迷子であろうその子は、なおも手を引っ張って、「ねえ、あれとって」と指差す。オレは逃げようにも逃げられず、観念してその子の話を聞くことにした。
「用件を聞こう」
「ねえ、あれとってよ」
彼女の指差す方向を見ると、そこには射的の夜店があり、赤い段々になった台の上にたくさんのマスコットが並んで置かれている。そして、夜店の両側には「射的 大当たり」と赤の字で書いた大きなのぼりが立っている。どうやら、彼女はそのマスコットの中の中央に並んだ大きなミッキーマウスの人形が欲しいようだ。
「・・・・・・」
オレは射撃の超一流のプロだ。プロってものは報酬のない仕事はやらない。慈善事業をしているわけじゃないんだ。<ことわる>と言おうとするオレの左手に、いつのまにか水ヨーヨーが握らされていた。
「・・・・・・」
ちょっと待て。オレは超一流の射撃のプロだ。こんな水ヨーヨー一個で、仕事が引き受けられるかあ。女の子は、サングラスしたオレの目を覗き込む。くりくりっとしたかわいい目だ。思わず引き込まれてしまいそうになる。頭は弱そうだが、彼女は大きなったら戸田恵梨香ちゃんのようなミニスカートの似合うギャルになるかもしれない。
何にも言えないまま、射的の夜店に連れて行かれ、店のオヤジからライフルを手渡されてしまった。
こうなったら、やるしかないか。
「おやじ。100発タマをくれ」
「あいやー。タマ100ぱつもないね。全部で40ぱつね。うちおわたら、あと40ぱつだすね」
「・・・・・」
オレは仕事を引き受けた時は、使用するものは全て信頼性を重視して、弾丸は不発弾や精度不良を極力避けるために、100発中ランダムに抜いた80発を試射して全て異常なしなら残り20発を使用、1発でも不良なら全て破棄するという手順を踏むのが常だ。しかし、この夜店には全部あわせても40発しかタマがないらしい。おれはしぶしぶ、40発の代金800円を支払った。
<万が一、ミッキーマウスの人形を打ち落とせなくて、そのことが噂でひろがったらますます客足が遠のくかも>頭に嫌な予感が浮かんだが、オレは頭を振ってその不安を打ち消した。オレの技術を持ってすれば不可能なはずはないと・・・・・・。
(明日へ続く)
「用件を聞こう」
「ねえ、あれとってよ」
彼女の指差す方向を見ると、そこには射的の夜店があり、赤い段々になった台の上にたくさんのマスコットが並んで置かれている。そして、夜店の両側には「射的 大当たり」と赤の字で書いた大きなのぼりが立っている。どうやら、彼女はそのマスコットの中の中央に並んだ大きなミッキーマウスの人形が欲しいようだ。
「・・・・・・」
オレは射撃の超一流のプロだ。プロってものは報酬のない仕事はやらない。慈善事業をしているわけじゃないんだ。<ことわる>と言おうとするオレの左手に、いつのまにか水ヨーヨーが握らされていた。
「・・・・・・」
ちょっと待て。オレは超一流の射撃のプロだ。こんな水ヨーヨー一個で、仕事が引き受けられるかあ。女の子は、サングラスしたオレの目を覗き込む。くりくりっとしたかわいい目だ。思わず引き込まれてしまいそうになる。頭は弱そうだが、彼女は大きなったら戸田恵梨香ちゃんのようなミニスカートの似合うギャルになるかもしれない。
何にも言えないまま、射的の夜店に連れて行かれ、店のオヤジからライフルを手渡されてしまった。
こうなったら、やるしかないか。
「おやじ。100発タマをくれ」
「あいやー。タマ100ぱつもないね。全部で40ぱつね。うちおわたら、あと40ぱつだすね」
「・・・・・」
オレは仕事を引き受けた時は、使用するものは全て信頼性を重視して、弾丸は不発弾や精度不良を極力避けるために、100発中ランダムに抜いた80発を試射して全て異常なしなら残り20発を使用、1発でも不良なら全て破棄するという手順を踏むのが常だ。しかし、この夜店には全部あわせても40発しかタマがないらしい。おれはしぶしぶ、40発の代金800円を支払った。
<万が一、ミッキーマウスの人形を打ち落とせなくて、そのことが噂でひろがったらますます客足が遠のくかも>頭に嫌な予感が浮かんだが、オレは頭を振ってその不安を打ち消した。オレの技術を持ってすれば不可能なはずはないと・・・・・・。
(明日へ続く)