オレは中国なまりの日本語を話すオヤジからコルクの玉40発を受け取ると、それを調べた。円柱形をしたその玉は、あちこちに傷がついており、空力的には最悪の形状だった。これで弾と呼べるか?それから、オレは手渡されたライフルの構造を調べた。しかし、しらべるまでもなく、銃身のなかにバネが入っていて、引き金をひくとバネが伸び銃口につめたコルクのタマを押し出して発射されるしくみだ。コルクのタマは1個約5グラム。射程距離は手を目一杯伸ばせはターゲットまで1m。タマの速度を上げれば、50グラム程度のターゲットでも打ち落とすことができるかもしれない。とにかくタマの射出速度の高速化が必要だ。
オレは、ゆるゆるにライフルの銃口にコルクのタマをつめた。日頃、左手でもM16A2ライフル(改造)を扱えるように訓練しているから、特に取扱に問題はない。左手だけでも、おもちゃのライフルは本物の銃よりははるかに軽く、容易に扱えそうだった。
オレは射撃台の前に立ち、ライフルを構えた。右手が動かないので、ライフルを伸ばした左手一本で持ち、照準を合わせる。
風はない。銃口の揺れが収まるのを待って、オレは静かに引き金を絞った。パチン。乾いた音がして、タマが飛び出した。
「あいや。おきゃくさん。どこねらっている?」
「・・・・・・」
横を向いてタバコを吸っていた中国人のオヤジは、側頭部のど真ん中にタマを当てられ、振り向いて笑いながら文句を言った。どうやらタマは1m先の標的で約1cm左下にずれるようだ。オレは2発目のタマをライフルにこめると、もう一度ライフルを構えてタマを発射した。今度もタマはオヤジの側頭部のど真ん中だった。
「あい。おきゃくさん。また、あたたよ」
中国人のオヤジがまた振り向いて文句を言う。こんどはタマはレーザー光線のようにまっすぐに飛んでいったようだ。弾(タマ)スジが定まらない。・・・・・・的に当てるのはむずかしいかもしれない。いずれにせよ、銃口にタマをゆるく詰めた方が、打ち出す速度を上げることができ、その弾道も直線性をあげることができそうだった。弾道を確かめたオレは、こんどはターゲットにねらいを定めた。横向いていたら2発も側頭部にタマを当てられたオヤジは、真剣なまなざしでこちらを見守っていた。オレは静かに引き金を引いた。
(明日に続く)
オレは、ゆるゆるにライフルの銃口にコルクのタマをつめた。日頃、左手でもM16A2ライフル(改造)を扱えるように訓練しているから、特に取扱に問題はない。左手だけでも、おもちゃのライフルは本物の銃よりははるかに軽く、容易に扱えそうだった。
オレは射撃台の前に立ち、ライフルを構えた。右手が動かないので、ライフルを伸ばした左手一本で持ち、照準を合わせる。
風はない。銃口の揺れが収まるのを待って、オレは静かに引き金を絞った。パチン。乾いた音がして、タマが飛び出した。
「あいや。おきゃくさん。どこねらっている?」
「・・・・・・」
横を向いてタバコを吸っていた中国人のオヤジは、側頭部のど真ん中にタマを当てられ、振り向いて笑いながら文句を言った。どうやらタマは1m先の標的で約1cm左下にずれるようだ。オレは2発目のタマをライフルにこめると、もう一度ライフルを構えてタマを発射した。今度もタマはオヤジの側頭部のど真ん中だった。
「あい。おきゃくさん。また、あたたよ」
中国人のオヤジがまた振り向いて文句を言う。こんどはタマはレーザー光線のようにまっすぐに飛んでいったようだ。弾(タマ)スジが定まらない。・・・・・・的に当てるのはむずかしいかもしれない。いずれにせよ、銃口にタマをゆるく詰めた方が、打ち出す速度を上げることができ、その弾道も直線性をあげることができそうだった。弾道を確かめたオレは、こんどはターゲットにねらいを定めた。横向いていたら2発も側頭部にタマを当てられたオヤジは、真剣なまなざしでこちらを見守っていた。オレは静かに引き金を引いた。
(明日に続く)