tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

手術室

2008-03-17 21:19:23 | 日記

手術用ライトが煌々と灯る広い手術室に移された。手術着に着替えた担当医であるモンキッキー氏に再会。ところが彼の目には殺気が宿っていた。もとい、手術を控えて彼の目が真剣だった。お約束どおり名前を聞かれたのだが、ここで変なことを言ったらメスを足に突き立てられかねないようなピリピリと緊迫した雰囲気だった。
ぼくは、顔をこわばらせながら・・・・・・本名を告げる。名前を聞かれたのは、手術の際に人を取り違えないよう確認のためだった。
そして、脊柱に麻酔の注射。横になって足をかかえて丸くなったぼくの腰骨に注射針がつきたてられる。
そのうち麻酔が効いてきて、足の指に触られても無感覚に。
麻酔は徐々に膝から大腿部へと効果をあらわし、さわられると肌にピリピリとした感触があるのだが、針で突付かれても痛みは感じなくなる。麻酔が完全に効きだしたのだと言う。

足をまっすぐに伸ばしているつもりなのだが、親指の爪に★マークが入った見慣れた自分の足が視野に入る。自分の下半身は顔の前に下げられたカーテンで見ることができないから、ぼくの右足は自分の感覚とは別にかなり高い位置に持ち上げられていることになる。つまりは、麻酔により足の感覚が麻痺しているということ。

手術室には軽音楽が流れていた。手術前になにか音楽のリクエストはと聞かれてジャズをリクエストした。手術室のうす緑色の白衣を着たナースが電話でリクエストしていたから、流れる音楽は有線放送なのだろう。流れていたイージーリスニングが切り替わって、ビッグバンドの落ち着いたジャスオーケストラが流れた。それなりに心地よい。

手術開始後、2時間が経過。その間、枕元にいた2人のナース達は緊張を解きほぐしてくれるつもりなのだろうが、いろいろ話しかけて来て、手術の経過なども実況中継してくれていた。
「音がしますよ」
ウィーンという回転音に、ぼくは自分の右足の骨にボルト止め用の穴を開けられているのを想像した。実際にはドリルの感触はない。
モンキッキー氏も、痛みはないかなどいろいろ問いかけて来たのだが、手術を終えた今では手術中にどんなことを聞かれていたのかはっきりとは思い出せないでいる。やはり、緊張と不安で心がそこにあらずだったのだろう。
モンキッキー氏から処置終了が告げられ、開口部を縫って手術は終了とのこと。手術開始から3時間。予定通りの工程だったようだ。

手術の感想を問われれば、その現場は結構、会話が多かったことだろうか。医師や手術室のナース達を合わせて全部で6人ぐらいが手術に立ち会っていたが、それぞれに相手を見つけてめいめいが絶え間なく会話していたような気がする。まるでお通夜のように、無言で進行する手術よりも好ましいものであることは確かだ。しかも、その会話の中に、ぼくも混ざって話をしていた。
足にギブスを巻かれ、ようやく手術室を脱出。出迎えてくれた病棟の2人のナース達の笑顔が素敵だった。
それなりに緊張を強いられてきたぼくの心が一気に解放されたのを感じた瞬間だった。シャバに戻ってきたんだ。その後ろに、心配そうな家人の顔も見えていた。

ぼくは手術の間、枕元に位置したナース達にパラグライダーの魅力を熱く語っていた。どうやらぼくは、怪我をしてひどい目に会ってもまったく懲りていないようだ。

コメント
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