●ネット選挙解禁は妥当ですか
日経 クイックVote第118回 2013/2/2
日本経済新聞社は「電子版(Web刊)」の有料・無料読者の皆さんを対象とした週1回の意識調査を実施しています。
第118回は、与野党がほぼ合意したSNSなどインターネットのメディアを通じた選挙運動の解禁について、皆さんのご意見をうかがいます。
(1)ネット選挙解禁をどう思いますか
妥当だ 妥当でない (2)投票そのものもネット経由でできるようにすることをどう思いますか
便利になるので賛成 不正投票のおそれがあるので反対 (3)選挙運動の規制のうち、廃止してもよいのはどれですか
はがきやビラの配布枚数の制限 街頭宣伝車の台数制限 運動員への給与支給の禁止 戸別訪問の禁止 早朝深夜の街頭活動の禁止 その他(コメント欄に具体策をお書きください) いずれも廃止すべきでない (4)あなたは安倍内閣を支持しますか、しませんか
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「逮捕されるかもしれない。そのときは助けてください」。昨年12月、日本維新の会の橋下徹大阪市長がこんな発言をしたのを覚えていますか。橋下氏は衆院選が始まってからもツイッターへの書き込みを続け、公職選挙法が禁じる「文書図画」の不正配布に当たるとの指摘が出ていました。
特定の候補者名を挙げての投票呼び掛けではなかったこともあり、刑事事件にはなりませんでしたが、選挙違反ぎりぎりの行為だったことは間違いありません。ただ、結果的には与野党に「もはやネット選挙を禁止し続けるのは時代に合わない」との認識を広げる効果はありました。
選挙後、安倍晋三首相が解禁論を提唱すると、ほとんどの党が賛意を表明。夏の参院選までに法改正が実現する見通しとなってきました。
そもそも、ネット選挙はなぜ禁止されていたのでしょうか。公選法は資金力がある候補が有利になりすぎないように各陣営が配ってよいはがきやビラの枚数に制限を設けています。
立候補を届け出ると選挙管理委員会が選挙の規模に応じて決めてある枚数の証紙をくれます。これを貼っていないビラを配ると「制限枚数超過の疑い」で摘発されます。
もちろんのこの規定はインターネットが広く利用されるようになる前にできました。ネット時代に入り、不特定多数の人が読めるホームページの作成や、支持呼び掛けのメール配信が始まった際、選挙を管轄する自治省(現在の総務省)はこれを「文書図画に該当する」と認定しました。
この結果、普段はホームページに活動報告などを載せている政治家も選挙が公示・告示され、運動期間に入ると更新をやめ、ツイッターやフェイスブックなどを通じた新たな発信をしないことになりました。
「時代遅れだよ」との指摘はかなり前からありましたが、なかなか解禁にならなかったのは自民党が後ろ向きだったからです。
ネット時代の初期には「こんな若者向きのメディアを野放しにしたら、民主党を利するだけだ」と警戒感を持つベテラン議員が自民党にはたくさんいました。
パソコンでネット検索するのは若者だけ。いまそんなことを言ったら笑われます。今回は自民党が言い出しっぺになったことで、あっという間に解禁でまとまりました。
ただ、ネットにありがちな悪用をどうやって防ぐか、という課題は残ります。候補者になりすました別人が投票日前日にツイッターで暴言を吐き、あっという間に拡散。候補者の釈明は間に合わず、あえなく落選。そんなことが起きない保証はありません。
候補者から申し出があればプロバイダーのようなネット運営事業者は直ちに削除しなくてはならない、などのルールが検討されていますが、申し出が本当かどうかの検証方法はあるのか、など論点はまだまだあります。
選挙運動だけでなく、投票そのものもネットを通じてできるようにするのか。これについても読者の見方をお尋ねします。
さて、ネット解禁をきっかけに選挙運動に課せられているさまざまな制限をもっと緩めてはどうか、という声も広がっています。
上述のビラ配布の枚数制限は厳しすぎるという政治家はかなりいます。何千枚というビラ一枚ずつに証紙を貼るのは大変な作業です。闇雲にたくさんのビラを配りたいのではなく、制限をなくして運動員の手を取られる証紙貼り作業をなくしてほしいというのが本音です。
運動員への給与支給を認めてほしいという意見もよく聞きます。公選法は選挙運動は手弁当のボランティアによって運営されるべきだという考え方に立っています。
うぐいす嬢のような特殊技能の持ち主以外の運動員に対価を払うと買収とみなされます。選挙民に現金入り封筒を配って投票を依頼するといった古典的な買収はほぼ姿を消したのに、いまだに選挙違反に買収が多いのはそのためです。
欧米では民主主義の基本とされる戸別訪問も日本では禁止です。候補者とじかにじっくり話す機会がほしい。見知らぬ人が訪ねてくるのは鬱陶しい。解禁論には賛否両論があります。
今回は2月4日(月)までを調査期間とし、5日(火)に結果と解説を掲載します。アンケートには日経電子版のパソコン画面からログインして回答してください。ログインすると回答画面が現れます。電子版の携帯向けサービスからは回答いただけません。
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