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てらまち・ねっと



 ヤマダ電機は、それなりに品揃えがいいので、結構、利用してきた。岐阜の長良店とか、時には県庁前店とか。
 この数年(いや、それ以上前から)、フロアーの店員らが減り、サービスが悪くなったと感じていた。
 会社全体の状況が厳しいらしいことは、ネットのニュースなどで見たことがあった。

 それが、今回、各地の店舗の大幅な閉鎖などする、という。
 以下、ライブドアニュース 2015年6月24日、から。
 ★《5月25日、5月末までにスクラップ&ビルドや業態転換を含めて46店舗を閉鎖すると発表した。一部報道によれば、続く6月末も、11店舗を閉鎖や業態転換すると報じられた。》

 ★《4月の速報値では、グループ全店の売上高が前年同月比で110%となり、5月も112.6%と、消費増税の反動減から脱出しつつある明るい兆しが見られた。しかし、インターネット販売業者の普及や少子高齢化による国内家電マーケットの縮小など、ヤマダ電機をはじめとする家電量販店を取り巻く環境は激変している。業界トップのヤマダ電機の大胆な構造改革の進ちょくと行方に注目が集まる。》
 
 ・・さてさて、便利な店をどこに見つけるか、・・・そもそも、時代の流れに対してどういう考え方をするか・・・
 ということで、ブログに次を記録した。
 ●ヤマダ電機、さらに国内11店舗閉鎖へ…6月末/読売 2015年06月25日
 ●46店舗閉鎖のヤマダ電機 中国台湾資本に格好の標的と大前氏/週刊ポスト 7月3日
 ●沈みゆくヤマダ電機、突然の大量店舗閉鎖の暴走? 復活は恐らく難しいといえる理由/ビジネスジャーナル 6.25
 ●ヤマダ電機の盤石な経営モデル TV買い替え需要が減った時期に異変/ライブドアニュース 6月24日
 ●ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの /賢者の知恵 現代ビジネス 6月14日
 ●ヤマダ電機はなぜ失速したのか!? - 足を引っ張る"郊外店"と"住宅事業"/マイナビニュース 5/27

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●ヤマダ電機、さらに国内11店舗閉鎖へ…6月末
        読売 2015年06月25日
 ヤマダ電機は6月30日に、国内11店舗を追加閉鎖することになった。

 先月も46店舗の閉鎖を発表したばかりで、急成長を支えてきた拡大路線の転換を進めている。

 新たに閉鎖するのは、いずれもテックランドという郊外店で、県別では、茨城県が笠間店など4店で最も多い。地元のケーズデンキとの厳しい競争にさらされている。

 閉鎖する店舗の一部は新たな業態で再スタートする。従業員の雇用は周辺店舗への配置転換などで継続する方針だ。

 ヤマダは近年、インターネット通販の普及や他社との価格競争の激化で苦戦している。収益改善のため、都市部など高収益が見込める店舗や、省電力住宅など、家電以外の事業を強化している。

●46店舗閉鎖のヤマダ電機 中国台湾資本に格好の標的と大前氏
    │NEWSポストセブン ※週刊ポスト2015年7月3日号
 家電量販店で初の全国都道府県出店を果たすなど一時代を築いたヤマダ電機が、苦境に立たされている。5月には46店舗を閉鎖し、大きなニュースとして取り上げられた。量販店ビジネスとヤマダ電機の今後について、大前研一氏が解説する。

 * * *
 家電量販最大手のヤマダ電機は先月、地方や郊外の不採算店を中心に46店舗を閉鎖した。2011年3月期に2兆1533億円に達した売上高が2015年3月期は1兆6644億円にまで減少したからで、まだ売上高は2位のビックカメラの2倍だが、減収減益のジリ貧状態に陥っている。ただし、この現象はヤマダ電機だけの問題ではなく、販売拠点を全国展開している小売企業すべてが直面している構造変化でもある。

 もともと家電販売店は、松下電器産業(現パナソニック)が全国津々に地域密着型の特約店「ナショナルショップ」を2万6000店も作って成長した「街の電器屋さん」の時代が、値段の安い量販店の登場によって1980年代に崩壊した。地域電器店でさえ家電メーカーから仕入れるよりも量販店で仕入れたほうが安いという状況になったのだ。

 量販店ビジネスは、商品をたくさん売れば売るほど多くなるメーカーからの「期末報奨金」を前もって値段に反映し、ディスカウントするというものだ。しかし、もはや量販店はショールーム化している。多くの消費者は近所の量販店で商品の実物を見て説明を聞いた上で、価格比較サイト「カカクコム(価格.com)」で最安値の店を探してネットで買うのが当たり前になり、量販店ビジネスが崩壊し始めているのだ。

 それだけではない。より大きな問題として、もう一つ社会的な要因がある。大半の地方や郊外ではアベノミクスで給料が上がるどころか、物価の上昇などで生活が苦しくなって将来に不安を感じる人が増え、財布の紐がますます固くなっている。だから、大都市圏以外では多くの量販店が苦戦している。この“二重の崩壊”が、全都道府県に店舗網を拡大したヤマダ電機を直撃したのである。

 2015年2月期決算で、カジュアル衣料のしまむらが1988年の上場以来初の2期連続減益になったり、小売業最大手のイオンがGMS(総合スーパー)の不振から3期連続減益に沈んだりしているのも、地方や郊外の消費低迷の影響が大きい。全国展開で強さを誇ってきた会社が、軒並み苦境に陥っているのだ。

 このままではヤマダ電機は地方店や郊外店の閉鎖にとどまらず、急失速する可能性もあるだろう。蘇寧電器(中国の家電量販店最大手)のラオックス買収に刺激された中国・台湾資本が虎視眈々と2匹目のドジョウを狙っているので、ヤマダ電機が抜本策を講じなければ恰好の標的となるだろう。

●沈みゆくヤマダ電機、突然の大量店舗閉鎖の暴走? 復活は恐らく難しいといえる理由
       ビジネスジャーナル 2015.06.25 文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

 5月末、大手家電量販店チェーンのヤマダ電機が46店舗を閉鎖した。5月25日に発表した時点ですでに3店舗を閉鎖済みであり、残りの43店舗については発表直後の閉鎖となったため、地域の消費者や従業員を驚かせた。
 一方、年内に新規出店も行う予定であり、ヤマダとしては「店舗のスクラップ&ビルド」だとしている。閉店するのは、テックランドNew江東潮見店(東京都江東区)、同名古屋南丹後通り店(愛知県名古屋市)、同枚方店(大阪府枚方市)、同新南陽店(山口県周南市)など地方や郊外にある不採算店が中心。これまでの拡大路線を転換し、東京・八重洲など都市部の大型店や免税専門店といった収益力の高い店づくりに注力するとしている。
 日本全国津々浦々に、家電の大型量販店舗を展開する。自社だけの店舗展開だけでは間に合わなければ、業界他社をM&A(合併&買収)して「マーケット・カバレッジの最優先」という戦略を徹底する。これが従来のヤマダの「勝てる王道戦略」だった。その結果、15年3月期末での店舗数は1016店舗にまで達していた。

 ヤマダの山田昇社長は今回の閉店を発表する直前の5月21日付朝日新聞のインタビューで「出店余地はなく、ビジネス・モデルを変えないといけない」と語っており、今回のスクラップ&ビルドは明確な戦略転換だと認めている。つまり全社経営戦略の本格的な変更による電光石火の大量店舗閉鎖だったのだ。そんなことができるのは、創業社長である山田氏ゆえだろう。

 業績低迷について、山田氏の悩みは深い。連結の年商は11年3月期に2兆1500億円とピークを記録し我が世の春を謳歌したが、その後は減少の一途。15年3月期では売上高1兆6643億円(前年同期比12.1%減)、営業利益199億円(前年同期比41.9%減)、経常利益355億円(前年同期比29.2%減)という結果に沈んでいる。
 実店舗の巨艦主義に走ったメガ・リテール(大規模小売企業)が破綻した例は記憶に多い。百貨店ではそごうが、総合スーパー(GMS)ではダイエーがそれぞれ一時は栄華を誇ったが、前者は小売業としては当時(00年)日本最大の負債を抱えて民事再生法を申請し、後者も経営破綻して今年1月イオンに救済合併された。

●ヤマダ電機の盤石な経営モデル TV買い替え需要が減った時期に異変
     ライブドアニュース 2015年6月24日
 「定石から外れている」――。ある家電流通の担当者は、ヤマダ電機(山田昇社長)の店舗数と1店舗当たり売上高の推移についてそう語った。これまで盤石だったヤマダ電機のビジネスモデルに異変が起きている。
郊外型テックランドや都市型LABIが成長をけん引していた

 表は、2000年3月期以降のヤマダ電機の店舗数と1店当たりの売上高の推移を示したものだ。表から類推できるように、直営店がまだ109店しかなかった2000年3月期から、600店体制で過去最高の売上高2兆1532億円をたたき出した11年3月期まで、ヤマダ電機の1店当たりの売上高はコンスタントに30億~40億円を稼いでいた。これにより、出店するたびに売上高が安定して増えていくという「定石」を踏んでいた。

ヤマダ電機の店舗数と1店当たり売上高推移
 特筆されるのは、郊外型のテックランドを出店していた初期のころだけではなく、06年3月期に全国に店舗網を構築したり、同社初の都市型店舗LABI1 NAMBAを出店したときも、また08年3月期にぷれっそホールディングスやマツヤデンキ、サトームセン、星電社を連結対象にするなどして、異なるカルチャーの家電量販店が加わっても、1店舗当たりの売上高30億~40億円をキープし続けていたことである。

 ちなみに、ヤマダ電機の従業員1人当たりの年間売上高が1億円以上(臨時雇用除く)というのも、同社の強さを語るときに使われる数字である。01年3月期の1億400万円から年々伸ばして、ピークは07年3月期の2億400万円。その後は減りこそするものの11年3月期でも1億7300万円の高水準を維持していた。

1店舗当たりの売上高が急ブレーキ
 こうしたヤマダ電機の盤石だったビジネスモデルに異変が起きたのは、地上デジタル放送への完全移行によるテレビの買い替え需要が減った12年3月期からだ。1店舗当たりの売上高は26億3000万円と30億円を割り込む。

 その後も13年3月期は17億5100万円、14年3月期が19億2300万円、直近の15年3月期に至っては、初の1000店突破の1016店を達成したものの、1店舗当たりの売上高が16億3800万円まで落ち込んでいる。06年、07年3月期に出した42億円の、実に4割程度にまで下がっている。

 12年3月期は、住宅メーカーのエス・バイ・エルを子会社化したり、約1000平方メートルの小商圏向け小型店舗の出店戦略を加速させている。従業員1人当たり売上高も、12年3月期は1億3100万円と、かろうじて1億円以上を維持したが、翌13年3月期が8000万円、14年3月期がやや復調して9000万円となっている。15年3月期は、現在までのところ公表されていない。

5月は10万平方メートル規模の閉店に
 店舗効率の向上が喫緊の課題であるヤマダ電機は、構造改革によって状況を打開しようと大ナタを振るった。5月25日、5月末までにスクラップ&ビルドや業態転換を含めて46店舗を閉鎖すると発表した。一部報道によれば、続く6月末も、11店舗を閉鎖や業態転換すると報じられた。JR水戸駅前にあるLABI水戸などの大型店舗も含まれるが、先の小商圏向けのテックランドも多く含まれているようだ。

 5月の月次速報値からは、閉店店舗の面積で約10万平方メートルがなくなったことが明らかになっている。期初にあった1016店舗の274万平方メートルからは、4月の開店と閉店を含めて3.3%の削減となる。

 一部はアウトレット店や4月10日に東京・新橋でオープンしたような免税専門店に業態を転換して、店舗効率を高めていく。年内には、訪日外国人(インバウンド)需要の取り込みを狙って東京駅前の八重洲に都市型店舗を出店する。今年度の新規出店は15店と、昨年度の31店舗の半分に抑えるなど、まずは構造改革に早急に着手する。

 店舗の閉鎖や業態転換にかかる費用は、5月7日に発表したソフトバンクとの資本業務提携による第3者割当で調達した227億円のうちの81億円でまかなう。81億円の内訳は、既存店の改修・改装に24億円、スクラップ&ビルドに42億円、免税対応店への業態転換に10億円、アウトレット店への業態転換に5億円となっている。

 4月の速報値では、グループ全店の売上高が前年同月比で110%となり、5月も112.6%と、消費増税の反動減から脱出しつつある明るい兆しが見られた。しかし、インターネット販売業者の普及や少子高齢化による国内家電マーケットの縮小など、ヤマダ電機をはじめとする家電量販店を取り巻く環境は激変している。業界トップのヤマダ電機の大胆な構造改革の進ちょくと行方に注目が集まる。(BCN・細田 立圭志)

● ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの 
       | 賢者の知恵 | 現代ビジネス 2015年06月14日(日) 週刊現代
量販店の巨象が苦しんでいる—一時は売上高2兆円超を誇ったヤマダ電機のことだ。人口減やネット通販の浸透で、大規模店に種々雑多な商品を陳列するビジネスモデルは曲がり角を迎えている。

客よりも店員が多い
「店が潰れるらしいという噂が流れはじめたのは4月頃でした。はっきりわかったのは5月の中旬、閉店の2週間前です。販売員たちの士気はすっかり低下してしまって、雰囲気は最悪ですよ。とりあえずリストラはないということでしたが、遠くの店舗へ異動を命じられたら通えなくて辞める人も出てくるでしょう。私もまだ転職できる年齢のうちに資格でも取ろうと考えています」

こう話すのは、ヤマダ電機テックランドNew江東潮見店(東京都)の若手男性販売員。家電量販最大手のヤマダ電機は5月25日、同月末までに全国で約1000店舗ある直営店のうち46店を閉めることを正式発表した。江東潮見店も閉店リストに入っており、敷地の周辺には「閉店セール」とプリントされた赤いのぼりが目に付く。

だが、派手派手しいのぼりとは裏腹に、広い店内は閑散としている。売れ筋のはずの季節家電のコーナーでは扇風機の風にあおられ、大きな綿ぼこりが転がっていた。フロアによっては客よりも店員の数が上回っているほどだ。客の入りがいちばん目立ったのは、マッサージチェアの一角。といっても、年配の人たちが何を買うでもなく、マッサージ機にゆっくりと身を横たえている姿が目に付くくらいだ。日用品売り場でフライパンを物色していた女性客が語る。

「冷蔵庫もテレビも、電球や文房具も全部ヤマダで買ってきました。今回の閉店はショックです。駅前にスーパーはまだありますが、他の日用品はどこで買えばいいかわからない。陸の孤島のようになって、治安も悪くならないか心配です」

積極的に新店をオープンし続け、全国津々浦々に販売網を築いてきたヤマダ電機の売上高は、'11年3月期に達成した2兆1532億円をピークに急激に減少。'15年3月期には1兆6643億円にまで落ち込んでいる。エコポイント制度やテレビの地デジ化などによる買い換え需要が一段落し、消費増税後の反動もあって、急激な落ち込みようだ。家電流通に詳しいプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が語る。

「都心で中国人観光客の『爆買い』を取り込むことに成功しているヨドバシカメラやビックカメラとは対照的に、ヤマダは郊外・地方を中心に成長してきたため、人口減少などで消費力が落ちている地方経済低迷のダメージをもろに受けています」

ヤマダを悩ませているのは売り上げ減だけではない。旧村上ファンドの出身者たちがシンガポールで創設したファンド、エフィッシモに、大量に株を買い占められているのだ。同ファンドはヤマダの株の13%超を保有しており、今後、筆頭株主としてさまざまな要求を突き付けてくる可能性が高い。

まさしく内憂外患の窮地に立たされているヤマダ電機。'90年代にはコジマやカトーデンキ(現ケーズホールディングス)と「YKK戦争」と呼ばれる激安競争をくり広げ、その勝利者となった。だが現在、同社を脅かしているのは他の量販店ではなく、圧倒的な品揃えと販売価格を誇るインターネット通販だ。

・・・・・・・・・・・・・
そして廃墟になる
スーパーが扱う生鮮食料品は、本来ネット通販と相性が悪い商品だ。しかし、そのようなジャンルにまでアマゾンは進出しようとしているのだ。

さらに、この波は飲食業にまで広がっており、今まで宅配営業に無関心だった企業も、ネット通販に乗り出している。スターバックスがいい例で、同社のハワード・シュルツ会長は「すべての飲食業はデリバリーを検討しないと生き残れない」と語っている。

大型量販店は町の個人商店ではとうていかなわない品揃えと価格競争力で集客してきた。しかし巨大な物流センターを備え、注文した翌日には品物が届くといった利便性を売りにするネット通販の前では、品揃えも価格競争力も見劣りがしてしまう。モールに行けば、必要なものが安く手に入るという常識はもはや通用しないのだ。

では、ネット通販では期待できないサービスを提供できるかといえば、その面では地域に密着した個人商店のようなきめ細かな対応は不可能だ。商品が多すぎて、販売員自身がその商品の特徴をわかっていないということもしょっちゅうある。だが結局、「量販店がネット店舗に対抗するためには接客力を上げるしかない」と堀田経営コンサルティング事務所代表の堀田泰希氏は語る。

「高度な接客を求めがちな高齢者が増えるにつれて、もっとアナログな顧客管理が大切になってくるでしょう。ポイントカードなどを通じて顧客情報を吸い上げるデジタルな管理は進んでいますが、その逆が大切なのです」

価格で勝負できないなら、付加価値をつけるしかない。しかし、それはかつて量販店が拡大したときに個人商店が試みてなしえなかったことだ。ネット通販の前に量販店も同じ戦いを強いられることになるだろう。郊外のモールが駅前のシャッター街のように閑散とする日も近いかもしれない。すぐ目の前に物流倉庫があって、ありとあらゆる商品が並んでいるのに、インターネットを使わないとそれも手に入らない—そんな不可解な時代がやってくる。だが、それも我々消費者が低価格と手軽さを追求し、自ら招いた結果なのだ。

冒頭の閉店が決まったヤマダ電機で呼び込みをしていた店員に「閉店セールで、本当にお買い得な商品はどれか」と尋ねてみた。すると、「それは在庫一掃処分ということで……」と口ごもり、「ちょっと失礼します」と立ち去ってしまった。床には、相変わらず綿ぼこりが扇風機の風に舞い続けていた。

●【コラム】窪田真之の「時事深層」22 ヤマダ電機はなぜ失速したのか!? - 足を引っ張る"郊外店"と"住宅事業"
          マイナビニュース  [2015/05/27]
4月から5月末までに46店を閉鎖、攻めの経営が転換点

ヤマダ電機は、4月から5月末までに46店を閉鎖すると発表した。これまで一貫して攻めの経営を続けてきたが、ついに転換点を迎えた可能性がある。

ヤマダ電機の強みは、圧倒的な規模にあった。家電製品はどこで買っても同じメーカー品が中心なので、自然、値段の叩きあいになる。ヤマダ電機は、量販店でトップの売上規模を保ち、その強みで安く仕入れて、安く売る競争に勝ってきた。積極的に出店と同業他社の買収を行い、都心にも郊外にも店舗網を拡大した。

ところが、郊外にも積極出店したことが裏目に出た。2014年度は、都心店と郊外店ではっきり明暗が分かれた。都心店舗は、インバウンド(訪日外国人の買い物)需要を取り込んで好調だ。特に中国人観光客の"爆買い"がある銀座店は、絶好調だ。ところが、インバウンド需要の入らない郊外店は、軒並み不振となった。

家電量販各社の2014年度の業績は、都心店舗が多いか少ないかで明暗が分かれた。都心店舗が多いヨドバシカメラやビックカメラは比較的好調だが、都心だけでなく郊外にも多くの店舗を持つヤマダ電機は、郊外店の売上げが苦戦した。

今回、ヤマダ電機が閉店するのは、郊外の不採算店が中心となる。同社は「追加のスクラップ&ビルドや店舗閉鎖、業態転換については、新規出店等を踏まえ、現在、精査中」としている。今後、郊外店を中心に、さらに閉店が拡大する可能性もある。

ヤマダ電機の業績の足を引っ張っている住宅事業

ヤマダ電機の業績の足を引っ張っているものが、もう1つある。不退転の覚悟で参入した住宅事業だ。同社は、2011年10月に住宅大手エスバイエルを、株式公開買付と増資引き受けによって子会社とした。2013年6月には、社名をヤマダ・エスバイエルホームに変更している。住宅と家電を融合させた「スマートハウス」を開発し、新規事業として成長させる方針だ。

ところが、住宅事業は赤字で苦戦している。そもそも家電量販店による住宅事業参入には、当初からアナリストの間で無謀との声が多かった。

住宅の販売員には高度な専門知識が必要で、家電量販店でその人員を育成するのは容易でなかった。住宅事業の経営そのものにも、下請け業者の管理や部材の調達などで家電量販店とはまったく異なるノウハウが必要である。

少子化が進み住宅業界の競争が激化するタイミングでの参入にも疑問符がついた。2014年4月の消費増税前に駆け込み受注が一瞬盛り上がったが、諸費増税後は、再び受注環境が悪化している。

新商品の開発競争も厳しい。スマートハウスや介護住宅の開発では、積水ハウスや旭化成など住宅大手各社がしのぎを削っている。家電製品との融合ならば、パナホームが早くから手がけてきた。

旧エスバイエルは、ツーバイフォー工法で安価な規格品を作るのに強みがあったが、多様な商品開発が求められる時代に入って、競争力が低下しつつあったタイミングで、ヤマダ電機の傘下に入った。

ヤマダ電機は、今年3月にソフトバンクと資本業務提携を結んだ。ソフトバンクの通信事業まで活用して、スマートハウスを成功させる覚悟である。それでも、住宅事業建て直しは容易でない。

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