司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

募集株式の発行等における添付書面

2007-02-14 19:37:33 | 会社法(改正商法等)
 会社法では、株式の発行及び自己株式の処分の手続が一体化されているのであるが、募集事項の決定(会社法第199条第1項)において、新たに発行する株式の数又は処分する自己株式の数について定めることが明文では要求されていない。しかし、「株式を発行するときは、増加する資本金の額及び資本準備金に関する事項」(同項第5号)を定めるものとされており、さらに、資本金等増加限度額(会社計算規則第37条第1項)の計上においては、株式発行割合を乗じるものとされていることから、通常は、募集事項の決定の際に、当該募集に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数を明確に定めておくべきである。
 なお、商業登記規則第61条第5項の規定により添付を要するものとされている「資本金の額の計上に関する書面」は、金銭出資のみによる設立登記の際には「当分の間要しない」ものとされたが、募集株式の発行等においては、金銭出資のみによる場合であっても、この株式発行割合等を証するために、同書面の添付を要するものとされている。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/COMMERCE/k11-1-29-02.pdf

cf. 平成19年1月19日付「株式会社の設立の登記等の添付書面である資本金の額の計上に関する書面の取扱いについて(通達)」

 また、吸収合併等においても同様であり、吸収合併契約等の法定記載事項としては、新たに発行する株式の数又は処分する自己株式の数について定めることが明文では要求されていない(会社法第749条第1項等)。しかし、通常は、吸収合併契約等において、当該吸収合併等に際して発行する株式の数及び処分する自己株式の数を明確に定めておくべきである。

 募集株式の発行等においても、吸収合併等においても、後日、払込期日又は効力発生日等までの間に、発行する株式の数及び処分する自己株式の数を定めることは可能であると解されるが、その場合、取締役会設置会社においては取締役会の決議、取締役会設置会社でない株式会社においては取締役の過半数の決定を要し(株主総会による委任があるものと善解しうる。)、登記手続においても決定を証する書面を添付することを要するものと考えるべきであろう。
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士業団体の連携

2007-02-14 10:13:44 | いろいろ
 士業の相互交流は盛んに行われている。個々レベルでの異業種交流会は相変わらず盛んであるし、団体レベルでも、たとえば、京都でも自由業団体懇話会が組成され、定期的に相互交流、協働事業を行っている。

 しかし、このたび、大阪弁護士会と日本公認会計士協会近畿会が、経済分野での連携強化を目的として合意を結び、調印式を行ったそうである。士業団体が合意書に調印する形で連携を宣言するケースは珍しいように思われる。ますます高いレベルでの専門性が要求される昨今であるがゆえに、こうした連携は波及していくであろう。
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