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てらまち・ねっと



 児童虐待が増加していて「最悪更新、10年前の30倍」(今年3月)とされていた。
 表に出ることが少ない「ことがら」。実態はケタ違い、でも足らない表現だろう。
 
 過去の自らの被害を訴えた事件について、最高裁の決定が出た。加害者の上告棄却。
 (時事)《幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、40代女性が叔父に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は8日付で、叔父側の上告を退ける決定をした》

 ということで、以下の関連報道を確認。
 地裁判決を覆して原告の勝訴とした昨年9月札幌高裁の判決の報道も確認しておく。最高裁が追認した判決だから。
 (ダイヤモンド)によれば、
 ★地裁判決《1審の釧路地裁の河本昌子裁判長は2013年4月、男性による性的虐待行為や姦淫行為の事実を認め、PTSDなどとの因果関係も肯定しながら、「すでに20年の除斥期間が経過している」として、訴えを退けていた。》

 ★高裁判決《除斥期間の起算点は、損害の発生したとき、つまり「うつ病が発症した06年9月頃」というべきだとしている。請求額については、性的虐待行為により被った過去及び将来10年間の治療関連費や慰謝料など、3000万円余り(ほぼ1審の請求額)が認められた。》

 ずっと過去のことだから「時効」が問題になる世界。

 この点について、(日経、共同)によれば、
 《幼少期に性的虐待を受けた被害者は成人になってから被害を訴え出ても、刑事、民事ともに時効が成立したとして泣き寝入りするしかないケースもある。自民党のPTは、時効を成人になるまで停止できるようにする法改正案を盛り込んだ提言を公表している。》

●被害女性の勝訴確定=幼少期、親族が性的虐待-除斥期間認めぬ二審支持・最高裁/時事 2015/7/9
●◎児童虐待2万8923人通告=最悪更新、10年前の30倍/2015年3月26日掲載時のもの
●幼少期の虐待:親族男性の賠償確定 最高裁/毎日 7月9日
●幼少期に性的虐待でうつ発症、加害男性の賠償確定 最高裁 /日経 7/10 〔共同〕
●幼児期の性的虐待に賠償命じた判決確定/NHK 7月9日
●「幼少期の虐待」賠償命令確定…除斥期間が焦点/読売 7月9日
●PTSD訴訟で被害女性が「逆転勝訴」 30年前の性的虐待の損害を認定/ダイヤモンド 2014年9月25日

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●被害女性の勝訴確定=幼少期、親族が性的虐待-除斥期間認めぬ二審支持・最高裁
       時事(2015/07/09-19:00)
 幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代女性が叔父に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は8日付で、叔父側の上告を退ける決定をした。女性の請求をほぼ認め、叔父に約3000万円の支払いを命じた二審札幌高裁判決が確定した。

 訴訟では、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過したかどうかが争点だった。叔父は虐待について一部認めていた。
 二審判決によると、女性は3歳から8歳にかけて叔父から繰り返し性的虐待を受けた。これが原因で1983年ごろにPTSDなどを、2006年ごろにうつ病を発症したが、病名の診断を受けたのはいずれも11年だった。

 一審釧路地裁は、除斥期間の起点を遅くとも最後に虐待のあった83年と判断し、女性が提訴した11年には20年が経過しているとして、女性の請求を棄却した。

 これに対し、二審はそれぞれの病気の発症時期を起点に判断。PTSDは除斥期間が経過しているが、うつ病は経過していないと指摘し、叔父に慰謝料2000万円や治療費約900万円などの支払いを命じた。

 女性側は、親や兄弟を含む親族間の幼少期の性的虐待では(1)家族関係が破綻することを恐れ、被害を隠そうとする(2)親などが虐待を知っても、加害者をかばう-などの特徴があると指摘。女性も当てはまり、成人になるまで賠償請求は困難だったとも主張したが、一、二審は「請求が不可能とは言えない」として、認めなかった。

 ★【図解】児童虐待件数と通告人数
●◎児童虐待2万8923人通告=最悪更新、10年前の30倍-7%を一時保護・警察庁
          ※記事などの内容は2015年3月26日掲載時のものです
 虐待された疑いがあるとして、2014年に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは2万8923人おり、前年より7320人(34%)増えたことが26日、警察庁のまとめで分かった。10年連続で増加して過去最悪を更新。統計を始めた04年の30倍となった。7%に当たる2034人の子どもは、生命や身体の危険があったため警察が一時保護した。

 増加の背景について、警察庁は「深刻な事件が相次いで国民の認識が一層高まり、通報が増えた」と分析している。
 通告は、暴言や無視などの心理的虐待が39%増の1万7158人で6割を占めた。次いで身体的虐待が25%増の7690人、怠慢・拒否(ネグレクト)は32%増の3898人、性的虐待は19%増の177人だった。

 心理的虐待のうち、子どもの前で配偶者間暴力(DV)が行われた「面前DV」が1万1669人(45%増)に上った。DV自体の認知件数や摘発も増えており、比例して激増した。

 緊急時や児童相談所が開いていない夜間に警察が一時保護した子どもは179人増の2034人。大半が身体・性的虐待の被害者だという。死亡した子どもは5人減の20人で過去最少となった。

●幼少期の虐待:親族男性の賠償確定 最高裁
         毎日新聞 2015年07月09日
幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代女性が親族の男性に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は8日付で男性側の上告を棄却する決定を出した。男性側に約3030万円の支払いを命じた2審・札幌高裁判決(2014年9月)が確定した。

 1、2審判決によると女性は幼少期の1978〜83年に男性から性的虐待を受けた。11年、精神障害の原因は性的虐待だったとして提訴した。

 1審・釧路地裁判決(13年4月)は、発症原因を虐待と認めたが、不法行為から20年が過ぎると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過し、請求権を失ったとして請求を棄却した。一方、2審は「PTSDとうつ病は症状や治療方法が異なる別個の障害」と認定。83年に発症したPTSDは除斥期間が経過したとしたが、うつ病については発症した06年を起算点として賠償義務を認めた。【山本将克】
 
●幼少期に性的虐待でうつ発症、加害男性の賠償確定 最高裁
         日経 2015/7/10 〔共同〕
 幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代の女性が親族の男性に損害賠償を求めた訴訟は、男性に約3030万円の支払いを命じた二審札幌高裁判決が9日までに最高裁で確定した。第2小法廷(山本庸幸裁判長)が8日付で男性の上告を退ける決定をした。

 二審判決によると、女性は3~8歳だった1978~83年に男性から性的虐待を受けた。83年ごろにPTSDを、2006年9月ごろにうつ病を発症した。

 争点となったのは、不法行為に対して損害賠償の請求が可能な20年の「除斥期間」の起算点。一審釧路地裁は、性的虐待が原因でPTSDとうつ病を発症したと指摘したが、最後に虐待のあった1983年ごろを起算点とし、「すでに請求権は消滅している」と訴えを退けた。

 二審はPTSDとうつ病は別個の損害と認定。PTSDを発症した損害は請求権が消滅していると指摘したが、うつ病は「発症した2006年9月ごろが起算点で、除斥期間は経過していない」とし、慰謝料や治療費など計約3030万円の支払いを男性に命じた。

 幼少期に性的虐待を受けた被害者は成人になってから被害を訴え出ても、刑事、民事ともに時効が成立したとして泣き寝入りするしかないケースもあるという。自民党のプロジェクトチームは対策を議論しており、時効を成人になるまで停止できるようにする法改正案を盛り込んだ提言を公表している。

●幼児期の性的虐待に賠償命じた判決確定
        NHK 7月9日
幼い頃に親族の男性から性的な虐待を受けてうつ病などを発症した北海道の女性が起こした裁判で、「被害から20年以上が経過しているが、女性は時間がたってからうつ病になったもので賠償を認めることができる」と判断して、男性に3000万円余りの支払いを命じた判決が最高裁判所で確定しました。

この裁判は、幼い頃に親族の男性から性的な虐待を受けた釧路市出身の40代の女性が、その後うつ病などを発症して男性を訴えたもので、裁判では時間がたっているため女性に賠償を求める権利があるかどうかが争点になりました。

1審の釧路地方裁判所は「被害から20年以上が経過しているため法律の規定で賠償を求めることはできない」と退けましたが、2審の札幌高等裁判所は「うつ病は時間がたってから平成18年ごろに症状が出ており発症を基準にすべきだ」として3000万円余りの支払いを命じていました。

男性が上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の山本庸幸裁判長は、9日までに上告を退ける決定を出しました。
被害を受けた時ではなく、後から病気が発症した時期を基準にして過去の虐待の加害者に賠償を命じた判断は被害者への救済の道を広げるものとなりました。

●「幼少期の虐待」賠償命令確定…除斥期間が焦点
        読売 2015年07月09日
 幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)とうつ病などを患ったとして、北海道釧路市出身の40歳代の女性が親族男性に約4180万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸つねゆき裁判長)は、8日付の決定で男性側の上告を棄却した。

 男性に約3040万円の支払いを命じた2審・札幌高裁判決が確定した。

 2審判決によると、女性は1978年(3歳10か月)から83年(8歳10か月)にかけて、親族の男性から複数回性的虐待を受け、虐待の場面がよみがえったり、悪夢を見たりするなどのPTSDの症状が出た。2006年9月頃にはうつ病も患い、11年4月にPTSDと診断され、提訴した。

 1審・釧路地裁は、PTSDを発症した女性が最後に虐待を受けた83年を、損害賠償請求ができなくなる除斥期間(20年)の起算点とし、提訴時点で除斥期間が経過していたとして請求を棄却した。2審は、うつ病を発症した06年を起算点とし、除斥期間は適用されないとして男性に賠償を命じていた。

●PTSD訴訟で被害女性が「逆転勝訴」 30年前の性的虐待の損害を認定
              ダイヤモンド 2014年9月25日 池上正樹
幼い頃、繰り返し受けた性的虐待により、PTSD(心的外傷ストレス障害)などを発症したとして、最後の被害を受けてから20年以上経過した2011年4月、北海道釧路市出身の提訴当時30代の女性が、親族の男性に約4170万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、札幌高裁(岡本岳裁判長)は25日、女性の訴えをほぼ全面的に認め、3000万円余りの支払いを命じる“逆転勝訴”の判決を下した。

1審の釧路地裁の河本昌子裁判長は2013年4月、男性による性的虐待行為や姦淫行為の事実を認め、PTSDなどとの因果関係も肯定しながら、「すでに20年の除斥期間が経過している」として、訴えを退けていた。

3歳~8歳だった原告女性に
わいせつ行為を繰り返した親族男性

女性は同年9月、親族の60代男性から、1978~1983年にかけて複数回、性的虐待行為を受けたことにより、PTSD、離人症性障害、うつ病などを発症、損害を被ったとして、1審の請求額を上回る4100万円余りの賠償を求めて札幌高裁に控訴。裁判では、幼少の頃に受けた性犯罪とPTSDとの因果関係を本人が認識できていなくても、民法724条で定める20年という「除斥期間」が経てば、損害賠償請求権は消滅してしまうものなのかどうかが争われてきた。

判決要旨によると、被害者女性の供述は、「性的虐待行為の具体的な時期、及び内容について、その記憶のとおりに述べたものとみるのが相当である」のに対し、被告の主張は「その正確性に疑いを入れざるを得ない」ことから、概ね原告が主張するとおりのものであったと認めている。

裁判所が認定している事実概要は、次の通りだ。

1978年1月上旬、被告は祖父母宅において、当時3歳10ヵ月の原告に対し、体をなで回すなどの行為をした。

以来、被告は祖父母宅において、毎年1月上旬と8月の2回、原告へのわいせつ行為を繰り返し、行為をだんだんとエスカレートさせていく。

そして、82年8月中旬、被告は祖父母宅において、当時8歳5ヵ月の原告に対し、布団の中に引き込み、着衣の上着を脱がせた上、わいせつ行為に及んだ。

翌83年1月上旬には、被告は祖父母宅において、当時8歳10ヵ月の原告に対し、布団の中に引き込み、着衣を脱がせて裸にした上、わいせつな行為を行ったうえで、姦淫するに至った。

これに対し、被告側は、原告の身体を触るなどの行為が81年1月から83年1月までの4回程度あったことは認めたものの、姦淫行為があったことなどは否認していた。

除斥期間の起算点は
女性がうつ病発症した2006年に

女性はその頃から、フラッシュバック、睡眠障害、回避症状、離人体験、自傷行為などに悩まされてきた。

2006年9月頃からは、著しい不眠、意欲低下、イライラなどの症状に悩まされ、うつ病の疑いと診断。08年頃になると、仕事がまったくできない状態が続いていた。

しかし、2011年3月11日の東日本大震災の報道をきっかけに、自らが苦しんできた諸症状がPTSDによるもので、その原因が性的虐待行為にあることを自覚するに至った。同年4月には、医師から「心的外傷後ストレス障害・抑うつ状態」と診断された。

それに対し、被告側は1審で、被告男性自らが行為を行ってから25年以上が過ぎ、原告の女性がうつ病やPTSDと診断されたのも「ごく最近である」として、「原告の症状は、いまの結婚生活など、これまでの生活状況がストレスになっている可能性が高い」などと主張していた。

判決要旨によれば、精神科医の尋問を踏まえ、原告は被告から性的虐待行為を受けたことにより、83年頃、PTSD及び離人症性障害、高校在学中に摂食障害を発症。06年9月頃、うつ病を発症したものと認めている。

PTSD及び離人症性障害、摂食障害を発症したことを理由にした損害賠償請求権は、原告が訴訟を起こした11年4月には除斥期間が経過している。

ところが、06年9月頃に発症したうつ病は、PTSD及び離人症性障害、摂食障害に基づく損害とは質的にまったく異なるものである。また、うつ病の損害は、性的虐待行為が終了してから相当期間が経過した後に発生したものと認められるとして、除斥期間の起算点は、損害の発生したとき、つまり「うつ病が発症した06年9月頃」というべきだとしている。

請求額については、性的虐待行為により被った過去及び将来10年間の治療関連費や慰謝料など、3000万円余り(ほぼ1審の請求額)が認められた。


“魂の殺人”を踏まえた今回の判決
子どもは虐待を打ち明けられない

PTSDの発症時期は、5~6歳のときから始まっているので認められないと切られている。ただ、うつ病は、性虐待から派生していると判断されているため、実質的には性虐待以降の子ども時代、進学、就職、結婚といった彼女のライフステージごとの損害が認められた格好だ。

原告団の秀嶋ゆかり弁護士は、こう話す。

「彼女はずっと同じ話をしてきた。高裁で本人と精神科医の尋問が行われたことも大きい。性暴力でいわれる“魂の殺人”という実態を踏まえた判断をしてくれた。判決後、彼女は“子ども時代に訴えることはできない。裁判を起こすことはとても大変だった”と話していて、時効の起算点がずらせないという仕組みの改善や、本来なら刑事で処罰してほしかったのに民事しかなかったことなど、法改正の必要性を訴えています」

子どもは、加害者から口止めされたり、性的虐待を打ち明けることで自分が家庭を壊してしまうのではないかと悩んだり、家庭が壊れたら孤立を余儀なくされるのではないかと考えたりして、なかなか虐待の事実を打ち明けることができない。

長年、自分の心に封印してきて、いまも声を上げることをためらい、悩み続ける当事者たちにとっても、勇気を与えてくれる画期的な判決となった。


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