会社法第2条第5号に「公開会社」の定義規定がある。その解釈につき、著名な大学教授を含め、説が分かれている。「一部譲渡制限会社は公開会社であるのか否か」についてである。
5 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。
要綱段階では、「株式譲渡制限会社」と「株式譲渡制限会社でない会社」の分類だった。
要綱案に関する江頭解説(旬刊商事法務2005年2月15日号5頁)では、「株式譲渡制限会社」と「公開会社」に分類しており、「株式譲渡制限会社」は、定款ですべての種類の株式につき譲渡制限を定めた会社類型であるとし、また、「公開会社」の「公開」の語は、いずれかの種類の株式につき定款による譲渡制限をしていないという意味に過ぎない、としている。
そして、会社法では、「公開会社」と「公開会社でない株式会社」の分類。この流れからすると、公開会社の定義である「その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない」は、「いずれかの種類の株式につき定款による譲渡制限をしていない」と読むことになる。
したがって、一部でも譲渡制限がなければ公開会社(逆に言えば、発行するすべての株式が譲渡制限株式である場合が「公開会社でない株式会社」。)と解すべきである。
cf.
平成17年3月29日付「新会社法~公開会社とは~」
近々、旬刊商事法務等で立案担当者による解説が連載されるので、公開会社についての公権解釈も明らかになるはずである。