政権、与党の中にいて、つい本音が出る人たち、・・・ 自民党議員の発言が止まらないことの話。
これらの背景は、イケイケどんどんの安倍政権の根底にあると見るのは、ズレてはいないだろう。
6月29日のブログで《「おごる」「おごれる」という言葉の日本語的な定義、表現をネットの辞書で調べてみた。》
⇒ ◆「マスコミ懲らしめるには…」/異常な「異論封じ」―自民の傲慢は度し難い/言論統制の危険な風潮
その一人が、30日に改めて「マスコミを懲らしめなければならない」などとみずからの見識を開陳。
いっそ自壊の道を期待するしかないのか、そんな今の日本の状況。
だから、いずれ振り返ると面白いかもしれないと、幾つかの報道をブログに記録しておく。
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●自民、早期幕引きに苦慮 大西氏発言で再び厳重注意へ
朝日 2015年6月30日
自らの発言で自民党から厳重注意処分を受けたばかりの大西英男衆院議員が30日、改めて「マスコミを懲らしめなければならない」などと持論を展開した。処分で問題を幕引きしようとした自民党執行部は対応に苦慮。1日にも、異例の2度目となる厳重注意を大西氏に出す方針だ。
「どれだけ党に迷惑をかけたと思ってるんだ!」。30日午後、大西氏の発言内容を聞いた自民党の谷垣禎一幹事長の怒鳴り声が、国会内に響いた。
谷垣氏ら執行部は、一連の発言が安全保障関連法案の審議に影響することを懸念。「処分は厳しすぎる」「これでは若手が萎縮する」との反発を押し切る形で27日、一連の問題発言が出た勉強会「文化芸術懇話会」代表の木原稔・党青年局長を更迭。大西氏ら3人を厳重注意したばかりだった。二階俊博総務会長も30日昼の記者会見で、大西氏らの発言について「時代錯誤で厳に慎むべきだ。党の看板を背負ってやっている以上は、個人の立会演説ではない」と厳しく批判したが、大西氏の発言はその後に飛び出した。
自民党執行部の一人は2度目の大西氏の発言を聞き、「もう、笑うしかない」と肩を落としたが、党執行部が一議員を指導できない現状に、連立を組む公明党は危機感を強める。
同党の大口善徳・国会対策委員長は30日、自民党の佐藤勉国会対策委員長に対し、「党のガバナンス(統治)にも関わることで、看過できない」と批判。谷垣氏に伝えるよう求めた。大口氏は記者団に「民主主義の根幹である報道の自由や表現の自由を否定するような発言は言語道断だ」と強調した。
野党は追及をさらに強める構えだ。民主党の枝野幸男幹事長は30日、「なぜ、一連の話が批判され、不信をもたれたのか。その本質をまったく理解していない」と批判。維新の党の柿沢未途幹事長も「本当に感覚を疑わざるを得ない。自民党は『マスコミがうるさいから圧力をかけて黙らせよう』と思っていると見なさざるを得ない」と強調した。
●「言論弾圧に断固反対」 報道圧力、新聞協会が声明
中日 2015年6月30日
自民党の若手議員勉強会で、議員たちから報道機関に圧力をかけるような発言が相次ぎ、講師を務めた作家の百田尚樹氏が沖縄の琉球新報、沖縄タイムスの二紙に対して「つぶさないといけない」と発言した問題で、日本新聞協会編集委員会は二十九日、抗議声明を発表した。
声明では「極めて深刻な問題。特に政権与党の所属議員でありながら、憲法二一条で保障された表現の自由をないがしろにした発言は、報道の自由を否定しかねないもので到底看過できず、日本新聞協会編集委員会として強く抗議する」と強調。「わたしたちは、民主主義の根幹である表現の自由、報道の自由を弾圧するかのような動きに断固反対するとともに、多様な言論で『国民の知る権利』に応えていく」としている。
編集委員会は本紙を含む新聞、通信、放送の五十八社の編集・報道局長らで構成。琉球新報と沖縄タイムスの二紙も含まれる。
民放連や日本記者クラブ、日本出版労連も抗議声明や抗議コメントを出した。
◆日本新聞協会声明全文
6月25日に開かれた自民党の若手議員による勉強会「文化芸術懇話会」において、安全保障法制等に関する一部報道をめぐり、出席議員から「マスコミをこらしめるために広告料収入をなくすよう働きかけるべきだ」との発言があり、招かれた講師からも「沖縄の二つの新聞をつぶさないといけない」との発言があったことは、極めて深刻な問題である。特に政権与党の所属議員でありながら、憲法21条で保障された表現の自由をないがしろにした発言は、報道の自由を否定しかねないもので到底看過できず、日本新聞協会編集委員会として強く抗議する。
わたしたちは、民主主義の根幹である表現の自由、報道の自由を弾圧するかのような動きに断固反対するとともに、多様な言論で「国民の知る権利」に応えていく。
●報道圧力発言:在京6紙 危機感に濃淡 その違いは…
毎日新聞 2015年06月29日
自民党国会議員の勉強会で出席者が報道機関に圧力をかけるような発言をした問題について、多くの新聞が批判的に報じ言論・報道の自由への危機感をあらわにした。ただ、毎日新聞が新聞各社と通信社に議員らの発言への見解を選択式で尋ねたところ、在京6紙と2通信社のうち「問題がある」としたのは毎日を含め4社にとどまり、濃淡が出た。勉強会で作家の百田尚樹(ひゃくた・なおき)氏から名指しで批判された沖縄県の2紙はともに「問題がある」とした。【日下部聡、青島顕】
◇在京6紙 毎日、朝日、東京、読売、日経、産経
在京6紙で「問題がある」としたのは毎日新聞と朝日新聞だった。毎日の小泉敬太・編集編成局長は「言論・報道の自由をないがしろにする発言が、政権与党の会合の中で出たのは重大な問題だ」とした。毎日は26日朝刊社会面に問題の発言を掲載し、27日朝刊では1面、社会面を含めて報道して、社説で「まるで戦前の言論統制への回帰を図る不穏な空気が広がっているかのようだ」と指摘した。
朝日の橋本仁・東京本社報道局長は「報道の自由にかかわる重要な問題」と答えた。朝日も26日朝刊の一報を受けて27日朝刊1面で「与野党から批判」と報じ、2面に勉強会での詳しい発言内容を掲載した。社説では「これが国会議員の発言か。無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える」と書いた。
他の4紙は問題があるかどうかの質問に直接答えなかった。東京新聞(中日新聞東京本社)は、27日朝刊の社説で「言論の自由への重大な挑戦」「報道機関全体で抗議すべきことである」と記した。社会面2面を見開いて「脅し。メディア萎縮狙う」など有識者の談話を掲載した。
読売新聞、日本経済新聞は26日朝刊で勉強会を報じたものの「圧力発言」には触れなかった。以後も政局への影響報道が中心だったが社説では批判した。日経は28日朝刊社説で「このままでは懲らしめられるのはマスコミではなく自民党になってしまうだろう」と皮肉った。読売の27日社説は米軍普天間飛行場の移設を巡り、「沖縄2紙の論調には疑問も多い」とした上で「百田氏の批判は、やや行き過ぎと言えるのではないか」とした。
産経新聞は29日まで社説を掲載していない。26日に百田氏の発言を報じ、27日5面に与野党の対応をまとめた。28日5面には百田氏の「一言だけ取り出すのは卑劣」との反論を載せた。
◇通信社 共同通信、時事通信
共同、時事通信はいずれも「発言は問題がある」とした。共同通信総務局は「異論を許さない姿勢は、民主主義の根幹にも反する」、時事通信の小林治彦・編集局総務も「報道の自由を揺るがしかねない発言」とした。
◇沖縄2紙 沖縄タイムス、琉球新報
沖縄県の沖縄タイムス、琉球新報はともに「問題がある」とした。タイムスの石川達也・編集局次長は「百田氏の発言は自民党の議員が党本部で開いた会合の席上のもので、明確な報道への圧力、報道の自由への挑戦と受け止めている」、新報の松元剛・編集局次長も「百田氏の発言は、政権の意に沿わない報道は許さないという言論弾圧の発想そのものだ。表現の自由、報道の自由を否定する暴論だ」とした。2紙は連日、詳細に問題を報道し、26日に共同抗議声明を発表している。
◇地方紙
見解を尋ねなかった他の地方紙にも目立つ動きがあった。山形新聞は28日1面に寒河江浩二・主筆・社長名で「民主主義の根幹にかかわる問題だ」と「緊急声明」を掲載し、「言論封殺の暴挙は決して許してはいけない」と訴えた。
神奈川新聞は「加速する為政者の暴走」と題した27日の社説を掲載前の26日午後5時すぎに「速報社説」としてインターネットに公開した。同社は「言論に対する問題なので、強く打ちだそうとした」と説明する。
●各紙社説「言論統制」「自民の驕り」…報道威圧に危機感
朝日 2015年6月30日吉浜織恵、清水大輔
自民党議員による勉強会で報道機関を威圧する発言が出たことに対し、多くの新聞社が批判の声を上げている。在京5紙が社説で批判的に報じ、ネットで社説を速報した地方紙も。報道の自由が脅かされる事態に対し、各社の危機感がにじむ。
神奈川新聞は26日午後5時47分、自社のウェブサイトで「速報社説」をアップした。社説は通常翌日の朝刊で掲載され、ネットでは有料会員しか読めない。だが「早く、多くの人に読んでほしい」と、異例の対応に踏み切った。
社説は「一報道機関として、という以前に民主主義社会の一構成員として看過できない」との書き出しで、異なる意見に耳を貸さない安倍政権の姿勢を批判する。
執筆した報道部次長兼論説委員の石橋学さんは、「報道を含めて民主主義のあり方がなめられている。自民党の議員は発言をおかしいとも思っていない。普通でないことが起きていると伝えるために、普通ではない対応をした」と話す。速報社説はSNSで急速に広がった。
今回やり玉に挙げられたのは、ともに米軍基地を抱える沖縄の地方紙だった。自民党は昨年の衆院選前にはテレビ局に文書で「公正中立な報道」を求め、勉強会では「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」など報道機関を威圧する発言が相次いだ。社説の速報が地方紙としての政権与党への「対抗策」の一つと考える。「一地方紙だけでどこまで押し戻せるかわからないが、誰かが口火を切れば注目を浴び、全国の地方紙も後に続く。こんな論の広がりもあるのでは」
ほとんどの在京各紙(東京本社発行の最終版)は勉強会を強く批判した。
朝日新聞は27日の朝刊で、25日に開かれた勉強会の出席議員らによる発言内容を詳しく伝えた。社説では、安保関連法案をめぐる議論とあわせて「異常な『異論封じ』」とし、「無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える」と批判した。
毎日新聞は、「安倍政権になってからメディア規制が強まっていると思うか」という質問に対し、「強まっていると思う」と回答。27日の社説で「言論統制の危険な風潮」との見出しで、「このような風潮を放置すれば、民主主義の基盤がむしばまれてしまう」と警鐘を鳴らした。東京・中日新聞も同日の社説で「報道の自由に対する挑発、挑戦である」と指摘した。東京は29日にも沖縄の地元2紙の両編集局次長の寄稿文を掲載。配信した共同通信の総務局は取材に対し、今回の問題について「異論を許さないという姿勢は、民主主義の根幹にも反することで、重大な問題と受け止めている」とし、「加盟社の関心は高いと思われる」と回答した。
読売新聞、日本経済新聞は、「『1強』の勢力を持つ自民党の驕(おご)りの表れであり、国会議員としての見識も疑われる」(読売、27日)、「言論には言論で対抗していくのが民主主義」(日経、28日)と指摘する社説を掲載した。産経新聞は29日までに今回の問題を扱った社説を掲載していない。26日朝刊で百田尚樹氏の沖縄2紙への言及のほか、沖縄の米軍基地問題について「根が深い。苦労も苦しみも理解できる」との発言も伝えた。
多くの地方紙も勉強会に異を唱えた。沖縄タイムスは26日朝刊で「普天間居住 商売目当て」という百田尚樹氏の勉強会での発言を1面の横見出しで掲載。普天間飛行場周辺の土地が強制的に接収された経緯を紹介し、発言を否定した。琉球新報は27日の朝刊1面で「自民 県内2紙に圧力」として、自民党議員の発言を取り上げた。そのほか、「マスコミ批判は筋違い」(北海道新聞)▽「『1強』の堕落 容認できず」(東奥日報)▽「言論を統制するつもりか」(神戸新聞)▽「これが自民党の『本音』か」(西日本新聞)など、報道機関に圧力をかける政権与党の姿勢を社説で批判した。(吉浜織恵、清水大輔)
■健全な批判こそ民主主義
〈水島宏明・法政大教授(ジャーナリズム論)の話〉 今回の自民議員らの発言を民放各局も詳しく扱っている。特定秘密法や集団的自衛権の行使容認などの扱い方に濃淡が見られたのとは対照的だ。新聞を含め「ジャーナリズム全体の危機」との共有意識があるのだろう。政権与党は、「マスコミを懲らしめる」などの発言が党の会合で出たことを深刻に受け止めるべきだ。一方で、「偏向報道」といったメディア批判を素直に受け止める読者・視聴者もいる。健全な批判が民主主義の基盤となることをメディアは粘り強く伝える必要がある。
●<報道圧力発言を憂える>読者と国民を愚民視
2015年06月30日火曜日 ◎河北新報社取締役編集局長 鈴木素雄
自民党所属国会議員の勉強会で、報道機関に圧力をかけて言論を封殺しようとする発言が相次いだ。「選良」と呼ばれる人たちの言論の自由に対する鈍感さと無理解に、背筋が寒くなる。ペンの力をよく知り、それ故にその行使についてより自制的であるべき人気作家が講師役を務めたと聞いて、二の句が継げない。
標的となったのは沖縄県の地元紙「琉球新報」と「沖縄タイムス」だった。米軍普天間飛行場の県内移設問題について、いずれも政府に厳しい論調を展開している。人気作家や勉強会の出席者は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「左翼勢力に乗っ取られている」と、口を極めてののしった。
エネルギー政策や安全保障問題などをめぐって、国策と地方の利害が対立することは珍しくない。地方紙が県民の声を代弁して編集に当たることはむしろ当然の任で、それに掣肘(せいちゅう)を加えるがごとき言動は異論封じ以外の何ものでもない。地方を眼下に見る高慢さが見え隠れしていないだろうか。
東日本大震災以降、両紙は月命日を中心に河北新報など被災3県の地元紙の記事を転載するなど、震災の風化にあらがう紙面作りを続けている。東北から南に千数百キロ。友好紙への政権与党からの故なき中傷を、看過することはできない。
「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」。これもまた、聞き捨てならない暴論だ。ご承知の通り、新聞社の経営は大きく分けて購読料と広告料収入で賄われている。二つある糧道のうち一つを断てば音を上げるはずとの読みだろうが、浅知恵と言うほかない。
まず、スポンサーは費用対効果という経済原則に沿って広告を出稿しているのであり、時の権力者の鼻息をうかがっているわけではない。経団連を通じて圧力をかける「私案」を披露した議員もいたようだが、見くびられた経団連こそいい迷惑というものだろう。
そしてこれが最も大事なことだが、読者の信頼を失えば権力者がわざわざくちばしを入れずとも、新聞が自壊の道を歩むことになるのは自明の理だ。
どんな事態か。権勢を振るう者に不都合な真実に目をつぶり、広告料欲しさにへつらう。勉強会の面々が理想とする、そんな新聞の姿だ。誰が読んでくれよう。読者と国民を愚民視したという点でも、一連の報道圧力発言は根深い問題をはらんでいる。
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