『性暴力』を読んでいて心が苦しくなり、何度も本を閉じたくなった
読売新聞大阪本社社会部『性暴力』(中央公論社刊)を読んだ。何でこんなことが起こり、どうしてこんなにも苦しい目に遭わないといけないのか、読んでいて心が苦しくなり、何度も本を閉じたくなった。しかし、そこでページを閉じては、勇気を出して性暴力被害を語った方々に申し訳ないと、読み続けた。
この本には、強姦を始め、親・兄弟や教師からの性暴力被害の実態が、被害者から克明に語られる。ある意味で「タブー視されていたテーマ」を取り上げて、この報道に関わった「取材班チーム」のみなさんのご努力とそれに応えて思い出したくない辛い経験を語られた被害者の方々に、心からの敬意を表する。
今私に性犯罪被害を語れない。同じ人間として性犯罪を犯した人を恥ずかしく思うし、恥ずかしながら被害にあった方々にかける言葉を持ち得ていない。そこで、本書の中で、私がメモしたことを紹介するにとどめたい。
〈生きる気力をなくす〉〈記憶が抜け落ちる〉〈自分を責める〉
「性暴力の被害者は、特に精神的な後遺症が重いと言われる。『自分にはどうすることもできない』という無力感、『自分の体は汚れてしまった』という自己嫌悪、そして、『自分が悪かったからこういうことになった』という自責の念-。悩み続けてうつ状態になったり、感情や感覚が麻痺した状態になる『解離状態』に陥ったりするケースもある。さらに、おそわれた時の記憶や恐怖が鮮明によみがえり、パニック状態を引き起こす『フラッシュバック』に苦しむ人も多い」。
「何年か後、刑務所を出た男は、何食わぬ顔で日常に戻れるのかもしれません。でも、私は、死ぬまで一人で闘わなくてはならないんです」。
さて、この本の中には私の友人も参加し、私も支援会員となっている「被害者サポートセンターおかやま」(VSCO 通称ビススコ)も登場し、「カウンセラーでもある専務理事、森陽子さん」も活動が取り上げられている。
また、私がこれまでに講演を聴いたことのあるフォトジャーナリスト大藪順子さんや、素敵な歌声を聞かせてもらったPANSAKも登場する。
今、本の中に登場した性暴力被害者の方々の次のような声が、私の心に深く突き刺さっている。私はこの二つの言葉を胸に刻んで、今後生きていこうと思う。
「私の心はあの日、殺されました。時間を戻して、輝いていたはずの私の未来を返して欲しい」。
「ようやく社会が耳を傾け、知ろうとしてくれている、と肌で感じる。この機会を逃してはいけない」。
6月25日の「犯罪被害者支援を考える市民のつどい」に、是非ともご参加を
とても地味だが、大切な活動を展開している団体はたくさんある。そのために、頑張っておられる方々に心からの敬意を表す。
さて、その中の一つに、我が友人が頑張っている「犯罪被害者サポートセンター岡山(VSCO)」がある。その「VSCO」が、「犯罪被害者の声を聴いてください」として、以下の内容の「市民のつどい」を開催する。
◆犯罪被害者支援を考える市民のつどい
◇6月25日(土)13時30分~ 於清心女子大学カルタスホール
*報告 「岡山市犯罪被害者等基本条例制定について」 坂元市担当局長
*講演会 「事件後を輝いて生きるために」 フォトジャーナリスト大藪順子さん
*シンポジュウム 「岡山市犯罪被害者等基本条例と被害者支援」
…シンポジスト;岡山市・PANSAKU・性被害者・VSCO支援員
*ライブ&トーク PANSAKUによるライブ&トーク
◇当日は「VSCOを支援する会」の「犯罪被害者支援バサー」が開催される
大藪さんもPANSAKUのPANさんも、レイプされた体験をカミングアウトされている。私はこれまでに大藪さんの講演やPANSAKUのライブ&トークを、聴かせていただいたことがある。とても豊かな内容のメッセージを届けてもらった・
大藪さんのお話やPANSAKUによるライブ&トークは、必ずやあなたの心にも響くことは間違いないと確信する。ご多忙とは思うが、一人でも多くの方が参加して欲しいと願う。