養手当に係るものに限る)、住居手当、期末手当及び寒冷地手当は県が全額支給することと規定している。その他の報酬、旅費の支給及びその他の費用弁償については、事業団が支給することとなっている。

2. 旅費や出張に係る諸手当 (事業団にからの支出)
 職員が随行した出張は、05年3月~06年8月に計204回で、旅費は約203万2096円、宿泊費は58回で55万0490円、出張の日当34万5122円、出張などにおける時間外勤務への手当180万9296円の合計で473万6994円。
 なお、梶原前知事の旅費は、05年3月分の5万1180円を除いては同氏個人(一部は行事等主催者)が負担した。
 よって、以上の合計は、478万8174円である。
  (なお、情報公開された諸支出資料の記載に関して、未解明な部分が一部存する)

3. 諸経費 (事業団からの支出)
 05年3月~06年9月に梶原分に使用した公用車のガソリン代40万8228円、有料同通行料等4万8750円、職員Aの秘書用携帯電話使用料26万9125円で、以上の合計は72万6103円である。

4. 給料や期末手当など (岐阜県教育委員会からの支出) (略)

5. 以上、職員Aの個人秘書業務に関して支出された公費の総額は、次のようである。
(前記の2項+3項=)551万4277円+(4項)555万円=1106万4277円

第4 本件支出の違法性 
1. 本件任命権の行使における違法
 (1) 任命権者と職員の責務
  (略) 地方自治法第172条第1、2、4項、第173条第1、2項
     地方公務員法第6条、第30条、第35条
 (2) 本件任命権の行使の経過
  ア. 事業団に関して、梶原拓前知事は知事在任中から「あて職」としての会長職にあったが、2005年2月の知事退任後、同年3月2日付けで原正之理事長により非常勤の会長に任命された。その後、県の裏金問題で公職からの離職を勧告されて会長を辞す06年9月6日までの間、当職にいた。
 梶原前知事に同事業団の会長としての業務はほとんどなかったし、実際、同事業団に梶原前知事の出勤の記録も執務の記録もない。

  イ. 職員Aは、2000年度まで知事部局の地域県民部地域計画政策課、01年度~03年度は知事公室秘書課に在籍、04年度は健康福祉環境部健康政策課に在籍した。しかし、同課に1年も在籍しない途中の05年3月2日付けで、知事を任命権者とする知事部局から(同事業団を所管する)教育委員会に異動、直ちに、任命権者の教育長から同事業団に出向を命じられた。

 (3) 派遣法に違背する
 本件業務をさせる目的で出向させたことは、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律(以下、「派遣法」という)第1条「地方公共団体が人的援助を行うことが必要と認められる公益法人等の業務に専ら従事させるために職員を派遣する・・地域の振興、住民の生活の向上等に関する地方公共団体の諸施策の推進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」との規定に違背している。

 (4) 前記ほかの各定めからすれば、県の職員及び事業団が準用している県の緒規定に従って県から運営の補助や委託などをするべく従事する事業団の職員、特に出向職員は、「勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」(地方公務員法の職務専念義務)のである。

 (5) かつては知事であったとはいえ、すでに民間人である梶原個人の政治活動や私的な行為に関して、「県」もしくは「事業団」の公務であるとすることは不可能である。
 結局、本件は、県の職員の職員をして派遣法第1条等に違背し、地方公務員法第35条に違背することを承知の上で業務をさせた違法な任命行為である。

2. 先行行為(任命行為)の違法は後行行為(本件各支出)の違法を導く
 (1)  違法性の承継
違法性の承継とは、二つ以上の行政行為が段階的に行われた場合に、先行する行政行為の違法性が、それを前提とする後行の行政行為の違法事由となることをいう。
 二つの行為が先行行為と後行行為の関係にある時、先行行為としての非財務会計上の行為が違法なら後行行為としての財務会計上の行為も違法となる。先行行為が後行行為の直接の原因をなすものである場合、または、先行行為と後行行為が密接不可分ないし一体の関係にある場合には違法性の承継が認められる。

(2) 本件は、結局、2005年2月の梶原知事の退任のころ、同氏が「(本件)事業団の会長として秘書をよこせ」と要求したことで、本来あってはならないことであるが、県幹部や人事関係者らが致し方なく県職員のあてがい(即ち関連支出)を承知したものである。
 もし、仮に、そうでなければ、県職員らが率先して「職員を提供」しただけである。
 違法な目的の人事に基づく任命行為(先行行為)、つまり、岐阜県と事業団をあげて、職員Aをして梶原個人秘書業務に従事させたことは違法な人事であり、これに起因もしくは一体不可分な財務会計行為としての本件各支出(後行行為)は、そもそも違法な支出である。

3. 旅費及び超過勤務手当等に関する規定への違背 
 (1)  地方自治法および条例  
 (略) 地方自治法第204条第1、2、3項(給与条例主義)
          第204条の2

 (2) 事業団の規定では、旅費や時間外勤務手当等の多くが、岐阜県の規定を準用することとされている。

 (3) 本件では、県あるいは事業団の正当な職務とはいえない私的業務へ従事させたのだから、旅費や給与、手当てなどに関する諸規定の適用を受けることはできず、本件支出の根拠を欠く支出として違法な支出である。

4. 地方自治法及び地方財政法の原則への違背
 本件支出は、地方自治法第2条第14項(最小経費で最大効果を挙げなければならない原則)に違反し、地方財政法第4条(必要かつ最小限度を越えて支出してはならない原則)に違反する。

5. 地方自治法第2条の第15項及び第16項への違背
本件人事及び関連支出は、地方自治法第2条第15項「地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努める・・」、同第2条第16項「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない・・」とされていることに違背している。

6. 地方自治法第2条の第17項への違背
同第2条第17項は「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。」とされているとおり、本件任命行為も財務会計行為も無効というべきである。

7. 本件人事や支出は、社会通念上も許されない。

8. 本件支出は各法令に違背する違法な支出である。事業団を省略して考えれば、単に、退任した前知事の個人秘書を県費で負担し続けた、という構図である。

第5 岐阜県の損害
1. 旅費等
 旅費などや時間外勤務手当てなど出張にともなう経費、秘書業務に伴う携帯電話通話料、ガソリン代、有料道通行料などの支出は事業団の被補助業務とは到底なり得ず、支出の根拠を欠く違法なものであって、同事業団の損害である。同事業団の損害は県の損害である。

2. 給与等
 本件においては、「個人秘書」業務の部分に対する給料・手当等の支出は、県の公務に対するものとは到底なり得ないことであるから、支出の根拠を欠く違法な支出であり、県の損害である。

第6 不法行為責任と返還義務
1. 公私混同の前知事と岐阜県庁の体質
 (1) 梶原前知事の不当な利得
 梶原前知事は、本来は個人で負担すべき「梶原個人秘書」の諸業務を、県あるいは事業団の公金及び職員をして賄わせたのだから、随行職員の出張等経費や日常人件費相当を「受益」(他人の財産または労務により利益を受けること)していることは不当利得である。
よって、本件すべての損害に関して、梶原拓には、第一義的に不当利得返還あるいは損害賠償義務がある。

 (2) 岐阜県庁で長年にわたって裏金が作られていたことが、2006年7月5日に明らかとなった。そして、2006年7月以降の県による裏金作りの経緯の解明が進み、前知事は、現知事から事業団会長を辞するよう求められ、9月6日に辞した。
 梶原拓前知事は、知事時代は「岐阜県には裏金は無い」と表明し続けていたが、2006年8月8日に自ら設定した会見において、「1989年(平成元年)知事就任当時は、裏金づくりは半ば公然の秘密となっていた。十分承知していた」と認めた。その認識に加え、1981年度は建設省大臣官房会計課長も務めて国の会計に熟知していたこと、梶原氏が知事就任前の1977年から2年間県企画部長、1985年(昭和60年)からは副知事を務めたことからすれば、1989年の知事就任以前の岐阜県においても裏金作りがなされていたことを十二分に認識していたと断定することに不合理はない。
 森元恒雄前副知事も、知事の考えによる隠ぺいを認めている。
本件裏金作りが県庁ぐるみの事態であったからこそ、その責任は看過しがたい。
 この公私混同、公金意識の欠如の岐阜県庁、県職員らの体質が、本件個人秘書業務の県費負担という事件の根本にある。

2. 知事の責任の原則 (略)
3. 県職員らの責任 (略)
4. まとめ
 本件損害の補填について、経緯からすれば梶原拓が全額を返還・賠償すべきである。
 もし、他の者に有責を認定するなら、本件人事や関連支出に関与した県職員ら並びに事業団幹部が連帯して、返還・賠償すべきである。
 不法行為によって生じた同事業団の損害について、全額を補助あるいは負担している岐阜県としては、岐阜県知事あるいは教育長が同事業団に損害賠償請求、もしくは(当時の)代表であった梶原前知事個人に対して不当利得返還請求もしくは損害賠償請求すべき義務を負う。
 同事業団が梶原前知事個人に対して同様の義務を負うともいえる。
 以上のことから、原告は、請求の趣旨-1として地方自治法第242条の2第1項4号の請求をする。

5. 遅延損害金
 本件秘書業務遂行と経費支出に悪意があることは疑いないから、少なくとも民法規定の年5%の遅延損害金をつけて返還すべきである。

第7 被告が損害の回復を怠る事実の違法確認
 (略)  本件支出に関して財産の管理を怠る事実の違法があるから、原告は請求の趣旨-2につき地方自治法第242条の2第1項3号に基づき、違法確認を求めるものである。

第8 住民監査請求の前置と本件請求の特質
1. 住民監査請求の前置
 原告は、2006年10月2日に住民監査請求した。が、監査委員は11月30日に却下、棄却した(甲第1号証)。

2. 財務会計行為としての正当理由の存在
 (1) 地方自治法第242条第1項に定める住民監査請求は、当該支出から1年を経過した時は住民監査請求できないとされるところ、本件において住民監査請求した2006年10月2日の1年以前分、つまり、2005年3月から2005年10月1日までの財務会計行為に関して、本件事実は、到底県民が知ることができないよう秘密にされてきたのであるから、住民監査請求が1年を途過したことには正当理由がある。

 (2) 速やかに情報公開請求した
 本件住民監査請求で監査委員が、本件退職金支出の額や相手方を明らかにしない可能性もあったことから、請求人の一部は、9月22日に、岐阜県に情報公開請求した。

 (3) 正当理由に関する最近の判例 (略)
 (4) まとめ
 以上、岐阜県の任命権を有する職員らの談合ともいうべき、不正な意図をもって人事権を乱用し、知事の秘書課に過去に在籍した職員を、わざわざ退任した前知事の任意かつ随意の私的行為に随行させることをなし、給与等を岐阜県が直接支弁し、旅費等については岐阜県が委託料および補助金を交付しているうちの補助金から支弁させたことは、県民が知ることができないように秘密裏にされてきたのであって、06年9月20日21日の新聞報道ではじめて明らかになったのだから、住民監査請求の期間が途過したことには正当理由がある。
 かつ、報道を知ってから後の速やかな期間といえる10月2日に住民監査請求しているから、判例に照らしても、要件は満たしており不適法は無い。

3. 怠る事実に関する請求には期間制限が無い
 県職員の任命権を有する知事やその補佐の副知事、教育長らが、地方自治法や地方公務員法、派遣法等の定めに反して県の公費の支出に値する公務ではないことへの人件費及び旅費など関連支出をなさしめたのであるから職員には、不法行為責任がある。
 本件住民監査請求には、「公金の支出」という個別の財務会計行為についての請求とともに、このような不法行為に基づいて、支出の根拠のない「人件費や旅費等」を支給し、梶原拓が不当利得(転得)したことによる岐阜県の損害の回復を怠ることについての請求があるところ、後者の怠る事実の回復の請求には期間制限は及ばない(最高裁第3小法廷平成14年7月2日判決平成12年(行ヒ)第51号、同第1小法廷判決平成14年10月3日平成9年(行ツ)第62号等)。
 よって、本件請求はすべて正当・適法なものである。


添付書類 (略)

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