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てらまち・ねっと



 多くの人が憤る、この国の政治の現実。
 戦争好きの安倍氏、その政権が作ろうとしているというしかない独裁国家・日本。
 民主主義を装う自民党、平和を言う公明党の実態、本態。

 選挙制度の問題があるとはいえ、国民が選んだ政権。その暴走を止めるのは国民の大事な責任、か。
 2年前の「戦争に行かない人は、死刑にする」「懲役300年」などの当時の石破幹事長発言も振り返りながら、この歴史に残るヒドイ経過を記録。

●「民主主義って何なんだ」 強行採決に抗議、全国で 安保法案、衆院委で可決 与党が採決強行/朝日 2015年7月16日 
●列島各地で抗議拡大 安保法案、16日衆院通過の構え/2015/07/15 23:28 【共同通信】
●安保法案、16日にも衆院通過へ 5野党は採決応じず /日経 2015/7/16
●中国が「戦勝70年軍事パレード」に安倍首相を招待、目的は日本に対する挑発?―香港メディア/レコードチャイナ 2015年7月15日

●宮崎駿監督が安保法制を一刀両断!「安倍首相は愚劣」「軍事力では中国を止められない」/リテラ 編集部 2015.07.13
●反安保 大学にも拡大 「憲法を無力化」「今声上げねば」/東京 2015年7月15日
●【速報】国会前で大規模なデモが開催中:安保法制の強行採決に抗議の声/ニュークラシック 公開日:2015.07.15 

★(2年前の報道)●「戦争に行かない人は、死刑にする」 石破幹事長/J-CASTニュース 2013/7/17

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●「民主主義って何なんだ」 強行採決に抗議、全国で 安保法案、衆院委で可決 与党が採決強行
         朝日 2015年7月16日 
 この道はどこへ行き着くのか。ヤジと怒号の渦。しかし与党側からも高揚感の見えぬまま、安全保障関連法案が15日、衆院特別委員会で可決された。「民主主義って何なんだ」。抗議の意思を示そうと、人波が国会前へ向かい、その輪は各地に広がった。
 「9条守れ」「安倍政権の暴走とめろ」。

 衆院特別委員会での採決から6時間余り経った午後6時半、日中の暑さが残る国会正門前でこの日4回目の集会が始まった。仕事を終えたサラリーマンや親子連れなど、様々な世代の約2万5千人(主催者発表)が数百メートルにわたって歩道を埋め、声を上げた。

 訴えは午後11時半まで続いた。雨が降るなか、傘もささずにいた京都市の大学院生藤井美保さん(24)は「きょう行かないと後悔すると思って来た。反対の声を国会に届けたかったから」と話した。集会は3度目という大学院生の女性(22)は「きょうの雰囲気はこれまでと全然違う。参加者も増えた」。

 東京都大田区の警備員半沢英雄さん(68)は、40代の娘夫婦と小学生の孫の3世代でやってきた。デモにそろって参加するのは初めて。抗議する人たちの姿を、子や孫たちとともに目に焼き付けたいと、連絡を取り合って駆けつけた。「今まで生きてきた中で、政治が一番危うい。何か行動しなくてはと思った」

 集会は、国会周辺で五月雨式に続いた。午後7時半からは学生団体「SEALDs(シールズ)」が開催。授業後、友人2人を誘って来た都内の大学3年生木村茜(あかね)さん(21)は、「強行採決反対」と書かれたプラカードを掲げ、声を上げ続けた。「大学でも、安倍政権のやり方はおかしいと思っている友人は多い。民意を無視しているようにしか見えない」

 今回の審議を見ていて、次の選挙には必ず行こうと決めた。「若者だって、政治に無関心ではないというメッセージを伝えたい」と話した。

 正門そばの演台では、学者や作家、若者、野党幹部らが代わる代わるマイクを握った。13日の中央公聴会で意見を述べた山口二郎・法政大教授(政治学)は「(公聴会での意見を)その後の審議にどう反映させたのか。政治が劣化し、民主主義が脅かされる。危機感を持って闘い抜く」と訴えた。

 抗議の動きは、各地でも起きた。

 広島市中区の原爆ドーム前。午後2時ごろから、市民ら約130人が「抗議! 戦争法の強行採決を許さん!」という横断幕を掲げて座り込んだ。祖父母が被爆者という会社員石本直(なお)さん(28)=広島市東区=は「戦争は過去のものだと思っていたが、最近は状況が変わってきて怖い」と話した。

 安倍晋三首相の地元、山口県下関市の首相の事務所前では、市民ら約40人が抗議した。神父の林尚志さん(80)は「安倍首相は法案の必要性を国民に説明しきっていない。強行採決はやり方が未熟だ」と批判した。

 熊本市中央区の辛島公園での座り込みに、平村和子さん(44)は3歳の長女を連れ、勇気を出し、参加した。「SNSで法案のことを拡散したり、知人に話したり、できることをしていきたい」。26日は東京・渋谷で開かれるママの会のデモに参加するつもりだという。

●列島各地で抗議拡大 安保法案、16日衆院通過の構え
      2015/07/15 23:28 【共同通信】
 衆院平和安全法制特別委員会で与党が安全保障関連法案の可決に踏み切ったことを受け、国会周辺をはじめ列島各地で15日、抗議の動きが広がった。衆院は議院運営委員会理事会で衆院本会議を16日午後に開く日程を決定。与党が法案に賛成して、衆院通過の強行を図る。これに反発する民主、維新、共産、社民、生活の5野党党首は国会内で会談し、本会議採決への不参加を確認した。

 法案をめぐっては、集団的自衛権の行使など自衛隊活動拡大の歯止めが不明瞭だとの指摘が根強いままだ。

 国会近くには15日夕、法案可決に抗議する人たちが続々と集まり、「強行採決徹底糾弾」と声を合わせた。

●安保法案、16日にも衆院通過へ 5野党は採決応じず
        日経 2015/7/16
 衆院議院運営委員会は15日の理事会で、安全保障関連法案を16日の衆院本会議で採決することを林幹雄委員長(自民)の職権で決めた。民主、維新、共産など野党5党は反発し、採決に加わらない方針で一致。与党は同日中に与党などの賛成多数で可決し、参院に送付する考えだ。

 国会に提出された法案は委員会と本会議で審議、採決する。

 15日の衆院平和安全法制特別委員会では、安倍晋三首相らが出席して安保法案の締めくくり質疑を実施。民主、維新、共産の野党3党は質疑に出席し、審議の継続を要求したが、浜田靖一委員長(自民)が質疑打ち切りを宣言。野党が抗議する中、与党単独で採決し、可決された。

 関連法案は自衛隊法や武力攻撃事態法など改正10法案を一括した「平和安全法制整備法案」と国際紛争に対処する他国軍を後方支援するため、自衛隊の海外派遣を随時可能にする新法「国際平和支援法案」の2本。集団的自衛権の限定行使に道を開くもので、成立すれば日本の安全保障政策の大きな転機となる。

 特別委での採決後の衆院議運委の理事会では、与党側が16日の衆院本会議で安保法案を採決することを提案したが、野党側は「議論が尽くされていない」などと反対。最後は林委員長が職権で16日午後1時からの本会議開会を決めた。

 民主、維新、共産、生活、社民の野党5党は国会内で党首会談を開き、16日の採決には応じない方針で一致。民主党の岡田克也代表は「採決を認めるわけにはいかない」と強調。維新の党の松野頼久代表も「抗議の意味も含め、強行採決された政府案の採決には加わらない」と訴えた。

 16日の本会議では民主などは政府案への反対討論を行った後、採決前に議場を退出する方向だ。維新は同党が提出した対案の採決には出席するが、政府案の採決には加わらない。特別委と同様、事実上の与党単独での採決となる見通しだ。

 今国会の会期は9月27日まで。16日中に衆院を通過させれば、参院が議決しなくても60日後に否決したと見なして衆院で再可決できる憲法の「60日ルール」が適用でき、会期内の成立は確実になる。

 ▼委員会と本会議 国会で法案を審議し、採決する場。衆参両院にそれぞれ設けられている。一般的な法案はまず衆院の委員会で審議され、可決されると衆院本会議に上程。過半数の賛成で可決、衆院通過となる。その後、参院の委員会、本会議でも同様に可決されれば、法案は成立する。参院の選挙制度改革に関わる法案など、参院で先に審議されるものもある。本会議は通常、衆院では火曜・木曜・金曜日の午後1時、参院では月曜・水曜・金曜日の午前10時から開かれる。

 委員会には、総務、環境、文科など17の常任委員会と、安全保障関連法案など重要法案を専門的に審議する期限付きの特別委員会がある。全議員が出席し、法案に対する賛否の意思表示ができる本会議に対し、数十人で構成する委員会は各党が選挙で得た議席数に応じて委員数が割り当てられる。このため自民党や民主党など大政党が多くの委員会での議論を主導できる一方、少数政党は審議に党の考えを反映しにくい。

 今国会で安全保障関連法案を審議した衆院特別委員会の委員数は45人で、自民、民主、維新、公明、共産の各党で構成。委員長には自民党の浜田靖一元防衛相が就いた。参院審議でも特別委が新設される方向で、与野党が委員数や委員長ポストをめぐり協議する見通しだ。

●中国が「戦勝70年軍事パレード」に安倍首相を招待、目的は日本に対する挑発?―香港メディア
         Yahoo!ニュース/レコードチャイナ 2015年7月15日 22時25分 2015年7月16日 05時02分 更新
 14日、香港・大公網は、中国政府が9月3日に予定している「抗日戦争勝利70周年」の軍事パレードに安倍晋三首相を招待したことを受け、今後2カ月の日中間のやりとりに国際的な注目が集まると報じた。資料写真。(Record China)

2015年7月14日、香港・大公網は、中国政府が9月3日に予定している「抗日戦争勝利70周年」の軍事パレードに安倍晋三首相を招待したことを受け、今後2カ月の日中間のやりとりに国際的な注目が集まると報じた。

中国が日本の政治指導者を軍事パレードに招待するのではないかとの見方は数カ月前から出ていた。中国政府から公式な意思表示はなかったが、否定的な意見も出ていなかった。中国の外交姿勢は、不確実な事柄についてコメントしないことが通例であることから、中国外交部の程国平(チョン・グオピン)副部長が安倍首相を招待すると公にしたことには、何らかの一定の意味合いが含まれている。

右傾化を強める日本の政治指導者を招くのは「日本を挑発するため」との見方もある。だが、習近平(シー・ジンピン)国家主席が最も多く会見した外国の指導者は、ロシアのプーチン大統領を除けば安倍首相であり、中国が日本を外交上重要な存在と捉えていることは明らかだ。挑発だけが目的という見方は、習主席や中国の外交姿勢を過小評価するものだ。

他国の政治指導者とともに安倍首相も招待することは、外交上のマナーと利益に沿うものであり、中国が自らの発展に自信を持っていることをうかがわせ、今後の日中関係においても前向きな見方に基づいた自信を抱いていることを表している。(翻訳・編集/岡田)

●宮崎駿監督が安保法制を一刀両断!「安倍首相は愚劣」「軍事力では中国を止められない」
       本と雑誌のニュースサイト/リテラ 編集部 2015.07.13
 たとえば、2013年に発行したスタジオジブリの小冊子「熱風」7月号では「憲法改正」を特集に掲げて大きな反響を呼んだが、このなかで宮崎監督は、
「憲法を変えることについては、反対に決まっています。選挙をやれば得票率も投票率も低い、そういう政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、もってのほかです。本当にそう思います」
「政府のトップや政党のトップたちの歴史感覚のなさや定見のなさには、呆れるばかりです。考えの足りない人間が憲法なんかいじらないほうがいい。本当に勉強しないで、ちょこちょこっと考えて思いついたことや、耳に心地よいことしか言わない奴の話だけを聞いて方針を決めているんですから」
 と、安倍首相の姑息な改憲路線に加え、政治家として最低限の知性さえ持ち合わせていないことを断罪。さらに語気を強めて、こう述べている。

「それで国際的な舞台に出してみたら、総スカンを食って慌てて「村山談話を基本的には尊重する」みたいなことを言う、まったく。「基本的に」って何でしょうか。「おまえはそれを全否定してたんじゃないのか?」と思います。きっとアベノミクスも早晩ダメになりますから」
 これだけではない。この発言と同時期に宮崎監督はネトウヨから殺害予告も受けていたが、そんなものにも怯まず、慰安婦問題や領土問題にも踏み込んでいる。

「(戦前の日本は)悪かったんですよ。それは認めなきゃダメです。慰安婦の問題も、それぞれの民族の誇りの問題だから、きちんと謝罪してちゃんと賠償すべきです。領土問題は、半分に分けるか、あるいは「両方で管理しましょう」という提案をする。この問題はどんなに揉めても、国際司法裁判所に提訴しても収まるはずがありません。かつて日本が膨張したように、膨張する国もあります。でも、その度に戦争をするわけにはいかない。そんなことよりも、今は、日本の産業構造を変えていこうというまじめな取り組みをすべきだと本当に思いますよ。こんな原発だらけの国で戦争なんかできっこないじゃないですか」

 多くの評論家たちが批判に晒されることを恐れ、自分の意見を言うことを尻込みするなか、ここまで言い切る表現者は日本にはいない。それは向こう見ずだからとか肝が据わっているとか、そういうことじゃない。たぶん、本気で怒っているのだ。

●反安保 大学にも拡大 「憲法を無力化」「今声上げねば」
           東京 2015年7月15日

 安全保障関連法案に反対する動きが各地の大学に広がっている。「民意や立憲主義に反し、戦争につながる」と教員有志が危機感を募らせ、緊急声明や集会を重ねている。十四日は市民団体や学者グループによる声明も相次いだほか、実戦となる恐れもあったイラクへの自衛隊派遣の検証を求める声も上がった。 (安藤恭子、竹島勇、小松田健一)

 十四日昼、東京都港区の明治学院大の教室で「声明を語る会」が開かれ、教職員と学生ら計二十人が集まった。教員有志十五人は六日、「憲法の平和主義が無力化される」と法案への反対声明を発表。学内に掲示し、百七十人超の賛同人を集めている。
 「語る会」はこの日を含め四回開催。昼休みにランチを食べながら、日本の戦後責任や九条、言論への圧力といった問題をテーマに挙げた。今後も続ける予定で、呼び掛け人の猪瀬浩平准教授(文化人類学)は「法案は多様な問題を含む。開かれた対話の場としての大学の役割を果たせれば」と語る。
 国会審議が本格化した六月から、法案に反対する大学有志の声明が出始め、東京大でも今月十日、学生や教職員、OBらによる抗議集会に三百人が集まった。

 国際基督教大の稲(いな)正樹客員教授(憲法)は十三日、政治学、国際関係学の異分野の三人で声明を発表。「法の支配の根本が覆される事態。今声を上げなくては、研究を続けてきた意味がない」と危機感を募らせる。

 立命館大の法学部と法科大学院の教員有志六十四人も同日、「戦争準備法の性格を持つ」と法案に反対する声明を発表。他学部の教員が入り、全学で賛同を募る活動もインターネットで始まった。憲法学者の多くが「違憲」とする法案を強行しようとする政権の動きに、小松浩教授(憲法)は「専門知を軽視し、学問を侮辱する政権への憤りが広がっている」と厳しく批判した。

 東京学芸大の教員有志七十八人は十四日、法案の撤回を求めて緊急アピールを発表。とりまとめた教育学部の及川英二郎准教授(近現代史)は「強行採決を何としても阻止したいと賛同を募った」。十六日に学内集会を開く。

◆学者9000人「廃案を」「採決反対」市民団体 
 ■「安全保障関連法案に反対する学者の会」は14日、緊急要請行動として会の呼び掛け人14人が衆院特別委員会の自民、公明、民主、維新、共産各党の理事や委員の議員室を衆院議員会館に訪ね、強行採決せず廃案とするよう訴えた。
 参加したのは佐藤学・学習院大教授(教育学)ら。思想家の内田樹氏ら4人は与党側筆頭理事を務める江渡聡徳前防衛相(自民)の議員室を訪れ「9000人以上の学者が法案に我慢しきれず反対の意思表示をしている事実を重く受け止めてほしい」と秘書に伝えた。

 社会学者の上野千鶴子氏は江渡氏の議員室を訪ねた後に「憲法に違反する法律をつくったら、立法府まるごと、議員全員が憲法違反を犯すことになりますよ」と強調した。会には6月の発足からこの日までに、呼び掛け人61人、賛同者9766人の計9827人の学者が名を連ねている。

 ■海外で人道支援や協力活動をする団体の有志がつくった「NGO非戦ネット」は14日、自衛隊が海外で武力を行使すれば、非政府組織(NGO)の活動環境は著しく危険になるなどとして、安全保障関連法案の採決に反対する声明を発表した。声明では、安保法案は日本を戦争ができる国にしようとするもので、憲法の平和主義に反すると指摘。非軍事の国際貢献が必要だとしている。

 ■市民団体のピースボート(東京)と韓国の環境NGO「環境財団」は14日、安全保障関連法案の採決に反対する共同声明を出した。声明は「憲法解釈を変えて集団的自衛権行使を容認することは相互不信を増幅し、アジアの緊張を高める」と政府を批判。近隣諸国の市民の声に耳を傾け、立憲主義を尊重するよう求めている。

●【速報】国会前で大規模なデモが開催中:安保法制の強行採決に抗議の声
          ニュークラシック 公開日:2015.07.15 
集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安全保障関連法案が7月15日、衆議院の平和安全特別委員会で可決された。

すでに多くの国民が抗議の声をあげていたが、国会前には主催者発表で2万5000人の人々が集結。強行採決に対して、抗議の声をあげている。

全国で続々抗議の声

安保関連法案に対する抗議の声は、15日の採決を前にして続々と拡大。14日にも、大規模な反対集会が日比谷野外音楽堂でおこなわれ、こちらは主催者発表でおよそ2万人が参加した。

こうした中で、15日にはいよいよ強行採決が実施。NHKが国会中継を行わないことなどに対しても多くの抗議の声が上がったが、与党の賛成多数で可決となった。

本日の可決を受けて、国会前では抗議の声をあげるデモが大規模に展開。10~20代の学生を中心としたグループ「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」や、共産党・志位委員長や民主党・枝野幸男幹事長などの政治家、社会学者・上野千鶴子氏などの著名人なども集まっている。

現在も抗議のデモは続いており、国会前はプラカードを持った人々や抗議の声をあげる人で溢れかえっている。

★2年前の報道 ●「戦争に行かない人は、死刑にする」 石破幹事長
  J-CASTニュース 2013/7/17
自民党の石破茂幹事長が、「戦争に行かない人は、死刑にする」と発言――参院選も後半にさしかかる中、新聞の報道をきっかけに、こんな情報が飛び交い始めた。

「徴兵逃れには死刑か懲役300年という話、本当に怖い。選挙でねじれがなくなったら一体どうなるのか?」
「徴兵されて戦死したくない若者は選挙に行って自民党を潰すしかないよ」
などと、一部有権者は蜂の巣を突いたような騒ぎだ。実は、石破幹事長はそんな短絡的な発言はしていない。どうしてこんな話になったのか。

7年以下の懲役・禁錮では甘すぎると主張

発端となったのは、東京新聞の2013年7月15日付朝刊だ。

「石破自民幹事長もくろむ『軍法会議』」
「平和憲法に真っ向背反」
連載「こちら特報部」のコーナーへ、いかにも軍靴の音が聞こえそうなおどろおどろしい見出しとともに掲載されたのは、石破幹事長の顔写真だ。

記事は、テレビ番組「週刊BS-TBS編集部」で4月21日放映された石破幹事長のインタビューをいわば蒸し返す形で構成されている。石破幹事長はその中で、「国防軍に『審判所』という現行憲法では禁じられている軍法会議(軍事法廷)」の設置を強く主張、「死刑」「懲役300年」など不穏な単語を連発させたという。

実際に、問題のVTRを見てみよう。石破幹事長は自民党の代表者として、自民の改憲草案を、いつもの口調で解説していく。そして話題は「9条」にさしかかった。石破幹事長は憲法への自衛隊(国防軍)の明記を改めて強調した上で、改憲後の具体的な変更点として、「軍事裁判所的なもの」(自民草案では「審判所」)を設置すると解説する。

ここから、問題の箇所だ。まずは、現状について、自衛隊員が一般法によって裁かれていることに触れ、その罰則が甘すぎると主張する。

「今の自衛隊員の方々が、『私はそんな命令は聞きたくないのであります。私は今日を限りに自衛隊員を辞めるのであります』といわれたら、ああそうですか、という話になるのですよ。『私はそのような命令にはとてもではないが従えないのであります』といったら、目一杯行って懲役7年なんです(編注:自衛隊法の刑罰の上限は『7年以下の懲役・禁錮』)」
「死刑になるくらいなら出撃しようということに…」

続けて、「これは気をつけて物を言わなければいけないんだけど」と前置きし、

「人間ってやっぱり死にたくないし、ケガもしたくないし、『国家の独立を守るためだ! 出動せよ!』というときに、『でも行くと死ぬかもしれないし、行きたくないな』という人はいない、という保証はどこにもない」
と、自衛隊にもいざとなると「出撃拒否」が起こる可能性があると話す。そしてこうした事態を防ぎ、自衛隊の規律を維持するためには、軍法会議設置による命令違反への厳罰化が必要だと説く。

「だからそのときに、それに『従え! それに従わなければその国における最高刑である』――死刑がある国は死刑、無期懲役なら無期懲役、懲役300年なら300年(と決まっていれば)――『そんな目に遭うくらいだったらば、出動命令に従おう』という(ようになる)」
確かに石破幹事長は、軍事法廷の設置と、その最高刑として死刑もありうる、との見解を示している。ただし一部の人々が誤解しているように、これは「兵役拒否=死刑」という話ではない。すでに自衛隊(国防軍)に入った人のみが対象だ。

ちなみに石破幹事長は、2010年のブログで、自衛隊がいずれも「複雑かつ精密なコンピューターの塊のような装備・システムで運用されて」いることなどを理由に、「玉石混交」の人材を集める徴兵制にははっきり反対を明言している。

「敵前逃亡」は米陸軍では「最高で死刑」

また軍隊を持つ大半の諸外国では、なんらかの形で軍法会議を設置している国が大半で、罰として死刑など刑法上の最高刑を科している国は少なくない。

防衛省防衛研究所の奥平穣治氏が記すところによれば、たとえば「敵前逃亡」は米陸軍では「最高で死刑」、「命令拒否・不服従」や「部隊不法指揮」「秘密漏洩」なども戦時中は死刑の対象となりうる(ただし適用例は第二次大戦以来ない)。英、独など死刑制度が廃止されている国でも、石破幹事長の言うようにそれ相応の厳しい刑罰が設けられており、それと比べれば、日本の自衛隊の刑罰は「全般的に、主要国の軍(刑)法より軽い傾向がある」という(「防衛司法制度検討の現代的意義」より、2011年1月)。「軍法会議」の設置には賛否両論があるが、石破幹事長の発言はこうした議論を踏まえたもののようだ。


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 安保法案は、今日、委員会で強行採決方針だという。
 自民公明による強行採決。安倍独裁軍団の進撃。

日テレによれば、
 ★民主党執行部は14日夜、緊急の会合を開いた。採決には欠席する方向。
 ★与党側が採決への協力を期待していた維新の党が、15日の委員会を欠席する方針。
 ★共産党は、審議には出席するが採決は欠席する考え。

 この国はどこへ行くのか。とりあえず、次をブログに記録。
●安保法案:衆院委で15日採決強行 与党方針、野党反発/毎日 2015年07月14日
●安保法案きょう採決 都内で大規模反対集会(東京都)/日テレ 7/15

●与党、きょう安保採決 衆院特別委/中日 7月15日
●安保法案15日採決 衆院特別委、維新も欠席へ/西日本 7/15
●安保法案 野党が特別委欠席でも採決へ/テレ朝 07/15

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●安保法案:衆院委で15日採決強行 与党方針、野党反発
         毎日新聞 2015年07月14日
 安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会の理事会が14日開かれ、15日に3時間の締めくくりの質疑と採決を行うことを浜田靖一委員長(自民)の職権で決めた。政府・与党は16日に衆院を通過させる方針だ。反発する民主、共産両党は「国民の理解は進んでいない」と採決に応じない構えだが、与党は採決を強行する方針で、与野党の対立はさらに激しくなりそうだ。

 特別委の理事会には、民主、共産は出席したが維新の党は欠席した。江渡聡徳前防衛相(自民)が「審議時間は113時間になる。すべての論点の質疑は終わった」と15日の採決を提案。民主の長妻昭代表代行が「国民の理解が進んでいない中で採決をすべきではない」と反発したが、最後は浜田委員長が「見解の相違だ。職権で決める」と採決する方針を表明した。

 これに先立ち、維新の松野頼久代表らは大島理森衆院議長と面会し、採決の先延ばしを要請。大島議長は与党幹部と断続的に会談したが、与党方針は変わらなかった。自民幹部は14日、「われわれは手続きを踏んできた」と述べ、野党の対応に関わらず採決に踏み切る考えを示した。

 一方、自民の高村正彦副総裁、公明党の北側一雄副代表、維新の柿沢未途幹事長は国会内で維新の対案を協議した。政府案の集団的自衛権の限定行使と、維新が示した個別的自衛権の拡大との隔たりが大きく、歩み寄りは困難との認識で一致。法案修正は見送るが、参院審議中も3党協議を続けることで合意した。ただ、法案を修正すれば過去の政府答弁との整合性が崩れるため、本格修正は事実上、困難とみられる。

 特別委の14日の一般質疑では、菅義偉官房長官が維新の対案について「政府案と比較することで国民の理解が深まっていく」と評価する考えを示した。一方、中谷元(げん)防衛相は「(対案は)国際法上は集団的自衛権と見なさざるを得ないものまで個別的自衛権と位置づけている」と述べ、政府案の修正に否定的な考えを示した。【水脇友輔、飼手勇介】

●安保法案きょう採決 都内で大規模反対集会(東京都)
            日テレ 7/15
 安全保障関連法案を審議する衆議院の特別委員会が理事会を開き、15日に採決を行うことを決めた。野党側は強く反発している。  理事会で与党側は締めくくり総括質疑を行った後、安保関連法案を採決することを提案した。野党側は、「国民の理解が進んでいない」などと反対したが、最終的には浜田委員長が職権で15日、締めくくり総括質疑と採決を行うことを決めた。維新の党は「やり方が強引だ」として理事会を欠席した。

 民主党・長妻代表代行「これは本当に厳重に抗議しております。どう考えても禍根を残すということも言ったんですよ」
 民主党執行部は14日夜、緊急の会合を開いた。採決には欠席する方向。

また与党側が採決への協力を期待していた維新の党が、15日の委員会を欠席する方針。
共産党は、審議には出席するが採決は欠席する考え。

 こうした中、都内では14日、大規模な反対集会が開かれた。民主・共産など野党の国会議員も参加し、民主党の枝野幹事長は「安倍政権の暴走を止めようとする全ての国民と連携していく」と訴えた。  民主党・枝野幹事長「国会の中の戦いではない。これは国民の皆さんと安倍政権との戦い」  一方、自民、公明両党は与党単独でも15日、採決に踏み切る構え。あす16日には衆議院の本会議で法案を可決し、参議院に送りたい考えで、与野党の攻防は大きな山場を迎えた。
[ 7/15 3:43 NEWS24]

●与党、きょう安保採決 衆院特別委
          中日 2015年7月15日
 他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案に関する衆院特別委員会は十四日夜の理事会で、法案を十五日に採決することを浜田靖一委員長(自民)の職権で決めた。与党は十六日の衆院本会議で可決し、参院に送付する方針だ。野党側は審議が尽くされていないと抗議し、採決を欠席か退席する構え。与党が強行すれば、法案への慎重意見が多い世論の批判が高まるのは必至だ。

 理事会では、与党側が十五日午前の締めくくり質疑と、これに続く採決を提案した。民主、共産両党は反対したが、浜田氏が「批判はすべて与党が受ける」として日程を決めた。維新の党は採決の提案に反発して理事会を欠席した。

 これに先立ち、自民党の高村正彦副総裁、公明党の北側一雄副代表、維新の柿沢未途幹事長らは維新の対案の取り扱いをめぐり国会内で協議。政府案の内容に影響のない範囲で、維新の主張を取り入れる修正の可能性を探ったが、意見の隔たりは埋まらなかった。参院段階で再協議することでは一致した。

 この後、維新の松野頼久代表は大島理森衆院議長に、政府案と対案の並行審議の続行を申し入れた。大島氏は与党幹部を呼び、「丁寧にやるように」と要請したが、与党は審議は尽くされたとして、与党単独でも十五日に委員会採決に踏み切る方針を確認した。

 これに対し、民主党の長妻昭代表代行は記者団に「強行採決は将来に禍根を残す」と批判。民主、維新、共産の三党は委員会採決を欠席か退席する方向で対応を検討している。

●安保法案15日採決 衆院特別委、維新も欠席へ
     2015/07/15付 西日本新聞
 自民、公明両党は15日の衆院特別委員会で安全保障関連法案を採決する。民主、共産両党に加え維新の党も反発しており、採決を欠席する方針。一方、石破茂地方創生担当相、塩崎恭久厚生労働相は14日の記者会見で「国民の理解が進んでいるとは言えない」と述べ、「相当理解は深まった」とする安倍晋三首相と異なる見解を表明した。戦後の安全保障政策の一大転換点となる法案は、内閣の重要閣僚からも懸念が出る中、与党単独の採決で最初の関門を強行突破する。

 この日、与党は安保法制の対案を出した維新と約2時間にわたり修正協議を行ったが、特別委採決までに修正する余地はないと判断。協議は物別れに終わった。

 これを受け、特別委の与党筆頭理事である自民の江渡聡徳氏が夕方の理事会で、15日午前に締めくくり総括質疑を3時間行い、直後に採決する日程を提案。「総括的に全ての論点の質疑は終わっている」と理由を説明した。
 民主の長妻昭氏、共産の赤嶺政賢氏は15日も一般質疑を続けるよう要求。浜田靖一委員長(自民)は「自民党に対する批判は覚悟の上だ」と述べ、職権で15日の採決を決めた。

 民主の枝野幸男幹事長は記者団に「国民の圧倒的多数が説明不足とする状況で採決することになれば、民主主義の否定だ」と批判。共産とともに採決は欠席する考えを示した。
 維新の松野頼久代表も大島理森衆院議長に審議継続を申し入れた。一方、同党の馬場伸幸国対委員長は、与党が15日採決を決めたことに反発して「(特別委に)出て行くわけにはいかない」と述べ、採決に欠席する考えを明らかにした。

 15日は午前9時から安倍首相が出席する総括質疑を行い、与党は正午すぎにも採決に踏み切る。各種世論調査で国民の8割が「政府は説明不足」と答え、国民の理解は進んでいない。だが、安倍首相は10日の特別委で「国民の皆さんも相当、理解は深まった」と述べている。
 これに関連し、石破氏は記者会見で「理解が進んできたと言い切る自信はない」と指摘。塩崎氏も「理解はまだ進んでいない。より深い理解の下で国の安全保障は考えられるべきだ」と語った。

●安保法案 野党が特別委欠席でも採決へ
      テレ朝 07/15
 政府・与党は15日、衆議院の特別委員会で集団的自衛権の行使を含む安全保障関連法案の採決に踏み切ります。野党側は審議が不十分だと反発していますが、法案は与党の賛成多数で可決される見通しです。

 自民党・江渡前防衛大臣:「110時間超えておりますし、総括的にすべての論点は、全部質疑が終わっているというふうに我々が判断した」
 与党は特別委員会の理事会で、委員長の職権で15日に採決する日程を決めました。野党側は、審議が尽くされていないとして反発を強めています。
 民主党・枝野幹事長:「安倍政権の暴挙を止めようとするすべての政党の皆さんとすべての国民の皆さんとしっかりと連携・連帯し、国会の中の戦いではない、国民の皆さんと安倍政権との戦い」
 また、与党と修正協議をしていた維新の党も採決に反対し、大島議長に徹底審議を求めました。
 維新の党・松野代表:「もうしばらくしっかりした充実した審議を求めると申し上げてきた」
 ただ、与党側は、野党側が欠席しても採決に踏み切る方針で、法案は与党の賛成多数で可決される見通しです

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 いよよい自民と公明による強行採決か。
 どこまでも、こくみんむしの 政権、安倍周辺。
 憤る気持ちで、ネットでいくつかの意見を記録した(次)。
 
●邦人輸送の米艦防護、政府答弁一定せず/TBS 13日
●安保法案 防衛省OBもノー 「派兵要求断れなくなる」「他国のため…納得できぬ」/東京 7月13日
●安保法制、公聴会で賛否 与党、週内に委員会採決目指す/朝日 7月13日
● 「安保」公聴会 違憲の指摘なぜ顧みぬ/中日 7月14日
●与党側は「3連休前に」 衆院を通過させたい?/テレ朝 07/13
●社説/国民無視の暴挙を許すな 衆院採決へ/信濃毎日新聞 07月12日

 ところで、昨日から、台風対策の仕事をしなければいけない風模様。

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●邦人輸送の米艦防護、政府答弁一定せず
        TBS(13日22:27)
 集団的自衛権を使う事例が依然定まりません。安倍総理が最初に挙げた「邦人輸送の米艦防護」という事例についても、いったん、集団的自衛権が使える事態には当たらないとの認識が示されましたが、政府側の答弁が一定しない状況が続いています。

 朝鮮半島有事を念頭に、日本人を輸送している米軍艦が攻撃を受けた際に自衛隊が集団的自衛権に基づいて武力行使するという事例は、集団的自衛権の必要性を強調する際に安倍総理が真っ先に掲げていました。

 しかし、先月の国会審議では、横畠法制局長官が「単に邦人を乗せた米輸送艦が武力攻撃を受けることで新三要件に当たるとは説明していない」と述べ、この事例が集団的自衛権を行使する要件を満たさないことを明らかにしました。また、今月3日には、安倍総理も「存立危機事態にすでに認定していれば、この事例の状況で助けることができるという論理だ」と説明し、集団的自衛権が使える「存立危機事態」がこの事例が起きるより前に認定される必要があるとの認識を示していました。邦人輸送中の米軍艦を守る必要性を理由にしては集団的自衛権を使うことができないと認めた形でしたが、先週、安倍総理は一転、アメリカに対する攻撃が発生し、日本への攻撃も切迫していれば、邦人輸送中の米軍艦が攻撃される「明白な危険がある段階」で「存立危機事態」に認定できると答弁しました。

 一方、この事例をめぐる13日の審議で、中谷防衛大臣は、米軍艦への「攻撃の危険」ではなく、「攻撃の着手」によって「存立危機事態」と認定するケースで説明を試みたため、総理答弁との整合性が問われ、審議がたびたびストップしました。

 集団的自衛権の行使容認が「憲法違反」と批判されたため、安倍政権は「あくまで自国防衛のための限定的な集団的自衛権」を強調し、具体的事例についても「弾道ミサイルから日本を守る米軍イージス艦」に対する「攻撃の着手」にいったん絞られていました。しかし、この事例については、過去の法制局長官の答弁もあり、「個別的自衛権での対応が可能」との指摘が相次いだことを受けて、「攻撃の着手」から「攻撃の危険」へと条件を緩め、再び、「邦人輸送の米艦」の事例も復活させた形です。

●安保法案 防衛省OBもノー 「派兵要求断れなくなる」「他国のため…納得できぬ」
東京 2015年7月13日
 国会で審議が続く安全保障関連法案について、防衛省・自衛隊のOBから「違憲」との批判や問題点の指摘が相次いでいる。大半の現役が口を閉ざす中、防衛現場を知るOBたちの意見を聞いた。 (中山高志)

 一九九〇年、現新潟県加茂市長の小池清彦さん(78)は防衛庁(当時)の防衛研究所長、次いで教育訓練局長を務めた。中東では湾岸戦争が発生。米国の要請を受けた日本政府は、自衛隊を海外へ送るための国連平和協力法案を国会に提出した。

 「このままいけば、エスカレートして『世界の警察官』になる」。小池さんは庁内で法案に反対した。世論の反発もあって法案は成立しなかった。「平和憲法があるから、日本は海外の戦争に参戦させられることはない」と強く実感した。

 安倍政権は今年、憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を可能とする安保法案を国会に提出した。「解釈変更をしたら最後、米国からの海外派兵の要求は断れなくなる」と危ぶむ。

 「憲法を守らなければやがては徴兵制になり、戦場に行くのはあなたか、あなたのフィアンセだ」。五月三日の成人式で、小池さんは訴えた。「平和憲法を守るために一生懸命声を出そう」。新成人からは「その通りだ」と賛同する声が上がったという。

 国連平和維持活動(PKO)部隊の指揮経験がある元陸将は先月、安保法案をテーマに大阪市福島区で開かれたシンポジウムの演壇に立った。「良い悪いではない」と法案の評価は避けたが、会場から「他国のために死ぬことになっても納得できるのか」と質問が出ると「納得できないと思います」と答えた。「どのような大義があるのか、無条件ではない。実は条件が示されていない。そこが最大の問題」と語った。約三百五十人の聴衆は緊張感を漂わせながら聞き入った。

 「安倍首相は国会で『自衛隊は戦闘行為を行うことはない』と言った。でも、集団的自衛権で自衛隊が海外に出れば、それはあり得ない」。九九年まで海上自衛隊に三十年間勤務した川村純雄さん(64)=京都市=が力を込める。

 八九年から約五年間、海外から日本と特殊通信で情報をやりとりする業務に就いた。カンボジアでは銃声が飛び交う内戦状態を経験した。それだけに、現場を知らない政治家の安易な論議に憤りを感じる。

 昨夏の集団的自衛権行使容認の閣議決定の後、初めて共産党支持に。今春の統一地方選では神奈川県横須賀市まで同党候補の応援に駆け付けた。「自衛官が命懸けで訓練するのは外国ではなくて自国のため。だから集団的自衛権はいらない」

●安保法制、公聴会で賛否 与党、週内に委員会採決目指す
          朝日 2015年7月13日 小野甲太郎
 新たな安全保障関連法案を審議する衆院特別委員会で13日午前、専門家から法案への意見を聴く中央公聴会が開かれた。集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ法案は「憲法違反」という指摘や、安全保障環境の変化を理由に必要だとする意見が示された。中央公聴会は採決の前提となるもので、与党は週内の委員会採決をめざしている。

特集:安全保障法制
 野党推薦の木村草太・首都大学東京准教授(憲法学)は「日本への武力攻撃の着手がない段階での武力行使は違憲だ」と明言。法案の違憲性を問う訴訟があれば「裁判所が同様の見解をとる可能性も高い」とし、「集団的自衛権の行使容認が政策的に必要なら憲法改正の手続きを踏み、国民の支持を得ればいいだけだ」と述べた。

 さらに、維新の党が提出した対案にある、個別的自衛権を拡大した「武力攻撃危機事態」について「外国軍への攻撃が同時に日本への武力攻撃の着手になる事態を意味すると解釈するなら合憲だ」との考えを示した。

 野党推薦の小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)は、集団的自衛権を使う際の前提条件「存立危機事態」の定義があいまいで、行使の歯止めがなくなりかねないと批判した。その上で、「(海外派遣された)自衛隊員が相手方に拘束された場合、戦闘員でも文民でもないという不安定な地位に追いやられる」とも指摘した。

 野党推薦の山口二郎・法政大教授(政治学)は、集団的自衛権の行使容認で日米同盟が緊密になって抑止力が高まるとの政府の主張に対し「中国との対話や相互理解はそっちのけで、自国が武力行使する可能性を拡大すれば、より安全になるとの主張は政治的に稚拙だ」と批判した。

 一方、与党推薦で外交評論家の岡本行夫氏は「宗教や民族、国家間の対立が先鋭化し、過激派組織『イスラム国』のような暴力的な準国家組織が勢力を伸ばしている。一国で生命と財産を守り抜くことは不可能だ」と述べ、法整備に賛意を示した。

 与党推薦の村田晃嗣・同志社大学長(国際関係論)は「中国が経済的に急速に力を付け、軍事力や外交的な影響力に転化しようとしている」とし、「こうした中で日米同盟の強化は理にかなったことだ」と述べた。(小野甲太郎)

■菅官房長官「論点、整理された」
 菅義偉官房長官は13日午前の記者会見で、安全保障関連法案について「審議時間が100時間を超え、維新の党から対案が出されたこともあり、論点はだいぶ整理されている」と述べ、衆院採決に向けた環境が整いつつあるとの認識を示した。

● 「安保」公聴会 違憲の指摘なぜ顧みぬ
         中日 2015年7月14日
 衆院特別委員会の中央公聴会では、政府提出の安全保障法制関連法案は憲法違反、との指摘が公述人から相次いだ。政府・与党はなぜ合憲性に対する疑義を顧みず、採決に踏み切ろうとするのか。

 安倍政権にとっては単なる通過儀礼にすぎないのだろうか。

 安保法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会がきのう開いた中央公聴会では、五人の公述人が法案について意見を述べた。

 法案採決の前提とされる中央公聴会を終えたことで、与党側は早ければ十五日に特別委で、十六日に衆院本会議で法案を可決し、参院に送付したい考えなのだろう。

 安保法案は、歴代内閣が違憲としてきた集団的自衛権の行使に一転、道を開き、海外で戦闘に巻き込まれる危険性も高めるなど、戦後日本の専守防衛政策を根本から変質させる内容である。

 公聴会では与党推薦の二人が国際情勢の変化を理由に法案に賛成の旨を述べたが、野党推薦の三人は「歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねない」(小沢隆一東京慈恵医大教授)「集団的自衛権行使が必要なら改憲手続きを踏むべきだ」(木村草太首都大学東京准教授)「専守防衛を逸脱する」(山口二郎法政大教授)とそろって法案の違憲性を指摘した。

 法律が憲法に適合するか否か最終判断するのは最高裁だが、憲法学者ら専門家の多くが違憲と指摘している事実は軽視し得まい。国権の最高機関の場で公述人が述べた意見を真摯(しんし)に受け止めようとしないのなら公聴会無視に等しい。

 専門家に限らず、法案に対する国民の目は厳しい。法案は違憲であり、政府側の説明も不十分で、今国会で成立させるべきでない、というのが、報道各社の世論調査に表れた国民多数の意見である。

 安保法案の審議時間は百時間を超え、菅義偉官房長官は記者会見で「維新の党の対案も出され、論点がだいぶ整理されてきている」と週内の採決に期待感を示した。

 しかし、これだけ審議時間を重ねても違憲の疑いを払拭(ふっしょく)するには至っていないのが現実だ。

 法案の必要性や妥当性についても、国民が納得できる説明をできないのは、この法案自体に欠陥があるからではないのか。

 「違憲」「欠陥」法案の採決を中央公聴会が済んだからといって強行すれば、政治に対する国民の信頼を著しく損なう。政府・与党が今、決断すべきは採決強行でなく、法案の撤回、廃案である。

●与党側は「3連休前に」 衆院を通過させたい?
       テレ朝 (07/13 17:12)
 安保関連法案です。13日は採決の前提となる中央公聴会が開かれました。 (政治部・布施哲記者報告)

 13日の中央公聴会では、専門家から「集団的自衛権は海外にいる日本人を守るためのものだ」という意見が出る一方で、「そもそも集団的自衛権は憲法違反なんだ」という反対意見も出されました。

 与党推薦・岡本行夫元総理補佐官:「集団的自衛権の限定的容認には、日本の存立危機事態という、いささか大仰な表紙が付けられていますが、実際上は、集団的自衛権が行使される可能性が高いのは、海外での日本人の人命と財産を保護するケースだと思います。この意味で、立派な責任政党が『集団的自衛権は他国の戦争に参加することです』との誤ったキャンペーンを国民にしていることは残念であります。この法制は、日本の安全を守るうえで最も重要な仕組みである日米安保体制を強くするものでもあります」

 野党推薦・山口二郎法政大教授:「20世紀後半に非常に大きな効果を発揮した日本的平和路線が21世紀にも有効かどうか、今、問われております。日本は自らの安全を確保するために集団的自衛権の行使に転換する必要があるのでしょうか。私は違うと考えます。日本の領域を守ることは、基本的には個別的自衛権によって対処すべき課題であります。そもそも、この法案は専守防衛を逸脱するものであり、憲法違反であると私も考えます」

 (Q.15日にも委員会採決という動きはどうなっていく?)
 与党側はすでに15日の委員会採決に向けて走り出していて、ある幹部は「ずれても一日だけだ」としています。与党側としては、今週中の衆議院通過を目指したい考えです。

 菅官房長官:「審議時間も100時間を超えており、維新の党から対案を出されたこともあって、論点もだいぶ整理をされて、議論がされてきていると思っています」
 政府・与党が週内の通過を目指す裏には、3連休を挟めば来週以降、空気が多少、和らぐのではという読みがあります。まだ多くの論点が残されたままです。

●社説/国民無視の暴挙を許すな 衆院採決へ
       信濃毎日新聞 07月12日(日)
 安全保障関連法案をめぐる動きがヤマ場に差し掛かろうとしている。与党は早ければ今週中に採決し、衆院を通過させる構えだ。

 国会会期は9月下旬まで大幅延長された。参院で審議に時間がかかった場合、与党は衆院で再可決して成立させることも視野に入れる。

 集団的自衛権の行使容認に対し憲法学者ら専門家から「違憲」との批判が絶えない。米軍などへの補給や輸送といった支援活動は他国の武力行使と一体化する恐れが強い。問題だらけの法案だ。国民無視の強行は許されない。

   ▽前のめりの政府与党
 「議論が深まったからこそ維新案が出てきた」。10日の特別委員会で安倍晋三首相は、そう主張した。対案の並行審議によって国民の理解が深まったとする。独り善がりの受け止めだ。国民の感覚とは懸け離れている。

 「審議時間が積み重なったので出口を考えていく」「野党側の論点もほぼ出尽くした」。自民党から、そんな発言が続いている。

 こうした言い分に納得する人がどれほどいるだろう。審議入りから、わずか1カ月半である。

 与党が目安にしてきた80時間を超えたからといって、採決する状況ではない。5野党が反対で一致したのは当然だ。

 法案は見掛け上、2本になっている。そのうち1本は10の改正法案をひとくくりにした。集団的自衛権の行使、世界中での他国軍支援、国際紛争後の治安維持など内容は多岐にわたる。一国会で審議を尽くせるはずがない。

   ▽丁寧な説明は聞けず
 論点が出尽くすどころか、基本的な疑問が残ったままだ。

 日本への攻撃がなくても武力行使するのに「専守防衛は変わらない」、自衛隊活動の範囲や内容を急拡大させながら「隊員のリスクは増えない」。政府の強弁が堂々巡りの議論を招いた。

 集団的自衛権については「新3要件に当てはまれば行使する」といった説明を繰り返している。他国への攻撃で日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される「存立危機事態」とは、どんな状況を指すのか。いくら審議を聞いても分からない。

 「重要影響事態」の定義も明確になっていない。「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態は千差万別だ。あらかじめ類型的に示すのは困難」などと曖昧さを残す。使い勝手のいい法律になるよう政府の裁量の幅を広くしておきたいのだろう。

 法整備の必要性は「安保環境が根本的に変容した」「もはや一国のみで平和を守れない」など抽象的な説明にとどまる。

 自国を防衛する上で現行法に不備があるのか。国際社会の平和と安定のため自衛隊は何ができ、何をすべきか。こうした議論は一向に深まらない。

 共同通信社が6月に行った世論調査で法案に「反対」との回答は58・7%だった。5月の調査より11・1ポイント上昇している。今国会での成立についても同様に反対が増えた。審議が進む中で問題点が鮮明になったからだろう。

 首相は夏までの成立を米議会演説で表明した。是が非でも「対米公約」を果たそうと政府与党は前のめりだ。「丁寧に説明し、国民の理解を得る努力を続ける」と再三、口にしながら、反対意見に耳を貸そうとしない。

 一方で、法整備を先取りするかの動きが見過ごせない。

 日米両政府は既に防衛協力指針(ガイドライン)を改定し、自衛隊と米軍の協力を地球規模に拡大することを打ち出した。

 米軍の統合参謀本部が先ごろ発表した「国家軍事戦略」は先進的安保能力を持つパートナーとして北大西洋条約機構(NATO)などとともに日本を明記し、関係強化を訴えている。

   ▽撤回すべき違憲法案
 衆院憲法審査会で参考人の憲法学者がそろって法案を「違憲」と明言して以降、批判は高まる一方だ。全国の全ての弁護士会も法案に反対している。

 昨年7月の閣議決定は、集団的自衛権を行使できないとした1972年の政府見解を引きながら結論部分をひっくり返した。政府内で憲法解釈を担ってきた内閣法制局の元長官は「黒を白と言いくるめる類いだ」と断じている。異例のことだ。

 集団的自衛権の行使を認めることは憲法9条を逸脱する。多くの専門家がそう主張している。国民の命を守るために必要だというなら、改憲を訴えるのが筋である。

 首相は合憲性に「完全に確信を持っている」とするものの、説得力のある根拠を示せていない。集団的自衛権とは無関係の砂川事件判決を持ち出さざるを得ないところに苦しさが見て取れる。

 そもそも昨年の閣議決定に無理があった。出発点が正当性を欠いている。撤回すべき法案だ。

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 新国立競技場問題、率直に、仮にお金を使うというなら、その使いみちとしては『遅れている日本のスポーツ振興』に使えばいいのに、と思う人が多いだろう。
 そうなのに、なぜこんにあきれたことを推進するのか・・・・今の安倍政権の安保法制邁進の批判の勢いをずらす別の争点を作るとか、マスコミの目先を散らすとか、・・・何か、為政者の真意が気になるところ。

 そこで、報道や意見の幾つかを見つつ、《新国立競技場廃案は安倍政権の起死回生となるか/ブロゴス 三田次郎》という考え方もあるのかと・・・ともかく、幾つかを記録した。

●新国立競技場2520億円に安藤忠雄氏「なんでこんなに増えてんのか分からへんねん」/HuffPost 2015年07月11日
●アーチがネック 新国立、工期と総工費増/中日 2015年7月8日 
●負の遺産は造れない 新国立競技場/中日 2015年7月9日
●社説:新国立競技場 これでは祝福できない/2015年7月8日 朝日
●社説:新国立競技場 無謀な国家プロジェクト/毎日 2015年07月08日
●新国立競技場廃案は安倍政権の起死回生となるか/ブロゴス 三田次郎 2015年07月12日

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●新国立競技場2520億円に安藤忠雄氏「なんでこんなに増えてんのか分からへんねん」
      The Huffington Post | 執筆者:HuffPost Newsroom 投稿日: 2015年07月11日
建築家の安藤忠雄氏(73)が、新国立競技場の建設費について、7月11日放送の日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」にコメントを寄せ、コンペの段階でデザイン応募者に1300億円のコストを伝えていたことを明らかにした。安藤氏がコメントするのは、問題が浮上して以来初めて。建築コストが当初より約900億円増えたことについては、安藤氏自身も驚いているという。

安藤氏は番組司会者の辛坊治郎氏(59)と、番組前の数日間にわたって電話などでやりとりしていた。この日の番組では、安藤氏が辛坊氏に送ったとされるFAXを取り上げた。FAXには「コンペの条件としての予算は1300億円であり、応募者も認識しています。提出物には建築コストについても示すように求められていました。それは当然評価の一つの指標となりました」とづづられており、下村博文・文部科学相の「(当初予算案の)1300億円がデザインする人にきちんと伝わっていたのか、検証すべきだ」との発言に反論していた。

さらに文面は「その後、基本設計、実施計画という具体的な設計作業が行われ、現在に至っています」と続く。安藤氏と直接電話でやり取りをしたという辛坊氏によると、安藤氏が委員長を務めたデザインコンペの審査委員会は、基本設計や実施計画についてはタッチしていないという。デザイン決定の段階では予算は1300億円だったが、工事費が2520億円と跳ね上がったのは、その後の基本設計や実施計画を議論する段階だったのだ。

安藤氏は辛坊氏に、通常は基本計画や実施計画の段階で、予算から1割程度の額が増えたり減ったりして最終的な値段が決まると説明。そのため2520億円の建築コストについては、「辛坊ちゃーん、なんでこんなに増えてんのか、分からへんねん」と述べたという。

辛坊氏は「安藤さんも、すごく怒っている感じで、喋りたい気持ちは満々らしいが、周囲から止められているという感じですね」と分析した。

新国立競技場はもともと、約1300億円の整備費で建設されることになっていたが、コンペで選ばれたザハ・ハティド氏の案では3000億円以上かかることが明らかになり、2014年にJSCが大幅に規模を縮小し、1625億円規模の修正案を公開。後に資材高騰などが影響し2520億円かかることが判明したが、結局、このまま建設されることが決まっている。

●アーチがネック 新国立、工期と総工費増
       中日 2015年7月8日 
 新国立競技場の総工費が当初計画の倍近くの二千五百二十億円以上にふくらみ、工期も二カ月遅れとなった最大の理由は、屋根を支える二本の巨大アーチだ。建築家の槇(まき)文彦氏は早くから構造の問題点を指摘していたが、事業主体のJSCとJSCを所管する文部科学省が出した答えは「アーチ維持」だった。

 英国在住の建築家ザハ・ハディド氏のデザインを特徴づけるアーチは鋼鉄製で、長さ約三百七十メートル、地上からの高さ約七十メートル。重さは二本で約二万トンになる。アーチ構造はアテネ五輪の主会場にも使われたが、スタジアムではここまでの特大サイズは例がない。アーチ橋と比べても、国内最大級のスケールとなる。

 形状にも問題がありそうだ。槇氏のグループは「長さ三百七十メートルに対して高さ七十メートルは低すぎる」と指摘する。不安定なアーチを支える部材が新たに必要となるだけでなく耐震性も懸念。「本格的な免震構造を施す必要がコスト増大を招いている」と言う。

 ハディド氏のデザインを選んだ二〇一二年の国際デザインコンペでも、技術面を心配する声はあった。しかし「日本の技術力を世界にアピールできる」などとされ、最後は審査委員長を務めた建築家、安藤忠雄氏の強い意向で決まった。

◆巨額費用、真剣議論なく 有識者会議
<解説>
 新国立競技場の計画を公に議論する最後の機会となった七日の有識者会議だが、コストの高騰や財源不足を問題視する意見はごく一部からしか出なかった。日本スポーツ振興センター(JSC)や文部科学省が計画見直しをどの程度検討したのか、問いただす声もなく、巨額の税金を投じる事業を真剣に考えているとは感じられなかった。

 JSCは再三、「国民の理解を得られるよう最善を尽くす」としてきたが、有識者会議のメンバーを含め関係者たちは、これで本当に国民の理解が得られたと考えているのだろうか。

 建築家の槇(まき)文彦氏が二〇一三年に「計画が巨大すぎる」と問題提起してから、八月で二年になる。この間、具体的な見直しの提案が複数あったが、JSCも文科省も耳を貸そうとせず、総工費も、完成後の維持管理費も、収支の赤字も、すべてが大きく膨らんだ。

 それなのに、当事者たちはかたくなに計画を進めようとするばかりか、十分な情報も明らかにしない。

 JSCや文科省が「国際公約」とこだわるザハ・ハディド氏のデザインは、招致段階とはすっかり変わった。そもそも国際オリンピック委員会は、デザイン変更にどんな見解を示しているのか。ハディド氏の設計を破棄すると、どれぐらいの違約金が生じるのか。

 新国立競技場計画の有り様は、この国で繰り返されてきた「一度進みだしたら止まらない」公共事業そのものだ。

 議論をオープンにして問題点を真剣に検討しなければ、大きな禍根を残す。(森本智之)

●負の遺産は造れない 新国立競技場
             中日 2015年7月9日
 今のままでは東京五輪の負の遺産となりかねない。新国立競技場の巨額費用と決め方の不透明さは納得できるものではない。まだやり直せるはずだ。

 まるで、結論ありきのようだった。東京都内のホテルで、おととい開かれた国立競技場将来構想有識者会議。新国立競技場の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)に置かれ、さまざまな提言をするはずの場である。

 工事費は基本設計時に千六百二十五億円だったのに、甘い見積もりが災いし、実施設計時には二千五百二十億円に達した。大会後にもろもろの追加工事も予定され、さらに膨れ上がる。

国民の理解得られるか

 ところが、政界、財界、スポーツ界などの重鎮たちから異論はほとんど出ずじまい。国民の理解を得る努力を求める声は一部に聞かれはしたが、JSCの計画を追認し、お墨付きを与えてしまった。

 普通の感覚からはひどく懸け離れている。財源確保もおぼつかないままの見切り発車を憂え、軌道修正を訴えた外部の声は無視された。千兆円を超す借金を抱えながら誰のため、何のための祭典か。

 理解し難い疑問がいくつも残っている。JSCはもちろん、所管する文部科学省も、国民への情報開示と丁寧な説明、合意づくりをないがしろにしてきた結果だ。

 二〇一九年九月に予定されるラグビーワールドカップ(W杯)の日本開催が決まり、旧競技場の建て替え構想も重なった。

 新競技場は開幕戦と決勝戦が行われる主会場となる段取りだ。完成を間に合わせるには十月着工は譲れないぎりぎりの線という。

 けれども、W杯の主会場の目安は六万人以上の収容能力とされていた。とすれば、例えば横浜国際総合競技場(日産スタジアム)でも開催できるのではないか。主会場の変更を検討するべきだ。

見直す時間まだある

 そうすれば、新競技場の計画を見直す時間を捻出できる。

 施設のチェックを兼ね、本番の前年に行われるプレ五輪を心配する向きもあるが、日程について知恵を絞る余地はあるだろう。

 加えて、キール(竜骨)と呼ばれる巨大なアーチ構造への強いこだわりである。斬新なデザインは国際公約というのだ。

 しかし、この構造こそが工事費を押し上げ、工期の遅延を招きかねない最大の要因だ。特殊な技術や膨大な資材を要し、発注先もかなり限られているという。

 ただでさえ物価や人件費は高騰しているのに、その上積みとなっている。値段もよく分からずに採用するとは、ずさんというより無謀そのものである。耐震性への懸念も拭えない。

 新競技場の工事費は、当時のレートでロンドン五輪の主会場の四倍、北京五輪の六倍に及ぶ。さらに、完成後五十年間で千四十六億円の大規模改修費も必要だ。この間の収支見通しは、現時点で年二十億円余の赤字と予想される。

 神宮外苑は都心の緑のオアシスである。その歴史や文化の薫りを損ね、景観を壊し、国民に重いつけを回して箱物を造る。かつて繰り返された巨大公共事業の再来のようだ。

 経費を削り、環境に優しい五輪を目指す国際オリンピック委員会の改革理念に明らかに逆行する。

 財源はどうするのか。国と東京都が五百億円ずつ出し合うという。とても足りず、スポーツ振興くじの売り上げや新競技場の命名権の売却益などを当て込んでいるが、それらは皮算用にすぎない。

 子どもからお年寄りまで誰もがスポーツに親しめる環境づくりや、選手や指導者を育てるために使われるべきお金を箱物につぎ込むのは筋違いだ。

 JSCの河野一郎理事長は「われわれのミッションはあのデザインを前提に工事を進めること。やめる、やめないは、われわれが決めることではなく、文科省が判断した」と語った。

 そうならば、政府は出直しを決断するべきではないか。時間は残り少ない。

●社説:新国立競技場 これでは祝福できない
       2015年7月8日 朝日 社説
 不信がぬぐえないままの見切り発車だ。新国立競技場の建設を話し合う有識者会議がきのう、2520億円に膨らんだ計画を了承した。建設費や工期について、国民の懸念を代弁した意見もあったが、議論が深まることはなかった。

 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場は、国民が納得できるものでなければならない。財政再建が国政の重要課題となって、すでに負担増や給付の削減が国民生活に及ぶ。税金にせよ、寄付やスポーツ振興くじの収益を充てるにせよ、負担するのは国民だ。巨費を投じたあげく完成後の採算も怪しい公共事業を歓迎できるのか。

 会議では、改築後50年間に必要な大規模改修費が基本設計時の656億円から1046億円に膨らむことがわかった。今の総工費に含まれない費用である。完成後の毎年の収支を、さらに悪化させる要因になる。

 会議では、経費を抑えるどころか、仮設で整備するグラウンド近くの観客席を将来、可動式の常設席にする要望も出た。

 会議は本来、何を議論するべきだったのか――。建築家の槇文彦氏らは、2本の巨大なアーチをやめ、一般的なデザインの競技場を設計し直すことで、建設費を1千億円安くできるという代替案を示した。実際はどうなのか、検証して現行計画と比べることだったはずだ。

 事業主体の日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長は、代替案を採用しなかった理由について、五輪招致時の国際公約など従来の主張を繰り返しつつ、自らの組織の限界に触れた。「我々のミッションは、あの形で作ること。やめる、やめないは文科省が決めたことだ」

 責任は下村博文・文科相をはじめ、政治にある。計画には東京五輪・パラリンピックの大会組織委会長でもある森喜朗元首相が深く関わる。もはや、五輪招致でも先頭に立った安倍晋三首相の政治判断しか、方針転換の道はない。

 サッカーの女子ワールドカップで準優勝したなでしこジャパンの活躍を見て、自分もボールをけりたいと思った少女は多かっただろう。そんな夢をかなえるには、身近にスポーツを楽しめる環境がいる。

 文科相の描く財源の青写真によると、スポーツ振興くじの売り上げのうち、スポーツ環境の充実に振り向けるはずのお金も回して、建設費を賄うという。

 国民の生活感覚とかけ離れて建てられたスタジアムでは、祝福されるべき祭典に汚点を残すことになる。

 東京都は半径八キロ圏内に施設の85%を集めるコンパクト五輪を見直し、二千百億円近くを圧縮した。舛添要一知事はその経費を新競技場に投じるつもりなのだろうか。都民はしっかりと見ている。

おもてなしの心こそ

 日本が大震災や原発事故に見舞われて以来、国際社会は手を差し伸べてくれている。私たちは支え合いの大切さ、ぬくもりを身に染みて感じ取ってきたはずだ。

 復興五輪では、世界に向かって感謝を届けたい。オリンピアンたちは、巨大な箱物ではなく、日本人ならではのおもてなしの心を期待しているのではないか。私たちは、質朴でありのままの日本を見てほしいと考える。

●社説:新国立競技場 無謀な国家プロジェクト
          毎日 2015年07月08日
 巨大な「負の遺産」となることが誰の目にも明らかなのに本当にこのまま突き進むのか。

 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)について検討してきた日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議は総工費約2520億円で、8万人収容、開閉式の屋根(遮音装置)を支える巨大アーチ構造が特徴的な実施設計案を了承した。今年10月に着工し、19年5月の完成を目指す。

 工期短縮のため屋根の設置などは五輪後に先送りされた。「国家プロジェクト」をうたいながら、財源のめどが立っていない状態での見切り発車だ。不足分は命名権の売却益や国民からの寄付、スポーツ振興くじの売り上げなどで賄うという甘い目算で、完成後は赤字が見込まれるため五輪後の運営・管理を民間に委託することを検討するという。あまりにも無責任ではないか。

 そもそも巨大アーチを備えたスタジアムは世界にも前例がなく、技術的な問題は解決されていない。アーチ構造を取りやめる代替案を公表している槙文彦氏らの建築家グループは先日、下村博文・文部科学相への提言書で「太平洋戦争末期に戦艦武蔵に無謀なレイテ島突撃を指示した軍参謀本部の姿勢と酷似したものがある」と指摘している。

 下村文科相は代替案を検討した結果、新たに設計をやり直すと19年9月開幕のラグビー・ワールドカップ日本大会には間に合わないとして現行案の維持を決めた。だが、槙氏らはアーチ構造をあきらめれば1000億円程度の費用削減につながるだけでなく、工期も短縮でき、十分間に合うと主張している。文科省はどんな検討をしたのか説明すべきだ。

 なぜアーチ構造にこだわるのか。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長はJSCの有識者会議で現行案を支持する理由として国際オリンピック委員会(IOC)との「国際公約」を挙げた。だが、東京五輪の準備状況を視察するため先日来日したIOCのジョン・コーツ副会長は本紙の取材に「変更したいと思えば、すればいい。総工費が増大して負担となることは心配している」と懸念を示している。現行案に固執する理由はない。

 建設資材や人件費の高騰などを受け、東京都は招致段階でIOCに提出した会場計画の見直し作業を進め、約2000億円を削減した。新たな施設の建設をとりやめ、千葉や埼玉などの既存施設を利用する。開催都市の財政負担の軽減などを目的にIOCが昨年まとめた「アジェンダ2020」の精神に沿ったものだ。新国立も例外ではない。

●新国立競技場廃案は安倍政権の起死回生となるか
      ブロゴス 三田次郎 2015年07月12日
新国立競技場の建設を巡る混乱は、支持率の低下に悩む安倍政権にとって、回復を期する絶好のチャンスだろう。

何しろ建設に反対、戸惑いの意見が多すぎる。

田原総一郎、渡辺謙、中沢新一、為末大といった文化人も反対声明を出している。

賛成意見はザッと見る限り、森喜朗オリンピック組織員会会長くらいか。
「競技場を五輪のレガシーとして、50~70年先も使える名所にしたい。」

概観すると、既に新国立競技場の案は「ダメプロジェクト」の烙印を押されているおり、財務省は文科省の責任だから何とかせえや、文科省はコンペ委員会のせいだから何とか説明してよ、と責任を押し付け合っているような体たらく。

殆ど誰にも歓迎されない成金が手に入れた高価な亀の置物のような競技場を廃案にして、機能的な修正案に見直す、この政策変更にかかる政治的リスクはとても低いはずだ。

「工期が間に合わない。」というリスクはあるが、2019年のラグビーワールドカップに間に合わなくても2020年に間に合えば、まあよろしいのではないか。
(ラグビーは花園でそれなりのものを作ってもいいのではないか。森委員長的には論外でしょうけど。)

少なくとも、修正案でも工期が間に合わないという計算はどこもやっていない。

新国立競技場のデザインコンペが民主党政権時代に決まったことも踏まえれば、安倍自民党には修正にかかる政治的なコスト/ベネフィット比はかなり良いものと推測できる。

今の時点で、現行案が廃案になったからといって損をしたり、リスクを被ったり、権利を侵害されたりする人はほとんどいない。(コンペ優勝者のザハ・ハディドくらいか。)

(オリンピック招致のプレゼンテーションとは違う競技場になるので)国際的信用を落とすリスクも言われているが、正当な合理的な理由があればそれほど気にする必要もないだろう。
(ギリシアのように国内事情の波乱が国際的混乱に影響する場合ならともかく、この場合は国内事情のみで完結する。)

逆に現行案がそのまま通れば、将来的な負担、経済的リスクが避けられず、それによって損をする人たちは薄く広くかなりの数に上ると見られる。

このようにリスクの少ない政治的決定を阻害するものは、「今まで通りに」という慣性の法則以外にない。

この慣性の法則を(上面だけ)壊すこと(あるいはそのフリ)が現代において政治的人気の源泉であることは、小泉、橋下維新以来の潮流であることは、安倍政権の(世耕さん辺りが)熟知するところだと思われるが。

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 金曜日、谷汲の百合園に行ってカサブランカの切り花を3セット購入した。
 その帰り、少し道を回って、種苗店に寄った。そこで、目的の苗を手に入れたら、時間が昼。そこで近くのラーメン屋に入った。
 数年前から、時々行く店。シンプルで豪快なラーメン、味も抜群。いつ食べても「満足感」をいただいて帰ることができる、数少ない店。
 その個性的なラーメンのことと、昨夜の二人で作った食事など、先日「箱入りイチジク」を作ったのでそのことと、イチジク生ハム巻きなどの写真を気晴らしブログにした。

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岐阜市内・忠節にある「りきどう」のつけめんと温かいそばを食べた。

大盛りまで料金はおなじなので、どちらも大盛りを注文。

こだわりの自家製麵は、平麺も細麺も、
どちらも腰があって、もちもちしてておいしい。
二人でこれだけ完食。


「りきどう」/食べログ・岐阜


●昨夜の食事は二人で作って・・・
豚ロース肉とささみの冷しゃぶ、その他・・


●先日、イチジクが食べ頃になる前に
・・鳥に食べられ始めたので、その対策。

家の西、日本ミツバチの巣箱の近くに
品種が違う4本のイチジクの木が植えてある。

今年は、今までで一番たくさん実がついている。
そこで、先日「箱入りイチジク」づくり。


昨年は鳥よけのネットをかけたが、
木が大きくなりすぎたので、全体をネットで囲った。
横4メートル、奥行3m、高さ3メートル。「単管」制の箱。


簡単な出入り口も細工してある。




作業中に落ちた実はちょっと早いものもあるので、
イチジク・キングとバナーネの生ハム巻きに。


ミニトマトと四葉(スーヨー)キュウリ


イチジクの生ハム巻き、今年はたっぷり食べられそう。

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 昨日は百合のカサブランカの切り花を買うために、谷汲ゆり園に行ってきた。
 今年は、花が少し遅く、閉園時期も遅くなったようだ。
 一昨日までずっと曇り空だったけれど、昨日は久しぶりの青空も。
 百合園の花を散策して、陽ざしの中で写真を撮ったのでブログに整理した。

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 ●谷汲ゆり園 
開催期間 平成27年6月7日(日)~7月19日(日)
営業時間 午前8時30分~午後6時 


(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

   

 

   



  

 

  

   

  


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 児童虐待が増加していて「最悪更新、10年前の30倍」(今年3月)とされていた。
 表に出ることが少ない「ことがら」。実態はケタ違い、でも足らない表現だろう。
 
 過去の自らの被害を訴えた事件について、最高裁の決定が出た。加害者の上告棄却。
 (時事)《幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、40代女性が叔父に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は8日付で、叔父側の上告を退ける決定をした》

 ということで、以下の関連報道を確認。
 地裁判決を覆して原告の勝訴とした昨年9月札幌高裁の判決の報道も確認しておく。最高裁が追認した判決だから。
 (ダイヤモンド)によれば、
 ★地裁判決《1審の釧路地裁の河本昌子裁判長は2013年4月、男性による性的虐待行為や姦淫行為の事実を認め、PTSDなどとの因果関係も肯定しながら、「すでに20年の除斥期間が経過している」として、訴えを退けていた。》

 ★高裁判決《除斥期間の起算点は、損害の発生したとき、つまり「うつ病が発症した06年9月頃」というべきだとしている。請求額については、性的虐待行為により被った過去及び将来10年間の治療関連費や慰謝料など、3000万円余り(ほぼ1審の請求額)が認められた。》

 ずっと過去のことだから「時効」が問題になる世界。

 この点について、(日経、共同)によれば、
 《幼少期に性的虐待を受けた被害者は成人になってから被害を訴え出ても、刑事、民事ともに時効が成立したとして泣き寝入りするしかないケースもある。自民党のPTは、時効を成人になるまで停止できるようにする法改正案を盛り込んだ提言を公表している。》

●被害女性の勝訴確定=幼少期、親族が性的虐待-除斥期間認めぬ二審支持・最高裁/時事 2015/7/9
●◎児童虐待2万8923人通告=最悪更新、10年前の30倍/2015年3月26日掲載時のもの
●幼少期の虐待:親族男性の賠償確定 最高裁/毎日 7月9日
●幼少期に性的虐待でうつ発症、加害男性の賠償確定 最高裁 /日経 7/10 〔共同〕
●幼児期の性的虐待に賠償命じた判決確定/NHK 7月9日
●「幼少期の虐待」賠償命令確定…除斥期間が焦点/読売 7月9日
●PTSD訴訟で被害女性が「逆転勝訴」 30年前の性的虐待の損害を認定/ダイヤモンド 2014年9月25日

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●被害女性の勝訴確定=幼少期、親族が性的虐待-除斥期間認めぬ二審支持・最高裁
       時事(2015/07/09-19:00)
 幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代女性が叔父に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は8日付で、叔父側の上告を退ける決定をした。女性の請求をほぼ認め、叔父に約3000万円の支払いを命じた二審札幌高裁判決が確定した。

 訴訟では、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過したかどうかが争点だった。叔父は虐待について一部認めていた。
 二審判決によると、女性は3歳から8歳にかけて叔父から繰り返し性的虐待を受けた。これが原因で1983年ごろにPTSDなどを、2006年ごろにうつ病を発症したが、病名の診断を受けたのはいずれも11年だった。

 一審釧路地裁は、除斥期間の起点を遅くとも最後に虐待のあった83年と判断し、女性が提訴した11年には20年が経過しているとして、女性の請求を棄却した。

 これに対し、二審はそれぞれの病気の発症時期を起点に判断。PTSDは除斥期間が経過しているが、うつ病は経過していないと指摘し、叔父に慰謝料2000万円や治療費約900万円などの支払いを命じた。

 女性側は、親や兄弟を含む親族間の幼少期の性的虐待では(1)家族関係が破綻することを恐れ、被害を隠そうとする(2)親などが虐待を知っても、加害者をかばう-などの特徴があると指摘。女性も当てはまり、成人になるまで賠償請求は困難だったとも主張したが、一、二審は「請求が不可能とは言えない」として、認めなかった。

 ★【図解】児童虐待件数と通告人数
●◎児童虐待2万8923人通告=最悪更新、10年前の30倍-7%を一時保護・警察庁
          ※記事などの内容は2015年3月26日掲載時のものです
 虐待された疑いがあるとして、2014年に全国の警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもは2万8923人おり、前年より7320人(34%)増えたことが26日、警察庁のまとめで分かった。10年連続で増加して過去最悪を更新。統計を始めた04年の30倍となった。7%に当たる2034人の子どもは、生命や身体の危険があったため警察が一時保護した。

 増加の背景について、警察庁は「深刻な事件が相次いで国民の認識が一層高まり、通報が増えた」と分析している。
 通告は、暴言や無視などの心理的虐待が39%増の1万7158人で6割を占めた。次いで身体的虐待が25%増の7690人、怠慢・拒否(ネグレクト)は32%増の3898人、性的虐待は19%増の177人だった。

 心理的虐待のうち、子どもの前で配偶者間暴力(DV)が行われた「面前DV」が1万1669人(45%増)に上った。DV自体の認知件数や摘発も増えており、比例して激増した。

 緊急時や児童相談所が開いていない夜間に警察が一時保護した子どもは179人増の2034人。大半が身体・性的虐待の被害者だという。死亡した子どもは5人減の20人で過去最少となった。

●幼少期の虐待:親族男性の賠償確定 最高裁
         毎日新聞 2015年07月09日
幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代女性が親族の男性に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は8日付で男性側の上告を棄却する決定を出した。男性側に約3030万円の支払いを命じた2審・札幌高裁判決(2014年9月)が確定した。

 1、2審判決によると女性は幼少期の1978〜83年に男性から性的虐待を受けた。11年、精神障害の原因は性的虐待だったとして提訴した。

 1審・釧路地裁判決(13年4月)は、発症原因を虐待と認めたが、不法行為から20年が過ぎると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」が経過し、請求権を失ったとして請求を棄却した。一方、2審は「PTSDとうつ病は症状や治療方法が異なる別個の障害」と認定。83年に発症したPTSDは除斥期間が経過したとしたが、うつ病については発症した06年を起算点として賠償義務を認めた。【山本将克】
 
●幼少期に性的虐待でうつ発症、加害男性の賠償確定 最高裁
         日経 2015/7/10 〔共同〕
 幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病を発症したとして、北海道釧路市出身の40代の女性が親族の男性に損害賠償を求めた訴訟は、男性に約3030万円の支払いを命じた二審札幌高裁判決が9日までに最高裁で確定した。第2小法廷(山本庸幸裁判長)が8日付で男性の上告を退ける決定をした。

 二審判決によると、女性は3~8歳だった1978~83年に男性から性的虐待を受けた。83年ごろにPTSDを、2006年9月ごろにうつ病を発症した。

 争点となったのは、不法行為に対して損害賠償の請求が可能な20年の「除斥期間」の起算点。一審釧路地裁は、性的虐待が原因でPTSDとうつ病を発症したと指摘したが、最後に虐待のあった1983年ごろを起算点とし、「すでに請求権は消滅している」と訴えを退けた。

 二審はPTSDとうつ病は別個の損害と認定。PTSDを発症した損害は請求権が消滅していると指摘したが、うつ病は「発症した2006年9月ごろが起算点で、除斥期間は経過していない」とし、慰謝料や治療費など計約3030万円の支払いを男性に命じた。

 幼少期に性的虐待を受けた被害者は成人になってから被害を訴え出ても、刑事、民事ともに時効が成立したとして泣き寝入りするしかないケースもあるという。自民党のプロジェクトチームは対策を議論しており、時効を成人になるまで停止できるようにする法改正案を盛り込んだ提言を公表している。

●幼児期の性的虐待に賠償命じた判決確定
        NHK 7月9日
幼い頃に親族の男性から性的な虐待を受けてうつ病などを発症した北海道の女性が起こした裁判で、「被害から20年以上が経過しているが、女性は時間がたってからうつ病になったもので賠償を認めることができる」と判断して、男性に3000万円余りの支払いを命じた判決が最高裁判所で確定しました。

この裁判は、幼い頃に親族の男性から性的な虐待を受けた釧路市出身の40代の女性が、その後うつ病などを発症して男性を訴えたもので、裁判では時間がたっているため女性に賠償を求める権利があるかどうかが争点になりました。

1審の釧路地方裁判所は「被害から20年以上が経過しているため法律の規定で賠償を求めることはできない」と退けましたが、2審の札幌高等裁判所は「うつ病は時間がたってから平成18年ごろに症状が出ており発症を基準にすべきだ」として3000万円余りの支払いを命じていました。

男性が上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の山本庸幸裁判長は、9日までに上告を退ける決定を出しました。
被害を受けた時ではなく、後から病気が発症した時期を基準にして過去の虐待の加害者に賠償を命じた判断は被害者への救済の道を広げるものとなりました。

●「幼少期の虐待」賠償命令確定…除斥期間が焦点
        読売 2015年07月09日
 幼少期の性的虐待で心的外傷後ストレス障害(PTSD)とうつ病などを患ったとして、北海道釧路市出身の40歳代の女性が親族男性に約4180万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(山本庸幸つねゆき裁判長)は、8日付の決定で男性側の上告を棄却した。

 男性に約3040万円の支払いを命じた2審・札幌高裁判決が確定した。

 2審判決によると、女性は1978年(3歳10か月)から83年(8歳10か月)にかけて、親族の男性から複数回性的虐待を受け、虐待の場面がよみがえったり、悪夢を見たりするなどのPTSDの症状が出た。2006年9月頃にはうつ病も患い、11年4月にPTSDと診断され、提訴した。

 1審・釧路地裁は、PTSDを発症した女性が最後に虐待を受けた83年を、損害賠償請求ができなくなる除斥期間(20年)の起算点とし、提訴時点で除斥期間が経過していたとして請求を棄却した。2審は、うつ病を発症した06年を起算点とし、除斥期間は適用されないとして男性に賠償を命じていた。

●PTSD訴訟で被害女性が「逆転勝訴」 30年前の性的虐待の損害を認定
              ダイヤモンド 2014年9月25日 池上正樹
幼い頃、繰り返し受けた性的虐待により、PTSD(心的外傷ストレス障害)などを発症したとして、最後の被害を受けてから20年以上経過した2011年4月、北海道釧路市出身の提訴当時30代の女性が、親族の男性に約4170万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、札幌高裁(岡本岳裁判長)は25日、女性の訴えをほぼ全面的に認め、3000万円余りの支払いを命じる“逆転勝訴”の判決を下した。

1審の釧路地裁の河本昌子裁判長は2013年4月、男性による性的虐待行為や姦淫行為の事実を認め、PTSDなどとの因果関係も肯定しながら、「すでに20年の除斥期間が経過している」として、訴えを退けていた。

3歳~8歳だった原告女性に
わいせつ行為を繰り返した親族男性

女性は同年9月、親族の60代男性から、1978~1983年にかけて複数回、性的虐待行為を受けたことにより、PTSD、離人症性障害、うつ病などを発症、損害を被ったとして、1審の請求額を上回る4100万円余りの賠償を求めて札幌高裁に控訴。裁判では、幼少の頃に受けた性犯罪とPTSDとの因果関係を本人が認識できていなくても、民法724条で定める20年という「除斥期間」が経てば、損害賠償請求権は消滅してしまうものなのかどうかが争われてきた。

判決要旨によると、被害者女性の供述は、「性的虐待行為の具体的な時期、及び内容について、その記憶のとおりに述べたものとみるのが相当である」のに対し、被告の主張は「その正確性に疑いを入れざるを得ない」ことから、概ね原告が主張するとおりのものであったと認めている。

裁判所が認定している事実概要は、次の通りだ。

1978年1月上旬、被告は祖父母宅において、当時3歳10ヵ月の原告に対し、体をなで回すなどの行為をした。

以来、被告は祖父母宅において、毎年1月上旬と8月の2回、原告へのわいせつ行為を繰り返し、行為をだんだんとエスカレートさせていく。

そして、82年8月中旬、被告は祖父母宅において、当時8歳5ヵ月の原告に対し、布団の中に引き込み、着衣の上着を脱がせた上、わいせつ行為に及んだ。

翌83年1月上旬には、被告は祖父母宅において、当時8歳10ヵ月の原告に対し、布団の中に引き込み、着衣を脱がせて裸にした上、わいせつな行為を行ったうえで、姦淫するに至った。

これに対し、被告側は、原告の身体を触るなどの行為が81年1月から83年1月までの4回程度あったことは認めたものの、姦淫行為があったことなどは否認していた。

除斥期間の起算点は
女性がうつ病発症した2006年に

女性はその頃から、フラッシュバック、睡眠障害、回避症状、離人体験、自傷行為などに悩まされてきた。

2006年9月頃からは、著しい不眠、意欲低下、イライラなどの症状に悩まされ、うつ病の疑いと診断。08年頃になると、仕事がまったくできない状態が続いていた。

しかし、2011年3月11日の東日本大震災の報道をきっかけに、自らが苦しんできた諸症状がPTSDによるもので、その原因が性的虐待行為にあることを自覚するに至った。同年4月には、医師から「心的外傷後ストレス障害・抑うつ状態」と診断された。

それに対し、被告側は1審で、被告男性自らが行為を行ってから25年以上が過ぎ、原告の女性がうつ病やPTSDと診断されたのも「ごく最近である」として、「原告の症状は、いまの結婚生活など、これまでの生活状況がストレスになっている可能性が高い」などと主張していた。

判決要旨によれば、精神科医の尋問を踏まえ、原告は被告から性的虐待行為を受けたことにより、83年頃、PTSD及び離人症性障害、高校在学中に摂食障害を発症。06年9月頃、うつ病を発症したものと認めている。

PTSD及び離人症性障害、摂食障害を発症したことを理由にした損害賠償請求権は、原告が訴訟を起こした11年4月には除斥期間が経過している。

ところが、06年9月頃に発症したうつ病は、PTSD及び離人症性障害、摂食障害に基づく損害とは質的にまったく異なるものである。また、うつ病の損害は、性的虐待行為が終了してから相当期間が経過した後に発生したものと認められるとして、除斥期間の起算点は、損害の発生したとき、つまり「うつ病が発症した06年9月頃」というべきだとしている。

請求額については、性的虐待行為により被った過去及び将来10年間の治療関連費や慰謝料など、3000万円余り(ほぼ1審の請求額)が認められた。


“魂の殺人”を踏まえた今回の判決
子どもは虐待を打ち明けられない

PTSDの発症時期は、5~6歳のときから始まっているので認められないと切られている。ただ、うつ病は、性虐待から派生していると判断されているため、実質的には性虐待以降の子ども時代、進学、就職、結婚といった彼女のライフステージごとの損害が認められた格好だ。

原告団の秀嶋ゆかり弁護士は、こう話す。

「彼女はずっと同じ話をしてきた。高裁で本人と精神科医の尋問が行われたことも大きい。性暴力でいわれる“魂の殺人”という実態を踏まえた判断をしてくれた。判決後、彼女は“子ども時代に訴えることはできない。裁判を起こすことはとても大変だった”と話していて、時効の起算点がずらせないという仕組みの改善や、本来なら刑事で処罰してほしかったのに民事しかなかったことなど、法改正の必要性を訴えています」

子どもは、加害者から口止めされたり、性的虐待を打ち明けることで自分が家庭を壊してしまうのではないかと悩んだり、家庭が壊れたら孤立を余儀なくされるのではないかと考えたりして、なかなか虐待の事実を打ち明けることができない。

長年、自分の心に封印してきて、いまも声を上げることをためらい、悩み続ける当事者たちにとっても、勇気を与えてくれる画期的な判決となった。


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 「安倍首相 安保法案採決前に関係与党議員を慰労 8日夜」(TBS)との報道。
 「もう、法案は成立」と思っているのか安倍さん・・・か。

 そこで、最近の内閣支持率などを見た。
 新聞社によって支持率に差はあるが支持率が下がっている。

 《終わりの始まり!?ついに安倍内閣の「支持率が逆転」》と題して「IRORIO(イロリオ)」は、
 《4紙全てで支持率が低下》とする。
 ★毎日新聞 42%(7月6日発表)
 ★産経新聞 46%(6月29日発表)
 ★読売新聞 49%(7月5日発表)
 ★朝日新聞 39%(6月22日発表)

 《不支持率が支持率を上回るのは、第二次安倍内閣発足後初めて》、とも。
 ・・・ということで今朝はブログに以下を記録。

●JNN世論調査、安倍内閣“第2次”以降 支持率最低/JNN 2,015年7月6日 
●内閣「不支持」が「支持」上回る 発足後初めて 毎日世論調査/zakza 7.6
●世論調査:安倍内閣、不支持が上回る 毎日新聞実施/毎日 7月6日
●終わりの始まり!?ついに安倍内閣の「支持率が逆転」したと話題に/IRORIO(イロリオ) 7月6日
●安倍首相 安保法案採決前に関係与党議員を慰労/TBS 9日
●“身内”のネット番組で悦に…改めて分かった安倍首相の本性/日刊ゲンダイ 7月8日

 ところで、昨年春に提訴した「市の公共施設の下水道未接続の違法確認と損害の回復」等に関する住民訴訟は、昨日が7回目の弁論(あるいは)ラウンドテーブル。
 裁判長から次回で結審、と「9月10日10時50分」の法廷が指定された。
 争点、論点、違法理由などは極めてすっきりしているから早く結審して欲しいと思っていたので、「やっと」と思う。

 被告の準備書面が「3」まで、書証は殆ど出ず。
 こちらの準備書面も「4」、こちらの書証は「甲第24号証」まで。
 ともかく、年内、11月か12月に判決だろう。

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●JNN世論調査、安倍内閣“第2次”以降 支持率最低
        TBS Newsi,JNN news 7月6日 
 安倍内閣の支持率が2012年の第2次政権の発足後、最も落ち込んだ上、「支持」と「不支持」の差も最も狭まっていることがJNNの世論調査でわかりました。

 調査は4、5日に行いました。

★tbs それによりますと、安倍内閣の支持率は前回の調査より2.8ポイント下がって50.7%。不支持は3.8ポイント上がって47.8%でした。支持率は、2012年12月に第2次政権が発足して以来、最も低くなった上、「支持」と「不支持」の差も2.9ポイントと最も狭まっています。

 「そうした動きに一喜一憂すべきでなく、国家国民のために、まさに真に必要な政策を適時的確に国民に説明しながら、謙虚にひたむきに着実に進めていきたい」(菅義偉官房長官)


★成立 安倍内閣は、今の国会での安全保障関連法案の成立を目指していますが、これに「賛成」の人は29%だったのに対し「反対」は59%でした。

★不十分 政府・与党がこの法案を国民に十分説明しているか聞いたところ、「十分に説明している」が10%だったのに対して、「不十分だ」は85%に上りました。

 安倍総理に近い自民党の議員が開いた勉強会で出た「報道圧力発言」には、87%もの人が「適切でない」と答えました。

★再稼働 政府は、原子力規制委員会が安全性を確認した原発の運転を再開させる方針ですが、この方針に「賛成」の人は33%、「反対」の人は58%でした。

★普天間 沖縄県のアメリカ軍・普天間基地の名護市辺野古への移設に「賛成」の人は32%。「反対」の人は51%でした。


●内閣「不支持」が「支持」上回る 発足後初めて 毎日世論調査
         zakza 2015.07.06
 ★ 安倍内閣支持率

 毎日新聞の世論調査で、安倍晋三内閣の不支持率が43%(前回比7ポイント増)となり、支持率(42%、同3ポイント減)を上回った。同社の調査で、支持と不支持が逆転したのは、2012年12月の第2次安倍内閣発足後初めて。安全保障関連法案をめぐる、国民への説明が「不十分」との回答が81%もあり、これが影響しているようだ。

 注目の調査は、毎日新聞が6日朝刊で報じた。自民党若手の勉強会で、報道機関に圧力を加えると受け取れる発言が出たことも、調査結果に関係しているとみられる。

 一方、読売新聞が6日朝刊で報じた世論調査では、安倍内閣の支持率は49%(同4ポイント減)、不支持率は40%(同4ポイント増)だった。支持率が50%を切ったのは、昨年12月の第3次内閣発足直後(49%)以来という。

●世論調査:安倍内閣、不支持が上回る 毎日新聞実施
           毎日新聞 2015年07月06日
★安倍内閣の支持率推移
 ◇支持率は42%、不支持率は43%

 毎日新聞は4、5両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は5月の前回調査から3ポイント減の42%、不支持率は同7ポイント増の43%で、2012年12月の第2次安倍内閣発足後初めて、支持と不支持が逆転した。政府・与党が衆院通過を急ぐ安全保障関連法案については、国民への説明が「不十分だ」との回答が81%に上った。会期延長した今国会で安保法案を成立させる方針にも61%が「反対」と答え、「賛成」は28%にとどまった。

 安倍内閣の支持率は13年3月に70%に達した後、徐々に低下し、14年6月以降は40%台半ばで横ばい状態が続いていた。今回の42%は衆院選のあった14年12月の43%をわずかに下回り、第2次、第3次内閣では最低を記録。一方、不支持率は初めて40%台になった。自民党の国会議員が開いた勉強会で「マスコミを懲らしめる」など報道機関に圧力をかける発言があったことについては「問題だ」が76%に上り、「問題ではない」は15%。自民支持層でも「問題だ」が7割弱を占めた。

 集団的自衛権の行使などを可能にする安保法案への「反対」は58%で、前回調査の53%からさらに増えた。「賛成」は29%。安保法案に対する世論の批判や、言論圧力問題への反発が内閣支持率低下につながったとみられる。安保法案を巡っては多くの憲法学者が「憲法9条違反」と指摘している。調査では過半数の52%が「憲法違反だと思う」と答え、「思わない」は29%だった。公明支持層の5割弱、自民支持層でも3割が「思う」と回答した。

 政府・与党は国会審議などを通じて安保法案を丁寧に説明する方針を繰り返し表明しているが、説明が「不十分だ」は自民支持層でも3分の2に上り、国民に十分に浸透していないことをうかがわせた。政党支持率は前回調査とほぼ変わらず、自民31%▽民主7%▽維新5%▽公明4%▽共産4%−−など。「支持政党はない」と答えた無党派層は37%だった。【今村茜】

 ◇調査の方法

 7月4、5日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法で調査した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。有権者のいる1720世帯から、1036人の回答を得た。回答率は60%。

●終わりの始まり!?ついに安倍内閣の「支持率が逆転」したと話題に
    IRORIO(イロリオ) - 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議 2015年07月06日 長澤まき
ついに安倍内閣の支持率と不支持率が逆転したという。

支持率42%、不支持率43%
毎日新聞は6日、4日と5日に行った全国世論調査の結果を発表した。

それによると、安倍内閣の支持率は42%と前回調査より3%低下。一方で、不支持率は前回より7%増えて43%となり、支持率と不支持率が逆転したという。

不支持率が支持率を上回るのは、第二次安倍内閣発足後初めて。

4紙全てで支持率が低下
他社が発表した安部内閣の支持率は次のとおり。

産経新聞 46.1%(6月29日発表)
読売新聞 49%(7月5日発表)
朝日新聞 39%(6月22日発表)

新聞社によって支持率に差はあるが、4紙全てで前回より支持率が下がっている。

安保法案などが影響か?
安倍内閣の支持率は、2012年12月の発足時は50%前半ほどだったが、2013年3月には70%に達した。しかしその後徐々に低下し続け、2014年12月には43%まで下がった。

今回、安倍内閣の不支持率が高まった背景には、自民党議員による「マスコミを懲らしめる」発言への反発や、自民党が進めている「安保法案」への批判などがあるとみられている。

●安倍首相 安保法案採決前に関係与党議員を慰労
           TBS Newsi,JNN news (09日01:21)
 安倍総理は、国会で審議が続いている安全保障関連法案に関係する与党の議員を、総理公邸に招いて夕食をともにし、慰労の言葉をかけました。

 安倍首相は8日夜、安全保障関連法案をめぐる与党協議の責任者を務めた自民党の高村副総裁や、公明党の北側副代表、そして衆議院の特別委員会の筆頭理事を務める江渡前防衛大臣ら関係議員、十数人を総理公邸に招き夕食をともにしました。

 出席者によりますと、安倍総理からは「法案を提出してくれてありがとう」といったねぎらいの言葉があったということです。

 ただ、与野党の意見が真っ二つに割れ、世論調査でも反対意見が多くを占めている重要法案の審議が続くなか、採決の結果が出る前に、与党の関係議員だけを公邸に招いて、慰労の言葉をかけるのは異例のことです。

●“身内”のネット番組で悦に…改めて分かった安倍首相の本性
      日刊ゲンダイ 2015年7月8日
 “珍説明”のオンパレードである。安倍首相が6日から自民党のネット番組で始めた「安保法案」の解説。国民の間に「違憲」の声がどんどん広がり、支持率も急降下。慌てて党のネット番組を使って直接訴える手段に出たのだが、これが突っ込みどころ満載なのだ。

 ネット番組は「平和安全法制のナゼ? ナニ? ドウシテ?」。13日までの5夜連続で、安倍首相が「安保法案」について自ら説明。7日のテーマは「集団的自衛権って何? アメリカの言いなりに戦争するの?」で、安倍首相が例として、友達の「スガさん」や「アソウさん」の名前を挙げながら、集団的自衛権の必要性を訴えた。

 要するに、友達だから一緒に戦おう、助けよう─―という内容だったのだが、そこには「自分勝手に戦い始めた友達」や「ケンカに無理やり引きずり込もうとしている友達」の説明は一切なし。ケンカならケガで済むが、巻き込まれれば自分はもちろん、家族・親族も殺し合いになるという説明もなかった。

初日(6日)の番組でも、安保法案の必要性について「備えあれば憂いなしだ。戸締まりをきちんとしている家には、泥棒も強盗も入らない」と持論を展開した。ところが、視聴者からは「戸締まりをきちんとすればいいなら個別的自衛権で十分」「友人(米国)と一緒に泥棒や強盗に出掛けていくのが集団的自衛権だ」と批判が続出。番組は「安倍さんが分かりやすくお答えします!」なんてPRしているが、結局は国会答弁と何ら変わらない。安倍首相が的を射ない説明を一方的にノラリクラリ話すだけなのだ。

 だいたいネット番組で連夜、グダグダ言う時間があるなら、NHKや民放番組に出て、違憲を訴える憲法学者の質問に真正面から答える方がよっぽどスジが通っている。安倍首相は「(テレビは)どこも呼んでくれない」なんてボヤいているらしいが、突っ込まれてボロが出るのが嫌で逃げ回っているとしか思えない。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。

「『安保法案は必要』という確たる根拠と自信があるなら、テレビでもどこでも出掛けていって、堂々と説明すればいい。それができないのは、自信のなさの裏返しでしょう。テレビに出て相手に論破されたらグウの音も出なくなりますからね」

 “身内”のネット番組で好き放題しゃべって悦に入っているなんて、ホント、ヘタレ総理だ。

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 どこまでも安保法案の採決を強引に進める安倍政権。維新まで、最後は同調する気配であきれる。
 とはいえ、内部から崩れる可能性もあるのだろう。

 《zakzak 2015.07.07》は次。
 ★《安倍晋三首相が政治生命を賭ける安全保障関連11法案の国会審議に暗雲が立ち込め始めた。自民党推薦参考人教授の「違憲発言」で潮目が変わった。集団的自衛権の行使のためには憲法改正が筋だと考える自民党憲法改正推進本部長が、あえて長谷部教授を招請したとの「陰謀論」まで出る。安保法案を成立させるためには、計4回の強行採決をしなければならない。・・・》

 そんなことで、今朝はブログに次を記録。
 ●安保法案を批判した山崎拓氏、亀井静香氏/毎日 特集ワイド 2015年06月26日
 ●戦火の教訓、沖縄は問う 安保質疑で課題浮き彫り/朝日 7月7日
 ●安保法案、3弁護士が廃案求める さいたまで参考人質疑/埼玉 7月7日
 ●【永田町・霞が関インサイド】オウンゴール連発の安保法制 打開のカギは「秋口」の安倍・プーチン会談 /zakzak 7.07
 ●「60日ルール」期限巡り与野党攻防…安保法案/読売 7月07日
 
 ところで、今日15時からは岐阜地裁で住民訴訟のラウンドテーブル。5日に被告の書面が届いたので、反論の主張とその立証の証拠などを昨夕、裁判所と相手方代理人のところに届けておいた。今回は、カラーが多いので、直接届けた。補助参加人の東京の弁護士には、裁判所に一式を預けた上で、「仮に送付」として文書部分だけファックスしておいた。

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● 安保法案を批判した山崎拓氏、亀井静香氏
     毎日新聞 特集ワイド:松田喬和のずばり聞きます 2015年06月26日
 ◇「後方支援」は実質戦闘 元自民党副総裁・山崎拓氏
 ◇米国への過剰サービス 衆院議員・元金融担当相、亀井静香氏
 「老いては子に従え」と言うが、すわ国家の一大事となれば話は別である。先日、共同記者会見を開き、一連の安保関連法案を批判した元自民党副総裁の山崎拓氏(78)と元金融担当相で無所属の衆院議員、亀井静香氏(78)。松田喬和・毎日新聞特別顧問が、自民大物OBの「咆哮(ほうこう)」を聞いた。【構成・石塚孝志、江畑佳明、写真・小出洋平】

 ◇外交ツールにされる自衛隊/「対等」目指した岸元首相の考え誤解

 −−今国会が戦後最長となる95日間も延長されることになりました。

 亀井氏 本来は解散総選挙で国民に問うべき事案なのに、1回の国会審議だけ、というのはとんでもない。しかも参院の意向に関係なく成立させようという意思表示(参院送付後、60日以内に採決されなければ衆院で再可決できる「60日ルール」適用が可能になるため)でもあり、常軌を逸しています。参院の自民党も怒るべきだ。

 山崎氏 憲政の常道ではない。自民党総裁選が国会会期中の9月20日にセットされましたが、重要法案審議中の総裁選も異例で、安倍晋三首相の無投票再選も狙っているのではないか。その意味でも邪道です。

 −−山崎さんが自民党幹事長当時にまとめたイラク復興特別措置法と、審議中の安保関連法案では具体的には何が大きく変わったのですか。

 山崎氏 まずは恒久法としたことと、「後方支援」を名乗って、武力行使を容認したことです。恒久法では、イラクなどへの自衛隊派遣のように有効期限を決めた特別措置法とは異なり、いつでも自衛隊を派遣できます。また、後方支援というのは、武器や燃料などの補給機能を担う兵站(へいたん)のことです。敵は継戦能力を断とうと、必ず攻撃してきます。自衛隊も武装しないと守れませんから、実質的に戦闘行為になってしまう。それが分かっているのに戦闘行為には加わらないとか、危ないところには行かないとか、できもしないことを言って国民を欺まんし、この法案を通そうとしています。

 そもそも国際軍事情勢の変化って何だといえば、主として中国の軍事力の膨張と海洋進出、及び北朝鮮の核ミサイル。それは周辺事態法で対処してきたことであって、それを補強すればよいと思うんだけど、重要影響事態法と名前を変えてしまってね、全地球規模でやるというんです。

 −−亀井さんは、安倍首相とは長い間、国のあり方とか安保問題を話し合われてきた仲では。

 亀井氏 安倍首相が本来考えている憲法改正というのは、独立国家としての国民の強い意志をきちっと背骨にして、米国発米国製のものではない、日本人の魂の入った憲法を作りたい、伝統文化をきっちり守っていきたいということだと思いますよ。それを解釈改憲など小手先のことをしたら、本来、首相が考えているような改憲はできなくなりますよ。やはり首相は堂々と国民に対して正面から訴えて、選択を迫るべきです。今回であれば自衛官が戦死する話ですから、リスクなんて生やさしい話ではありません。米国との共同作戦の中で自衛官が戦死し、ひつぎがどんどん送り返されてくる事態への覚悟があるのかが問われている。

 山崎氏 もう一つ問われているのは、外務省がタブーにしてきた日米安保体制の見直しです。それを指摘すると外務官僚は「シーッ」と口を押さえるんですよ。

 日米安保体制の基本的な仕組みは「日本は憲法の制約で米国のために集団的自衛権を行使できないので、その代わりに基地を提供する」ということなのですが、今回、限定的とはいえ集団的自衛権を行使するということだから、その一点からして基本構造を大転換させた。しかも、極東だけではなく全地球的規模で、欧州や米本土の基地からも出動する米軍に日本がついて後方支援をするというのは、日米安保体制をはるかに超えている。

 亀井氏 米国にとって大事なのは、日本の基地を維持することです。23日の沖縄慰霊の日に首相が沖縄に行きましたが、沖縄では安保法制に圧倒的多数の人が反対ですよ。米国から見たら、基地周辺で反対運動が激化すると、基地が使えなくなるんです。沖縄の人の意思を踏みにじってまで地球規模で自分たちを手伝ってくれる日本政府の「過剰サービス」はありがたいけれど、多くの日本人の疑問が米軍基地提供にまで及び、「集団的自衛権を行使するなら基地を撤去しろ」となったら困るんです。だから、日米関係というのをもう一度冷静に、首相も政府も考えるべきだと思いますよ。

 山崎氏 この日米安保体制の大転換を国民に気付かれたら政府は大変だし、基地の円滑な運用ができなくなれば米国も怒りますよ。

 −−安倍首相は、安保改定をした祖父の岸信介元首相を意識していると言われます。

 亀井氏 安倍首相は、岸元首相について間違った理解をしていると思います。少々の国民の反対や学者やメディアがなんと言っても、乗り越えるのは当たり前だし、おじいさんはやった。自分も固い意志で乗り越えていくと思っている。ところが岸元首相が考えた日米関係は、真の独立国として対等な関係を作りたいということで、今首相がやっている、米国に従属するようなこととは違います。占領時代から続く軍事基地を提供したのは冷戦下では日本だけでは自国を守れず、米国の助けが必要だったからです。米国の戦略に従って、自衛隊が外国に出ていって戦うことまでは想定していなかった。

 山崎氏 外交のツールに自衛隊を使うことは、外務省の宿願でした。今まで日本は政府開発援助(ODA)の予算を世界にばらまくことを外交のツールとしてきましたが、今や最盛期のようにODA予算が使えません。彼らの外交の武器が弱くなって、「外交の最後の手段」として軍事力の行使を日本もしたいということで、自衛隊を世界に出すことを考えたのでは。

 −−万が一、法案が成立すると、どのような事態が起きると思いますか。

 亀井氏 例えば、米国が過激派組織「イスラム国」(IS)との地上戦を始めれば、必ず集団的自衛権の行使を日本に求めてきます。戦場で自衛官が戦死するのは当たり前ですね。それ以上に怖いのは、国内です。何もシリアに行った者を捕まえて人質にする必要はないんです。この東京にやってきて、松田さんを狙って殺して声明を出せば済む話です。私はかつて(警察庁でテロ対策の)責任者をやっておったんです。小集団なり個人が命を懸けてやるテロを警察が事前に探す力はありません。私が断言します。

 −−今後、どのようなアクションがあれば、安保関連法案が事実上撤回される、もしくは廃案になるでしょうか。

 山崎氏 この法案が成立しなければ政権へのダメージは大きいので、60日ルールを適用できるタイミングを見計らう形で、7月半ば過ぎには衆議院で強行採決もあり得ます。安倍さんは並々ならぬ決意だけに、阻止は難しいでしょう。しかし法案に反対の国民世論が大きくなって、世論調査で不支持が支持を上回るようになれば、断念せざるを得なくなるでしょう。

 亀井氏 安倍首相は「議会制民主主義の王道を歩んでいくべきだ」と言っていますが、今の自民党のやり方は、形の上では民主主義の手続きをとっているものの、実際は民主主義や立憲主義を無視しています。形だけとればいいということをすれば、ナチスだってそうですよ。それでやれば成立しますよ。簡単に。しかし来るべき参院選、衆院選からは決して逃れられない。強権的にやればやるほど、国民の審判を仰ぐ選挙が巨大な壁となって待ち受ける。その覚悟はあるのかと言いたいです。

 −−12日には日本記者クラブで、武村正義元官房長官(80)と藤井裕久元財務相(83)との4人で緊急共同会見をして、安保法制への反対を表明しました。今後、お二人はどう行動されますか。

 山崎氏 私はもう国会議員ではないので外野から世論に警鐘を乱打し続けたい。黙って見ておれません。

 亀井氏 ポイントは野党が体を張ってでも法案を阻止するかどうか。それによって国民の見る目が変わってきます。私は安保法案反対の勢力が、ある意味で「行儀悪く」振る舞えるよう、努力をしたいと思っています。

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 ■人物略歴
 ◇やまさき・たく
 1936年、中国・大連生まれ。早大卒。サラリーマン、福岡県議を経て、72年衆院選初当選後、12回当選。防衛政策に精通し、防衛庁長官、自民党幹事長などを歴任。

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 ■人物略歴
 ◇かめい・しずか
 1936年、広島県生まれ。東大卒業後、警察庁入庁。79年衆院選初当選。建設相、自民党政調会長などを歴任した。2005年、国民新党を結党するも12年に離党。現在13期目。

●戦火の教訓、沖縄は問う 安保質疑で課題浮き彫り
          朝日 2015年7月7日 石松恒 今野忍
 那覇市で6日に行われた安全保障関連法案の参考人質疑では、沖縄が抱える安全保障上の様々な課題が浮き彫りとなった。法案反対の立場からは米軍基地負担が集中する現状に加え、法整備によってさらに危険性が増すことへの懸念が示された。一方、中国の海洋進出に直面する地元首長は法案に賛成する立場から離島防衛の強化を求めた。

■名護市長ら、政権の手法批判
 「ただ権力を振りかざす場面だけが目立つ。自分たちの思うとおりに進めるとなれば、我が国の行く末が案じられる」。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を抱える同県名護市の稲嶺進市長は、安倍政権が世論の反対を押し切ってでも進めようとする安保法制の整備について、普天間移設問題と重ね合わせてその手法を批判した。

 戦後の日本が高度成長を実現した背景として、日米安保体制の負担やリスクのほとんどを米軍駐留として肩代わりさせられたとの思いが沖縄には強い。稲嶺氏は「沖縄は本土発展の踏み台の役割を担わされた」と指摘。さらに、辺野古移設と安保法制の整備が進められた場合の行く末について「またしても沖縄は戦地にされると考えるのは私一人ではない」と語り、沖縄戦の記憶が残る県民の懸念の強さを代弁した。

 安倍政権が憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の海外活動を拡大させようとする法案の中身にも強い不満を表明した。稲嶺氏は「あしき前例を作れば安定した国家運営はままならず、世界から信頼を失う。自衛隊を実質的な軍隊へと転換を図るもので、国民の生命をも危険にさらす」として、法案の撤回を求めた。

 1990年から8年間、沖縄県知事を務めた大田昌秀氏は自らの沖縄戦の体験を踏まえ、「自衛隊を配備すれば島々が守れるとよく言うが、軍隊は民間人の命を守らないというのが沖縄県民の唯一の教訓だ」。自衛隊の配備により南西諸島の防衛力強化を図る安倍政権に対して、沖縄戦の歴史的な経緯を踏まえて議論すべきだと強調した。

 沖縄にとって、安倍政権が進める辺野古移設は負担の軽減にはならず、県内への新たな基地建設に映る。大田氏は「沖縄に二度と軍事基地を造らせてはいけない。基地が造られ、戦争が起きたら攻撃の的になることは当然のことだ」と批判した。

 那覇市での参考人質疑は野党側の要求により実現した。法案採決に向けて審議時間を積み重ねたい与党は、安倍政権の安全保障政策に批判的な沖縄での開催に応じた。(石松恒)

■石垣市長は法案に賛意
 「尖閣諸島に中国が相当の領海侵犯を行っている状況に不安を感じる」。自民党推薦の参考人で沖縄県石垣市の中山義隆市長は、尖閣諸島をめぐる安全保障環境の変化を理由に法案への賛意を示した。

 尖閣諸島は石垣市に所属し、その距離は約170キロ。2012年の国有化以降、中国公船による領海侵犯や接続水域への侵入が急激に増えた。中山氏は「周辺海域での中国海軍の活動が急速に拡大していて、現実的な脅威になっている」と危機感を語った。

 さらに「尖閣諸島にもし他国の軍隊が上陸し、紛争が起こった場合は石垣などへの観光は縮小し、経済に大変大きな影響がある」と語った。北朝鮮のミサイルの脅威にも言及し、「いかなる状況でも対応できる態勢を整え、沖縄を含む日本全体の安全保障環境が担保されることを望む」と述べた。

 公明党が推薦した南城市の古謝景春(こじゃけいしゅん)市長も法案に賛成の立場を示した。ただ、沖縄戦激戦地の首長として複雑な心境も打ち明けた。

 古謝氏は審議を通じて「専守防衛、自国防衛を目的とする武力行使しか認めていないことが分かった」と述べ、限定容認であれば集団的自衛権を認める考えに至ったという。

 ただ、法案への国民の理解が進んでいるとの実感は少ない。古謝氏は「まだまだ国民には不安がある。沖縄県は本当にすごい戦争を体験した。また繰り返されるのか、私自身も大変危惧している」と語り、政府に法案の説明を尽くすよう求めた。(今野忍)

●安保法案、3弁護士が廃案求める さいたまで参考人質疑
        埼玉 2015年7月7日(火)
 安全保障関連法案を審議する衆院平和安全法制特別委員会は6日、さいたま市と沖縄県那覇市で有識者を招いた参考人質疑を開いた。

 さいたま市では同法案について、有識者5人のうち3人の弁護士が「明確に憲法に違反する」「これまでの憲法解釈を逸脱しており、違憲と言わざるを得ない」などと指摘、廃案を求めた。

 ほかの2人は賛意を示しながら「政府与党は国民に理解してもらえるような丁寧な説明が必要」と求めた。

 意見を述べたのは、野党推薦の埼玉弁護士会会長の石河秀夫氏、東海大法科大学院特任教授の落合洋司氏(弁護士)、明日の自由を守る若手弁護士会会員の倉持麟太郎氏の3人と、与党推薦の慶応大法学部教授の細谷雄一氏、県商工会議所連合会会長の佐伯鋼兵氏の2人。

 石河氏は「集団的自衛権の行使を限定的に容認するのは憲法の解釈変更の限界を超える」とし、「国会の審議時間が問題なのではなく、国民の理解を得られるかどうかだ。(法案は)直ちに廃案にすべき」と主張。

 同法案採決の前提となる中央公聴会の開催が13日に決まり、与党は15日の特別委採決、16日の衆院本会議での可決、通過を目指していることから「強行採決すれば民主主義に反し、立憲主義を破壊する」と話した。

 「集団的自衛権の行使は法解釈としては難しい。憲法解釈を逸脱している」という落合氏は「限定的とはいえ行使できるという解釈をしたいのであれば、憲法の改正をしないといけない」との考えを表明。

 倉持氏は「現行憲法に反する法制度を実現することは違憲。審議における政府の説明、答弁があまりにも不合理、不誠実。民主的正当性が欠如している」と批判した。

 安倍晋三首相が設置した「安保法制懇」メンバーでもある細谷氏は、法制懇の議論も踏まえ「この法案によって日本がより安全になるのか、国際社会が平和になるのか。あまりに技術的にこだわり、全体像の効果、意義の十分な検討がなされてこなかった」と指摘した。

 日本が憲法9条で平和の理念を掲げていても「中東やアフリカ、欧州の戦争を防ぐことにはつながらない」と主張。「本当に戦争が起きないような十分な安保法制をつくることが政治家に課せられた義務」と述べた。

 佐伯氏は「二度と戦争を起こしてはならない」と訴えながら「平和の維持には集団的自衛権による安全確保が必要。抑止力として貢献してきた自衛隊の活動の幅を広げることは、現在の安全保障の中では非常に大事で、喫緊の課題」と早期成立を求めた。

●【永田町・霞が関インサイド】オウンゴール連発の安保法制 打開のカギは「秋口」の安倍・プーチン会談 (1/2ページ)
         zakzak 2015.07.07
 安倍晋三首相が政治生命を賭ける安全保障関連11法案の国会審議に暗雲が立ち込め始めた。

 衆院憲法審査会(会長・保岡興元法相)に、自民党推薦参考人として出席した早稲田大学の長谷部恭男教授の「違憲発言」で潮目が変わった。イングランド並みの与党のオウンゴールである。

 さらに、安倍首相の最側近を自任する萩生田光一自民党筆頭副幹事長らが結集した勉強会で噴出した「マスコミ圧力」発言が追い打ちをかけた。

 前者は、集団的自衛権の行使のためには憲法改正が筋だと考える保岡氏と船田元・自民党憲法改正推進本部長が、あえて長谷部教授を招請したとの「陰謀論」まで出る始末だ。

 安保法案を成立させるためには、計4回(=衆参両院の平和安全法制特別委員会と本会議)の強行採決をしなければならない。

 最初のハードルは、衆院特別委と本会議採決である。安倍官邸と与党国対は当初、7月13日の週の採決を考えていた。

 ところが、想定外の「ポカ」続出のため採決時期は27日の週にずれ込みそうだ。

 加えて、官邸内に「60年安保の再来」を真剣に危惧する声が出始めるほど、週を重ねるごとに安保法制反対のデモが全国規模で増加しているのだ。

 この「存立危機事態」の中で、政府・自民党が期待するのは外交成果による危機打開である。

●「60日ルール」期限巡り与野党攻防…安保法案
       読売 2015年07月07日
 衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案の採決時期をめぐる与野党の攻防が本格化してきた。

 「60日ルール」が使える事実上の期限とされる24日までに、法案を参院に送れるかが焦点だ。与党は16日の衆院通過を目指すが、野党は対案を提出するなどして審議を引き延ばす構えだ。

 自民党の谷垣幹事長は、6日の記者会見で「野党側の論点も出尽くしてきた」と述べ、安保関連法案を特別委で採決する環境が整いつつあることを強調した。

 安保関連法案の特別委の審議時間は、6日で約89時間となった。10日の集中審議や13日の中央公聴会などを経れば、特別委の審議時間は100時間を超える見通しだ。与党が採決の目安とする「80時間超」を満たしており、与党は15日にも特別委で採決し、16日にも衆院を通過させるシナリオを描いている。

 与党が早期採決にこだわるのは、「60日ルール」を使える余地を残すためだ。政府・与党はそもそも、安保関連法案を今国会で確実に成立させるため、「60日ルール」の適用も視野に入れ、9月27日まで会期を延長した経緯がある。

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 昨日に続いて、ギリシャのことを調べてみた。なにしろ、一つの国が「経済破たん」するか否かのタイミング。
 どのように破たんしていくのか、あるいは、どのように回避されるのか・・・、興味がある。

 専門家は《このままではいずれにせよギリシャの破綻は“時間の問題”である。》という。
(ダイヤモンド・オンライン)
 《時間切れでギリシャが自壊、“実質的な離脱”の可能性はある。「借用証書による取引が増えてユーロに取って代わり、“実質的なユーロ離脱”となる可能性はある」。問題は長期化する公算が大きくなった。今しばらくは、世界がギリシャに振り回される日々が続きそうだ。》

 ところで、明日8日(水)15時は岐阜地裁で住民訴訟のラウンドテーブル。
 今回は、被告が裁判所の求めに応じて、「なぜ、遅れたのか」の主張の書面を出すことになっていたところ、5日に受け取った。それで今朝2時半に起きて、反論の書面、書証などをイメージした。
 この後、調整、精査して修正し、夕方までに裁判所に提出したいと思っている。

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●欧州激震:国民投票の衝撃/上 ギリシャ「屈辱感」増幅 EUに反発、緊縮策拒否6割 ユーロ圏、あす首脳会議
         毎日新聞 2015年07月07日
 ギリシャの選択は「ノー」だった−−。金融支援の条件として欧州連合(EU)などが提示した財政緊縮策への賛否を問う5日のギリシャ国民投票で、反対が6割を超えた。東京の金融市場で日経平均株価が一時500円超下落するなど、賛成多数を予想していた世界の市場は動揺。ユーロ圏離脱の不安をあおって「賛成」を迫っていたユーロ圏諸国は急きょ、7日(日本時間8日)の首脳会議開催を決めた。ギリシャのチプラス首相も出席して再交渉を試みるが、各国の不信感は強い。ギリシャ国内のユーロが底をつく前に妥協できるかは不透明だ。

 国民投票から一夜明けた6日朝、アテネ市内の銀行支店前には多くの高齢者の姿があった。年金は、最低賃金の月収の5分の1程度となる120ユーロ(約1万6000円)しか引き出しが認められていない。人々の表情は不安の影が濃かった。

 だが、アテネ中心部のシンダグマ広場を5日夜に埋め尽くした反対派は、債務不履行(デフォルト)やユーロ圏離脱の不安など無縁という熱狂ぶりだった。

 タクシー運転手のマノリス・イエルマナキスさん(61)は2010年に緊縮策が導入されてからの5年間で収入が半分以下に減った。「電気代も電話代もまともに払えなくなった」と怒りをぶちまける。

 10年から14年までにギリシャの国内総生産(GDP)は25%減少した。現在の失業率は25・6%、25歳未満に限ると49・7%だ。格差も拡大して暮らしが苦しくなったことと、財政政策をEUに握られた「屈辱感」が反感を増幅させた。

 ギリシャ人は、古代文明と民主主義の発祥の地であることを誇っている。その誇りを踏みにじられたことで「反EU、反ドイツ、反IMF(国際通貨基金)という空気がある」。シンクタンク「ギリシャ欧州外交政策財団」のディミトリ・ソティロプロス研究員は、国民心理をこう解説した。

 動きはむしろEU側で慌ただしい。フランスのオランド大統領は投票直後、ドイツのメルケル首相と電話協議し、7日のユーロ圏首脳会議開催に合意。さらに両首脳は6日、パリで直接会った。AFP通信によると、メルケル首相はさらにチプラス首相と電話で話し、首脳会議にギリシャが新提案を提示することで一致。ドイツのガブリエル副首相は、人道支援の必要性を語り始めた。IMFのラガルド専務理事も6日、「情勢を注視しつつ、求められればギリシャを支援する用意がある」との声明を出し、EUとの協議がまとまれば支援に同調する構えだ。

 欧州では、10年以降の債務危機での緊縮策が若者や貧困層に打撃を与え、「反緊縮」「反EU」を叫ぶ大衆迎合的な新興政党が出現しているスペインやイタリアへの影響を懸念する声もある。ギリシャへの対応を誤れば、こうした政党を勢いづかせてしまうからだ。

 一方でギリシャは交渉の態勢作りを始めた。ユーロ圏財務相会合で他国閣僚と衝突することが多かったバルファキス財務相が突然、辞任を表明した。EU側と合意するためには財務相辞任が望ましいというチプラス首相の判断だという。

 国民投票で政治的立場を強めたチプラス氏は6日、主要3野党から交渉に協力する確約を取り付けた。

 終日大荒れとなった東京市場で、あるエコノミストは「ユーロがそもそも壮大な実験と言われたが、離脱も壮大な実験だ。初めてなので、何が起こるか誰にも分からない」と話した。これまでイメージしてこなかった「ユーロからの離脱」を一部の投資家は真剣に想定し始めた。【アテネ福島良典、ロンドン坂井隆之、ブリュッセル斎藤義彦】

●ギリシャに迫る時間 財務相辞任、EUは譲歩難しく
        日経 2015/7/7 2:01
【ブリュッセル=森本学】ギリシャの国民投票が欧州連合(EU)の求めた緊縮策を拒む結果となり、財政危機に直面するギリシャへの金融支援交渉の行方は一段と混迷してきた。ギリシャはユーロ残留へ新たな金融支援を求める構えだ。民意を追い風に緊縮緩和や債務減免を求める構えのチプラス政権に、EUはどこまで譲歩するのか。難しい判断を迫られる。

バルファキス財務相の辞任がEUとの交渉にどう影響するか=AP
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バルファキス財務相の辞任がEUとの交渉にどう影響するか=AP
 ギリシャのチプラス首相は民意を反映し、年金支給の削減といった緊縮策の緩和や、債務元本の減免を盛り込んだ金融支援をEUに要請する方針だ。EUは7日、ブリュッセルで緊急のユーロ圏首脳会議と財務相会合を開き、ギリシャ側が示す新たな提案への対応を協議する。

 チプラス首相は6日、EUとの交渉を担当してきたバルファキス財務相の辞任を認めた。EU側の評判が良くなかった同氏を外し、交渉を前に進める狙いとみられる。

 EUもまずはギリシャのユーロ残留をめざして新たな金融支援策での合意を探る。ただ、ギリシャの国民投票が否決したEUの緊縮策は、ギリシャ側に最大限譲歩した内容だ。さらなる歩み寄りにはユーロ圏各国の反発も予想される。交渉は難航が避けられない。

 EUとギリシャの神経戦は続く。

 ギリシャの銀行は手元にユーロが無くなりつつある。欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行の資金繰りを支えるために実施している資金供給の額を据え置いているためだ。

 この額が増えなければ6月29日から休業している銀行は営業を再開できない。ECBは今のところ資金供給額の上積みに応じる気配をみせておらず、ギリシャの銀行は営業再開をめざしていた7日以降も休業を続けざるを得ない状況だ。

 ヤマ場は20日のECBが保有する国債(35億ユーロ)の償還だ。償還資金を手当てできなければ、ECBはギリシャの国内銀行への資金繰り支援を打ち切るかどうか厳しい判断を迫られる。

 ギリシャとEUが互いに強硬姿勢を崩さなければ交渉が決裂し、ギリシャのユーロ離脱が早々に現実となりかねない。

 「(ユーロ離脱が)現実的なシナリオになった」(スロバキアのカジミール財務相)。対ロシアなど安全保障面で要衝にあるギリシャがユーロ圏から離れるのを許すのは非現実的との見方が根強いものの、ドイツを中心にギリシャへの強硬論もくすぶる。

 ギリシャへの金融支援が早急にまとまるには、ギリシャ側がEUと緊縮策で合意し、財政改革関連の法案を成立させるなど改革実行の確証をEU側にみせる必要がある。ただ、国民の6割が「緊縮反対」を表明したギリシャ政府や議会が応じる可能性は乏しい。

●ギリシャ第3次救済に青信号ともるか、ユーログループ7日会合
           ブルームバーグ 2015/07/07 01:16
  (ブルームバーグ):ギリシャが第3次救済を受けられるかは、交渉再開をユーロ圏の財務相らが承認するかどうかにかかっている。
ギリシャのチプラス首相は先週、欧州安定化メカニズム(ESM )を活用した2年間の融資プログラムを要請したが、財務相らによる検討はギリシャ国民投票をはさんで途中で止まった。欧州連合(EU)の欧州委員会はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の承認がなければ、ギリシャ救済の新プログラムをめぐる交渉を再開できない。

欧州委のドムブロフスキス副委員長は6日のインタビューで、「ユーログループから作業を付託されることが必要だ。その場合にのみ、ギリシャと新プログラムについて交渉を開始できる」と語った。

ユーログループは7日に会合を開く。そこでギリシャが引き出せる譲歩は救済の新プログラム設計を開始する許可くらいだろうと、ユーロ圏当局者2人が匿名を条件に述べた。交渉が再開されたとしても、プログラムの設計や条件設定、債務分析に数週間はかかるという。
ギリシャが新たな救済を受けられるという見通しは、銀行システムへの緊急流動性支援(ELA)を受け続けるために必須だ。政治協議が続いている間、欧州中央銀行(ECB)はELAを停止するかどうかの決定を遅らせる公算がある。

●EUはギリシャに譲歩するしかないのか ギリシャ国民の「No」で
著しく上がった交渉のハードル

              ダイヤモンド・オンライン編集部 2015年7月7日(編集部 河野拓郎)
 ギリシャ国民の「No」で 著しく上がった交渉のハードル
 ギリシャ問題は、いっそうの隘路に陥ることになった。7月5日に行われた、緊縮策を受け入れるか否かをギリシャ国民に問う国民投票の結果は、大方の予想を覆して「No」となった。

チプラス首相が強調する通り、これが即、ギリシャのユーロ離脱を意味するわけではない。7月7日にもユーロ圏首脳会合が開かれる予定だが、EU(ユーロ圏各国)などの債権団とギリシャの交渉は、今後継続されるだろう。

ただこれは、債権団が交渉を“門前払いはしない”ということであって、ギリシャの主張を認めたわけではない。チプラス首相はギリシャ国民の意志を強調するが、逆にドイツなどの国民からすれば、自分たちの税金でなぜギリシャを救済しなければならないのか、という話になる。

「もともとあった利害対立が先鋭化してしまった。交渉成立のハードルは著しく上がった」(丸山義正・SMBC日興証券シニアエコノミスト)

「国民投票前まではギリシャのユーロ離脱は確率20%と考えていたが、今は7割くらいになっている」(中空麻奈・BNPパリバ証券チーフクレジットアナリスト)

目先のポイントは、欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行に対して行っている資金供給を、どこまで続けるかだ。要は、ECBがギリシャにどこまで時間的余地を与えるかということだ。これが停止すると、同国の銀行は即座に破綻の危機に直面する。

政府は枯渇するユーロの代わりに「借用証書」の発行で公務員の賃金や年金の支払いを行い、急場をしのぐ可能性があるが、この借用証書はユーロに対し大幅に割り引かれた、価値の低いものとなるだろう。同国の経済と国民生活は、大混乱を免れ得ない。これは、ギリシャがユーロを離脱して新通貨に移行しても、少なくとも短期的には同じである。

当面のデッドラインは、ECBが保有する国債35億ユーロの償還日である7月20日だ。「おそらく、ECBはその頃までは資金供給を続けるのではないか」(岸田英樹・野村證券シニアエコノミスト)との見方はあるが、このままではいずれにせよギリシャの破綻は“時間の問題”である。「ECBやユーロ圏側の、この1、2日の動きが極めて重要」(中空チーフクレジットアナリスト)との指摘もある。彼らにギリシャを助ける意志がなければ、その時点で交渉打ち切りとなるリスクも拭えない。

ユーロを“離脱させる”のも難しい
ある程度の譲歩はせざるを得ない

双方に、歩み寄る余地がないわけではない。「チプラス政権としては、何か一つでも譲歩を引き出せれば“これまでの政権とは違う”と言うことができる」(岸田シニアエコノミスト)。

もちろん、債権団は一方的に譲歩するわけにはいかない。要求している財政再建策の基本路線は崩せない。例えば、焦点の一つとなっている年金に関して、「給付の削減という“方向”自体は譲れない」(岸田シニアエコノミスト)。また、これまで“口約束”に終わって来た改革の実行を確実にするため、「ギリシャ国会の議決を通すのが重要」(丸山シニアエコノミスト)だ。最低限、ギリシャ側が、それらをのむのが前提である。

債権団が譲歩し得るものとしては、例えば、支援の条件とされている年金支給開始年齢の引き上げに関して時期を遅らせる、付加価値税(VAT)引き上げの対象範囲や引き上げ幅を緩める、といったことが考えられる。また、「改革プログラム達成後の次のステップとしてきた、債務負担の軽減策を前倒しで提示することや、現在、俎上に乗っている支援プログラムとは別に、5ヵ月程度の短期的な緊急支援策が組まれる可能性もある」(伊藤さゆり・ニッセイ基礎研究所主任研究員)。

見方を変えると、ギリシャのユーロ離脱を避けようとする限り、ユーロ圏各国やECB側はある程度の譲歩はせざるを得ない、ということである。そして、「現実問題として、ユーロ圏の側から“ギリシャを離脱させる”のは非常に難しい」(伊藤主任研究員)。

ユーロ離脱を強制する規定がないこともあるが、ユーロ圏側にとっても、それがやはり大きなリスクをはらむからだ。「ギリシャ経済が破綻すれば、国民が欧州内に移民として溢れ出し、政治的な問題が生じかねない。英のEU脱退の動きにも影響を与え得る。また同国を孤立させると、ロシア、中国が接近し、地政学的リスクも出てくる。ユーロも弱くなり、スペインやイタリア等の地方選挙で野党勢力が伸びざるを得ない。各地域に飛び火するのはまちがいない」(中空チーフクレジットアナリスト)。

その一方で、スペイン、イタリアなどの債務国に“ごね得”という認識が広がると、厄介なことになる。債権団としてはそれも避けねばならない。つまるところは「どう妥協するかという、完全な政治問題」(中空チーフクレジットアナリスト)である。

時間切れでギリシャが自壊、“実質的な離脱”の可能性はある

交渉の難航は必至である。先述の通り、債権団側もギリシャ側も簡単に「ユーロ離脱」という結論に踏み切ることはできないが、時間が経過するうちにギリシャの資金繰りがいよいよ行き詰まり、「借用証書による取引が増えてユーロに取って代わり、“実質的なユーロ離脱”となる可能性はある」(丸山シニアエコノミスト)。

また、仮に債権団側が“ギリシャを離脱させるしかない”と判断したとしても、そのプロセスは「管理しながら、時間をかけて準備することになる」(伊藤上席研究員)だろう。

7月6日、当然のことながら、市場は世界的な株安、ユーロ安・円高と、リスクオフの荒れ模様となった。もっとも現時点では、相対的にその震度は大きくなく、市場はある程度、織り込み済みだったとの評価が多い。

イタリアやスペインなどへの波及の懸念も今のところは大きくなく、また波及の兆候があれば、EUやECBは即座にそれをとどめる措置を取ると思われる。国債買い入れなど、そのための制度も整っている。問題がギリシャだけに封じ込められている限り、市場もいずれ落ち着きを取り戻すだろう。

半面で、問題は長期化する公算が大きくなった。今しばらくは、世界がギリシャに振り回される日々が続きそうだ。

●未知の領域に入るギリシャとユーロ圏、圧倒的「反対」で
      ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 7 月 6 日 18:44
 ここにきて唯一確かなことは、先行きが不透明だということだ。

 5日に行われたギリシャの国民投票がどんな結果だったとしても、混乱期の到来を告げるものとなったことは間違いない。だが結果が「反対」派の圧勝だったことで、いまギリシャとユーロ圏は未知の領域に踏み込みつつある。

 ユーロ圏財務相会合で議長を務めるオランダのダイセルブルーム財務相は国民投票の結果について、「ギリシャの未来にとって非常に残念だ」とし、「困難な措置と改革は避けられない」と述べた。

 ギリシャは実際にユーロ圏から離脱するだろうか。離脱するだろうとの見方がギリシャ内外で優勢だ。これは先行きに不透明感が漂うなか、確実に予想できることがいくつかあることを意味する。

 ギリシャは国際債権団との交渉を早急にまとめることはしないだろう。フランスのサパン財務相が「反対」票多数の場合として予測していたようにだ。

 他のユーロ加盟各国がどんな動きに出るのかは不明だが、どの方向に進むにしても、早急には動かないだろう。たとえギリシャの国民投票で示された断固とした結果が、欧州の各国首脳にとって衝撃だったとしても。

 国民投票の結果を受けた対応策を練り上げる上で中心的な役割を果たしているドイツのメルケル首相はフランスのオランド大統領と会談するため6日にパリへ飛ぶ予定だ。オランド政権はユーロ加盟諸国の中でギリシャに最も同情的な姿勢を貫いている。

 メルケル首相の報道官によると、首相とオランド大統領は電話会談を行い、「ギリシャ市民の投票結果を尊重する」ことで合意した後、両首脳は7日に欧州首脳会議を招集した。

 ユーロ加盟各国は勝利を収めたチプラス首相率いる左派政権に対し、早急に甘い措置を打ち出すことには慎重だ。そうした対応はユーロ圏の他の国にも、ギリシャの先例に倣(なら)って反旗を翻そうとする動機を与えるリスクを伴う。

 欧州各国の高官らは先週、国民投票で「反対」多数となった場合に大幅な債務救済があるとみるギリシャ国民の期待は間違いだと非公式に指摘した。ただ国民投票で「反対」票が圧倒的多数を占めたことで、チプラス首相の要求をすべてはねつけることは、より難しくなるだろう。

 ギリシャに対して強硬姿勢を取り、ユーロ加盟各国が資金拠出する救済基金への返済でギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥った場合には、債権者に裏目に出て、諸外国が抱える損失を拡大させることになりかねない。

 ドイツ一国だけでも救済基金を通して600億ユーロ(約8兆円)強を負担している。ドイツの銀行や欧州中央銀行(ECB)など、他の支援元を合わせれば金額はさらに膨れあがる。次に重要な日付は7月20日だ。ECBが抱えるギリシャ国債のうち、34億6000万ユーロが償還期限を迎えるためだ。

 他にも確かなことがある。ギリシャの銀行は6日になっても営業は再開されない。たとえ信頼感が急速に戻ったとしても、向こう数週間は再開されない可能性が高い。ギリシャ国外への資本流出を防ぐ資本統制はさらに長く続けられる可能性が高い。

 2013年に比較的早く救済策がまとまったキプロスの場合、銀行は12日間営業停止した。

 ハーバード大学のケネディスクール公共政策大学院で国際金融を教えるカーメン・ラインハート教授は、ギリシャの状況と最もよく似ている最近の例として2つの国が挙げられると話す。2001年のアルゼンチンと1989年のパナマだ。独自の紙幣を持たず、米ドルに依存しているパナマでは銀行が閉鎖され、9週間にわたって預金引き出し額に厳しい上限が設けられた。アルゼンチンでは預金引き出し額の上限設定は1年間続いた。

 ラインハート教授は「銀行の営業停止は資本統制と同様、一時的な措置として導入されることが多い。だが、現実に信頼感がすぐに回復しない場合、長く続く傾向がある」と指摘する。ギリシャの銀行は確固たる合意が存在するという安心感がなければ、再開できないだろう。同教授は「『合意に近づいている』という言葉だけでは信頼感は回復できない」と話す。

 銀行預金の通貨単位がユーロから元のドラクマへ再び変更されるリデノミネーションが実施されるとの懸念から、銀行が再開されたとたんに預金の取り付け騒ぎが発生する可能性が高い。

 2008年に経済・金融危機に見舞われたアイスランドでは当時導入された資本統制がいまだに続いている。

 ギリシャ政府は当面、ユーロ不足に陥る公算が大きい。ギリシャの中央銀行はもうユーロを発行することができない。またECBは、ギリシャがユーロ圏に残るという強い政治的シグナルがなければこれ以上支援するつもりはないだろう。

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 ギリシャの国民投票で緊縮策拒否が示された。「緊縮賛成」が勝つではないかと予測する傾向がわずかに強いとみていたけれど。

 政権交代したばかりの現首相が、突然の国民投票に逆転をかけた。結果は思う通りになったとはいえ、先行きはかえって混迷することに。ギリシャの将来について、今時点の報道は厳しい。EU(ヨーロッパ連合)の支えなしには破綻する国が、EUと強く交渉することになれば、亀裂が深まる状況は素直な予測。

 (ロイター)《緊縮策拒否が示されたことで、ギリシャ情勢が混迷の度を増すことは必至。ユーロ圏内での政治・金融面での立場が危うくなり、支援を受けることができなければ銀行破綻も視野に入る。》

 (毎日)《ギリシャが緊縮策拒否の姿勢を強めるのは確実。長期間の交渉になり、ギリシャ経済が立ち行かなくなる恐れもある。・・市場に衝撃が走りそうだ。ユーロ圏離脱観測が高まり、週明け6日の各国市場でユーロ下落や株安などの混乱が広がる恐れがある。

 今朝はこんなニュースを整理してみた。

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●“賛否”どちらも混乱招く…ギリシャ国民投票始まる"
          ヤフー 2015年7月5日(日)
 財政危機のギリシャで、いよいよ国民投票が始まりました。世論は賛成と反対が拮抗(きっこう)し、大接戦になる見通しです。今回の国民投票では、EU(ヨーロッパ連合)側の提示する財政再建策の賛否が問われていますが、「反対」が多数を占めればギリシャはユーロ圏から離脱する可能性が高まり、世界経済に影響を与える懸念があります。一方、「賛成」が多数の場合でも政権は総辞職するとみられ、政情不安に陥る恐れが出てきます。現地ギリシャのアテネから報告です。(テレビ朝日系(ANN))

●ギリシャ国民投票は緊縮反対が優勢、混迷度増す
    ロイター 2015年 07月 6日
[アテネ 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)が求める緊縮策の是非を問うギリシャ国民投票が5日行われ、予想以上の差で受け入れ拒否が優勢となっている。

開票が半分近く進んだ時点で61%が反対となっており、内務省の公式予想でも最終的に同様の結果になることが確認された。

緊縮策拒否が示されたことで、ギリシャ情勢が混迷の度を増すことは必至。ユーロ圏内での政治・金融面での立場が危うくなり、支援を受けることができなければ銀行破綻も視野に入る。

首都アテネ中心部の議会前にあるシンタグマ広場では、反対派の市民が投票結果を祝して集まりはじめている。

ギリシャのスクルレティス労働相は、「政府は今や、われわれに新たな道を開く合意に向け強力な交渉ツールを得た」と債権団との交渉力を高まるとの認識を示した。

ユーロ圏当局者は、6日にユーロ圏の緊急財務相会合(ユーログループ)は予定されていない、と述べた。

欧州中央銀行(ECB)は6日午前に理事会を開く予定。ギリシャ政府報道官は緊急流動性支援(ELA)の「増額を要請する」と述べたが、ECBは増額に後ろ向きとみられる。

ギリシャのメルケル首相は6日午後にパリでフランスのオランド大統領と会談する予定。欧州委員会は7日に会合を開き、欧州議会に状況を報告する予定。

ただ「EU首脳は直ちに会合を開くべき」(ドイツ社会民主党幹部)との声もでている。

●ギリシャ国民投票 緊縮策反対派が賛成派を大きくリードか
 fnn-news 07/06
財政危機に陥っているギリシャで実施された、緊縮策受け入れの是非を問う国民投票は、開票作業が行われているが、反対派が賛成派を大きくリードしている。
反対派リードの一報を受けて、アテネの国会議事堂前の広場には、反対票を投じた人たちが、徐々に集まり始めている。
国民投票は、日本時間6日午前1時に締め切られた。
ギリシャ政府発表の速報値によると、開票率が50%を超えた時点で、反対票が、賛成票を20ポイント以上引き離していて、反対派の勝利が濃厚な情勢。
これを受けて、ギリシャ政府は「すぐにでも交渉をまとめるべく、あらゆる努力をする」との声明を発表、チプラス首相の動向に注目が集まっている。

●ギリシャ:国民投票 賛否傾向、所得で差 緊縮策 富める者は〇、貧する者は×
            毎日新聞 2015年07月06日
 【アテネ宮川裕章、福島良典】欧州におけるギリシャの未来を占う国民投票が5日実施された。欧州連合(EU)など債権者が金融支援の条件として突き付けた財政緊縮策を受け入れるか、拒否するか−−。世論は「イエス(緊縮策受け入れ)」と「ノー(拒否)」で割れた。5年に及ぶ緊縮策の痛みを肌で感じる労働者が多い地区では「ノー」が優勢で、ユーロ圏にとどまることで恩恵を受けているエリート層は「イエス」が多数派だった。経済的な格差が反映されているようだ。

 労働者階級が多いアテネ郊外のペリステリ地区では「ノー」が多く、取材に応じた10人中7人が反対票を投じた。

 元技師のマブルディス・ディミトリスさん(60)は「数年で年金支給額が半分以下になり、電気代など公共料金の支払いも滞っている」と緊縮策への不満をぶちまけた。「このままでは国民が窒息してしまう。反対票を投じることで、ギリシャは強い立場でEUと交渉できる」

 「ノー」が勝った場合でも、「(ユーロ圏離脱は)ドイツやフランスが脅しているだけで、現実には有り得ない」と考えている。反対票を投じた他の6人もユーロ圏からの離脱は望んでいない。

 感じられるのは「侮辱された」という思いだ。元電話会社勤務のアナスタショプロス・ユアニスさん(69)は「EUの先進国から内政に介入され、国家の尊厳が傷つけられている。欧州の発展はギリシャ文明が起源だということを彼らに知らしめたい」と力説した。

 賛成票を投じた若い世代もいた。大学生の女性、アドリアナ・ヤカクさん(22)は「賛成なら融資を受け続けられると思う。でも、欧州の他国から信用されていない気がするし、私たちの未来を誰も保証してくれない。投票結果がどうなっても、その後、何が起こるか不安だ」と語った。

 一方、アテネ中心部で外国大使館などが集まる高級住宅街コロナキ地区。投票所が設置された小学校の構内では「イエス」陣営のステッカーをシャツに貼った運動員が有権者に賛成を呼びかけていた。取材した有権者10人のうち反対は1人だけで、9人が賛成票を投じた。

 エコノミストのデフィミトリオス・ジェルシスさん(65)は「問われているのはユーロ圏に残るかどうか。(緊縮策履行という)困難はつきまとうが、残らなければならない」と指摘。年金生活者のステリィオスさん(82)は「ギリシャには『悪いもの二つから選ぶなら、より悪くない方を選べ』という言葉がある。『イエス』なら欧州とユーロ圏にとどまれる」と話す。

 高級住宅街にも、1週間に及ぶ資本規制が暗い影を落としている。銀行閉鎖のため預金引き出しは現金自動受払機(ATM)での1日60ユーロ(約8200円)が上限。投票の帰りにATMに立ち寄り、行列する有権者の姿が目立った。

 コロナキ地区の薬局店主、ゼネツァノスさん(55)が「小児用の解熱剤、血圧降下剤、抗うつ剤が不足気味だ」と明かす。女性医師(45)は「患者は医薬品の輸入が止まるのではないかと心配している。心臓病や糖尿病などの慢性疾患の患者は3〜4カ月分の薬を買いだめしている」と語った。

●ギリシャ:展望開けず 国民投票後も厳しい交渉
     毎日新聞 2015年07月06日
 欧州連合(EU)などの示した財政緊縮策受け入れの是非を問うギリシャの国民投票は、「賛成」と「反対」のどちらが多数になっても今後の展開は難しい。「賛成」でも「困難な話し合い」(ユンケル欧州委員長)だ。「反対」の場合でもEUは「交渉に応じる」(メルケル独首相)という立場だが、ギリシャが緊縮策拒否の姿勢を強めるのは確実。長期間の交渉になり、ギリシャ経済が立ち行かなくなる恐れもある。

 「賛成」の場合の問題はギリシャへの信頼感がなくなっている点だ。チプラス首相は「賛成」なら辞任すると示唆しているが、居座れば「だれが再建策を実行できるのか」(EU外交筋)との疑問は強い。さらに、ユーロ圏19カ国すべての議会承認が必要な新支援枠組みを使うため、より厳しい緊縮策でないと承認は得られないとみられる。

 「反対」の場合、チプラス首相が民意を背景にEUとの再交渉に臨む。首相側が緊縮策を受け入れるかは不明で、交渉長期化は避けられない。欧州中央銀行(ECB)のユーロ供給制限が続く可能性があり、企業の倒産などが懸念される。

 トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は4日「国民投票はユーロ圏残留を問うものではない。(反対という結果でも)ギリシャをユーロ圏内にとどめる」と離脱説を否定した。

 一方、金融市場では今回の国民投票について、「ギリシャがユーロ圏にとどまるか否かの選択」との受け止めが強い。

 ギリシャは債務不履行(デフォルト)状態に陥ったが、EUが危機対応策を強化していることもあり、市場への影響は限定的だった。今回の国民投票も、「賛成が多数を占めると予想する投資家が多い」(英証券大手)という。それだけに、反対多数の結果はサプライズ(驚き)となり、市場に衝撃が走りそうだ。ユーロ圏離脱観測が高まり、週明け6日の各国市場でユーロ下落や株安などの混乱が広がる恐れがある。【小倉祥徳、ブリュッセル斎藤義彦】

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 冬に食べるネギは、春から苗づくり(厳密には、前年に種まき)し、7月に定植し、その後3週間に一回程度の土寄せを何回か済ませてから初めて収穫となる。

 この数年、毎年、野菜の数種類ずつ、詳しい作り方を調べて、よりよい作り方を工夫している。
 ネギもその一つ。
 今年は、6月末で、苗がとてもよくできた。長ネギは、大きく、太く、「分けつ」(枝分かれ)している。
 下仁田ネギも、太い株は、携帯電話ぐらいの太さに。長さも伸びている。

 昨年は7月2日に定植したけれど、今年は、天気を見計らって、6月29日、30日に定植した。
 もともと、3月28日に苗を植えた。下仁田ネギ(5束)、赤ネギ(3束)、徳田ネギ(6束)。
 これを何度か土寄せしながらここまで来て、定植。

 そんな苗を定植したので、春の植付から、途中経過、定植した時の様子をブログにした。

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★ネギの定植後の「7月4日」の様子

(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

●3月28日に苗を植えた
下仁田ネギ(5束)、赤ネギ(3束)、徳田ネギ(6束)

 

条間はいずれも1メートル。
昨年、60㎝したら、幅が狭すぎて、
最後の6月は土寄せができなかったから。

●4月22日の様子


●5月3日 最初の肥料
 (有機石灰、ケイフン)
第一回の土寄せと石灰
 

●5月29日 第二回の土寄せ(機械で)
 

●6月13日 第三回の土寄せ(人力で)と追肥
長ネギ
 

下仁田ネギ
 

●定植予定の場所は、5月末の玉ねぎの収穫後、
 施肥(ケイフン)し、2回耕起したところ。
 この日、有機石灰の散布後耕起、畝たて

長ネギ用(左)と下仁田ネギ用(右)
長ネギは昨年20センチ程度にしたら、
秋には浅すぎたと分かった。
だから30センチ以上にした
下仁田ネギは長ネギよりは浅め。
 
長ネギは条間1.2メートル
昨年、条間1メートルでいったら、
最後の法の土寄せが困難になったから。

下仁田ネギ用(長ネギよりは、浅め)

下仁田ネギは条間1メートル

  ★徳田ネギ、赤ネギ
●6月29日 苗堀と定植
 赤ネギ


徳田ねぎは「分けつ」(枝分かれ)し、かつ苗が太い。


苗が多いのでびっしり並べて
 

イナワラを置き、
 

土を少しかぶせる
 

 ★下仁田ネギ
●6月30日 苗堀と定植
下仁田ネギ。もう出荷してもよいくらいの太さ。
まず、スコップで土を切る


携帯電話と比較
 

15センチ間隔程度に並べて
イナワラを置き、土を少しかぶせる


下仁田ネギは 条の方向に対して
「45度」の開きで植える。
東西向きの畝なので、葉が擦れ合わないように、
そして、一株ずつにしっかり太陽が当たるように、
「45度」の向き位置に調整してで植える。
  

●7月3日 下仁田ネギは「分けつ」(枝分かれ)しないので
 やっぱり、土寄せは深くていいと思い直して、
 追加で深く土寄せした
 

●7月2日 ガーデンカフェ用に九条ネギを購入してきて、定植
 

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 《ベビーガーデンカフェ》で使う有機野菜を畑で作っている。
 6月19日の種まき、現在の様子、秋から冬用の野菜のための「他の畑の準備」などをブログにまとめておく。

 店では、青物のサラダとか果菜類とかが今は要るらしいから、それに合わせて作るように心がける。ちょっと工夫すると、真夏でも、有機の青菜ができそう。
★ ベビーガーデンカフェ
  《ベビーガーデンカフェは「小さな子どもと一緒でも落ち着いて食事ができる」オーガニックカフェです》

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●6月19日撒きの青菜類の畝
今朝7月4日の様子

    ★ ベビーガーデンカフェ
 《ベビーガーデンカフェは「小さな子どもと一緒でも落ち着いて食事ができる」オーガニックカフェです。 》

●2015年6月19日(金) 播種
  (南から北を見る) 
 一週間ほど前に 1.5メートル幅に 
 鶏ふん4杯、コメヌカ1袋
 2度起こした。(前作はイチゴ)  


青物のサラダ用とかラデイシュとか・・の種まき。
これらをまいた


  ★今朝7月4日の様子★
種まき後からパオパオで被覆してきた
6月30日 ⇒ 7月4日
 ⇒ 

早生のミズナ


アカバのミズナ


ラデイシュ


ちょっと工夫すると、真夏でも、有機の青菜ができそう。

●路地でのカイワレ大根づくり。
ちょっと、試しに専用の場所、ベッドをつくってみた
    

 

日陰を作ってやる。
10日から2週間で収穫できる


既に半分以上は収穫
 

2回目の種まき
  

また、覆う


●2回目のズッキーの種まき


●2回目の「島オクラ」の種まき
 

●ハウスの土づくりと雑草対策
 秋から冬用の野菜のための「他の畑の準備」
 堆肥をいれ、

畝をつくり、たっぷり潅水


古いポリで蓋をして、高温スチーム状態にして
数週間放置すると、土づくりが進み、雑草の種が絶える



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 政権、与党の中にいて、つい本音が出る人たち、・・・ 自民党議員の発言が止まらないことの話。
 これらの背景は、イケイケどんどんの安倍政権の根底にあると見るのは、ズレてはいないだろう。

 6月29日のブログで《「おごる」「おごれる」という言葉の日本語的な定義、表現をネットの辞書で調べてみた。》
        ⇒ ◆「マスコミ懲らしめるには…」/異常な「異論封じ」―自民の傲慢は度し難い/言論統制の危険な風潮

 その一人が、30日に改めて「マスコミを懲らしめなければならない」などとみずからの見識を開陳。 
 いっそ自壊の道を期待するしかないのか、そんな今の日本の状況。
 だから、いずれ振り返ると面白いかもしれないと、幾つかの報道をブログに記録しておく。

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●自民、早期幕引きに苦慮 大西氏発言で再び厳重注意へ
      朝日 2015年6月30日 
 自らの発言で自民党から厳重注意処分を受けたばかりの大西英男衆院議員が30日、改めて「マスコミを懲らしめなければならない」などと持論を展開した。処分で問題を幕引きしようとした自民党執行部は対応に苦慮。1日にも、異例の2度目となる厳重注意を大西氏に出す方針だ。

 「どれだけ党に迷惑をかけたと思ってるんだ!」。30日午後、大西氏の発言内容を聞いた自民党の谷垣禎一幹事長の怒鳴り声が、国会内に響いた。

 谷垣氏ら執行部は、一連の発言が安全保障関連法案の審議に影響することを懸念。「処分は厳しすぎる」「これでは若手が萎縮する」との反発を押し切る形で27日、一連の問題発言が出た勉強会「文化芸術懇話会」代表の木原稔・党青年局長を更迭。大西氏ら3人を厳重注意したばかりだった。二階俊博総務会長も30日昼の記者会見で、大西氏らの発言について「時代錯誤で厳に慎むべきだ。党の看板を背負ってやっている以上は、個人の立会演説ではない」と厳しく批判したが、大西氏の発言はその後に飛び出した。

 自民党執行部の一人は2度目の大西氏の発言を聞き、「もう、笑うしかない」と肩を落としたが、党執行部が一議員を指導できない現状に、連立を組む公明党は危機感を強める。

 同党の大口善徳・国会対策委員長は30日、自民党の佐藤勉国会対策委員長に対し、「党のガバナンス(統治)にも関わることで、看過できない」と批判。谷垣氏に伝えるよう求めた。大口氏は記者団に「民主主義の根幹である報道の自由や表現の自由を否定するような発言は言語道断だ」と強調した。

 野党は追及をさらに強める構えだ。民主党の枝野幸男幹事長は30日、「なぜ、一連の話が批判され、不信をもたれたのか。その本質をまったく理解していない」と批判。維新の党の柿沢未途幹事長も「本当に感覚を疑わざるを得ない。自民党は『マスコミがうるさいから圧力をかけて黙らせよう』と思っていると見なさざるを得ない」と強調した。

●「言論弾圧に断固反対」 報道圧力、新聞協会が声明
   中日 2015年6月30日
 自民党の若手議員勉強会で、議員たちから報道機関に圧力をかけるような発言が相次ぎ、講師を務めた作家の百田尚樹氏が沖縄の琉球新報、沖縄タイムスの二紙に対して「つぶさないといけない」と発言した問題で、日本新聞協会編集委員会は二十九日、抗議声明を発表した。

 声明では「極めて深刻な問題。特に政権与党の所属議員でありながら、憲法二一条で保障された表現の自由をないがしろにした発言は、報道の自由を否定しかねないもので到底看過できず、日本新聞協会編集委員会として強く抗議する」と強調。「わたしたちは、民主主義の根幹である表現の自由、報道の自由を弾圧するかのような動きに断固反対するとともに、多様な言論で『国民の知る権利』に応えていく」としている。

 編集委員会は本紙を含む新聞、通信、放送の五十八社の編集・報道局長らで構成。琉球新報と沖縄タイムスの二紙も含まれる。

 民放連や日本記者クラブ、日本出版労連も抗議声明や抗議コメントを出した。

◆日本新聞協会声明全文
 6月25日に開かれた自民党の若手議員による勉強会「文化芸術懇話会」において、安全保障法制等に関する一部報道をめぐり、出席議員から「マスコミをこらしめるために広告料収入をなくすよう働きかけるべきだ」との発言があり、招かれた講師からも「沖縄の二つの新聞をつぶさないといけない」との発言があったことは、極めて深刻な問題である。特に政権与党の所属議員でありながら、憲法21条で保障された表現の自由をないがしろにした発言は、報道の自由を否定しかねないもので到底看過できず、日本新聞協会編集委員会として強く抗議する。

 わたしたちは、民主主義の根幹である表現の自由、報道の自由を弾圧するかのような動きに断固反対するとともに、多様な言論で「国民の知る権利」に応えていく。

●報道圧力発言:在京6紙 危機感に濃淡 その違いは…
         毎日新聞 2015年06月29日 
 自民党国会議員の勉強会で出席者が報道機関に圧力をかけるような発言をした問題について、多くの新聞が批判的に報じ言論・報道の自由への危機感をあらわにした。ただ、毎日新聞が新聞各社と通信社に議員らの発言への見解を選択式で尋ねたところ、在京6紙と2通信社のうち「問題がある」としたのは毎日を含め4社にとどまり、濃淡が出た。勉強会で作家の百田尚樹(ひゃくた・なおき)氏から名指しで批判された沖縄県の2紙はともに「問題がある」とした。【日下部聡、青島顕】

  ◇在京6紙 毎日、朝日、東京、読売、日経、産経
 在京6紙で「問題がある」としたのは毎日新聞と朝日新聞だった。毎日の小泉敬太・編集編成局長は「言論・報道の自由をないがしろにする発言が、政権与党の会合の中で出たのは重大な問題だ」とした。毎日は26日朝刊社会面に問題の発言を掲載し、27日朝刊では1面、社会面を含めて報道して、社説で「まるで戦前の言論統制への回帰を図る不穏な空気が広がっているかのようだ」と指摘した。

 朝日の橋本仁・東京本社報道局長は「報道の自由にかかわる重要な問題」と答えた。朝日も26日朝刊の一報を受けて27日朝刊1面で「与野党から批判」と報じ、2面に勉強会での詳しい発言内容を掲載した。社説では「これが国会議員の発言か。無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える」と書いた。

 他の4紙は問題があるかどうかの質問に直接答えなかった。東京新聞(中日新聞東京本社)は、27日朝刊の社説で「言論の自由への重大な挑戦」「報道機関全体で抗議すべきことである」と記した。社会面2面を見開いて「脅し。メディア萎縮狙う」など有識者の談話を掲載した。

 読売新聞、日本経済新聞は26日朝刊で勉強会を報じたものの「圧力発言」には触れなかった。以後も政局への影響報道が中心だったが社説では批判した。日経は28日朝刊社説で「このままでは懲らしめられるのはマスコミではなく自民党になってしまうだろう」と皮肉った。読売の27日社説は米軍普天間飛行場の移設を巡り、「沖縄2紙の論調には疑問も多い」とした上で「百田氏の批判は、やや行き過ぎと言えるのではないか」とした。

 産経新聞は29日まで社説を掲載していない。26日に百田氏の発言を報じ、27日5面に与野党の対応をまとめた。28日5面には百田氏の「一言だけ取り出すのは卑劣」との反論を載せた。

 ◇通信社 共同通信、時事通信
 共同、時事通信はいずれも「発言は問題がある」とした。共同通信総務局は「異論を許さない姿勢は、民主主義の根幹にも反する」、時事通信の小林治彦・編集局総務も「報道の自由を揺るがしかねない発言」とした。

 ◇沖縄2紙 沖縄タイムス、琉球新報
 沖縄県の沖縄タイムス、琉球新報はともに「問題がある」とした。タイムスの石川達也・編集局次長は「百田氏の発言は自民党の議員が党本部で開いた会合の席上のもので、明確な報道への圧力、報道の自由への挑戦と受け止めている」、新報の松元剛・編集局次長も「百田氏の発言は、政権の意に沿わない報道は許さないという言論弾圧の発想そのものだ。表現の自由、報道の自由を否定する暴論だ」とした。2紙は連日、詳細に問題を報道し、26日に共同抗議声明を発表している。

 ◇地方紙
 見解を尋ねなかった他の地方紙にも目立つ動きがあった。山形新聞は28日1面に寒河江浩二・主筆・社長名で「民主主義の根幹にかかわる問題だ」と「緊急声明」を掲載し、「言論封殺の暴挙は決して許してはいけない」と訴えた。

 神奈川新聞は「加速する為政者の暴走」と題した27日の社説を掲載前の26日午後5時すぎに「速報社説」としてインターネットに公開した。同社は「言論に対する問題なので、強く打ちだそうとした」と説明する。

●各紙社説「言論統制」「自民の驕り」…報道威圧に危機感
      朝日 2015年6月30日吉浜織恵、清水大輔
 自民党議員による勉強会で報道機関を威圧する発言が出たことに対し、多くの新聞社が批判の声を上げている。在京5紙が社説で批判的に報じ、ネットで社説を速報した地方紙も。報道の自由が脅かされる事態に対し、各社の危機感がにじむ。

 神奈川新聞は26日午後5時47分、自社のウェブサイトで「速報社説」をアップした。社説は通常翌日の朝刊で掲載され、ネットでは有料会員しか読めない。だが「早く、多くの人に読んでほしい」と、異例の対応に踏み切った。

 社説は「一報道機関として、という以前に民主主義社会の一構成員として看過できない」との書き出しで、異なる意見に耳を貸さない安倍政権の姿勢を批判する。

 執筆した報道部次長兼論説委員の石橋学さんは、「報道を含めて民主主義のあり方がなめられている。自民党の議員は発言をおかしいとも思っていない。普通でないことが起きていると伝えるために、普通ではない対応をした」と話す。速報社説はSNSで急速に広がった。

 今回やり玉に挙げられたのは、ともに米軍基地を抱える沖縄の地方紙だった。自民党は昨年の衆院選前にはテレビ局に文書で「公正中立な報道」を求め、勉強会では「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」など報道機関を威圧する発言が相次いだ。社説の速報が地方紙としての政権与党への「対抗策」の一つと考える。「一地方紙だけでどこまで押し戻せるかわからないが、誰かが口火を切れば注目を浴び、全国の地方紙も後に続く。こんな論の広がりもあるのでは」

 ほとんどの在京各紙(東京本社発行の最終版)は勉強会を強く批判した。

 朝日新聞は27日の朝刊で、25日に開かれた勉強会の出席議員らによる発言内容を詳しく伝えた。社説では、安保関連法案をめぐる議論とあわせて「異常な『異論封じ』」とし、「無恥に驚き、発想の貧しさにあきれ、思い上がりに怒りを覚える」と批判した。

 毎日新聞は、「安倍政権になってからメディア規制が強まっていると思うか」という質問に対し、「強まっていると思う」と回答。27日の社説で「言論統制の危険な風潮」との見出しで、「このような風潮を放置すれば、民主主義の基盤がむしばまれてしまう」と警鐘を鳴らした。東京・中日新聞も同日の社説で「報道の自由に対する挑発、挑戦である」と指摘した。東京は29日にも沖縄の地元2紙の両編集局次長の寄稿文を掲載。配信した共同通信の総務局は取材に対し、今回の問題について「異論を許さないという姿勢は、民主主義の根幹にも反することで、重大な問題と受け止めている」とし、「加盟社の関心は高いと思われる」と回答した。

 読売新聞、日本経済新聞は、「『1強』の勢力を持つ自民党の驕(おご)りの表れであり、国会議員としての見識も疑われる」(読売、27日)、「言論には言論で対抗していくのが民主主義」(日経、28日)と指摘する社説を掲載した。産経新聞は29日までに今回の問題を扱った社説を掲載していない。26日朝刊で百田尚樹氏の沖縄2紙への言及のほか、沖縄の米軍基地問題について「根が深い。苦労も苦しみも理解できる」との発言も伝えた。

 多くの地方紙も勉強会に異を唱えた。沖縄タイムスは26日朝刊で「普天間居住 商売目当て」という百田尚樹氏の勉強会での発言を1面の横見出しで掲載。普天間飛行場周辺の土地が強制的に接収された経緯を紹介し、発言を否定した。琉球新報は27日の朝刊1面で「自民 県内2紙に圧力」として、自民党議員の発言を取り上げた。そのほか、「マスコミ批判は筋違い」(北海道新聞)▽「『1強』の堕落 容認できず」(東奥日報)▽「言論を統制するつもりか」(神戸新聞)▽「これが自民党の『本音』か」(西日本新聞)など、報道機関に圧力をかける政権与党の姿勢を社説で批判した。(吉浜織恵、清水大輔)

■健全な批判こそ民主主義
 〈水島宏明・法政大教授(ジャーナリズム論)の話〉 今回の自民議員らの発言を民放各局も詳しく扱っている。特定秘密法や集団的自衛権の行使容認などの扱い方に濃淡が見られたのとは対照的だ。新聞を含め「ジャーナリズム全体の危機」との共有意識があるのだろう。政権与党は、「マスコミを懲らしめる」などの発言が党の会合で出たことを深刻に受け止めるべきだ。一方で、「偏向報道」といったメディア批判を素直に受け止める読者・視聴者もいる。健全な批判が民主主義の基盤となることをメディアは粘り強く伝える必要がある。

●<報道圧力発言を憂える>読者と国民を愚民視
  2015年06月30日火曜日 ◎河北新報社取締役編集局長 鈴木素雄
 自民党所属国会議員の勉強会で、報道機関に圧力をかけて言論を封殺しようとする発言が相次いだ。「選良」と呼ばれる人たちの言論の自由に対する鈍感さと無理解に、背筋が寒くなる。ペンの力をよく知り、それ故にその行使についてより自制的であるべき人気作家が講師役を務めたと聞いて、二の句が継げない。

 標的となったのは沖縄県の地元紙「琉球新報」と「沖縄タイムス」だった。米軍普天間飛行場の県内移設問題について、いずれも政府に厳しい論調を展開している。人気作家や勉強会の出席者は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「左翼勢力に乗っ取られている」と、口を極めてののしった。

 エネルギー政策や安全保障問題などをめぐって、国策と地方の利害が対立することは珍しくない。地方紙が県民の声を代弁して編集に当たることはむしろ当然の任で、それに掣肘(せいちゅう)を加えるがごとき言動は異論封じ以外の何ものでもない。地方を眼下に見る高慢さが見え隠れしていないだろうか。

 東日本大震災以降、両紙は月命日を中心に河北新報など被災3県の地元紙の記事を転載するなど、震災の風化にあらがう紙面作りを続けている。東北から南に千数百キロ。友好紙への政権与党からの故なき中傷を、看過することはできない。
 「マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい」。これもまた、聞き捨てならない暴論だ。ご承知の通り、新聞社の経営は大きく分けて購読料と広告料収入で賄われている。二つある糧道のうち一つを断てば音を上げるはずとの読みだろうが、浅知恵と言うほかない。

 まず、スポンサーは費用対効果という経済原則に沿って広告を出稿しているのであり、時の権力者の鼻息をうかがっているわけではない。経団連を通じて圧力をかける「私案」を披露した議員もいたようだが、見くびられた経団連こそいい迷惑というものだろう。
 そしてこれが最も大事なことだが、読者の信頼を失えば権力者がわざわざくちばしを入れずとも、新聞が自壊の道を歩むことになるのは自明の理だ。

 どんな事態か。権勢を振るう者に不都合な真実に目をつぶり、広告料欲しさにへつらう。勉強会の面々が理想とする、そんな新聞の姿だ。誰が読んでくれよう。読者と国民を愚民視したという点でも、一連の報道圧力発言は根深い問題をはらんでいる。

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 ヤマダ電機は、それなりに品揃えがいいので、結構、利用してきた。岐阜の長良店とか、時には県庁前店とか。
 この数年(いや、それ以上前から)、フロアーの店員らが減り、サービスが悪くなったと感じていた。
 会社全体の状況が厳しいらしいことは、ネットのニュースなどで見たことがあった。

 それが、今回、各地の店舗の大幅な閉鎖などする、という。
 以下、ライブドアニュース 2015年6月24日、から。
 ★《5月25日、5月末までにスクラップ&ビルドや業態転換を含めて46店舗を閉鎖すると発表した。一部報道によれば、続く6月末も、11店舗を閉鎖や業態転換すると報じられた。》

 ★《4月の速報値では、グループ全店の売上高が前年同月比で110%となり、5月も112.6%と、消費増税の反動減から脱出しつつある明るい兆しが見られた。しかし、インターネット販売業者の普及や少子高齢化による国内家電マーケットの縮小など、ヤマダ電機をはじめとする家電量販店を取り巻く環境は激変している。業界トップのヤマダ電機の大胆な構造改革の進ちょくと行方に注目が集まる。》
 
 ・・さてさて、便利な店をどこに見つけるか、・・・そもそも、時代の流れに対してどういう考え方をするか・・・
 ということで、ブログに次を記録した。
 ●ヤマダ電機、さらに国内11店舗閉鎖へ…6月末/読売 2015年06月25日
 ●46店舗閉鎖のヤマダ電機 中国台湾資本に格好の標的と大前氏/週刊ポスト 7月3日
 ●沈みゆくヤマダ電機、突然の大量店舗閉鎖の暴走? 復活は恐らく難しいといえる理由/ビジネスジャーナル 6.25
 ●ヤマダ電機の盤石な経営モデル TV買い替え需要が減った時期に異変/ライブドアニュース 6月24日
 ●ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの /賢者の知恵 現代ビジネス 6月14日
 ●ヤマダ電機はなぜ失速したのか!? - 足を引っ張る"郊外店"と"住宅事業"/マイナビニュース 5/27

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●ヤマダ電機、さらに国内11店舗閉鎖へ…6月末
        読売 2015年06月25日
 ヤマダ電機は6月30日に、国内11店舗を追加閉鎖することになった。

 先月も46店舗の閉鎖を発表したばかりで、急成長を支えてきた拡大路線の転換を進めている。

 新たに閉鎖するのは、いずれもテックランドという郊外店で、県別では、茨城県が笠間店など4店で最も多い。地元のケーズデンキとの厳しい競争にさらされている。

 閉鎖する店舗の一部は新たな業態で再スタートする。従業員の雇用は周辺店舗への配置転換などで継続する方針だ。

 ヤマダは近年、インターネット通販の普及や他社との価格競争の激化で苦戦している。収益改善のため、都市部など高収益が見込める店舗や、省電力住宅など、家電以外の事業を強化している。

●46店舗閉鎖のヤマダ電機 中国台湾資本に格好の標的と大前氏
    │NEWSポストセブン ※週刊ポスト2015年7月3日号
 家電量販店で初の全国都道府県出店を果たすなど一時代を築いたヤマダ電機が、苦境に立たされている。5月には46店舗を閉鎖し、大きなニュースとして取り上げられた。量販店ビジネスとヤマダ電機の今後について、大前研一氏が解説する。

 * * *
 家電量販最大手のヤマダ電機は先月、地方や郊外の不採算店を中心に46店舗を閉鎖した。2011年3月期に2兆1533億円に達した売上高が2015年3月期は1兆6644億円にまで減少したからで、まだ売上高は2位のビックカメラの2倍だが、減収減益のジリ貧状態に陥っている。ただし、この現象はヤマダ電機だけの問題ではなく、販売拠点を全国展開している小売企業すべてが直面している構造変化でもある。

 もともと家電販売店は、松下電器産業(現パナソニック)が全国津々に地域密着型の特約店「ナショナルショップ」を2万6000店も作って成長した「街の電器屋さん」の時代が、値段の安い量販店の登場によって1980年代に崩壊した。地域電器店でさえ家電メーカーから仕入れるよりも量販店で仕入れたほうが安いという状況になったのだ。

 量販店ビジネスは、商品をたくさん売れば売るほど多くなるメーカーからの「期末報奨金」を前もって値段に反映し、ディスカウントするというものだ。しかし、もはや量販店はショールーム化している。多くの消費者は近所の量販店で商品の実物を見て説明を聞いた上で、価格比較サイト「カカクコム(価格.com)」で最安値の店を探してネットで買うのが当たり前になり、量販店ビジネスが崩壊し始めているのだ。

 それだけではない。より大きな問題として、もう一つ社会的な要因がある。大半の地方や郊外ではアベノミクスで給料が上がるどころか、物価の上昇などで生活が苦しくなって将来に不安を感じる人が増え、財布の紐がますます固くなっている。だから、大都市圏以外では多くの量販店が苦戦している。この“二重の崩壊”が、全都道府県に店舗網を拡大したヤマダ電機を直撃したのである。

 2015年2月期決算で、カジュアル衣料のしまむらが1988年の上場以来初の2期連続減益になったり、小売業最大手のイオンがGMS(総合スーパー)の不振から3期連続減益に沈んだりしているのも、地方や郊外の消費低迷の影響が大きい。全国展開で強さを誇ってきた会社が、軒並み苦境に陥っているのだ。

 このままではヤマダ電機は地方店や郊外店の閉鎖にとどまらず、急失速する可能性もあるだろう。蘇寧電器(中国の家電量販店最大手)のラオックス買収に刺激された中国・台湾資本が虎視眈々と2匹目のドジョウを狙っているので、ヤマダ電機が抜本策を講じなければ恰好の標的となるだろう。

●沈みゆくヤマダ電機、突然の大量店舗閉鎖の暴走? 復活は恐らく難しいといえる理由
       ビジネスジャーナル 2015.06.25 文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

 5月末、大手家電量販店チェーンのヤマダ電機が46店舗を閉鎖した。5月25日に発表した時点ですでに3店舗を閉鎖済みであり、残りの43店舗については発表直後の閉鎖となったため、地域の消費者や従業員を驚かせた。
 一方、年内に新規出店も行う予定であり、ヤマダとしては「店舗のスクラップ&ビルド」だとしている。閉店するのは、テックランドNew江東潮見店(東京都江東区)、同名古屋南丹後通り店(愛知県名古屋市)、同枚方店(大阪府枚方市)、同新南陽店(山口県周南市)など地方や郊外にある不採算店が中心。これまでの拡大路線を転換し、東京・八重洲など都市部の大型店や免税専門店といった収益力の高い店づくりに注力するとしている。
 日本全国津々浦々に、家電の大型量販店舗を展開する。自社だけの店舗展開だけでは間に合わなければ、業界他社をM&A(合併&買収)して「マーケット・カバレッジの最優先」という戦略を徹底する。これが従来のヤマダの「勝てる王道戦略」だった。その結果、15年3月期末での店舗数は1016店舗にまで達していた。

 ヤマダの山田昇社長は今回の閉店を発表する直前の5月21日付朝日新聞のインタビューで「出店余地はなく、ビジネス・モデルを変えないといけない」と語っており、今回のスクラップ&ビルドは明確な戦略転換だと認めている。つまり全社経営戦略の本格的な変更による電光石火の大量店舗閉鎖だったのだ。そんなことができるのは、創業社長である山田氏ゆえだろう。

 業績低迷について、山田氏の悩みは深い。連結の年商は11年3月期に2兆1500億円とピークを記録し我が世の春を謳歌したが、その後は減少の一途。15年3月期では売上高1兆6643億円(前年同期比12.1%減)、営業利益199億円(前年同期比41.9%減)、経常利益355億円(前年同期比29.2%減)という結果に沈んでいる。
 実店舗の巨艦主義に走ったメガ・リテール(大規模小売企業)が破綻した例は記憶に多い。百貨店ではそごうが、総合スーパー(GMS)ではダイエーがそれぞれ一時は栄華を誇ったが、前者は小売業としては当時(00年)日本最大の負債を抱えて民事再生法を申請し、後者も経営破綻して今年1月イオンに救済合併された。

●ヤマダ電機の盤石な経営モデル TV買い替え需要が減った時期に異変
     ライブドアニュース 2015年6月24日
 「定石から外れている」――。ある家電流通の担当者は、ヤマダ電機(山田昇社長)の店舗数と1店舗当たり売上高の推移についてそう語った。これまで盤石だったヤマダ電機のビジネスモデルに異変が起きている。
郊外型テックランドや都市型LABIが成長をけん引していた

 表は、2000年3月期以降のヤマダ電機の店舗数と1店当たりの売上高の推移を示したものだ。表から類推できるように、直営店がまだ109店しかなかった2000年3月期から、600店体制で過去最高の売上高2兆1532億円をたたき出した11年3月期まで、ヤマダ電機の1店当たりの売上高はコンスタントに30億~40億円を稼いでいた。これにより、出店するたびに売上高が安定して増えていくという「定石」を踏んでいた。

ヤマダ電機の店舗数と1店当たり売上高推移
 特筆されるのは、郊外型のテックランドを出店していた初期のころだけではなく、06年3月期に全国に店舗網を構築したり、同社初の都市型店舗LABI1 NAMBAを出店したときも、また08年3月期にぷれっそホールディングスやマツヤデンキ、サトームセン、星電社を連結対象にするなどして、異なるカルチャーの家電量販店が加わっても、1店舗当たりの売上高30億~40億円をキープし続けていたことである。

 ちなみに、ヤマダ電機の従業員1人当たりの年間売上高が1億円以上(臨時雇用除く)というのも、同社の強さを語るときに使われる数字である。01年3月期の1億400万円から年々伸ばして、ピークは07年3月期の2億400万円。その後は減りこそするものの11年3月期でも1億7300万円の高水準を維持していた。

1店舗当たりの売上高が急ブレーキ
 こうしたヤマダ電機の盤石だったビジネスモデルに異変が起きたのは、地上デジタル放送への完全移行によるテレビの買い替え需要が減った12年3月期からだ。1店舗当たりの売上高は26億3000万円と30億円を割り込む。

 その後も13年3月期は17億5100万円、14年3月期が19億2300万円、直近の15年3月期に至っては、初の1000店突破の1016店を達成したものの、1店舗当たりの売上高が16億3800万円まで落ち込んでいる。06年、07年3月期に出した42億円の、実に4割程度にまで下がっている。

 12年3月期は、住宅メーカーのエス・バイ・エルを子会社化したり、約1000平方メートルの小商圏向け小型店舗の出店戦略を加速させている。従業員1人当たり売上高も、12年3月期は1億3100万円と、かろうじて1億円以上を維持したが、翌13年3月期が8000万円、14年3月期がやや復調して9000万円となっている。15年3月期は、現在までのところ公表されていない。

5月は10万平方メートル規模の閉店に
 店舗効率の向上が喫緊の課題であるヤマダ電機は、構造改革によって状況を打開しようと大ナタを振るった。5月25日、5月末までにスクラップ&ビルドや業態転換を含めて46店舗を閉鎖すると発表した。一部報道によれば、続く6月末も、11店舗を閉鎖や業態転換すると報じられた。JR水戸駅前にあるLABI水戸などの大型店舗も含まれるが、先の小商圏向けのテックランドも多く含まれているようだ。

 5月の月次速報値からは、閉店店舗の面積で約10万平方メートルがなくなったことが明らかになっている。期初にあった1016店舗の274万平方メートルからは、4月の開店と閉店を含めて3.3%の削減となる。

 一部はアウトレット店や4月10日に東京・新橋でオープンしたような免税専門店に業態を転換して、店舗効率を高めていく。年内には、訪日外国人(インバウンド)需要の取り込みを狙って東京駅前の八重洲に都市型店舗を出店する。今年度の新規出店は15店と、昨年度の31店舗の半分に抑えるなど、まずは構造改革に早急に着手する。

 店舗の閉鎖や業態転換にかかる費用は、5月7日に発表したソフトバンクとの資本業務提携による第3者割当で調達した227億円のうちの81億円でまかなう。81億円の内訳は、既存店の改修・改装に24億円、スクラップ&ビルドに42億円、免税対応店への業態転換に10億円、アウトレット店への業態転換に5億円となっている。

 4月の速報値では、グループ全店の売上高が前年同月比で110%となり、5月も112.6%と、消費増税の反動減から脱出しつつある明るい兆しが見られた。しかし、インターネット販売業者の普及や少子高齢化による国内家電マーケットの縮小など、ヤマダ電機をはじめとする家電量販店を取り巻く環境は激変している。業界トップのヤマダ電機の大胆な構造改革の進ちょくと行方に注目が集まる。(BCN・細田 立圭志)

● ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの 
       | 賢者の知恵 | 現代ビジネス 2015年06月14日(日) 週刊現代
量販店の巨象が苦しんでいる—一時は売上高2兆円超を誇ったヤマダ電機のことだ。人口減やネット通販の浸透で、大規模店に種々雑多な商品を陳列するビジネスモデルは曲がり角を迎えている。

客よりも店員が多い
「店が潰れるらしいという噂が流れはじめたのは4月頃でした。はっきりわかったのは5月の中旬、閉店の2週間前です。販売員たちの士気はすっかり低下してしまって、雰囲気は最悪ですよ。とりあえずリストラはないということでしたが、遠くの店舗へ異動を命じられたら通えなくて辞める人も出てくるでしょう。私もまだ転職できる年齢のうちに資格でも取ろうと考えています」

こう話すのは、ヤマダ電機テックランドNew江東潮見店(東京都)の若手男性販売員。家電量販最大手のヤマダ電機は5月25日、同月末までに全国で約1000店舗ある直営店のうち46店を閉めることを正式発表した。江東潮見店も閉店リストに入っており、敷地の周辺には「閉店セール」とプリントされた赤いのぼりが目に付く。

だが、派手派手しいのぼりとは裏腹に、広い店内は閑散としている。売れ筋のはずの季節家電のコーナーでは扇風機の風にあおられ、大きな綿ぼこりが転がっていた。フロアによっては客よりも店員の数が上回っているほどだ。客の入りがいちばん目立ったのは、マッサージチェアの一角。といっても、年配の人たちが何を買うでもなく、マッサージ機にゆっくりと身を横たえている姿が目に付くくらいだ。日用品売り場でフライパンを物色していた女性客が語る。

「冷蔵庫もテレビも、電球や文房具も全部ヤマダで買ってきました。今回の閉店はショックです。駅前にスーパーはまだありますが、他の日用品はどこで買えばいいかわからない。陸の孤島のようになって、治安も悪くならないか心配です」

積極的に新店をオープンし続け、全国津々浦々に販売網を築いてきたヤマダ電機の売上高は、'11年3月期に達成した2兆1532億円をピークに急激に減少。'15年3月期には1兆6643億円にまで落ち込んでいる。エコポイント制度やテレビの地デジ化などによる買い換え需要が一段落し、消費増税後の反動もあって、急激な落ち込みようだ。家電流通に詳しいプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が語る。

「都心で中国人観光客の『爆買い』を取り込むことに成功しているヨドバシカメラやビックカメラとは対照的に、ヤマダは郊外・地方を中心に成長してきたため、人口減少などで消費力が落ちている地方経済低迷のダメージをもろに受けています」

ヤマダを悩ませているのは売り上げ減だけではない。旧村上ファンドの出身者たちがシンガポールで創設したファンド、エフィッシモに、大量に株を買い占められているのだ。同ファンドはヤマダの株の13%超を保有しており、今後、筆頭株主としてさまざまな要求を突き付けてくる可能性が高い。

まさしく内憂外患の窮地に立たされているヤマダ電機。'90年代にはコジマやカトーデンキ(現ケーズホールディングス)と「YKK戦争」と呼ばれる激安競争をくり広げ、その勝利者となった。だが現在、同社を脅かしているのは他の量販店ではなく、圧倒的な品揃えと販売価格を誇るインターネット通販だ。

・・・・・・・・・・・・・
そして廃墟になる
スーパーが扱う生鮮食料品は、本来ネット通販と相性が悪い商品だ。しかし、そのようなジャンルにまでアマゾンは進出しようとしているのだ。

さらに、この波は飲食業にまで広がっており、今まで宅配営業に無関心だった企業も、ネット通販に乗り出している。スターバックスがいい例で、同社のハワード・シュルツ会長は「すべての飲食業はデリバリーを検討しないと生き残れない」と語っている。

大型量販店は町の個人商店ではとうていかなわない品揃えと価格競争力で集客してきた。しかし巨大な物流センターを備え、注文した翌日には品物が届くといった利便性を売りにするネット通販の前では、品揃えも価格競争力も見劣りがしてしまう。モールに行けば、必要なものが安く手に入るという常識はもはや通用しないのだ。

では、ネット通販では期待できないサービスを提供できるかといえば、その面では地域に密着した個人商店のようなきめ細かな対応は不可能だ。商品が多すぎて、販売員自身がその商品の特徴をわかっていないということもしょっちゅうある。だが結局、「量販店がネット店舗に対抗するためには接客力を上げるしかない」と堀田経営コンサルティング事務所代表の堀田泰希氏は語る。

「高度な接客を求めがちな高齢者が増えるにつれて、もっとアナログな顧客管理が大切になってくるでしょう。ポイントカードなどを通じて顧客情報を吸い上げるデジタルな管理は進んでいますが、その逆が大切なのです」

価格で勝負できないなら、付加価値をつけるしかない。しかし、それはかつて量販店が拡大したときに個人商店が試みてなしえなかったことだ。ネット通販の前に量販店も同じ戦いを強いられることになるだろう。郊外のモールが駅前のシャッター街のように閑散とする日も近いかもしれない。すぐ目の前に物流倉庫があって、ありとあらゆる商品が並んでいるのに、インターネットを使わないとそれも手に入らない—そんな不可解な時代がやってくる。だが、それも我々消費者が低価格と手軽さを追求し、自ら招いた結果なのだ。

冒頭の閉店が決まったヤマダ電機で呼び込みをしていた店員に「閉店セールで、本当にお買い得な商品はどれか」と尋ねてみた。すると、「それは在庫一掃処分ということで……」と口ごもり、「ちょっと失礼します」と立ち去ってしまった。床には、相変わらず綿ぼこりが扇風機の風に舞い続けていた。

●【コラム】窪田真之の「時事深層」22 ヤマダ電機はなぜ失速したのか!? - 足を引っ張る"郊外店"と"住宅事業"
          マイナビニュース  [2015/05/27]
4月から5月末までに46店を閉鎖、攻めの経営が転換点

ヤマダ電機は、4月から5月末までに46店を閉鎖すると発表した。これまで一貫して攻めの経営を続けてきたが、ついに転換点を迎えた可能性がある。

ヤマダ電機の強みは、圧倒的な規模にあった。家電製品はどこで買っても同じメーカー品が中心なので、自然、値段の叩きあいになる。ヤマダ電機は、量販店でトップの売上規模を保ち、その強みで安く仕入れて、安く売る競争に勝ってきた。積極的に出店と同業他社の買収を行い、都心にも郊外にも店舗網を拡大した。

ところが、郊外にも積極出店したことが裏目に出た。2014年度は、都心店と郊外店ではっきり明暗が分かれた。都心店舗は、インバウンド(訪日外国人の買い物)需要を取り込んで好調だ。特に中国人観光客の"爆買い"がある銀座店は、絶好調だ。ところが、インバウンド需要の入らない郊外店は、軒並み不振となった。

家電量販各社の2014年度の業績は、都心店舗が多いか少ないかで明暗が分かれた。都心店舗が多いヨドバシカメラやビックカメラは比較的好調だが、都心だけでなく郊外にも多くの店舗を持つヤマダ電機は、郊外店の売上げが苦戦した。

今回、ヤマダ電機が閉店するのは、郊外の不採算店が中心となる。同社は「追加のスクラップ&ビルドや店舗閉鎖、業態転換については、新規出店等を踏まえ、現在、精査中」としている。今後、郊外店を中心に、さらに閉店が拡大する可能性もある。

ヤマダ電機の業績の足を引っ張っている住宅事業

ヤマダ電機の業績の足を引っ張っているものが、もう1つある。不退転の覚悟で参入した住宅事業だ。同社は、2011年10月に住宅大手エスバイエルを、株式公開買付と増資引き受けによって子会社とした。2013年6月には、社名をヤマダ・エスバイエルホームに変更している。住宅と家電を融合させた「スマートハウス」を開発し、新規事業として成長させる方針だ。

ところが、住宅事業は赤字で苦戦している。そもそも家電量販店による住宅事業参入には、当初からアナリストの間で無謀との声が多かった。

住宅の販売員には高度な専門知識が必要で、家電量販店でその人員を育成するのは容易でなかった。住宅事業の経営そのものにも、下請け業者の管理や部材の調達などで家電量販店とはまったく異なるノウハウが必要である。

少子化が進み住宅業界の競争が激化するタイミングでの参入にも疑問符がついた。2014年4月の消費増税前に駆け込み受注が一瞬盛り上がったが、諸費増税後は、再び受注環境が悪化している。

新商品の開発競争も厳しい。スマートハウスや介護住宅の開発では、積水ハウスや旭化成など住宅大手各社がしのぎを削っている。家電製品との融合ならば、パナホームが早くから手がけてきた。

旧エスバイエルは、ツーバイフォー工法で安価な規格品を作るのに強みがあったが、多様な商品開発が求められる時代に入って、競争力が低下しつつあったタイミングで、ヤマダ電機の傘下に入った。

ヤマダ電機は、今年3月にソフトバンクと資本業務提携を結んだ。ソフトバンクの通信事業まで活用して、スマートハウスを成功させる覚悟である。それでも、住宅事業建て直しは容易でない。

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