昨日受診した病院の紹介状を携えて、電話で教えてもらった外科手術ができるという大きな病院までタクシーで行き、松葉杖をついてやっとの思いで受付に着く。受付の女性が病院に備え付けの車椅子を勧めてくれた。X線検査、それから、診察という昨日の救急と同じパターンになるのだが、ここでも車椅子であちこち移動することに。
整形外科の医師は40代後半の細いフレームの銀縁めがねをかけたまじめそうな先生。
レントゲン写真を前に、昨日の女医と同様に骨折した骨の状況を説明してくれる。
着地の際の衝撃で、まず右足のかかとが脱臼して、その後、すねの太い方の骨(脛(けい))骨を支えている足首の関節の後ろの部分がコナゴナに砕け散ってしまっているらしい。その上、脛骨&緋骨(ひざ下の骨2本)を繋いでいるじん帯が切れてしまっているために足首の関節は外れた状態に。脛骨は足首のすぐ上でポッキリと、緋骨はすねの上部ではく離骨折していた。
とにかく、すぐにでも入院して手術が必要とのこと。入院することになるだろうなと思いながらも、その準備をしてこなかった僕は一度家に帰り、必要なものを荷物にまとめた上で夕方に病院を再訪して入院ということに。
病院側からは入院の意思の確認があるものの、これは形式だけのことだ。入院が決まれば、血液検査などいろいろな検査を受けなければならない。そうした検査が一通り終わったのが午後2時。
とりあえず、婦長(ナース長)さんに入院手続きをしてもらい、外出許可を取り付けて、先週、この病棟へ転属になったばかりという最年少の美人ナースに車椅子を押してもらって病院の玄関を出てタクシー乗り場へ。わずか10分程度の入院ではやくも病院を脱出。
ナース長から渡された入院に必要なもののリストに沿って、バッグの中に着替えやバスタオルなどを詰め込んでまたタクシーを呼ぶ。
家まで迎えに来てくれたタクシーの運転手は、今朝と同じ運転手さん。朝、タクシーの中でいろいろ話をしたのだが、診察の結果入院が決まったことを告げると心配して優しい言葉をかけてくれた。こんな時、人のやさしさが本当に心にしみてくる。
タクシーで病院に戻る途中ポケットの中の携帯電話が鳴り、出たら会社の同僚からだった。とりあえず、入院が正式に決まったことを連絡。みんなが心配してくれている・・・・・・。
病院のナースステーションに着き、案内された病室の窓側ベッドを与えられ、荷物をベッドの脇のロッカーに放り込んで体をベッドに横たえた。ぼくが外出している間にすでに提出ずみの個人情報を元にして、ぼく用の完璧な看護計画ができあがっていた。この看護計画を作ってくれたのが、病院でNo.1、No.2を争う美人ナース。ぼくはこの先、彼女が病室に様子を見に来てくれるたびに心やさしく有能な彼女に心をときめかし、頭の中だけはばら色の入院生活を送る事になる。
今朝、朝食が終わってから飲んだ鎮痛剤の効果がとっくに切れて、足はひどく痛む。ベッドで横になっていると、ナースたちが代わるがわる心配そうに覗きに来る。
簡易ギブスから覗いている足の指はパンパンに腫れている。しばらくして、ぼくの手術を担当する医師がやってきた。
若い。モンキッキーに似たかわいらしい顔つきで、話す言葉はかなり断定的でためらいがなく信用できそうだ。もう、こうなったら、四の五の言っている場合じゃない。若き医師にぼくの右足を任せるしかない。
レントゲン写真の結果と合わせて、今後の大雑把なスケジュールが医師から告げられた。足首の脱臼は、事故直後の救急の際から変化はなし。つまり、昨晩一晩で、脱臼した関節が独りでに正常に戻ってくれている・・・・・・ようなことはないらしい。
だから、足首を牽引(たぶん、ケンインってこの字じゃないかと)。そして、様子を見て手術。ギブスを巻いて、翌週の金曜日ごろに退院できるかもとのこと。
退院まで2~3ヶ月かかると思っていたぼくは、2週間程度で退院できるという彼の言葉に驚いた。骨折して2週間で退院???
今後、ぼくの入院はどうなっちまうのだろうか?