tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

バリニーズの夜

2008-06-09 21:24:05 | 日記

プナ宅で中に招かれ、ソファーにかけると、さっそく、バリコピでもてなし。しかし、粉がカップの底にたまるバリ式コピではない。プナがバナナのフライを盛った皿を勧めてくれた。遠慮なく、手を伸ばす。ここは手づかみで食べても問題なさそうだ。 この揚げバナナは、甘味こそ薄いけどイモのようなホクホクした感じだ。お腹がすいているのか、テーブルの隅に着いた長男も、その皿に手を伸ばした。長男と次男は、どこかのレストランでウェーターの仕事をしているらしい。
奥さんと次男、長女は、テーブルには着かずに、部屋の隅にイスを並べてテレビを見ている。バリで見れる放送局は1チャンネルだけらしい。タレントを目指す芸人が、その芸を競い合うショーのようなものをやっていたのだが、番組の趣旨は説明して貰ってもよくわからなかった。
そのうち、次男も揚げバナナの皿に手を伸ばして食べ始めた。長女は、アパルトメーカーに勤めていて、針子の仕事をしているらしい。重苦しいカースト制度ではあるが、この一家にとっては、ビアイシャとして商業や製造業などの職業の選択の自由があるようだ。ただ、工科大学を出ても、競争率が高いので給料の良い専門職に就くのは難しそうだ。

プナが大量のサラックという果物を、お土産にと袋につめてくれた。この果物、後で調べたら、別名「スネークフルーツ」。皮が、ヘビの体の表面に似てるかららしい。味は甘くもなく、酸っぱくも無く、味気ない。カリカリして、多少、筋ぽい。残念ながら、生の果物は検疫で引っかかり、日本へは持って帰ることができない。そう説明して、丁寧に断る。
さらに、プナはヤシの蒸留酒であるアラックの味見をさせてくれた。そして、新しいアラックのビンもお土産に持って帰れという。どうやら、プナ家にとって突然の訪問者であったぼくのため、長男が雨の中をバイクで大量のサラックとアラックをひとビン買い求めてきてくれたようだ。だから、彼はずぶぬれだったんだ。彼には申し訳ないが、アラックも手荷物重量の関係で持って帰れない。

飾ってあった彼の卒業式の写真について訊ねると、人口約280万人のバリには複数の大学があるという。日本について聞かれ、TOKYOは約4倍の人口で100校ぐらいの大学と短大があると教えたら、彼はびっくりしていた。大学の話が出たついでに、気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)の話をする。バリで2007年12月に開催されたばかりだから、バリの人々でも、地球温暖化「Global Warming」 という言葉が、興味の対象になっているはずだ。
「バリ島が海面上昇で沈むかもしれない」という過剰な危機感を、彼らはまだ抱いていないようだった。ただ、海辺のリゾート開発により、ウミガメの産卵場所が奪われたり、海水が廃棄物から出る油によって汚れることには、強い関心を持っていた。
彼ら、バリの若い世代の人たちに、インドネシアの今ある森を残す事、より健全にする事がCO2の削減に効果的であるということ教えることができた。今回のぼくのバリの旅の最大の成果と言える。

そんなおしゃべりを兄弟たちとしていたら、台所で料理を作っていたプナがヤキソバの入った皿を持ってきてぼくに勧めてくれた。フォークも添えてある。野菜がたっぷり入っていて、とてもおいしい。一人で食べていたのだが、みんなは、もうすでに夕食を終えているようだった。
結局、バリコピを1袋と、両手に一杯のスネークフルーツを明日の朝食にと貰い、ぼくはみんなの写真をとってプナ家をおいとました。帰りは、プナがぼくをバイクに乗せてホテルまで送ってくれた。
バリの人々は、酒を飲んでドンちゃん騒ぎというのは、しないのかもしれない。モスラムは飲酒が禁止されているので、その影響なのだろうか。確かに、夜の町には千鳥足のバリニーズや、バリニーズの男たちが酒を飲み交わしている店とかを見かけなかった。プナ自身も、ビールしか飲まず、強いアルコールのアラックは飲まないと言っていた。一家で、テレビを見ながらコーヒーで団欒。これが、一般的なバリニーズの夜のスタイルなのだろう。

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5月の九十九里(2)

2008-06-08 16:42:20 | プチ放浪 海沿い編






すがすがしい初夏のイメージとは掛離れた台風のような低気圧が通り過ぎ、海には高いウネリが入っている。波のサイズはセットで頭以上。エキスパートもてこずるコンディションのよう。

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5月の九十九里(1)

2008-06-07 20:09:13 | プチ放浪 海沿い編






その昔、源頼朝が浜の長さを測るべく、一里ごとに一本ずつ砂浜に矢をさし、九十九本目に浜が尽きたことからその名がついた。
 約66kmの日本で二番目に長い浜だ。

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プナ宅へ

2008-06-06 23:09:35 | 日記

ホテルに帰って、2階の客室へ続く吹き抜け廊下のソファーに座って文庫本を読んでいると、通りかかったツアーデスクの女の娘が、笑顔で「ワイン買えました?」と聞いてくれた。彼女は本当によく気がつくし、美人で有能だ。このバリの旅で最大の後悔は、彼女の写真を撮り損ねたこと。でも、彼女のやさしさは今でも心に焼き付いている。

夕方の5時ぐらいから、ホテルの入り口脇の小寺院で、奉納舞踏がはじまった。ガムランの音色と線香の香りがあたりにあふれ、ホテルの入り口前のロータリーには、30人ぐらいのインドネシア衣装に身を包んだホテル関係者たちが座って奉納舞踏を見守っている。その人の群れの中に、朝のレストランで顔見知りの女性スタッフや、写真を撮らせてくれた若い女性、そしてツアーデスクの日本人女性sachikoさんを見つけて手を振ると、それぞれが、こぼれるような笑顔を見せてくれた。並んで座っていたsachikoさんのそばに行って、この奉納舞踏の意味を聞くと、「今日がホテルの誕生日でそのお祝い」とのことだった。そして、朝から準備していた奉納舞踏もついに終わり、台の上に山盛りに積まれた果物などの大量のお供え物が参拝者に分配されていく。

奉納舞踏を見ているうちに、プナとの約束の7時なった。外は相変わらず雨が降ったり止んだり。夕闇が、ロビーから見える庭を包んでいた。7時を過ぎても、いつもは時間に正確なプナはまだ現れない。どうしたんだろう。奉納舞踏で込み合っていて、ホテルの入り口に車が入れないのだろうか。不安になってくる。
30分待ったが、まだ来ない。なにかの事情で遅れるのかもしれない。でも、そうなら、ホテルに連絡が来るはず。
この時、昨日の朝、彼が別の約束で確認の電話をくれたことを思い出した。ひょっとしたら、約束しても確認の電話をしなければ、約束は成立していないのでは・・・・・・。それがバリスタイルなのかもしれない。
ぼくはツアーデスクの女性が、こちらの言った事をすべて覚えていて希望をすべてかなえてくれていたので、バリの人々には一度言えば念を押す必要はないと勝手に思い込んでいた。やっぱり、彼女は特別なのだろう。
45分待って、彼が現れそうも無いので、教えて貰った彼の携帯へ電話する。
「何時の約束だったけ?」
「すまん。忘れていた。すぐに迎えに行く」
プナは、単純に約束を忘れていたようだった。

彼の自宅は、ホテルから車で10分ぐらいだった。細い石畳の道路わきでタクシーを降りると、さらに街灯のない細い路地を奥へずんずん入っていく。プナは松葉杖のぼくに、傘をさしかけてくれた。途中でずぶぬれの長男と出会う。彼の家族は、長男、長女、次男の5人家族。子供たちはみんな社会人だった。
家のドアを開けたところの居間の壁には、黒のガウンと角帽子の姿の長男の大学の卒業式の時の写真が飾ってあった。また、ウプの両親の写真も。部屋の奥には、27インチほどのインドネシア製のブラウン管式のカラーテレビとオーディオセットがバリ彫刻を施した木製ローチェストの上に並び、その横には、大きな金魚(らんちゅう)が泳いでいる水槽が置いてあった。白い漆喰の壁には、馬の絵をあしらったものと、風景をあしらったイカット壁掛け布が飾られていた。天井は、ヤシか何かの植物を編んだ材質のものだった。

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涙が止まらなくて

2008-06-05 22:07:23 | 日記

朝から雨。止みそうも無い。さすがに、プールには誰もいない。
朝食のレストランで、変らない笑顔で出迎えてくれる女性から、今日はホテルの記念の日だから、夕方から奉納舞踏があると教えられる。そう言えば、ホテルの入り口の脇にあるサンガ(小寺院)のところで、なにやら舞台らしきものを昨日から作っていた。楽しみだ。
朝食を終えてから、プナ宅に招待されているぼくは、ワインでも手土産にと思ってホテルのツアーデスクの若い女性に相談した。彼女は、キラキラした目が印象的な女性なのだが、本当に頭が良く、気が効いていいて仕事もできる。クルージングツアーに参加したことも覚えていてくれて、どうだったか感想を聞いてきた。
彼女の言葉によれば、ワインは近くのショッピングセンターで買えるらしい。そして、雨の中を、松葉杖で買い物に行く方法。彼女はその方法を、即座に考え出してくれた。ホテルの無料送迎バスで、ショッピングセンターの軒下まで。帰りも、その軒下からバスに乗車できるらしい。

ぼくは彼女が立ててくれたプランに沿って行動。ホテルのおんぼろ送迎バスは、彼女の言うとおりサヌールの町並みを通って、中央部にある大きなショッピングセンターの玄関先に停車。センターの中のアーケードコーナーで、彼女のお勧めのチキンラーメンとバリコピを注文。まずは昼食に腹ごしらえ。
チキンラーメンは、非常に懐かしい味がした。麺は、縮れ麺。野菜がたっぷり入っている。妙に懐かしい味。あとで、ショッピングセンターの食品の列を通りかかった時に、その理由がわかった。多種類の袋入りのインスタントラーメン(Mi Instan)が売られていた。インドネシアのメーカーであろう”IndoMie”や、日本のNISSINのカップヌードルも。カップヌードルは、日本で売られているそのままの姿だった。袋入りのラーメンの値段は1袋Rp.670 (10 円)程度。
たぶん、先ほど食べた縮れ麺のチキンラーメンは、インスタントのものなのだろう。それにしても、小さな調理台しかない狭いスペースで、あれほど野菜がたくさん入ったラーメンや、メニューにあるいろいろなインドネシア料理を出す手際のよさに感心してしまう。
そして、バリコピ。とうとう、コーヒー豆の粉が沈殿した、深い味わいのローカルな味に出会えた。砂糖は、少し茶色がかった、粉状のもの。この砂糖の原料はなんだろう?
食事が終わって、食器を下げに来た女の子が、「もう、飲まないの?」と聞いてくる。コーヒーの粉が貯まっているカップの底の部分のことだ。
「どうやって飲むの?」 
スプーンで粉の部分をすくって見せると
「そうね」
彼女は納得して帰っていった。ひょっとしたら、ローカルな人たちは、もっと我慢して、粉の沈殿ぎりぎりまで飲み干すのかもしれない。

ボトルワインは、簡単に見つかった。フランス産は、もちろん、ドイツ、スペイン、ポルトガル、アメリカ、オーストラリア、チリといろいろな国の銘柄があるのだが、バリ島産のハッテンワインの3倍以上の値段だった。安いものでも2000円ぐらいから。
プタへのプレゼントとして、ドイツワインを選び、ワインオープナーと共にラップしてもらった。

帰りのバスを待っていて、時間になってもバスがなかなか来ない。ショッピングセンターの前には、来た時と同じ初老のオージーの4人グループがバスを待っていた。駐車場には、雨降りと言うのに列を作ったバイクがたくさん並んでいて、買い物を終えた主婦たちが、子供をバイクの前と後ろに乗せて走りさっていく。なんと3人乗り。

ようやく、ホテルの特徴のあるおんぼろマイクロが姿を見せた。バスの運転席には来た時と同じドライバーが見えた。朝は心配そうに松葉杖をついたぼくを見ていた彼だった。ショッピングセンターの入り口で待っているぼくと目があった彼は、満面の笑みを浮かべた。彼の笑顔を見て、ぼくは胸の柔らかい部分を締め付けられた。そして、涙が止まらなくなった。なんて、素敵な笑顔なのだろう。どうして、ぼくらは、この笑顔を忘れてしまったのだろう。

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