時計を見ると8時。花火大会がはじまった。夜空をこがす大輪の花火が次々と打ち上げられた。打ち上げにあわせて、観客たちの歓声があがる。オレは男のメールアドレスを聞きだした上で、男と別れた。あとは、無線で男に指示するだけだ。
オレは大急ぎで、前もって決めておいた銃弾の発射場所に急いだ。境内から50メートル山の上の見晴らしのよい斜面だ。ここから境内の夜店が見通せる。望遠スコープで覗き込むと、先ほどの男がバカ面をこいて道行く若い女を目で追っている。オレは無線で射的の準備をするように伝えた。
オレは花火の音のタイミングを計っていた。花火の音のタイミングで男に指示を出し、射的のコルクのタマを何発か発射させた。花火の発射音のシュっという音に続いて、パっという音がして光が炸裂する。そしてやや遅れてドンと音がなる。この花火の炸裂音にあわせてアーマライトM16改造銃からシリコンゴム製の弾頭をつけた銃弾を発射するのだ。そうすることで、M16改造銃の発射音をごまかすことができる。
スコープから覗いた中国のオヤジは相変わらず暇そうに横を向いてタバコをふかしている。きっと、台に釘付けしてあるミッキーマウスが打ち落とされたら驚いて腰を抜かすに違いない。
花火の打ち上げ音。シュ。ヒュー。続いてパッ。いまだ。男に<撃て>の指示。同時に引き金を絞る。同時に花火の炸裂音がなる。ドン。銃声は、花火の音と完全にシンクロした。スコープで覗くと、ミッキーマウスは台から打ち落とされ、オヤジが驚愕の目で男を見ていた。
そして、スコープの視野に昨夜の女の子の姿が入ってきた。女の子は何かを言おうとしている。
「おとうさん、焼きそば買ってきた」
女の子の声が、オレの耳に着けたレシーバーから聞こえてきた。中国のオヤジに、女の子が焼きそばを渡している。
「・・・・・・」
昨日の女の子はサクラだったのか・・・・・・。
オレは、すぐさま女の子にアーマライトM16改造銃の照準を合わせて、フッとため息をついた。しびれて動かない右手が痛む。このシリコンの弾頭だったら、当っても青あざを作るのが関の山だ。依頼人の裏切りには、強い姿勢で対応するのが常だが、オレはやめた。急に馬鹿らしくなってきたのだ。
(明日に続く)
オレは大急ぎで、前もって決めておいた銃弾の発射場所に急いだ。境内から50メートル山の上の見晴らしのよい斜面だ。ここから境内の夜店が見通せる。望遠スコープで覗き込むと、先ほどの男がバカ面をこいて道行く若い女を目で追っている。オレは無線で射的の準備をするように伝えた。
オレは花火の音のタイミングを計っていた。花火の音のタイミングで男に指示を出し、射的のコルクのタマを何発か発射させた。花火の発射音のシュっという音に続いて、パっという音がして光が炸裂する。そしてやや遅れてドンと音がなる。この花火の炸裂音にあわせてアーマライトM16改造銃からシリコンゴム製の弾頭をつけた銃弾を発射するのだ。そうすることで、M16改造銃の発射音をごまかすことができる。
スコープから覗いた中国のオヤジは相変わらず暇そうに横を向いてタバコをふかしている。きっと、台に釘付けしてあるミッキーマウスが打ち落とされたら驚いて腰を抜かすに違いない。
花火の打ち上げ音。シュ。ヒュー。続いてパッ。いまだ。男に<撃て>の指示。同時に引き金を絞る。同時に花火の炸裂音がなる。ドン。銃声は、花火の音と完全にシンクロした。スコープで覗くと、ミッキーマウスは台から打ち落とされ、オヤジが驚愕の目で男を見ていた。
そして、スコープの視野に昨夜の女の子の姿が入ってきた。女の子は何かを言おうとしている。
「おとうさん、焼きそば買ってきた」
女の子の声が、オレの耳に着けたレシーバーから聞こえてきた。中国のオヤジに、女の子が焼きそばを渡している。
「・・・・・・」
昨日の女の子はサクラだったのか・・・・・・。
オレは、すぐさま女の子にアーマライトM16改造銃の照準を合わせて、フッとため息をついた。しびれて動かない右手が痛む。このシリコンの弾頭だったら、当っても青あざを作るのが関の山だ。依頼人の裏切りには、強い姿勢で対応するのが常だが、オレはやめた。急に馬鹿らしくなってきたのだ。
(明日に続く)